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2019.02.28

服薬指導の流れとポイントを徹底解説。先輩薬剤師が答える【お悩みQ-A】

服薬指導の流れとポイントを徹底解説。先輩薬剤師が答える【お悩みQ-A】

「服薬指導」とは、薬剤師が患者さまに対して行う医薬品の情報提供のことをあらわしています。薬剤師として働く上で重要な業務の一つであり、薬剤師法第25条の2においてもその必要性は明記されています。

しかし、患者さまの中には気難しかったり、お話を聞こうとしなかったりする方も多く、苦労することもありますね。新米薬剤師であれば医薬品の知識もまだまだ不十分であり、つまずくこともあるでしょう。

この記事では、新米薬剤師向けに服薬指導の基本やおすすめの本を解説していきます。

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薬局での服薬指導の基本的な流れ

薬局における、服薬指導の基本的な流れはどのようになっているのでしょうか。

1. お声がけ

患者さまのお名前を呼び、投薬台への誘導を行います。具合の悪い方や足の不自由な方では、薬剤師が座席までお薬をお持ちして服薬指導を行うこともあります。薬局ごとにルールが異なりますが、はじめに「薬剤師の○○です。」など自己紹介を行い、指導をはじめましょう。

2. 症状の聞き取り

適切な服薬指導を行うために、現在の症状を聞き取ります。初回来局の際には、質問票によってアレルギーや既往歴、併用薬などを聞き取り、服薬指導の参考にします。継続して来局されている患者さまに対しては、前回の症状を確認して、経過や副作用の発現の有無を聞き取ります。

3. 医薬品の説明

処方されたお薬の説明を行います。効能・効果や服用方法、副作用、飲み合わせ、保管方法など、提供すべき情報はさまざまです。お薬は「薬袋(やくたい)」と呼ばれる袋に入れてお渡ししますが、そのほかに「薬剤情報提供書」や「調剤報酬明細書」、「領収書」、「お薬手帳」も忘れずにお渡ししましょう。

4. 質問事項の確認

不安や疑問をかかえたままでは、良質な薬物治療を行うことはできません。ひととおりの説明を終えたあとは、不明な点や質問事項がないかどうかの確認を行いましょう。万が一、副作用があらわれた場合の対策方法や、緊急時の連絡先を確認することも重要です。

5. クロージング

質問事項がなさそうであれば、クロージングを行いましょう。クロージングとは、一連の服薬指導を締めくくり、患者さまをお見送りすることをあらわしています。次の患者さまのことを考えることも重要ですが、一人ひとりに心を込めて最後まで対応することが、よりよい服薬指導を提供する秘訣です。

お悩みQ&A!服薬指導を上手に行うポイント



Q1. 伝えなければならない内容が多い場合には、どのようにすれば良いのですか?

回答

A. 服薬指導では、多くの情報を短時間のうちに伝えなくてはなりません。特に初回来局時の服薬指導では、既往歴やアレルギー歴、併用薬などの基礎情報を聞き取ることも必要なので、かなりの時間が必要となります。

伝えなければならない内容が多い場合には、複数回の服薬指導に分けて伝えることがおすすめです。服薬指導は、必ずしも1回で完結する必要はありません。優先順位の低い内容については、2回目以降の服薬指導で継続的にフォローするようにしましょう。


Q2. 気難しかったり話を聞こうとしなかったりする方に、薬についての重要な指導を行う場合には、どのようにすれば良いのですか?

回答

A. 患者さまの中には、気難しい方や話をまったく聞こうとしない方もみられます。だからといって何の説明もなくお薬を渡すことは、薬剤師の立場上認められていません。無理に説明を行おうとするとトラブルのもとになるので、手帳への書き込みや指導せんを活用した、間接的な服薬指導の工夫を行いましょう。

はじめのうちはうまくコミュニケーションがとれなくても、複数回の服薬指導のなかで良好な関係を築くことができれば、次第に話を聞いてもらえるようになる可能性があります。話を聞かない患者さまだと決めつけるのでなく、思いやりを持って継続的にアプローチするようにしましょう。


Q3. 「説明はいらないから薬だけ渡して!」という患者さまには、どのように対応したら良いのですか?

回答

A. 服薬指導は、薬剤師法第25条の2によって定められている業務であり、薬剤師や患者の意思により省略することは認められていません。しかし、話を全く聞こうとしない患者さまもいるので、臨機応変にボリュームをコントロールすることが大切です。「1点だけ確認させてください。」など、要点を絞った服薬指導を行いましょう。

また、このようなケースは、薬剤師の服薬指導と患者さまのニーズとの間にギャップがある場合におこります。意義のある服薬指導が行なえるように、研鑽を積みましょう。


Q4. 患者さまから聞かれた質問の答えがわからない場合には、どうしたら良いのでしょうか?

