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  • 公開日:2020.10.21

新型コロナウイルス感染症の流行による薬剤師転職への影響とは?

新型コロナウイルス感染症の流行による薬剤師転職への影響とは?

長らく売り手市場といわれ、多様な働き方が認められてきた薬剤師業界。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響で、薬局の売り上げが落ち込み、雇用環境が急激に悪化しています。

パート薬剤師や派遣薬剤師の雇い止めおよび転職求人数の減少など、薬剤師の採用や転職市場においても、今後さらに状況が悪化していく可能性が予想されています。

この記事では、転職を検討中の方やこれから雇用形態の変更を検討している薬剤師の方に向けて、2020年9月末現在の状況について詳しく解説してきます。

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新型コロナウイルス感染症の感染拡大による薬剤師業界への影響

新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、薬剤師をとりまく医療業界は、大きな影響を受けています。薬局は医療機関と同様に、新型コロナウイルス感染症の流行時の開局が求められる施設のひとつですが、患者さまの外出抑制や受診控えの影響により、処方箋枚数は大きく減少しているのが実情です。2020年5月25日に発出された緊急事態宣言が解除されたあとにおいても、感染リスクは完全に排除されておらず、処方箋枚数が回復していない薬局も少なくありません。

患者さまの来院頻度を減らすことを目的として、処方日数の長期化をおこなう医療機関も増えており、薬局にとっては減収の要因となっています。処方日数が増えると処方箋1枚当たりの薬剤費が増加しますが、調剤基本料の算定回数の減少と技術料の頭打ちにより、患者一人当たりの収益は低下。経営に大きな打撃を受けることとなり、薬剤師の雇用を見直す薬局もあらわれつつあるのです。

「パート・派遣」薬剤師の危機?悪化する薬剤師の雇用状況

薬剤師のイメージ

新型コロナウイルス感染症の影響によって経営が悪化する薬局が増えるなかで、薬剤師の雇用にも影響があらわれています。全体的な傾向としては、正社員の雇用はかろうじて守られているものの、パート薬剤師などの非正規雇用の薬剤師については、雇用環境が悪化しているといわれています。具体的には、人件費の圧縮を目的とした勤務日数や勤務時間の削減がおこなわれ、給与水準が低下するケースが増えているのです。

また、パート薬剤師よりも時給の高い派遣薬剤師は、派遣の契約を一方的に打ち切られるなど、さらに厳しい状況におかれています。前述の患者数の減少に加え、「オンライン服薬指導」の解禁によって医療機関から薬局に直接ファックスされる処方箋が増え、患者さまの来局時間が分散することで内部のスタッフだけで対応が可能となったことも、雇用が減少した一因と考えられています。

薬剤師の転職市場はどうなっている?

新型コロナウイルス感染症の影響により、薬剤師の転職市場は大きく冷え込んでいます。勤務時間や日数の融通がききやすいパートや派遣などの求人はとくに減少傾向にありますが、影響はこれらの非正規雇用だけにとどまりません。新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない現時点では、正規雇用においても求人募集を見合わせている薬局は多く、求人は全国的に減少しているのが現状です。

一方で、超高齢化社会をむかえるわが国において、薬剤師に求められる役割は大きく期待されています。薬剤師という職業そのものがなくなることはありませんが、新型コロナウイルス感染症が収束した後も、これまでのような売り手市場での転職は難しいでしょう。今後の薬剤師業界において好条件の求人を獲得していくためには、『選ばれる薬剤師』になっていく必要があるのです。

今後「パート/派遣」という働き方は減る?"選ばれる薬剤師"になるには

薬剤師のイメージ

パートや派遣でも安定した給与を得ることのできる薬剤師は、柔軟な働き方が選択できることが魅力のひとつとして考えられてきました。しかし、現状では、これらの非正規雇用の求人は大きく減少しています。これまで以上に競争が起こると予想されており、今後もパート薬剤師や派遣薬剤師として働いていくためには、薬局から『選ばれる薬剤師』となることが求められています。具体的な条件について、以下にいくつか例をあげていきます。

  • 苦手な診療科がなく、薬歴も手早く記載できる(職場における対応力)
  • 対人業務や在宅業務に積極的である(各種加算の取得)
  • 職場の求める条件に柔軟に応えられる(土日や夕方以降の出勤など)
  • 意欲や向上心が高く、率先して業務に取り組める(人物評価)
  • 今後の薬局業界においても、人手が不足する状況は起こると考えられており、パート薬剤師や派遣薬剤師には、一定の需要が期待されています。生き残っていくためには、服薬指導が的確で薬歴も手早く記載でき、厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」を意識したスキルを持つ薬剤師となることが求められています。スキルを高める努力をおこなうことはもちろん、高い意欲をもち、職場の求める条件に応えられることもポイントです。

    コロナ禍の転職では薬剤師専門の転職コンサルタントを上手に活用しよう

    新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、薬剤師の待遇が今以上に悪化していくことが予想されています。パート薬剤師や派遣薬剤師などの雇い止めにより、正社員登用を希望する薬剤師は急激に増えており、薬剤師が飽和することで転職市場が縮小していく可能性も取り沙汰されています。

    また、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない現時点においては、求人募集に積極的な薬局は決して多くありません。そのため、少ないチャンスでも希望する転職ができるよう、しっかりと転職の準備をしておく必要があります

    感染予防のために対面を避けて、面接を電話やオンラインに制限している薬局も増えています。転職活動を効果的に進めるためにも、コロナ禍における転職ノウハウをもった薬剤師専門の転職コンサルタントを上手に活用するとよいでしょう。

    まとめ

    この記事では、転職を検討中の方やこれから雇用形態の変更を検討している薬剤師の方に向けて、2020年9月現在の状況について詳しく解説していきました。多くの業界が新型コロナウイルス感染症の影響により大きな打撃を受けていますが、薬剤師の業界も決して例外ではありません。

    パート薬剤師や派遣薬剤師においては、薬局の減収により雇い止めを受けたケースも多く、正社員登用を目指す方も増えています。薬剤師の転職市場は刻一刻と変わっているため、正社員として働いている方でも転職の意向があれば、早めに行動する必要があるでしょう。

    ファルマラボ編集部

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    記事掲載日: 2020/10/21

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