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  • 公開日:2022.03.22

『漢方アドバイザー』は薬剤師の仕事に活かせる?取得メリットや『漢方薬・生薬認定薬剤師』との違いを解説【薬剤師の資格入門】

『漢方アドバイザー』は薬剤師の仕事に活かせる?取得メリットや『漢方薬・生薬認定薬剤師』との違いを解説【薬剤師の資格入門】

『漢方アドバイザー』は、漢方の基礎知識や漢方薬の服用方法などの幅広い知識が身につく資格です。漢方薬局やドラッグストアなど、漢方薬を扱う職場で活かすだけでなく、自身の体調改善に役立てることも期待できます。

この記事では、『漢方アドバイザー』の概要や取得するメリットを解説します。漢方薬に関連する代表的な資格である『漢方薬・生薬認定薬剤師』との違いもみていきましょう。

『漢方アドバイザー』とは?

漢方アドバイザーとは?

『漢方アドバイザー』は、漢方の基礎や漢方薬の服用方法などの幅広い知識が身につく資格で、一般社団法人日本技能開発協会が認定を行っています。そのほかに、東西中医学院が認定する同じ名前の資格もあります(※)。いずれも通信講座で取得可能で、費用はテキスト料金と受験料を合わせて5万円ほどです。

漢方とは、漢方薬のほか、鍼灸や食養生など、かつて中国から伝わって日本人の身体や気候にあわせて発展した、日本の伝統医学全般のことを指します。症状を全身のバランスの乱れととらえ、バランスを整える治療を行います。漢方で使用する「漢方薬」は、自然界に存在する植物や動物、鉱物などの薬効となる部分である「生薬」を配合した多成分系薬剤で、複雑な症状に総合的に対応できるのが特徴です。

※日本チェーンドラッグストア協会の認定による『漢方アドバイザー』の資格もありますが、現在新規募集を停止しています。(2022年2月調べ)

『漢方アドバイザー』の資格を取得するメリット

漢方アドバイザーを取得するメリット

現代の日本では、西洋医学による治療が一般的です。しかし、西洋医学も万能ではありません。西洋医学だけでは完全に治すことのできない症状の改善に、漢方薬が処方されることもあります。医療現場において漢方薬のニーズは高まっており(※)、薬剤師に、漢方の知識が必要とされる場面も増えつつあります。

薬剤師が『漢方アドバイザー』の資格を取得するメリットは、患者さまの体調管理のための知識を身につけられることで、患者さまや他の医療従事者からの信頼が高まることが期待できます。また、漢方薬局だけでなく、調剤薬局や、ドラッグストアでも漢方薬の扱いがあるため、『漢方アドバイザー』の資格取得を通じて得た知識を日々の業務に活かすことができるでしょう。

※日本漢方生薬製剤協会と日本東洋医学会による、漢方製剤の記載を含む診療ガイドラインのTable (漢方CPG Table)の調査によると、診療ガイドラインへの漢方製剤の掲載数は年々増加しており、2011年が59件だったのに対して2020年は149件となっています。

『漢方アドバイザー』になるには?

漢方アドバイザーになるには?

『漢方アドバイザー』になるためには、所定の講座を受講して確認試験に合格する必要があります。それぞれの認定団体によって資格取得の流れに違いがありますが、今回は一般社団法人日本技能開発協会の例を紹介します。

一般社団法人日本技能開発協会が認定する『漢方アドバイザー』の取得の流れは、テキストや問題集で学習し、在宅での認定試験に合格することで認定証が発行されます。

受講期間に定めはなく、自身のペースで学習し受験可能です。早ければ最短2週間で取得できます。

①受験申込

一般社団法人日本技能開発協会のホームページから受験の申し込みが可能です。

②テキストや問題集などが届く

一般社団法人日本技能開発協会から、テキストや問題集、添削課題、本試験が届きます。勉強から試験までシームレスに進めることができます。

③テキスト、問題集などによる学習

学習期間に制限はないため、申し込みから試験まで自分のペースで勉強を進めます。

④認定試験の受験(筆記試験のみ)

試験は在宅で受けます。試験実施後に解答用紙を一般社団法人日本技能開発協会に郵送すると、試験結果がメールで届きます。

⑤認定証(ディプロマ)が届く

合格すると、2〜3週間以内に認定証が届きます。再試験となった場合は、再受験料として5,000円が必要です。

『漢方アドバイザー』と『漢方薬・生薬認定薬剤師』との違い

漢方アドバイザーと漢方薬・生薬認定薬剤師との違

薬剤師に人気の漢方系の資格には『漢方薬・生薬認定薬剤師』もあります。こちらは、漢方薬・生薬に関する専門的知識を修得し、能力と適性を備えた薬剤師であることを認定する資格です。公益財団法人日本薬剤師研修センター一般社団法人日本生薬学会が実施する研修を受けて試問に合格することで取得できます。

『漢方薬・生薬認定薬剤師』は薬剤師しか取得できず、所定の研修に参加して単位を取得する必要があるため、専門性の高い資格といえます。

一方で、『漢方アドバイザー』は一般の方でも取得できる資格のため、漢方全般に対する基礎的な知識が身につきます。いずれの資格も、漢方薬剤師になるためのスキルアップに役立つことが期待されます。

幅広い知識を身につけ患者さまをサポートしましょう

この記事では、『漢方アドバイザー』の概要や取得するメリット、『漢方薬・生薬認定薬剤師』との違いについてみていきました。

超高齢化社会を迎える日本では、健康から病気に向かっている状態である「未病」の段階からケアをはじめることが重要であると考えられています。漢方薬は「未病」への対処に適しているほか、研究が進み、学会でのエビデンスの報告も増えてきているため、今後漢方薬の処方が増えることが予想されます。今から知識を身につけておくと、薬剤師としての活躍の幅が広がるでしょう

執筆者:ヤス(薬剤師ライター)

新卒時に製薬会社にMRとして入社し、循環器や精神科からオンコロジーまで、多領域の製品を扱う。

現在は患者さまと直に接するために調剤薬局チェーンに勤務しながら、後進の育成のために医薬品のコラムや医療論文の翻訳など、多方面で活躍中。

記事掲載日: 2022/03/22

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