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  • 公開日:2021.10.20

薬局薬剤師にできる糖尿病治療支援の内容や注意点?役立つ資格も解説

薬局薬剤師にできる糖尿病治療支援の内容や注意点?役立つ資格も解説

糖尿病は、がん・脳卒中・急性心筋梗塞・精神疾患とならんで日本の5疾病に数えられている疾患で、患者数は1,000万人にのぼると推計されています。近年では新たな糖尿病治療薬が相次いで登場するなど薬物療法も複雑化しており、長期的なフォローアップができる薬剤師の存在はますます重要となっています。

この記事では、薬局薬剤師にできる糖尿病治療支援の内容や注意点について詳しく解説していきます。糖尿病治療支援に役立つ資格についても、あわせてみていきましょう。

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糖尿病治療に薬局薬剤師が関わる重要性

糖尿病治療に薬局薬剤師が関わる重要性

糖尿病は、血液中の血糖値やヘモグロビンA1c(HbA1c)値が慢性的に一定の基準を超えている状態をあらわす疾患です。日本における「5疾病・5事業および在宅医療」の1つにも数えられており、平成28年に厚労省が実施した「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる方」と「糖尿病の可能性を否定できない方」を合わせた人数は2,000万人を超えると推計されています。

糖尿病は重症化すると命にかかわることもあるため、糖尿病の薬物療法に関する十分な知識および技能を修得した薬剤師の役割が期待されています。新薬が相次いで登場するなど薬物療法は複雑化しており、患者さまの生活様式も多様化していることから、適正な薬物療法を長期的にフォローアップできる身近な医療系職種として、薬局薬剤師の存在がますます重要になってきています。

糖尿病治療支援のために薬局薬剤師ができること

糖尿病治療支援のために薬局薬剤師ができること

糖尿病の薬物療法をサポートしていくうえで、薬局薬剤師には何が求められるのでしょうか。

わかりやすい服薬指導とコーチング

糖尿病治療薬のなかには、複雑な管理を必要とする医薬品も少なくありません。インスリン注射の管理方法や自己注射の手技の確認などは、薬局薬剤師の重要な役割の一つです。また、運動療法や栄養指導のアドバイスなど、薬物療法以外の面でも患者さまをサポートする取り組みも期待されています。

アドヒアランスの向上

糖尿病治療は、患者さま自身が病気について理解し、 積極的に治療に関わっていくことが重要です。医師は限られた時間のなかで診察や検査を行わなければならないため、細かい部分のフォローは薬剤師が担う場合も少なくありません。薬剤師が服薬指導のなかで患者さまの疑問を解消することで、アドヒアランスの向上が期待できます。

医療機関との連携

地域包括ケアシステムにおいて多職種連携が注目を集めるなかで、糖尿病治療の分野でも医療機関と薬局の連携が重要になっています。お薬手帳や薬剤管理サマリー、糖尿病連携手帳などの活用に加えて、服薬指導で気になる点があればトレーシングレポートにまとめ主治医に報告するよう意識しましょう。

長期的なフォローアップ

糖尿病は、基本的には一生涯にわたり治療が必要な疾患です。患者さまの生活と治療が両立できるよう、治療目標を具体的にしながら、継続的な薬学管理(長期的なフォローアップ)の実施が求められています。

また、「令和2年度診療報酬改定の概要 (調剤)」では、地域において医療機関と薬局が連携してインスリン等の糖尿病治療薬の適正使用を推進する観点から、「調剤後薬剤管理指導加算」が新設されました。

医師の求めなどに応じて地域支援体制加算を届け出ている薬局が、調剤後も副作用の有無の確認や服薬指導などを行い、その結果を医師に情報提供した場合について算定が可能です。

糖尿病治療支援に役立つ資格とは

糖尿病治療支援に役立つ資格とは

糖尿病治療を支援するうえで役に立つ、薬剤師が取得可能な資格について解説していきます。

日本糖尿病療養指導士

日本糖尿病療養指導士(CDEJ)は、一般社団法人日本糖尿病療養指導士認定機構によって認定される専門資格です。糖尿病療養指導(食事療法、運動療法、薬物療法など)全般についての知識および技能を有する医療従事者を認定する制度で、薬剤師だけでなく看護師や理学療法士なども取得可能です。

2021年6月15日時点で、19,096名(薬剤師は2,946名)が取得しています。

地域糖尿病療養指導士

日本糖尿病療養指導士(CDEJ)に似た資格として、地域糖尿病療養指導士(CDEL)もおさえておきましょう。全国単位で研修を行い、一律の試験で認定を行うCDEJとは異なり、各都道府県や地域によって独自に認定が行われます。そのため認定者のレベルは一定ではありませんが、より地域に密着した糖尿病治療や予防のサポートができる点が特徴です。

糖尿病薬物療養法認定薬剤師

糖尿病薬物療法認定薬剤師は、一般社団法人日本くすりと糖尿病学会によって認定される専門資格で、薬剤師認定制度認証機構(CPC)によって認証された特定領域認定制度の1つです。

糖尿病療養指導のなかで「薬物療法」に関する十分な知識および技能を有する薬剤師の養成を目的としています。その点で、糖尿病療養指導(食事療法、運動療法、薬物療法など)全般についての知識および技能を有する医療従事者を認定するCDEJやCDELとは異なるといえるでしょう。

下位の資格としては、糖尿病薬物療法に関する自己研鑽を積んだ薬剤師を認定する「糖尿病薬物療法履修(准認定)薬剤師」も取得可能です。2020年5月時点で、糖尿病薬物療法履修(准認定)薬剤師として365人、糖尿病薬物療法認定薬剤師として109人の薬剤師が資格を取得しています。

糖尿病治療の現場で薬剤師はますます求められる存在に

この記事では、薬局薬剤師にできる糖尿病治療支援の内容や注意点、糖尿病治療支援に役立つ資格について解説していきました。

糖尿病をはじめとした慢性疾患は主に外来によって管理が行われる場合が多く、適正な薬物療法を長期的にフォローアップできる薬局薬剤師の活躍が期待されています。また、複雑化する薬物療法を背景に、チーム医療や多職種連携のなかでも、医薬品の専門家として薬剤師の存在は重要です。

糖尿病薬物療法認定薬剤師など、薬局薬剤師でも取得が目指せる資格も増えてきているため、糖尿病についての専門性を高めてみてはいかがでしょうか。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2021/10/20

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