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  • 公開日:2019.08.16

『予防医学指導士』とは?薬剤師が取得する意義や取得方法を徹底解説【薬剤師の資格入門】

『予防医学指導士』とは?薬剤師が取得する意義や取得方法を徹底解説【薬剤師の資格入門】

超高齢社会を迎えた日本。国民皆保険制度を維持しつつ、良質な医療を提供し続けるためには、国民医療費の削減が大きな課題となっています。重要なのは、「病気を治すこと」より「病気にならないこと」。予防医学の重要性が高まりつつあるのです。

そこでこの記事では、【予防医学指導士の概要や取得方法】をご紹介。予防医学に対する薬剤師の関わり方を学びましょう。

健康寿命を延ばすために必要な予防医学

予防医学のイメージ

世界でもトップレベルの長寿大国・日本。いま、「健康寿命」と「平均寿命」の差の広がりが問題視されています

健康寿命とは、日常的に治療や介護を受けず、自立した生活ができる期間のこと。厚生労働省『健康日本21(第二次)各目標項目の進捗状況について』によると、健康寿命と平均寿命の差は、【男性9.02年】【女性12.4年】と報告されています。

健康寿命後、平均寿命を迎えるまでは、継続した医療や介護を受ける必要があります。日本人は、脳血管疾患などにかかりやすく、医療費が増大しているなどの問題が。さらに、総人口に占める高齢者の割合も大きくなっているのです。だからこそ、予防医学によって健康寿命を延ばし、医療費を抑制することが求められています。

病気の予防に貢献する『予防医学指導士』とは?

予防医学指導士の資格を持つ薬剤師のイメージ

予防医学について学びたいと思った時に。おすすめなのが、『予防医学指導士』といった資格です。その認定を行い、予防医学の普及に努める予防医学・代替医療振興協会は、『予防医学指導士』について以下のように定めています。

予防医学や代替医療を通し、健康を維持・増進するために必要な知識を学び、広く予防医学の知識を普及させていく、社会貢献度の高い資格です。もちろん、ご自身やご家族の健康増進に役立つ知識を深めることができ、健康管理はもちろん、医療・美容・健康産業に関わるお仕事でも予防医学のスペシャリストとして、幅広く活動することが可能です。

※引用元:予防医学・代替医療振興協会『予防医学指導士資格について』

医薬品の専門家として働く薬剤師でも、予防医学に関する実践レベルの知識を身につけている人はそれほど多くありません。だからこそ、『予防医学指導士』の取得がおすすめです。取得を目指し学ぶ中で、深い知識と技術を身につけられるでしょう。

『予防医学指導士』を取得する2つの方法

資格勉強のイメージ

『予防医学指導士』は調剤報酬で評価されません。しかし、今後のキャリアには役立つものであり、薬局によっては手当が支給されることもあります。資格取得を前向きに検討することをおすすめします。

『予防医学指導士』を認定する団体は2つ。上記で名前の挙がった、予防医学・代替医療振興協会と日本予防医学会です。それぞれ資格の取得方法は異なるため、特徴をご説明します。

予防医学・代替医療振興協会の場合

同協会に入会し、規定の受講費を支払うと、テキスト〔I〕〔II〕〔III〕と試験問題(100問記述式)を手に入れることができます。テキストを読み、レポート形式の試験問題を解答し、協会宛てに送ると合否の審査が。合格後、予防医学指導士資格取得研修会(One day Seminar)を受講すると、「予防医学指導士資格認定証」が交付されます。東洋医学や栄養学を中心に、代替医療に関する知識も習得できることが特徴と言えるでしょう。

▼詳細はコチラ>予防医学・代替医療振興協会『予防医学指導士資格について』

日本予防医学会の場合

一定数以上の単位を取得することで認定が受けられます。まずは、同協会に入会し、年1回開催される予防医学指導士養成研修会の受講、日本予防医学会年次学術総会(総会)や日本予防医学会が開催するセミナーへの参加、さらに雑誌投稿などを行うことで単位を取得していき合計30単位を目指します。単位取得後、認定試験がありますが、薬剤師免許があれば試験は免除です。その後、審査で問題なければ、「予防医学指導士証」が交付されます。

▼詳細はコチラ>予防医学会『予防医学指導士認定制度』

資格を活かしてキャリアアップ

キャリアアップのイメージ

健康意識が高まる中で、薬物療法に加えて運動療法や代替療法を取り入れる患者さまも増えています。『予防医学指導士』の取得に向けて学ぶ内容は、服薬指導やセルフメディケーションに活かせるものも多く、自信をもってアドバイスを行えるようになるでしょう。また、市民講座や健康教室において、健康に関する知識を一般の方に普及することも可能です。

さらに近年は、「かかりつけ薬剤師」や「健康サポート薬局」という枠組みの中で、予防医学の知識が求められるようになっています。『予防医学指導士』を取得することで、薬剤師として幅広く活躍できるようになるかもしれません。

必要性が高まる予防医学の知識。資格取得を検討してみては

【予防医学指導士の概要や取得方法】などをご紹介しました。超高齢社会を迎えた日本では、予防医学の必要性が高まりつつあります。もし、国民全体が予防医学に取り組めば、シニア世代の活躍や介護の負担軽減など社会に好影響をもたらすでしょう。

患者さまにとって身近な医療の専門家である薬剤師だからこそ、予防医学の知識を身につけることに大きなメリットがあります。キャリアアップにもつながる『予防医学指導士』、ぜひ資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2019/08/16

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