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  • 公開日:2023.05.30

【現役薬剤師に聞いた】病院薬剤師の転職。業種ごとのメリット・デメリットを解説

【現役薬剤師に聞いた】病院薬剤師の転職。業種ごとのメリット・デメリットを解説

「憧れの病院で薬剤師になったけれど、なんだか自分には合わない...」そんな悩みから転職を考える方もいるでしょう。しかし一言で病院薬剤師の転職といっても大病院から中小の病院、調剤やドラッグストアなど転職先はさまざまです。

この記事では、病院薬剤師の転職理由や、ほかの病院や調剤薬局、ドラッグストアに転職するときのメリット・デメリットについて詳しく紹介します。

「環境を変えたい」「薬局で働きたい」などとお考えの病院薬剤師の方は、ぜひ参考にしてください。

現役薬剤師に聞いた、病院薬剤師が転職する理由とは?

病院薬剤師が転職する理由には、大きく分けて以下の4つがあげられます。

1.給与や休日などの労働条件
2.人間関係や忙しさなどの労働環境
3.やりたい仕事ができない
4.ライフスタイルの変化

以下では、現役薬剤師に聞いた転職理由について解説します。

労働条件を改善するために転職する

病院は残業が多かったり月に数回は夜勤に入らなければならなかったりすることから、休日が少ないと感じている薬剤師は多いようです。またその労働条件に対して給料が見合っていないと感じ、転職を考える場合もあります。

労働環境を変えるために転職する

現場の薬剤師からは、「人手不足から十分な教育体制をとってもらえなかった」という声も。また、病院薬局内のスタッフとの人間関係に悩んでいる場合や、環境を変えて新たなキャリア構築をするために転職する薬剤師も少なくありません。

やりたい仕事を実現するために転職する

病院によっては、薬剤師の業務をする部署を自由に決められない場合もあります。たとえば大学病院に勤務した薬剤師の場合、希望していない治験担当の部署に配属されたことで日常的な処方に触れる機会が減ってしまい転職を考えたという事例もありました。ほかにも、スキルアップを考えて資格が取りやすい職場・学びたい分野により多く触れられる職場へ、転職を考える薬剤師も多くいます。

ライフスタイルの変化に合った職場に転職する

女性は結婚や出産といった節目で、家庭との両立がしやすい勤務先へと転職する方も少なくありません。働きながら子どもを預けられる「院内保育所」がある病院への転職や、親の介護などで休みが取りやすく残業が少ない病院・薬局に転職する場合もあります。

病院薬剤師の転職におけるメリット・デメリット【業種別】

病院薬剤師の転職におけるメリット・デメリット【業種別】

では、病院薬剤師が病院・薬局・ドラッグストアへ転職するメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

大病院から中小病院への転職

同じ病院という業態でも、その規模を変えることで働き方も変化させることができます。今回は、大学病院など大病院に勤める薬剤師が、中小病院へ転職するメリット・デメリットについて考えていきます。まず、メリットは以下の点があげられます。

■チーム医療に貢献し、やりがいを実感できる

中小病院では、調剤業務から病棟業務まで担当する傾向にあるため、業務内容の幅が広がることで活躍できる場面も増えるでしょう。医師や看護師との距離感も近く、チーム医療の一員として患者さまの治療に貢献できます。

また、中小病院は地域に密着した医療機関であることが多く、近隣の調剤薬局や多職種との連携が求められます。そのため、地域とのつながりを深めることができます。

■ワークライフバランスを取りやすい

病床数が20床以下の場合は夜勤がないことも多く、夜間労働などの負担がありません。定時で帰宅できる病院もあるため、ライフスタイルを合わせやすいメリットもあります。また、大病院と比較して、中小病院の方が残業の融通も利きやすい傾向があるようです。

ただし、中小病院への転職は、以下のようなデメリットもあります。

■診療科目が少ない

大学病院などの大病院の場合、診療科目は一般的なものから専門的なものまで、たくさんの種類があります。希少な疾患や難治性の症例を目にすることもあるでしょう。しかし、中小病院になるとたくさんの診療科目を掲げている病院は多くありません。大病院はさまざまな診療科の処方を見られますが、中小病院では一部の診療科の処方に限定される可能性があります

■薬剤師の人数が少ない

中小病院は大病院に比べて薬剤師の人数が少ないのも特徴です。各部署で分業制になっており、それぞれの部署で人員を配置しています。しかし、中小病院では薬剤師一人ひとりが調剤業務や病棟業務、DI業務など多岐にわたって仕事をしなければなりません。業務範囲が広い分、幅広い知識と対応力が必要となるでしょう。

