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  • 公開日:2021.12.01

【薬剤師必見】小児の服薬指導でおさえておくべきポイントは?

【薬剤師必見】小児の服薬指導でおさえておくべきポイントは?

小児は成人になるまでに様々な身体的および生理的変化が起こり、発達段階においては薬物動態の個人差も大きいため、薬を使用する際は細心の注意を払わなくてはなりません。加えて小児の年齢によっては自身の状態を正確に把握したり言語化したりすることが難しいため、対面した際の様子や保護者への聞き取りから薬物治療の効果が出ているか判断しなければならない場面もあるでしょう。

そのため、小児への服薬指導に不安をかかえる薬剤師も多いのではないでしょうか。

この記事では、小児の服薬指導でおさえておくべき点や確認すべき点、小児の健康を守るために薬剤師にできることについて解説していきます。

小児の服薬指導でおさえておくべき点

小児の服薬指導でおさえておくべき点

成人に対する服薬指導とは異なり、小児に対する服薬指導では様々な点に注意が必要です。ここでは、薬剤師がおさえておくべき点について解説していきます。

効果や副作用が強く出過ぎたり、あらわれにくくなったりする場合がある

薬は、胃や腸などの消化管から体内に吸収されて、肝臓や腎臓などの臓器で代謝・排泄が行われます。小児は成人と比べ消化管や臓器が未成熟であるため、効果や副作用が成人よりも強くあらわれる場合や、反対に効果があらわれにくくなる場合があります。

用法・用量が年齢や体重に対して適切か、副作用が出ていないかについても確認しましょう。

薬物アレルギーなどが起きる可能性がある

人体には体内に入ってきた異物を攻撃して排除する「免疫」が備わっています。「免疫」が過剰に働き、自分の体を傷つけてしまうことを「アレルギー反応」といいます

アレルギーは、数時間以内に起こる場合と、半日以上経ってから起こる場合があり、数分から数時間以内に起こる「アナフィラキシーショック」は血圧低下や失神を起こすことがあるのでとくに注意が必要です

小児は身体に不調が起きても、それを正確に伝えるのが難しいことも多く、副作用で起こる症状をあらかじめ確認しておき、薬を飲ませたあとはしばらく様子をみるよう指導しましょう。

薬の飲ませ方や雰囲気づくりに工夫が必要

小児はすんなりと薬を飲んでくれないことも多く、飲みたくなるような工夫を行うことが大切です。

どうしても服薬を嫌がるときには、ジュースやアイスに混ぜたり、オブラートを使ったりするとすんなりと飲んでくれることがあります。ただし、飲み合わせが悪い食品もあるため薬ごとに確認しておきましょう。

また、ミルクや離乳食などの主食に混ぜると、薬ごとそれらを嫌いになってしまう可能性があるため避けるのがベターです。薬が飲めたら「ちゃんとお薬飲めたね」と褒めてあげるなど、進んで薬が飲みたくなる雰囲気づくりも重要です

服薬指導は保護者に向けて実施する

小児は自分で服薬管理をするのが難しいため、服薬指導は保護者に向けて行います。

「お子さんが今どのような状態なのか」「なぜこの薬を飲まなくてはならないのか」などを丁寧に説明し、保護者に理解、納得してもらったうえで服用してもらうよう意識しましょう。

また、2歳ぐらいになると、だんだんと言葉がわかるようになるため、保護者を中心に服薬指導をしつつ、お子さんに対してほめたり励ましたりすることも必要です

小児の服薬指導を実施する際に確認すべきこと

小児の服薬指導を実施する際に確認すべきこと

小児の服薬指導を実施する際には、どのようなことを確認すべきなのでしょうか。服薬指導時のポイントや注意点について、解説していきます。

これまで適切に薬が飲めていたかの確認

おくすり手帳や薬歴を確認して、過去に薬物治療を行ったことがある場合には、適切に薬が飲めていたかどうかについて確認します。嫌がって飲めなかった場合や吐いてしまった場合には、さらにくわしく成分や剤形などの情報を聞き取りましょう。

