かかりつけ薬剤師と薬局

かかりつけ薬剤師が新設された意義とは

薬剤師の業務はより患者さま中心のものにシフト

かかりつけ薬剤師の登場により、薬剤師に求められる仕事はこれまで以上に患者さま本位のものとなりました。 対物業務から対人業務へシフトしていく中で、地域医療機関が一体となった多職種連携による医療の提供がより重視されてくることになりました。

かかりつけ薬剤師の業務イメージ

地域住民による主体的な健康の維持・増進の支援を行う健康サポート機能を有し、服薬情報や受診歴を一元管理し患者さまを中心として多職種をつなぐ核となりながら、より患者さまに寄り添うことで医療人である薬剤師としての職能の拡大を目指すことが、かかりつけ薬剤師が新設された意義の一つと言えましょう。

かかりつけ薬局に求められる3つの機能

服薬情報の一元的・継続的把握、24時間対応・在宅対応、医療機関との連携

服薬情報の一元的・継続的把握
主治医との連携、患者さまへのヒアリングやお薬手帳の内容の把握等を通じて、患者さまがかかっている全ての医療機関や服用薬を一元的・継続的に把握し、薬学的管理・指導を実施。患者さまに複数のお薬手帳が発行されている場合は、お薬手帳の一冊化・集約化を実施する。
24時間対応・在宅対応
開局時間外でも、薬の副作用や飲み間違い、服用のタイミング等に関し随時電話相談を実施。夜間・休日も、在宅患者の症状悪化時などの場合には、調剤を実施。地域包括ケアの一環として、残薬管理等のため、在宅対応にも積極的に関与する。
医療機関との連携
医師の処方内容をチェックし、必要に応じて疑義照会やフィードバック、残薬管理、服薬指導を行う。2018年の改定では服用薬剤調整支援料が新設され、処方医への提案も求められるようになった。医薬品等の相談や健康相談に対応し、医療機関に受診勧奨する他、地域の関係機関と連携する。

これを担っていくのがかかりつけ薬剤師であり、今まで以上に「患者さま本位」の対応が必要になります。 地域住民の健康維持・増進を医療機関一体となって支援する地域包括ケアサポートを実現するにあたり、かかりつけ薬局は患者さまの「かかりつけ」の存在として、多職種をつなぐ中核となる役割が求められています。

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かかりつけ薬剤師の具体的な業務内容

患者さま本位の業務に従事

かかりつけ薬剤師になるには、同意を得た上で「同意書」を取り交わす必要があります。そのためには、患者さまの状態等を踏まえてかかりつけ薬剤師の必要性をお伝えしたり、かかりつけ薬剤師に対する患者さまの要望を確認したりすることが大切です。「かかりつけ薬剤師業務」として算定できるのは、同意書を得た患者さまに対する服薬状況の一括管理等をはじめとする行為のみとなっています。

主に、具体的な業務は以下のようなものがあります。

  • 患者さまの服用している処方薬や要指導医薬品および一般用医薬品、ならびに健康商品等について一元的に把握し、その内容を薬剤服用歴に記載します。
  • 患者さまの他の医療機関の受診歴もお薬手帳に記載して一括管理し、また他の医療機関を受診した際にはかかりつけ薬剤師がいる旨を患者さま本人に申告してもらう必要があります。
  • 患者さまからの相談には24時間応じることのできる体制を取り、薬局の開局時間外の連絡先を伝え、また患者さまがかかりつけ薬剤師のいる時間を把握できるよう、勤務表を作成し患者さまにお渡しします。

このほか、調剤後にも服薬状況の把握、指導等を行い、その内容を処方した保険医に情報提供し、残薬がある場合など必要に応じて処方提案をするなど、患者さま本位の業務に従事することになります。

かかりつけ薬剤師指導料とは

処方医と連携して患者さまに対し服薬指導を行う業務

かかりつけ薬剤師が処方医と連携し、患者さまの服薬情報を一元的・継続的に把握した上で、服薬指導を行う業務を薬学管理料として評価するのが、「かかりつけ薬剤師指導料」の基本的な考え方です。2018年度の改定では、「かかりつけ薬剤師指導料」や「かかりつけ薬剤師包括指導料」が引き上げられました。

  • かかりつけ薬剤師指導料
    73点(1回につき)
     ※改定前:70点
  • かかりつけ薬剤師包括指導料
    280点(1回につき)
     ※改定前:270点