病院から調剤薬局への転職

病院から調剤薬局へ転職した場合は、収入や働き方などを大きく変えることが可能です。病院から調剤薬局へ転職するメリットを見てみましょう。

■患者さまとの距離が近い

調剤薬局は、患者さまに直接関わることが多いため、近い距離感で服薬指導ができます。そのため「患者さまとたくさん話せて楽しい」と思う薬剤師も多く、調剤薬局での仕事にやりがいを感じやすいです。

■日曜日・祝日などが休みであることが多い

一般的な調剤薬局は、日曜日や祝日などが休みであるケースが多いです。365日入院患者さまがいる病院とは違い、外来診療をやっている病院やクリニックのほとんどは、日曜日や祝日の診療を休診しています。そのため、調剤薬局では、GWや年末年始など大型の連休を取りやすいメリットがあります

■年収は病院よりも高い

病院薬剤師の平均年収は538万円、対して調剤薬局に勤務する薬剤師の平均年収は588万円です。病院薬剤師から調剤薬局へ転職すると、多くの薬剤師は年収が上がり、仕事に対するモチベーションも上がるでしょう。

一方で、調剤薬局へ転職した場合は以下のようなデメリットがあります。

■医師のカルテを閲覧できない

病院薬剤師が調剤薬局へ転職した場合にギャップを感じるのは、カルテを閲覧できないことです。一般的に処方箋には、病名や検査値などは記載されていません(大学病院の処方箋などを除く)。そのため、調剤薬局で服薬指導をするときは、処方箋に書かれた薬品名と患者さまとの会話から処方意図を推測する必要があります

■注射薬や抗がん剤などを取り扱う機会が減る

調剤薬局では注射薬や抗がん剤調製の取り扱いがほとんどありません。内服だけでなく注射剤の知識も知っておきたい薬剤師には物足りなく感じる場合もあるでしょう。ただし、在宅をメインで行う調剤薬局の場合は、無菌製剤室やクリーンベンチを設置しているところも一部あり、限定的な処方の高カロリー輸液や麻薬の混注などは行える場合もあります。

病院からドラッグストアへの転職

ドラッグストアはOTC医薬品やサプリメント、介護用品、化粧品など多くを取り扱います。近年は、調剤併設型のドラッグストアも増えており、患者さまのニーズに合わせて臨機応変に対応できる能力が求められています。

病院からドラッグストアに転職するメリットとして以下のものがあります。

■OTC医薬品やサプリメントなど幅広い知識が身につく

医療用医薬品の知識は基礎的なもの。これらに加えて、OTC医薬品やサプリメントなどの知識も豊富にあると、より深く相談に乗れたりアドバイスができたりします。扱う商品が多いことから、仕事と知識の幅が広がるため、ドラッグストアで得られる経験は薬剤師としてこれらからの大きな武器になるでしょう。

■マネジメント力や顧客対応力がアップする

ドラッグストアは薬剤師以外のスタッフ(登録販売者や化粧品部門、アルバイトなど)と関わることが多いです。同じ職場で働くさまざまなスタッフとの連携を取ることは、コミュニケーション能力の醸成に繋がるでしょう。また、患者さまからの要望に臨機応変に対応する場面も少なくありません。そのため、顧客対応力が自然と身についてくるのです。

■年収が高く、福利厚生が良い

ドラッグストアに勤務すると、一般的に年収は高くなります。その理由は、ドラッグストアは診療報酬に依存した経営ではないからです。また、ドラッグストアは大企業が経営している場合が多いため、福利厚生が手厚いのは大きなメリットでしょう。

一方で、ドラッグストアに転職した場合のデメリットもいくつかあります。

■薬学的な知識以外にビジネス的な視点が必要

ドラッグストアは、売り上げや顧客数など会社の業績を考えながら業務を行うことが大切です。そのため、ビジネス的な視点で物事を考える力が必要になります。顧客のニーズを察知しながらも、会社の利益を上げられるような取り組みが求められるでしょう。

■レジ打ちや品出しなどの業務がある

ドラッグストアの業務は、患者さまの健康相談や服薬指導だけではありません。商品の品出しやレジ打ちなど細かい雑務はたくさんあります。薬剤師の資格がなくてもできる業務が多いので、最初はやりがいを感じられない可能性もあるでしょう。

業種転換の際は、情報収集や条件整理のために転職コンサルタントを活用しよう

転職コンサルタントの活用でミスマッチのない転職をしましょう!

病院薬剤師が規模の違う病院や調剤薬局、ドラッグストアへ転職するときのメリット・デメリットについてお伝えしました。病院薬剤師は、ライフスタイルの変化やスキルアップのために転職する場合が多いようです。

転職する際に注意するべきポイントは、「自分が何を重視するか」を明確にすること。給与や休みなどの待遇面なのか、患者さまともっと身近に接したいのかなどによって転職先が変わっていきます。

転職を考えるときは転職コンサルタントなどに相談して情報収集をしたり、客観的なアドバイスを貰ったりするとよいでしょう。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2023/05/30

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