「おばあちゃんの知恵袋」って本当に効くの?もうやんカレーの調合をした漢方薬剤師に聞いてみた

「おばあちゃんの知恵袋」って本当に効くの?もうやんカレーの調合をした漢方薬剤師に聞いてみた

医療の現場ではなく、日常生活において以前から伝えられてきた"民間療法" 。「風邪にはネギを首に巻いたら良い」「頭痛の時は梅干しをこめかみに貼り付ける」など、小さい頃おばあちゃんに教わった!という方もいると思います。

"おばあちゃんの知恵袋"とも呼ばれますが、これらは本当に効果があるのでしょうか?言われてみれば、実際に効いているのかわからず治療法をやっていたなんてことも。

そこで今回は、氣生薬局の代表を務め、「もうやんカレー」の香辛料の監修もされている漢方薬剤師の久保田先生にお話をお伺いしました。

民間療法については諸説ありますが、漢方の観点から"おばあちゃんの知恵袋"は本当に効果があるのか患者さまから民間療法について質問されたときどう答えたら良いかについて教えていただきます。

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漢方の観点から"おばあちゃんの知恵袋"を検証

【知恵袋1】「梅干し」をこめかみに貼ると頭痛が和らぐ

梅干しのイメージ画像

これは△ですね。つぼを刺激することで血行を良くするという点では、こめかみに何を貼っても良いと思うので。

東洋医学では、「気=生きるためのエネルギー」と「血(けつ)=血液や体液」の通り道を「経絡(けいらく)」と言い、経絡の途中に点々とあるスポットを「経穴(けいけつ)」と呼びます。これがいわゆる「ツボ」で、刺激をすることで体の不調が治ると言われています。こめかみは経穴の一つで、刺激すると経絡の流れが良くなって頭痛が和らぐのです。

「なぜ梅干しなのか」という点に関しては、東洋医学の基礎となる「五行論」が元になるでしょう。酸味と血流が関係することまでは言えます。

昔の人は自然界にある木・火・土・金・水を生活において欠かせないものとしており、これらの運行を「五行(ごぎょう)」と表します。東洋医学では、人の体や自然界のものを五行で分類することができます。

五行五色五気五方五味季節五臓五腑五官
小腸
湿長夏
西大腸
膀胱

五味のうち酸っぱいものを表す「酸」は、「木」の行に当てはまります。同じ行の「五臟」は肝臓の「肝」とあります。同じ行に所属しているものはお互いに関係しているので、酸っぱいものは血液を蓄えたり、体内の血液を調節したりする肝臓に効果があるんです。酸味が血管系に働くという点では、梅干しが良いと言えるかもしれません。

【知恵袋2】風邪を引いた時は「キャベツ」の葉っぱをかぶれば良い

これは×です。まず頭からかぶるというのは、まじないに近いのではないでしょうか。もしキャベツを食べたとしても、胃の働きに効果があるくらいです。

熱冷ましの効果がある食材だと、東洋医学では「陰」という分類に当てはまる野菜を摂取するのが効果的だと言われています。

先ほど出てきた五行論に加えて、東洋医学の基本となるのが「陰陽(いんよう)」。自然界のものには「陰」と「陽」が存在するという考え方です。例えば、月が「陰」で太陽が「陽」といったように。

食材だと、トマト、ナス、オクラ、キュウリといった夏野菜が体を冷やす効果があるので「陰」に当てはまります。反対に冬にできる大根や人参は「陽」の食べ物。キャベツは「中庸(ちゅうよう)」と言って、どちらの性質も持たない部類になります。

【知恵袋③】すりおろした「りんご」を食べると風邪が治る

これは○ですね。西洋医学と東洋医学の両方から効果があると言えます。まず西洋医学で説明すると、りんごには免疫力を高める作用があるビタミンCが豊富に含まれていたり、解毒作用があるということが言えます。