かかりつけ薬剤師指導料は、以下のかかりつけ薬剤師の要件を満たした薬剤師のかかりつけ業務のみに算定が認められます。

かかりつけ薬剤師の要件

  • 薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があり、同一の保険薬局に週32時間以上勤務しているとともに、当該保険薬局に12か月以上在籍していること。
    ※32時間以上勤務する他の保険薬剤師を届け出た保険薬局において、育児・介護休業法で定める期間は週24時間以上かつ週4日以上である場合を含む
  • 薬剤師認定制度認証機構が認証する研修認定制度等の研修認定を取得していること。
  • 医療に係る地域活動の取組に参画していること。

この要件を満たした薬剤師がいない薬局は、かかりつけ薬剤師指導料を算定することはできません。現在、こうした基準を満たすことができる薬剤師が求められてています。今以上にスキルアップに取り組み、「認定薬剤師」の資格を取得するなど、薬剤師としての職能を伸ばしていくことがキャリアの安定につながるでしょう。

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薬局の減算が見込まれる場合も

かかりつけ薬剤師の存在が薬局の運営を支えていく可能性あり

調剤基本料は処方せん受付1回につき算定する、薬局が最も基礎としている点数です。今回の改訂により調剤基本料が6種類に細分化され、「かかりつけ業務」をしていない場合の基本料の減算が設定されました。

改定前
基準調剤加算 (32点)
開局時間 平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週45時間以上開局
備蓄品目1,200品目以上
24時間体制単独の保険薬局又は近隣の保険薬局と連携(連携する薬局数は3以下)
在宅業務
  • 在宅業務の体制整備
  • 在宅の業務実績(1回/年以上)
処方せん受付回数/集中率 処方せん集中率が90%を超える薬局は、後発医薬品の調剤割合が30%以上
その他
  • 麻薬小売業者の免許
  • 定期的な研修実施
  • インターネットを通じた情報収集と周知
    (医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)登録義務)
  • プライバシーに配慮した構造
  • 健康相談又は健康教室を行っている旨の薬局内掲示
  • かかりつけ薬剤師指導料等に係る届出
  • 管理薬剤師の実務経験(薬局勤務経験5年以上、同一の保険薬局に週32時間以上勤務かつ1年以上在籍)
  • 処方せん集中率が90%を超える薬局は、後発医薬品の調剤割合が30%以上
現行
地域支援体制加算 (35点)
開局時間 平日は1日8時間以上、土曜日又は日曜日のいずれかの曜日には一定時間以上開局し、かつ、週45時間以上開局
備蓄品目1,200品目以上
24時間体制単独の保険薬局又は近隣の保険薬局と連携(連携する薬局数は3以下)
在宅業務
  • 在宅業務の体制整備
  • 在宅患者管理の実績(調剤基本料1以外では12回/年以上)
  • 在宅に係る体制の情報提供
処方せん受付回数/集中率 処方せん集中率が80%を超える薬局は、後発医薬品の数量シェアが50%以上
その他
  • 地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績(調剤基本料1を算定している保険薬局については、麻薬小売業者免許・在宅患者管理の実績・かかりつけ薬剤師指導料に係る届出の3つを満たしている場合には適用されない)
  • 麻薬小売業者の免許
  • 定期的な研修実施
  • インターネットを通じた情報収集と周知
    (医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)登録義務)
  • プライバシーに配慮した構造
  • 健康相談又は健康教室を行っている旨の薬局内掲示
  • かかりつけ薬剤師指導料等に係る届出
  • 管理薬剤師の実務経験(薬局勤務経験5年以上、同一の保険薬局に週32時間以上勤務かつ1年以上在籍)
  • 医療安全に資する事例報告、副作用報告体制の整備

2016年の改定では、基準調剤加算が一つに統合されたことで話題を呼びました。しかし、2018年の改定では基準調剤加算そのものが廃止となってしまったのです。代わりに、地域支援体制加算が新設され、従来の基準調剤加算・32点から35点に引き上げられました。一部の要件も見直されて、これまで以上に地域医療に貢献する体制を有することが求められています。
調剤基本料1を算定できない大手チェーンでは、「地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績」として具体的な数値目標が定められたこともポイントです。これらを満たすことは極めてハードルが高く、これまで通りに加算を取ることが難しくなる薬局もあります。結果、利益が大幅に減少し、経営が苦しくなる企業も出てきています。
経営規模の小さい中小チェーンでは、今回の改定による影響は比較的小さいと言われていますが、かかりつけ業務に従事するかかりつけ薬剤師の存在が今後の薬局運営を支えていくという構図は引き続き変わりありません。
薬局側から求められる"これからの薬剤師"は、患者さま本位の業務ができる薬剤師であると言っても良いかもしれません。


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