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  • 公開日:2016.08.30

専門的な知識が求められる精神科専門薬剤師

お薬がケアの中心になる精神科領域では、薬剤師の役割が重要です。患者さまの社会復帰を後押しする精神科専門薬剤師の仕事内容と役割について見てみましょう。

薬物治療の最適化を目指してケアを担当

精神科専門薬剤師は、あらゆる精神疾患に対する豊富な知識を持ち、安全かつ適切な薬物療法が行えるようにサポートします。 医師・看護師などと連携してチーム医療を支え、患者さまの社会復帰を応援する目的があります。

明確なバイオマーカーがない精神科では、効果の出方や副作用に個人差を生じやすく、訴えを丁寧にヒアリングし状態を判断する専門家が必要です。

患者さまの家族にも意見を聞き、ケアの方向性を決めていきます。 他の科目とは違った難しさがありますが、やりがいがある仕事です。 精神的疾患を患った患者さまを薬物治療からサポートしたいと思うなら、チャレンジする価値があります。

精神科薬物療法認定薬剤師とは

精神科専門薬剤師になるには、精神科薬物療法認定薬剤師であることが条件とされています。

精神科薬物療法認定薬剤師とは、下記条件を満たす薬剤師が取得可能な認定です。 どういったものが条件となるのか、確認しておきましょう。

  1. 薬剤師として5年以上の実務経験を有している
  2. 日本病院薬剤師会、もしくは日本薬剤師会などの特定の団体に属している
  3. 指定の団体(日本医療薬学会・日本臨床薬理学会・日本薬学会・日本精神神経学会などのうちいずれかに所属する
  4. 精神科を扱う病院・診療所、または保険薬局で精神科薬物療法に継続して5年以上従事した
  5. 日本病院薬剤師会が認定する講習会、及び指定の団体が主催する講習会などを所定の単位以上履修している
  6. 精神疾患患者に対する指導実績が所定の症例数以上を満たしている
  7. 精神科薬物療法認定薬剤師認定試験に合格している

精神科専門薬剤師として知識を深める

精神科認定薬剤師として一定のキャリアを積んだ後によりステップアップし、精神科専門薬剤師に挑戦します。 精神科専門薬剤師として認定を受けるには、精神科領域での学会発表と専門誌への論文掲載が必要です。

レベルも厳しく規定されていて、日本医療薬学会・日本薬学会・日本薬剤師会学術大会をはじめとする全国レベルの学会のみ認められます。 論文掲載誌は、複数査読制がある学会誌・学術雑誌だけが対象です。

ここまでの条件を満たした上で、病院長や施設長の推薦を受けて試験に合格すると精神科専門薬剤師として認定されます。 認定を受けた後は、精神科薬物治療のプロフェッショナルとして、患者さまのケアに貢献します。 精神科医療全体に関する知見があり、高度なスキルを持った有識者として、院内で一目置かれる存在となるでしょう。

簡単に取得できる資格ではないものの、精神科で長くキャリアを積みたい薬剤師なら、検討する価値があります。

地域と連携して退院後も継続的にサポート

ストレスが多い現代社会において、精神疾患の患者さまは増えています

しかし一方で入院施設は減少傾向にあり、受け入れ体制が不十分な状態です。 一定レベルまで入院ケアを行った後、外来・地域で支えるスタイルになるものと予測されます。

薬剤師も、必要に応じて地域の他の医療機関と連携をとりながら、再発防止に努める必要があるでしょう。 必要な情報を他の医療機関と共有する他、定期的に患者さまを訪問するなどの取り組みが求められます。 医師などに任せきりにするのではなく、ケアに対して積極的に協同していくあり方です。

入院している間だけ元気になったとしても意味がなく、退院後も良好な状態を保てるよう支援してこそケアの真価が発揮されます。 深いカウンセリングマインドを持って接し、日常生活に困らない状態へと導く取り組みが必要です。 精神科専門薬剤師に対する社会的期待と責任を自覚して、志高く患者さまと向き合いましょう。

まとめ〜専門的な知識が求められる精神科専門薬剤師

1.薬物治療の最適化を目指してケアを担当
精神科専門薬剤師は、精神科薬物療法に関する専門家です。 あらゆる精神疾患に対する豊富な知識を持ち、安全かつ適切な薬物療法が行えるようにチーム医療をリードします。 他の科目とは違った難しさがありますが、やりがいがある仕事と言えます。 精神的疾患の患者さまを薬物療法からサポートしたいなら、チャレンジする価値があります。
2.精神科薬物療法認定薬剤師とは
精神科専門薬剤師になるには、精神科薬物療法認定薬剤師であることが条件です。 精神科病院で一定のキャリアと経験を積んだ薬剤師が認定試験に挑戦し、申請することで認定されます。
3.精神科専門薬剤師として知識を深める
認定薬剤師として一定のキャリアを積んだ後に、よりステップアップするため、精神科専門薬剤師に挑戦します。 精神科領域での学会発表・専門誌への論文掲載に加えて、病院長の推薦が必要となるハイレベルな資格です。
4.地域と連携して退院後も継続的にサポート
精神疾患の患者さまは増えているものの入院施設は減少傾向で、受け入れ体制が不十分です。 入院ケアの後に外来・地域で支えるスタイルになるものと予測され、精神科薬物療法に携る薬剤師が地域の医療機関と連携をとり、再発防止に努める必要があるでしょう。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2016/08/30

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