服薬指導に活かす医薬品情報

ジクトルテープ

Q

何のお薬?処方目的は?

A

効能・効果は「各種がんにおける鎮痛」、「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」です。

がん患者は、がんまたは治療薬の副作用による悪心・嘔吐や嚥下困難といった理由から経口剤での治療が困難になることがあります。本剤は世界で初めて承認されたNSAIDsの経皮吸収型持続性がん疼痛治療薬であり、腰椎症などにおける消炎・鎮痛の効能を有する外用剤として本邦初の全身性NSAIDs製剤です。


Q

用法・用量・薬物動態は?

A

がんにおける鎮痛に使用する場合は1日1回2枚を貼付し、24時間毎に貼り替えます。症状や状態により1日3枚まで増量可能です。それ以外の鎮痛・消炎に用いる場合は1日1回1~2枚を貼付しますが、1日3枚への増量は認められていません。いずれも貼付部位は胸部、腹部、上腕部、背部、腰部又は大腿部です。

本剤を1日3枚(225mg)反復貼付したときのAUCは、ジクロフェナクナトリウム錠100mgを反復経口投与したときのAUCと同程度と推測されていますので、換算すると本剤1枚はジクロフェナクナトリウム錠33mg程度に相当します。経皮吸収型製剤であることから、本剤の投与に関しては食事の影響を考慮する必要はありません。投与部位として指定されている6部位のいずれにおいても、推定薬物吸収率に大きな差はなかったとされています



ジクトルテープは「湿布薬」か?

医薬品給付の適正化の観点から、現在湿布薬は1処方あたり63枚までという投与制限が課せられています。本剤もジクロフェナクナトリウムテープと同様に63枚を超える処方は出来ないのでしょうか?

ジクトルテープは薬効分類上では『解熱鎮痛消炎剤』に分類され、ジクロフェナクナトリウム錠と同じ分類です。一方ジクロフェナクナトリウムテープは『鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤』に分類されます。この観点から、ジクトルテープはいわゆる「湿布薬」には該当せず、処方枚数制限に該当しないという解釈が為されています。なお、本件は質疑応答システムNo.2344でも触れていますので、参照ください。


Q

従来のNSAIDs貼付製剤との違いは?

A

従来品のジクロフェナクナトリウムテープとは薬効成分は同じであるものの、その含量や添加物が異なります。また、本剤の製造元である久光製薬のホームページでは「経皮薬物送達システム技術を駆使し、従来の局所作用型の貼付剤とは異なる全身作用型の貼付剤として開発した」と説明されています。従って、単純にジクロフェナクナトリウムテープ15mgを5枚貼付しても、ジクトルテープ75mgを1枚貼付したときと薬理作用は同等ではないことが推測されます。

また、近年発売された経皮吸収型NSAIDs製剤としてロコアテープがあります。こちらも薬効成分のフルルビプロフェンの吸収率を高めることを目的に開発された製剤ですが、あくまで標的組織への吸収性上昇が目的であり、局所作用型の貼付剤として開発されています。従って、全身作用を期待しての貼付は適応外使用となる点が大きく異なります。つまり、腰痛に使用するにあたり、ジクトルテープは胸部や腹部に貼付しても構いませんが、ロコアテープは患部以外への貼付は認められません。かぶれなどの皮膚障害が生じた場合には薬剤によって対処方法が変わる、という点に注意が必要です。



掲載日: 2023/02/27
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