誤嚥性肺炎に適応外処方として使用されることがある薬はどれでしょうか?

Q

誤嚥性肺炎に適応外処方として使用されることがある薬はどれでしょうか?

    それぞれの投与間隔は下記のとおりです。

    ・プラリア皮下注:半年に1回
    ・イベニティ皮下注:月に1回
    ・ボンビバ静注:月に1回
    ・テリボン皮下注用:週に1回

    食べ物を飲み込んだり、咳が出たりするように働きかける神経伝達物質としてサブスタンスPがあります。この物質が低下すると嚥下や咳の反射が鈍くなり、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。

    とくに、脳梗塞やパーキンソン病の患者はこの物質が低下しやすいので注意が必要です。シロスタゾールは、抗血小板作用と脳血管拡張作用により脳梗塞を予防して、さらにサブスタンスPの産生を増加させることで誤嚥性肺炎を予防します。

    ただし、うっ血性心不全のある患者には禁忌であり、消化管出血や動悸といった副作用に注意する必要があります。

    ACE阻害薬、アマンタジン塩酸塩、半夏厚朴湯でもサブスタンスPを介した誤嚥性肺炎の予防を期待して、適応外で使用されることがあります。ACE阻害薬には、空咳の副作用がありますが、生活に支障がない限り継続するべきでしょう。

    アマンタジン塩酸塩は腎機能に応じた用量調節が必要であり、透析患者では禁忌です。添付文書に用量調節の記載はないので、日本腎臓病薬物療法学会の「腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧」を参考にすると良いでしょう。

    処方監査・服薬指導のPOINT

    例として、(1)ほかの抗血栓薬からシロスタゾールに処方が変更された(2)ARB阻害薬からACE阻害薬に処方が変更された(3)パーキンソン病のない患者にアマンタジン塩酸塩が処方された場合、誤嚥性肺炎の予防を意図して処方した可能性がある。

    患者に誤嚥性肺炎の予防として処方されたのか確認してみると良い。一方で、抗コリン薬が処方されている場合、口渇等により肺炎リスクを高める恐れがあるので、患者の状態によっては減薬を提案してみてもいいでしょう。

    濱本 幸広(はまもと・ゆきひろ)さん
    京都薬科大学卒、薬剤師。
    調剤併設ドラッグストア、調剤薬局、派遣薬剤師など、数多くの経験をしながら処方鑑査の腕を磨く。
    2022年10月、4分類法を活用した処方鑑査の指南書『達人の処方鑑査術』を出版、好評発売中。
    ▼運営サイト
    https://kusuri-shidousen.com
    掲載日: 2024/06/07
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

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