Vol.11 6年制は病院志向?中途で病院薬剤師への転職はいつまで可能?


今回のテーマは、『6年制時代の病院薬剤師』です。新卒時に病院薬剤師を希望していた方や、転職時に病院勤務へ挑戦したいと考えている方など憧れを抱く方も多数いらっしゃいます。そのため、6年制の誕生によって変わった薬剤師業界の転職動向をもとに、病院薬剤師への転職を検討する際のアドバイスをご紹介します。

6年制が希望する就職先は約3割が病院


4年制時代の就業先は、約3割弱の方が進学の道を選んでいたことも影響し、病院・診療所が全体の約1割強、調剤薬局が約3割弱であったのに対して、6年制の薬剤師は病院・診療所が約3割、調剤薬局が約4割、企業が約1割強、残りがドラッグストアなどや進学の道を選ばれたようです。つまり、6年制となって病院・診療所を就業先に選ばれた方の割合が大幅に増えました。6年制は薬学生時代に長期の実務実習を経験したことで、しっかりとした将来ビジョンを持って病院を就業先として選択する"病院志向が強い方"が多いといえます。

 
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ご存知の通り、第一期6年制が卒業した2012年までの2年間は、新卒の薬剤師が排出されなかったため、業界全体で薬剤師不足の状況が続いていました。そのため、病院や診療所についても地域差はありますが、薬剤師の採用を増やしているケースも見受けられます。病院勤務を選ぶ方は、「まずは、病院でしか経験できない病棟勤務や緩和ケアを通じて、専門的な知識を習得したい」、「病院での現場経験を積んで、10年後には在宅ケアもできる管理薬剤師を目指したい」など、志高いキャリアビジョンを持った人が多いと言えます。

 

2012年度の診療報酬改定も病院薬剤師への追い風


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近年の分業率の増加に伴って外来患者の院外処方も増加しており、病院薬剤師の業務は入院患者に関わる内容がメインになりつつあります。また、2012年度の診療報酬改定に伴って、薬剤師の病棟業務にも加算が新設されたことから、薬剤師の人員配置を増やす病院数が伸びてきています。また、加速する高齢化社会への流れから、ガンを始めとする緩和ケアを必要とする患者への対応が増加することが予想されるので、今後さらに病院薬剤師にも経験や知識が求められるようになるでしょう。
そのため、薬剤師ニーズの高まりを受けて経験者の採用枠を増やした病院も多く、求人数自体が増加しつつあるといえます。求人数が増えている、かつ6年制薬剤師が就業先で社会人経験を重ねているこの数年間が、病院へ転職する絶好のチャンスと言って良いかもしれません。

 

特に未経験での病院薬剤師への転職は、もう一度考えることが大切


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病院薬剤師の求人を見つけた際、『病院で働ける』ということだけで飛びついてはいけません。なぜなら、担当する業務内容によって求められる能力や身に付くスキルも全く異なり、今後のキャリアパスも大きく変わってくるためです。もともと求人数が多くない急性期病院ですが、当直勤務も多く、病院の規模によってはローテーションを組んで病棟業務とTDM(薬物治療モニタリング)など複数業務をかけ持つなどハードな一面もあるので、長期的に勤務していけるかどうかをよく検討する必要があります。一方療養型の病院は、比較的求人数が多いため転職しやすい傾向にありますが、「病棟業務がやりたかったのに、ほとんど調剤やピッキングしかやらせてもらえない」、「慢性疾患や認知症など在院日数が長期におよぶ変化の少ない処方ばかりで、やりがいを感じにくい」など、想い描いたイメージと合わないことも考えられます。また、他業種で経験を重ねてきた薬剤師にとって、病院勤務での給与は低く感じられる場合もあります。そのため病院への転職を考える場合、詳しい業務内容や病院の特徴といった詳細まで確認することは必要不可欠です。"転職後の目指したい薬剤師像"と"病院薬剤師としてどのような生活を送りたいのか"を明確にすること、その上で転職条件を改めて見直すことが重要です。客観的な立場からのアドバイスや相談が必要と感じられた場合には、ファルマスタッフのコンサルタントがお手伝いしますので、ご相談ください。

 

編集後記

今回は、薬剤師の皆さんの注目も高い「6年制と病院薬剤師」をテーマに取り上げました。4年制卒業の薬剤師さんにとっては、自分達が薬学生時代に習得した知識や内容、その身につけ方など多くのことが異なるため、興味深く感じている方も少なくないのではないでしょうか。ただ3つ目のポイントでも挙げたように、病院への転職を検討する際は、一層慎重になって今後の薬剤師としての働き方を長期的に考える必要があります。今後のキャリアについてお悩みがあれば、ファルマスタッフにご相談ください。

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