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  • 公開日:2024.01.18

インフルエンザ吸入薬「イナビル」「リレンザ」の服薬指導方法は?注意点も解説

インフルエンザ吸入薬「イナビル」「リレンザ」の服薬指導方法は?注意点も解説

インフルエンザの薬は、内服薬のタミフルのほかに、吸入薬のイナビルとリレンザも多く処方されます。インフルエンザの吸入薬の使い方は独特であり、吸入方法に不安を感じる患者さまも多くいらっしゃいます。一度使った経験がある方でも、使用方法を忘れてしまうことは珍しくありません。

この記事では、薬剤師として正しく吸入の服薬指導ができるよう、イナビルとリレンザの薬の知識や服薬指導のポイントについてお伝えしていきます。

インフルエンザの治療と吸入薬

インフルエンザの治療と吸入薬

インフルエンザの治療には主に以下のような薬が使用されますが、そのなかでも吸入薬はリレンザとイナビルの2種類のみです。

  • タミフル(オセルタミビルリン酸塩):内服薬
  • ゾフルーザ(バロキサビルマルボキシル):内服薬
  • リレンザ(ザナミビル水和物):吸入薬
  • イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物):吸入薬
  • ラピアクタ(ペラミビル水和物):点滴薬
  • また、これらの抗インフルエンザ薬はウイルスの増殖を抑制する薬であるため、原則としてインフルエンザ発症後から48時間以内に使用します。48時間以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できないため注意が必要です。

    イナビルの服薬指導

    ここでは、イナビルの具体的な吸入方法や、服薬指導時に患者さまに伝えるべきポイントについてご説明します。

    イナビルの使い方

    用法・用量

    イナビルの用法・用量は、治療または予防といった使用目的や、成人または小児といった患者さまの年齢によっても異なります。

    <治療に用いる場合(成人/小児)>

    成人

    ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。


    小児

    10歳以上

    10歳未満

    ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する。

    <予防に用いる場合(成人/小児)>

    成人

    ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。また、

    20mgを1日1回、2日間吸入投与することも可能。



    小児

    10歳以上

    10歳未満

    ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する。

    引用:イナビル 添付文書|pmda


    また予防として用いる場合でも、インフルエンザウイルス感染症患者に接触してから48時間以内に投与を開始する必要があります。

    使用方法

    イナビルイラスト

    イナビルの吸入器は、吸入器の記載に従い、薬剤トレー「1」「2」をスライドさせて吸入する仕様です。1容器につき2度吸入します。

    <イナビルの使用手順>

    1. 1.服用するタイミングで、アルミ袋から吸入容器を取り出す
    2. 2.吸入器をもち、軽くトントンと叩いて容器内の薬を下に集める
    3. 3.薬剤トレー「1」を押し、端までしっかりとスライドさせる
    4. 4.吸入器の口を加えて大きく息を吸い込む
    5. 5.2~3秒息を止めたら、吸入口に息を吹きかけないようにゆっくり息を吐く
    6. 6.薬剤トレー「2」を押し、「1」のときの手順と同様に吸入する
    7. 7.薬剤トレー「1」を押し、スライドさせて、元の状態に戻す
    8. 8.薬の吸い残しを少なくするために、2~7を再度繰り返す

    9. 引用:イナビル吸入方法|インフルニュース 第一三共株式会社

    イナビルの吸入時のポイント

    イナビルの吸入時には、とくに以下のポイントに注意しましょう。

  • 吸入器の底にある空気孔をふさがない
  • 下を向いたままではなく、体を起こして吸入する
  • 薬を吸入した後は、2~3秒息を止める

  • 引用:イナビル吸入方法|インフルニュース 第一三共株式会社

    吸入後の息止めは、薬剤の肺内沈着率を増加させるために大切です。

    過度に強く吸入したり長く息止めたりする必要はないので、リラックスをして深い呼吸で吸入するように指導しましょう。

    起こりうる副作用や注意点

    イナビルの副作用としては、以下のようなものがあります。

  • 下痢
  • 悪心・嘔吐、食欲不振
  • じんましん
  • めまい
  • 頭痛 など
  • また、非常にまれではあるものの、以下のような重篤な副作用が起こる可能性もあります。

  • ショック、アナフィラキシー
  • 呼吸困難
  • 異常行動
  • 皮膚粘膜眼症候群
  • イナビルを使用後にこれらの症状がみられた場合は、すぐに処方医や薬剤師に相談しましょう。

    リレンザの服薬指導

    リレンザの服薬指導

    ここでは、リレンザの具体的な吸入方法や、服薬指導時に患者さまに伝えるべきポイントについてご説明します。

    リレンザの使い方

    用法・用量

    リレンザの用法・用量は、治療または予防といった使用目的で異なりますが、成人と小児で使い方は同じです。

    <治療に用いる場合(成人/小児)>

    インフルエンザの治療に用いる場合は通常、成人および小児には、ザナミビルとして1回10mg(5mgブリスター(※)を2ブリスター)を、1日2回、5日間、専用の吸入器を用いて吸入する。

    ※薬が入っているふくらみのこと。

    <予防に用いる場合(成人/小児)>

    インフルエンザの予防に用いる場合は通常、成人および小児には、ザナミビルとして1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を、1日1回、10日間、専用の吸入器を用いて吸入する。

    また、予防として用いる場合は、インフルエンザウイルス感染症患者に接触してから36時間以内に投与を開始する必要があります。イナビルの予防投与の場合と異なるため注意しましょう。

