服薬指導に活かす医薬品情報

グリチロン配合錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

抗アレルギー作用、ホスホリパーゼA2活性阻害作用等の抗炎症作用と共に、免疫調節作用、ウイルス増殖抑制・不活化作用等を有します。 適応症は、慢性肝疾患における肝機能異常の改善と、湿疹・皮膚炎、小児ストロフルス、円形脱毛症、口内炎です。 肝庇護療法としての服用目的は、肝炎の進行を抑えて今以上に肝細胞が破壊されないようにするためです。長年肝細胞が破壊され続け、それと入れ替わるように線維化した細胞が増えることで肝臓は硬くなり再生能力や機能を損ないます。これが肝硬変の原因で、やがて肝がんへと進行します。本剤はB型やC型肝炎治療では、IFN治療無効例や副作用が原因でIFNが使用できない方、肝硬変の方、高齢の方などに処方されます。

Q

投与禁忌について

A

低K血症、高血圧などを悪化させる恐れがあるため、アルドステロン症やミオパシー、低K血症のある患者さまには禁忌です。また、含有成分のDLメチオニンの代謝物が尿素合成を抑制してアンモニア処理能を低下させる恐れがあるので、血清アンモニウム値の上昇傾向にある末期肝硬変症の患者さまには禁忌です。

Q

副作用について

A

重大な副作用として偽アルドステロン症(低K血症を伴う高血圧症)があります。甘草は極めて多くの漢方製剤に含まれ、またOTC薬(感冒薬、解熱鎮痛薬、健胃薬、総合胃腸薬、鎮咳去痰薬、ビタミン含有保健薬、婦人用薬など)やチョコレートなどにもグリチルリチンや甘草エキスを含むものが多くあります。甘草との併用は偽アルドステロン症が現れやすくなるので、OTC薬や嗜好品も含め丁寧に聞き取りましょう。初期症状は手足のしびれ、つっぱり、こわばりなどで、これらに加えて脱力感やこむら返り・麻痺・頭痛・顔や手足のむくみ・筋肉痛が現れ徐々にきつくなります。低K血症の進行に伴い、筋脱力による転倒、致死性不整脈や横紋筋融解症に至ることがあります。早期発見のために血圧を自己測定してもらうのも良いでしょう。低K血症によるインスリン分泌不全により糖尿病が悪化することもあります。主な副作用は、血清カリウム値の低下、血圧上昇、腹痛等です。

Q

併用薬の確認

A

高血圧や心不全の治療でチアジド系やループ利尿剤を服用していたり、糖尿病治療のためにインスリンを使用していると、低K血症が生じやすく重篤化しやすいので併用時には注意を促します。 ヒドロコルチゾンやプレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイド、甲状腺ホルモン薬も低K血症を惹起するので注意が必要です。 本剤の低K血症がモキシフロキサシン塩酸塩(商品名:アベロックス)の心室性頻脈・QT延長を誘発する恐れがあります。

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派遣薬剤師のススメP
掲載日: 2018/03/05
※医薬品情報は掲載日時点の情報となります