五行五色五気五方五味季節五臓五腑五官
小腸
湿長夏
西大腸
膀胱

東洋医学では、先ほども出てきた五行の考え方によって、酸味と風邪が関係していることを説明できます。

季節の変化によって起こる要素を五気と言い、風、暑、湿、燥、寒があります。これらが人体の害になることを「邪」と言い、風の場合は「風邪(ふうじゃ)」。つまりこれが風邪(かぜ)を引くということ。

五行の表を見ると、六気のうち「風」は「木」の行に当てはまりますよね。同じ行の季節は「春」、つまり風邪の影響が最も出やすいとされる季節は春なんです。さらに五味は「酸」であり、「風邪には効くのは酸っぱいもの」となると酸味が含まれているりんごは風邪の症状に効果があると言えます。

酸っぱいものであればりんごでなくても良いのでは?という話もありますが、りんごは日本人にとって非常にポピュラーな果物なんです。日本人は「木を書いてください」と言われると、多くの人がリンゴの木を描くそうです。あとは食べやすい味であることから、りんごが選ばれているのかもしれません。

【知恵袋④】「ねぎ」を首に巻くと風邪が治る

これは○。ねぎに含まれるアリシンという辛み成分は殺菌力が強く、さらに空気中に逃げやすい性質があります。そのため、ねぎを首に巻くことで、アリシンが鼻や喉の粘膜に入り込んだ風邪のウイルスをやっつけてくれるんです。

また、ネギを潰したり切ったりしてからガーゼで首に巻くと、成分が増してさらに効果的ですよ。

【知恵袋⑤】「はちみつ」や「たまご酒」は風邪に効果がある

はちみつは炎症を取る成分や抗菌作用があるので、風邪に良いとされています。さらに潤いを与える効果もあるので、のどの痛みにも効果的です。

たまご酒は、たんぱく源があまりなかった時代に良しとされていたようです。栄養価が高いから卵、体が温まるからお酒というだけで、体に悪いことはないですが、摂りすぎなどに注意すべきであり画期的な方法とは言えません。

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知らないことを聞かれたら、患者さまと正直に向き合うことが大切

薬を渡す薬剤師のイメージ

患者さまから民間療法について尋ねられたときの薬剤師の対応としては、患者さまがおっしゃった内容を、完全に否定をしないことが大切です。ご高齢の方は変化を好まないので、「そうなのですね、昔はそう言われていたのですね」と伝えるのが良いでしょう。

さらに、患者さまの症状に効果があれば続けても良いけれど、中には根拠のない民間療法もあるということを伝えると良いですね。

実は、患者さまから自分が知らない内容を尋ねられること、私もよくあるんです。そういう時は逆に勉強をさせてもらいます。知ったかぶりをするのが1番良くないので。「勉強不足ですみません」と素直に伝えて、次回患者さまがいらっしゃるまでの宿題にさせてもらえば、患者さまとの信頼を築くきっかけにもなりますよ。

"おばあちゃんの知恵袋"の効果はさまざま。根拠のない治療法に注意

"おばあちゃんの知恵袋"について、漢方の観点から効果を説明していただきました。民間療法には風邪などの症状に効くものも多くあります。その一方で、医学的な根拠がなくても治療法として伝えられている方法もあるということを覚えておきましょう。

久保田 佳代 写真
  • ●今回お話を伺った方
  • 株式会社 氣生(きお)代表取締役
  • 久保田 佳代 先生

医師、薬剤師の医療一家に生まれ、薬剤師免許取得後、24年に渡り漢方に携わる。2001年に故郷長野にて漢方の氣生(きお)薬局を開局。その後、江戸川区・新宿区に移転し、株式会社氣生を設立。本年9月M&Aで大塚に新たに保険調剤併設の氣生薬局を開局。洋の東西を問わず、臓器医療ではなく、昔の町医者のように"人"と向き合いココロの会話をする事で根治治療を目指す。


薬食同源の心から薬膳料理店などのメニュー監修。
氣生オリジナル漢方茶、薬膳シーズニング・ふりかけなど大手一流百貨店にて販売。
漢方茶マイスター協会主宰。

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記事掲載日: 2018/11/06
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