回答

A. 答えがわからない場合には、時間を頂いて調べた上で、正確な回答を行いましょう。薬剤師がカバーしなくてはならない領域は広く、ベテラン薬剤師であっても即答できないケースも珍しくありません。調べることは何ら恥ずかしいことではなく、いい加減な回答をしてしまう方が問題といえます。

急ぎでない場合など患者さまの状況によっては、次回までの宿題とすることも可能です。薬歴にしっかりと記載して、次回来局時に対応を行いましょう。


Q5. 服薬指導のスキルを高めるために、薬や疾患の勉強以外にできることはありますか?

回答

A.服薬指導は対人業務であるため、 患者さまと良好なコミュニケーションを築くことが重要です。薬物治療の専門家として、薬や疾患の知識を深めることも必要ですが、信頼される薬剤師となるための人間力を身につけなくてはなりません。

状況に合わせたあいさつや言葉遣い、接遇マナーなどを学ぶようにしましょう。笑顔を心がけ、相手の目をきちんと見て会話をすることも重要です。趣味をひろげて話題を増やすなど、コミュニケーションの手段を増やすこともおすすめです。

小児や高齢者に対する服薬指導の注意点



小児の保護者に服薬指導をする場合

患者さまが小児である場合には、両親や祖父母などの保護者に対して服薬指導を行うケースがほとんどです。服薬指導の受け手自身が患者ではないということに、留意しなければなりません。

第一子ではじめての病気をした場合など、これまでに薬物治療の経験がない場合には、精神的なサポートを含めたきめ細やかな服薬指導が必要です。

また、薬の種類や剤型によっては、うまく飲ませられないこともあるので、さまざまなケースを想定した服薬指導を行うことがポイントです。子どもの様子が気になって服薬指導に集中できないということもあるので、状況にあわせて臨機応変に対応するようにしましょう。

高齢者に服薬指導をする場合

高齢の患者さまは、視力や聴力が若年者に比べて弱っている場合もあるため、薬袋の文字の大きさや声の大きさ、話すスピードにも注意が必要です。記憶力や認知能力が低下している患者さまでは、家族や施設の方に対して服薬指導を行うことや、一包化や剤型変更などの工夫も行うようにしましょう。

また、高齢者では慢性疾患を併せ持っていることや併用薬が多いことにも、注意が必要です。体重および体表面積の減少や肝・腎機能の低下により、薬の作用や副作用があらわれやすいこともあるので、薬剤師としての専門知識を生かしたケアを行いましょう。

服薬指導のスキルアップに役立つおすすめ本

服薬指導のスキルを高めるためには、本を読んで勉強することもおすすめです。ここでは、新米薬剤師におすすめの本をご紹介します。

薬局で使える実践薬学

著書タイトル
  • 著者:山本 雄一郎
  • 出版社:日経BP社
  • 発行年:2017年3月6日
日経ドラッグインフォメーションの情報サイト「DI Online」の人気コラム、「薬局にソクラテスがやってきた」で有名な山本 雄一郎先生の著書です。

日ごろの処方監査や服薬指導における「なぜ?」「どうして?」に対して、幅広い内容が考察されています。対話形式で楽しく読み進められることもポイントです。

薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100

著書タイトル
  • 著者:児島 悠史
  • 出版社:羊土社
  • 発行年:2017年10月13日
薬の比較がわかりやすいと評判のブログ「お薬Q&A〜Fizz Drug Information〜」の管理者でもある、児島 悠史先生の著書です。

日常の服薬指導においても、「前の薬とどう違うの?」と聞かれることは珍しくありません。そんな疑問に自信をもって答えられるようになる一冊です。

より良い服薬指導で、患者さまとのコミュニケーションを円滑に

薬剤師の業務は多岐にわたりますが、中でも服薬指導は、患者さまと直に接することのできる数少ない業務のひとつです。苦労することも多いですが、患者さまから「ありがとう」と感謝されたときの喜びは、何事にもかえられません。

今後の薬剤師の役割として、「かかりつけ薬剤師」として地域医療に貢献していくことが求められています。患者さまと顔の見える関係を築き、信頼される薬剤師となることができるように、研鑽を積んでいくようにしましょう。
記事掲載日: 2019/02/28

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