キャリア&スキルアップ
  • 公開日:2021.10.25

【薬剤師向け】2021年8月施行「改正薬機法」まとめ!ポイントを解説

【薬剤師向け】2021年8月施行「改正薬機法」まとめ!ポイントを解説

2020年9月1日に「改正医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「改正薬機法」)」の一部が施行され、オンライン服薬指導の解禁や薬局の定義の見直しが行われました。

2021年8月1日には、第2弾として認定薬局制度の開始や添付文書の電子化などに関する法令が施行されています。薬剤師が日々の業務に直接関係する内容は限られますが、改正の趣旨や内容について知っておくことは重要です。

この記事では、改正薬機法によって2021年8月1日に施行された項目のなかで、薬局に関係するものをまとめました。

最新の医療動向や対処方法などを学べる環境で働いてみませんか? 教育制度充実の求人特集

改正の趣旨について

改正薬機法は、2019年11月27日の参院本会議によって法案が成立し、同年12月4日に公布されました。厚生労働省が公表した資料によると、改正の趣旨として、以下の内容が示されています。

国民のニーズに応える優れた医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供するとともに、住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができる環境を整備するため、制度の見直しを行う。

超高齢社会の到来による医療需要の増加や医療技術の高度化により、国民の医薬品や医療機器に対する期待は日々高まり続けています。

これらを安全・迅速・効率的に提供し、患者さまが安心して医薬品や医療機器を使用するためには、開発から市販後までの制度改善や薬剤師・薬局のあり方の見直し、信頼確保のための法令遵守体制等の整備が必要です。そのための法整備の一環として今回の薬機法改正が行われました。

改正薬機法①認定薬局制度の開始

改正薬機法①認定薬局制度の開始

地域包括ケアシステムの構築が進むなかで、医師や看護師、薬剤師などの医療従事者や医療機関、薬局が連携し、患者さまに対して一元的かつ継続的な薬物療法を提供していくことがますます求められています。

患者さまが住み慣れた地域で、安心して高度な薬物療法を受けられる環境を整備するために、2021年8月1日より、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」という2つの新しい機能別薬局の認定制度が誕生しました

「地域連携薬局」は、患者さまが⼊退院する際や在宅医療を行う際などに、近隣の医療機関やほかの薬局と情報連携を行える薬局を指します

一方で「専門医療機関連携薬局」は、がんなどの専⾨的な薬学管理が必要な患者さまに対して、近隣の医療機関や薬局と連携しながら、専門的かつより高度な薬学管理や調剤に対応できる薬局です

それぞれの薬局に求められる役割や特徴が明確になるため、患者さま⾃⾝で適した薬局を選択できるようになるとの期待が寄せられています。

おさえておくべきポイント

  • 認定薬局には「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の2つがある

  • 患者さまから選ばれる薬局や薬剤師になることがこれまで以上に求められる

  • 在宅医療への参加や医療機関との連携など、地域包括ケアをより一層推進していく流れに変化している
  • 改正薬機法②添付文書の電子化

    2021年8月1日より、これまで医薬品などの製品と一緒に同梱されていた紙の添付文書は原則として廃止され、電子的な方法で閲覧することが基本となりました

    医薬品などが入っている箱につけられた符号(バーコードまたは二次元コード)を、添付文書閲覧アプリ「添文ナビ」などを使って読み取ります。その情報をもとにインターネットを経由して最新の添付文書にアクセスすることで、常に最新の情報を入手が可能です。

    医療用医薬品では、電子化された添付文書、患者さま向け医薬品ガイド、ワクチン接種を受ける人へのガイド、インタビューフォーム、医薬品リスク管理計画(RMP)、RMP資材、改訂指示反映履歴および根拠症例、審査報告書、再審査報告書、最適使用推進ガイドラインなどが関連文書として表示されます。

    製造販売業者は、2021年8月1日までに製品の容器や被包に符号(バーコードまたは二次元コード)を記載する必要がありましたが、2023年7月31日までに製造販売された製品については、経過措置により添付文書の同梱が認められています。

    なお、一般用(OTC)医薬品など消費者が直接購入する製品については、使用する際に添付文書情報の内容をすぐに確認できる状態にしておく必要があるため、引き続き紙の添付文書が同梱されます

    おさえておくべきポイント

  • バーコードまたは二次元コードをスマートフォンなどのアプリで読み込むことで、添付文書や関連文書が表示される

  • 2023年7月31日までに製造販売された製品については、経過措置により紙の添付文書が引き続き使用される場合もある

  • 一般用(OTC)医薬品については、現行のまま紙の添付文書を同梱する
  • 改正薬機法③ガバナンスの強化

    改正薬機法③ガバナンスの強化

    無資格調剤や薬歴未記載問題など、相次ぐ薬機法違反に対する防止措置として、法令順守に関する体制の整備である「ガバナンスの強化」が義務づけられました

    薬局に関する内容としては、薬局開設者の法令遵守に責任を有する者を明確にするため、薬事に関する業務に責任を有する役員(責任役員)が法律上位置づけられたことがあげられます。

    そのほか、薬局開設者の法令遵守体制として薬局の管理者が有する権限を明らかにすること、業務の遂行が法令に適合することを確保するための体制の整備などもおさえておきましょう。

    おさえておくべきポイント

  • 相次ぐ薬機法違反に対する防止措置路して、ガバナンスの強化が求められた

  • 薬事に関する業務に責任を有する役員(責任役員)の明確化や薬局の管理者が有する権限が明らかに

  • 薬局開設者や管理者でなくとも、適切な店舗運営のために把握しておくことが重要
  • 最新の動向をチェックしておきましょう

    この記事では、改正薬機法によって2021年8月1日に施行された項目のなかで、薬局に関係するものについて解説しました。

    認定薬局制度の開始や添付文書の電子化は、病院や薬局で働く薬剤師に対して大きな影響を与える内容です。ガバナンス強化についても、開設者や管理薬剤師が中心となる内容ではありますが、無関係と考えず内容についてはしっかりと理解しておきましょう。

    段階的に施行がすすめられる改正薬機法ですが、2022年12月1日にはトレーサビリティ向上のため、医薬品等の包装等へのバーコード等の表示の義務づけが予定されています。引き続き、今後の動向に注目していきましょう。

    執筆者:ヤス(薬剤師ライター)

    新卒時に製薬会社にMRとして入社し、循環器や精神科からオンコロジーまで、多領域の製品を扱う。

    現在は患者さまと直に接するために調剤薬局チェーンに勤務しながら、後進の育成のために医薬品のコラムや医療論文の翻訳など、多方面で活躍中。

    記事掲載日: 2021/10/25

    あわせて読まれている記事