また、薬を水で飲ませたか、ジュースやアイスに混ぜたかなど、飲ませ方についても保護者に確認します。そのうえで今回の処方薬で同様の問題が起こりそうな場合は、剤形の変更や飲ませ方の工夫などを検討しましょう

薬の保管方法の確認

小児が薬を誤飲してしまうケースも少なくありません。薬の保管方法や場所に問題がないかの確認も忘れずに行いましょう。小児は手に取ったものをすぐ口に入れてしまったり、甘いシロップ剤やチュアブル錠をお菓子と間違えて飲んでしまったりすることがよくあります。

小児の手や目の届かない高い場所や、鍵付きの棚で保管するように指導します。また、服用する直前に用意して、服用後はすぐに片付けるよう指導することも重要です

薬を飲ませる可能性がある人についての確認

小児の薬物治療では、薬局を訪れた保護者が服薬管理を行うのが一般的ですが、通っている保育園や幼稚園のスタッフ、同居する祖父母など、直接服薬指導を受けていない方が薬を扱う可能性もあります。

そのため、ほかに治療に携わる人がいないかどうかもあわせて確認しましょう。説明の内容や服用薬の情報を書面にするなどの対策も有効です。

小児の健康を守るために、薬剤師にできること

小児の健康を守るために、薬剤師にできること

薬物治療の専門家である薬剤師が小児の健康を守るためには、どのようなことが必要でしょうか。いくつか例をあげながら解説していきます。

保護者の精神的なサポートを行う

小児の服薬指導では、薬に対する知識をもつだけでなく、保護者に寄り添う視点も重要です。薬を飲ませるときに保護者が心配そうな表情や仕草をしたり、必死になって怖い顔をしたりすると、小児が不安を感じて薬を飲まなくなることもあります。

とくに初めて薬を飲ませるときや、服薬がうまくいかなくて困っているなど、不安をかかえる保護者には精神面でのサポートが必要です。

かかりつけ薬剤師としての活躍

薬の効果には個人差があり、とくに小児ではその差が顕著にあらわれます。そのため、服薬状況を一元的かつ継続的に管理できるかかりつけ薬剤師の活躍が期待されています。次回の服薬指導の際に、「こうしたら飲めた」などのフィードバックを受けて、別の小児への服薬指導に活かすことも重要な役割の一つです。

処方医へのフィードバックや処方提案

性格や嗜好はそれぞれの小児ごとに異なるため、同じ薬であってもすべての小児が同じように服用できるとは限りません。うまく服用できない場合には服用方法を工夫するだけでなく、状況を処方医へフィードバックすることも必要です。

状況に応じて、違う種類の薬剤や異なる剤形(坐薬や貼付剤など)への処方変更を提案する場合もあります。

小児への薬物治療に関する資格の取得

小児の薬物治療を行う際は、成人との違いなど専門的な知識が必要となります。日々の業務や勉強会で知識を身につけることに加えて、「小児薬物療法認定薬剤師」の資格を取得することもおすすめです。

「小児薬物療法認定薬剤師」とは、小児とその保護者などに対して、適切な助言および行動ができる薬剤師の養成を目的とした資格です。小児科の領域で医薬品に携わる専門的な立場から、医療チームの一員として小児薬物療法に参画するための能力や適性を備えている証となります。

ポイントをおさえ、小児に安心、安全な薬物治療の提供を

小児に薬を服用してもらうためには、身近な薬物治療の専門家である薬剤師のサポートが欠かせません。

しかし、小児に対する服薬指導では様々な点に注意しなければならいため、薬剤師のなかには苦手意識をもっている方も多くいるでしょう。自信を持って服薬指導ができるように、日々の学習、資格の取得など専門的な知識を身につけることが重要です。

執筆者:ヤス(薬剤師ライター)

新卒時に製薬会社にMRとして入社し、循環器や精神科からオンコロジーまで、多領域の製品を扱う。

現在は患者さまと直に接するために調剤薬局チェーンに勤務しながら、後進の育成のために医薬品のコラムや医療論文の翻訳など、多方面で活躍中。

記事掲載日: 2021/12/01

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