キャリア&スキルアップ
  • 公開日:2019.05.27

職場の先輩との距離感が分からない。薬が覚えられない...新卒薬剤師のための【お悩みQ-A】

職場の先輩との距離感が分からない。薬が覚えられない...新卒薬剤師のための【お悩みQ-A】

薬剤師は覚えることの多い職業です。新人時代はわからないことも多く、患者さまから怒られたり上司から注意されたりすることもあるでしょう。誰にも相談できず、悩みを抱えてしまうことも少なくありません。

中でも、調剤薬局で働く場合、身近な先輩薬剤師との関わり方はとても重要です。この記事では、「新人が抱える悩み事」や「先輩との関わり方のコツ」についてみていきましょう。

調剤薬局で新人薬剤師が抱える悩みとその解決策

調剤台を探る薬剤師のイメージ

調剤薬局で働く新人薬剤師には、様々な悩みがつきものです。薬剤師であれば誰もが通る道ですが、新人薬剤師の中には自信をなくしてしまい、今後のキャリアに不安を感じる方もいるのではないでしょうか。

そこで、新人薬剤師のよくある悩みをピックアップし、その解決方法をご紹介していきます。

【お悩み1】先輩との関わり方や距離感がわからない

新人薬剤師として調剤薬局に配属されると、職場の中で多くの先輩スタッフと一緒に仕事をしていくことになります。わからないことや問題にぶつかった際に、先輩に助けを求めることもありますね。

そんな中、先輩との関わり方や距離感がわからないと悩む新人薬剤師も少なくありません。サークルやアルバイト先の先輩のように気軽に話しかけて良いのか...。上司だから礼儀正しくしなくてはならないのか...。忙しそうにしていれば声をかけて良いのか迷うこともありますね。

また、定期的に飲み会が行われている職場もありますが、新人であれば必ず参加しなくてはならないのでしょうか?参加しないことによるデメリットはあるのでしょうか?

<先輩からのアドバイス>

    先輩薬剤師との関わり方は、たくさんの新人薬剤師が悩むポイントのひとつです。職場の先輩は友達ではないので、最低限の礼儀は必要です。しかし、過度に萎縮する必要はないので、日頃からコミュニケーションを心がけて、困った時にすぐ相談できるような関係性を築きましょう。

    調剤業務のミスは患者さまの命に関わることも。そのため、忙しそうであっても質問を優先しなくてはならないこともあります。そんなときは、業務の合間を狙って端的に質問するようにしましょう。指導係の先輩だけでなく、気軽に質問できる先輩を見つけることもオススメです。

    また、飲み会は強制ではありませんが、できる限り参加すること>がオススメです。不参加だからと嫌がらせを受けることはありませんが、先輩と距離を縮める機会を失うという意味ではデメリットといえるでしょう。

【お悩み2】患者さまとうまくコミュニケーションできない

患者さまにはいろいろなタイプの方がいます。年齢、性別、家族構成、疾患など様々な背景があるので、それぞれの患者さまに合わせたコミュニケーションが必要です。

なかなか話を聞いてくれない患者さまへの伝え方に悩む新人薬剤師も少なくありません。患者さまの質問にうまく答えられず、「薬剤師なのにわからないの?」と怒られてしまうこともあるでしょう。

適切な薬物治療には、良質な服薬指導が不可欠です。そのためには、患者さまとのコミュニケーションも欠かすことができません。コミュニケーションを取るためには、具体的にどうすれば良いのでしょうか。

<先輩からのアドバイス>

    患者さまとのコミュニケーションで大切なことは、患者さまと薬剤師の間に『信頼関係』を築くことです。信頼できない相手に悩みを打ち明けることは難しいと思いませんか?それと同じで、いきなり「○○を教えてください」などとアプローチしても、答えたくないと思う患者さまもいらっしゃるでしょう。

    相手を想いやる心を持ち、相手の立場に立った対応を心がけましょう。薬の説明だけでなく、相手の話に耳を傾けることも重要です。

    また、新人のうちは医薬品の知識が十分でなく、患者さまの質問にすぐに答えられないこともありますね。そんなときには、時間をもらって調べるようにしましょう。急ぎの内容でなければ、次回までの宿題とさせてもらってもOKです。その場で回答するよりも、「私のためにきちんと調べてくれたのね」と信頼関係の向上につながることもあります。

【お悩み3】薬の種類が多くなかなか覚えられない

2種類の薬を手渡すイメージ

医療現場で使われている医薬品は数千種類にものぼり、規格やメーカー違いのものを合わせると、その数はさらに膨大となります。ひとつの調剤薬局に置かれている医薬品だけでも、千種類はくだらないでしょう。

薬剤師は医薬品の専門家として、これらの商品名・一般名、効能・効果、用法・用量、禁忌、副作用...と、様々な知識を身につけなくてはなりません。漢方薬であれば処方名を覚えるだけでも一苦労。さらに、処方の決め手となる証や配合されている生薬など、覚えることは山ほどあります。

新人のうちは、日々の業務の流れやマナー、会社の規則などを覚えることも必要ですから、これらに加えて薬のことまで覚えられないと悩む新人薬剤師も少なくありません。

<先輩からのアドバイス>

    新人薬剤師が覚えなければならない知識は膨大であり、どれも一朝一夕では身につきません。はじめのうちから全てを完璧にすることは難しいので、覚えるべきことに優先順位をつけるようにしましょう。薬の種類なら、薬局で良く出る薬を優先的に覚えるようにしてください。