    使用方法

    リレンザイラスト

    リレンザの吸入器は、薬が入っている付属のディスクを入れて使用します。

    <リレンザの使用手順>

    まずは以下の手順に従って、吸入の準備をします。

    1. 1.リレンザの表示面を上にしてカバーをはずす
    2. 2.トレーを引き出す
    3. 3.白いトレーのギザギザの両側のグリップを親指と人指し指でつまみ、内側に押しながら、トレーを本体から取りはずす
    4. 4.白いトレーの4つの穴にディスクの凸部分がはまるようにのせる
    5. 5.トレーをカチッと音がするまで吸入器に戻す

    準備ができたら、以下の手順に従って吸入します。

    1. 1.先端に針が付いているフタを垂直に立ててディスクに穴を開け、再びフタを閉じる
    2. 2.開いた穴から薬がこぼれないよう吸入器を水平に保ち、まずは吸入口にかからないように息を吐き出す
    3. 3.吸入口をくわえ、速く深く息を吸い込む
    4. 4.吸入器から口をはずし、2~3秒息を止める
    5. 5.トレーを引き出し、戻して(自動的にディスクが回転する)2つ目の吸入準備をする
    6. 6.2つ目を吸入する。吸入後は青いカバーを付けて保管する

    吸入時のポイント

    リレンザの吸入時には、とくに以下のポイントに注意しましょう。

  • 吸入する際は吸入口近くの空気孔をふさがないようにくわえる
  • 吸入後は2~3秒息を止める
  • 1回で2ブリスター使用する
  • 吸入する直前までブリスターに穴を開けない
  • リレンザの吸入時には1回で2ブリスター使用する、つまり2度吸入する必要があるため、1度の吸入で終わらないように注意喚起を行うことが必要です。また、リレンザは吸湿性が高いため、吸入する直前までブリスターに穴を開けないように指導しましょう。

    起こりうる副作用や注意点

    リレンザの副作用としては、以下のようなものがあります。

  • 発疹
  • 下痢
  • 悪心・嘔吐
  • 顔面浮腫
  • じんましん など
  • また、非常にまれではあるものの、以下のような重篤な副作用が起こる可能性もあります。

  • ショック、アナフィラキシー
  • 呼吸困難
  • 異常行動
  • 皮膚粘膜眼症候群
  • リレンザを使用してこれらの症状がみられた場合には、すぐに使用をやめて処方医や薬剤師に相談しましょう。

    インフルエンザの吸入指導で患者さまからよくある質問

    インフルエンザの吸入指導で患者さまからよくある質問

    ここでは、イナビルやリレンザの服薬指導時に患者さまからよくある質問と、その回答についてお伝えします。

    吸入薬が吸いきれなかった場合はどうすればいい?

    薬を1度の吸入ですべて吸いきれないときには、もう1~2度繰り返して吸い込みましょう。強く吸引しすぎると失神やショック状態におちいる可能性もあるため、リラックスした状態で使用するように伝えてください。

    きちんと吸入できているか分からない場合は?

    とくに単回投与のイナビルは、吸入がきちんとできているか不安に感じられる患者さまが多いです。吸入した際に、吸入容器からスーッという風が流れるような音がすれば問題なく吸入できていると伝えましょう。

    小児や高齢の患者さまなど、吸入可否の判断が難しい方は、吸うと音が鳴る専用の資材で事前に吸入力を確認することもできます。

    吸入後にうがいをする必要はある?

    抗インフルエンザウイルス薬の吸入後のうがいは不要です。吸入後の口内の粉っぽさが気になる場合は、うがいをしても問題ありません。

    タミフルと違い、異常行動は起こらない?

    インフルエンザに罹患した患者さまは、薬の服用の有無・種類にかかわらず、異常行動によると考えられる転落死等が報告されています。

    「突然立ち上がって部屋から出ようとする」「興奮してベランダから飛び降りようとする」「襲われるような感覚を覚えて外へ走り出す」といった異常行動はとくに小児・未成年の男性で報告が多く、発熱から2日間以内に起こりやすいとされています。

    小児・未成年の家族がインフルエンザに感染した場合は、発熱から少なくとも2日間は玄関や窓を確実に施錠し、住居外へ飛び出さないような対策を行うように指導しましょう。

    吸入器の使い方や注意事項を正しく伝えよう

    この記事では、インフルエンザ吸入薬である「イナビル」と「リレンザ」の服薬指導方法や注意点について解説しました。

    吸入薬が処方されても、患者さまが正しく使用できるようにならなければ、症状の回復が期待できなかったり副作用を招いたりする恐れがあります。患者さまが吸入薬を正しく安全に使用できるように、吸入のポイントをふまえながら服薬指導を行いましょう。

    藤原 智沙恵さんの写真

      監修者:藤原 智沙恵(ふじわら ちさえ)さん

    メーカーでヘルスケア用品の研究に従事し、商品開発から薬事申請、特許出願まで幅広く携わる。転職して5年間薬局薬剤師として勤務したのち、薬剤師ライターとして独立。

    研究職の経験から徹底したリサーチが得意であり、エビデンスの高い記事を書くライターとして定評がある。

    アトピー性皮膚炎の新規治療薬の探索に関する海外での学会発表や、化粧品成分をノロウイルス不活化製剤に応用した技術で特許を取得するなど、研究分野で幅広い実績を持つ。

    記事掲載日: 2024/01/18

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