    オススメの方法は、「縦掘り」と「横堀り」を組み合わせることです。

    「縦掘り」は、1つの薬について深く調べて、用法・用量、禁忌、副作用など、その薬に関する細かな知識を身につけます。「横堀り」は、縦掘りで覚えた薬の同種同効薬や同じ適応の中でも、別の作用機序を持った薬を調べて幅広い知識を身につけます。これらを自分だけのノートにまとめることで、効率よく薬を覚えることができるのです。

    また、医療の世界は進歩が目覚ましいので、一度身につけた知識も定期的にアップデートを行う必要もあるでしょう。

【お悩み4】残業が多くて辛い

薬剤師の残業時間は月10時間程度である(※)と言われていますが、職場によっては、数十時間単位の残業が発生することも。新人時代は業務後に調べ物をしなくてはならず、気が付くと毎日残業続き...ということも。自分に割り当てられた仕事がなかったとしても、まわりの先輩が残業をしていると帰りにくいということもありますね。

あまりにも残業が多いと、ワークライフバランスが崩れてしまうでしょう。プライベートが犠牲になることもあります。残業が原因で、薬剤師としての仕事そのものが辛いと感じることもあるので、早急に対策を行わなくてはなりません。

厚生労働省 平成29年賃金構造基本統計調査※参照データ

<先輩からのアドバイス>

    新人薬剤師として間もないうちは、スキルアップのためにある程度の残業は覚悟することも必要です。しかし、それが毎日続いてしまうのであれば大きな問題です。

    「仕事がおわらなければ残業をしよう」と考えるのではなく、「どうすれば時間までに仕事を終わらせられるのか」ということを意識しましょう。まわりの先輩が残業をしている場合、手伝う日をつくることも重要ですが、「この日はプライベートの予定があるので、なるべく早く帰りたい」という意思表示を行うことがオススメです。

    また、インフルエンザや花粉症で患者さまが多いなど、季節的に残業が増えている場合であれば、シーズンが終われば残業は減る可能性があります。しかし、残業が日常化している場合には、薬局レベルで仕事の取り組み方の改善を行うことが必要です。まずは指導係の先輩や上司に相談して、残業を減らす工夫ができないか話し合ってみましょう。

先輩薬剤師に相談してみよう

微笑む男女の薬剤師イメージ

4つの悩みを紹介しましたが、新人薬剤師が抱える悩みはまだまだたくさんありますよね。薬剤師は専門性の高い職業のため、経験がものを言うことがほとんどです。新人薬剤師のうちからすべて完璧な方はいないので、悩みがあっても気に病む必要はありません

悩みを抱えたままにすることは絶対に避けましょう。患者さまに良質な薬物治療を提供するためには、まずは薬剤師が心身ともに健康であることが不可欠なのです。悩みがあるときは、まずは身近にいる先輩薬剤師に相談してみましょう

「仕事が終わらない」「一般名と商品名が一致しない」「勉強方法がわからない」など悩みはたくさんあると思いますが、例えば午前中の外来終わりや昼休みの後など、あまり忙しくない時間を狙って先輩に相談してみるとよいでしょう。一人の先輩にすべてを聞くと負担になってしまうため、いろいろな先輩に聞くことをオススメします。

先輩薬剤師としても、わからないことを一生懸命聞いてくれるのは嬉しいもので、後輩に頼られることをやりがいと感じる方も少なくないでしょう。悩みがあったら、一人で抱えるのではなく何でも先輩に聞いてみましょう。

ただし、わからないことを聞くときは、まずは一度自分で調べた上で質問することが大切です。「ここまでは理解できたのですが、ここから先がわかりません」など、努力のあとを示すことがコツです。

解決しない場合は、年齢に関わらず転職という選択肢も。

励ます薬剤師のイメージ

ここまでご紹介したように、新人薬剤師に悩みはつきものです。悩みの多くは、先輩薬剤師に相談して解決方法を探ることができますが、薬局の状況によっては上手くいくとは限りません。良い先輩に恵まれず、悩みの相談に乗ってもらえないこともあるでしょう。

そんなときには、転職という選択肢も検討するようにしましょう。20代での転職、新人と呼べる時期の転職であっても、職場の指導体制に問題があるようなケースは転職に不利になることはありません。「第二新卒」として新卒同様に受け入れてもらえる企業も増えています。長期的な活躍が期待できる20代の薬剤師は、転職市場において喉から手が出るほど欲しがられることもあるのです。

一方で、20代のうちから繰り返し転職することはオススメできません。何度も転職を繰り返している薬剤師は、長期で活躍できないと判断されて敬遠される傾向にあります。転職に失敗したから、また転職するといったこと繰り返すと、今後のキャリアが不利になるでしょう。同じような失敗を繰り返すことのないように、職場の教育体制や雰囲気、条件などをしっかりと情報収集して、長続きしそうな職場を選ぶことがポイントです。

悩みは身近な先輩に打ち明けて

薬剤師は命に関わる仕事であり、一つひとつの業務に責任が伴います。新人のうちはわからないことも多く、悩みがつきものです。そんなときは、一人で抱え込むのではなく、先輩薬剤師に悩みを打ち明けましょう。頼れる先輩を見つけるためにも、日頃からのコミュニケーションは欠かせません。

頼れる先輩が身近にいないなど環境に恵まれない場合は、転職という選択肢を選ぶことも必要です。転職サイトやコンサルタントの力を借りながら、悩みを解消できる職場を見つけてください。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2019/05/27

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