業界動向
2020.11.16

コンサータの登録システムが変わる!変更点や登録方法を徹底解説

コンサータの登録システムが変わる!変更点や登録方法を徹底解説

厚生労働省は2019年9月4日、小児期の注意欠陥・多動症(ADHD)治療薬のメチルフェニデート塩酸塩製剤(商品名コンサータ®錠)について、新たに患者情報の登録を義務付け、医師の登録要件を厳格化するなど、流通管理体制を大幅に変更する旨の通知を発出しました。調剤薬局においても、ADHD適正流通管理システムに登録された薬剤師のいる薬局において、登録患者に対してのみ医薬品の交付が認められるようになります。

この記事では、流通管理体制の変更によって変わった点や、変更に至った背景、新しい登録方法はどのようなものかなどの情報をまとめて解説します。

登録制となったコンサータ®錠の取り扱い

従来から厳重な流通管理が行われていたコンサータ®錠ですが、さらなる適正流通管理を目的に、2019年12月2日より新たなADHD適正流通管理システムが稼働。新たに患者情報の登録が義務付けられることや、医師の登録要件を厳格化するなど、大幅な変更がされました。

新システムへの移行期間は、2020年6月30日(医師については、新型コロナウイルスの影響で同9月30日まで経過措置が延長)までとされており、同10月1日以降もコンサータ®錠の登録薬局・登録調剤責任者として継続する場合には、同9月30日までにADHD適正流通管理システムへの登録を行うことが求められていました。そのため、この登録を行っていない場合については、10月1日以降からコンサータ®錠の購入・調剤の継続ができなくなりました

流通管理が見直された背景

新たな流通管理体制が実施された背景として、2019年12月に発売された注意欠陥・多動症(ADHD)治療薬のビバンセ®カプセル(リスデキサンフェタミンメシル酸塩)の承認申請の際に、コンサータ®錠の不正使用が問題となったことがあります。

これは医師がADHDではない患者をADHDと診断し、その患者に保険診療のなかでコンサータ®錠を交付。それを自分で使用していたという事例です。当該医師は、「向精神薬の営利目的の譲渡」の罪状により2018年1月に逮捕され、現在公判中です。

▼参考記事はコチラ
メチルフェニデート塩酸塩製剤(コンサータ錠 18mg、同錠 27mg 及び同錠 36mg)の使用にあたっての留意事項について
新型コロナウイルス感染症の影響に伴うメチルフェニデート塩酸塩製剤(コンサータ錠 18mg、同錠 27mg 及び同錠 36mg)の経過措置期間の延長について

2020年7月から本格稼働!コンサータ®錠の登録方法、何が変わった?

薬剤師イメージ

2020年7月から本格的に稼働したコンサータ®錠の新しい流通管理体制において、従来と変わった点を解説していきます。

医師の登録要件の変更

大きく変わった点のひとつに、処方箋を発行する医師の登録要件の厳格化があります。これまでは、Eラーニングなどの研修を受講することで処方が認められていましたが、新しい流通管理体制では、日本小児科学会または日本精神神経学会の専門医かつ、日本児童青年精神医学会、日本小児神経学会、日本神経精神薬理学会、日本小児精神神経学会、日本小児心身医学会、日本臨床精神神経薬理学会および日本ADHD学会のいずれかの学会員であることが必須となりました。さらに、ADHDの治療経験に関する情報の提出が求められるほか、登録の定期的な更新も必要となります。

▼参考記事はコチラ
厚生労働省:コンサータの流通管理について(ヤンセンファーマ株式会社 提出資料)

患者の登録が義務化

これまでにもコンサータ®錠は、一定の流通管理基準で規定された登録基準を満たす医師・医療機関・薬局だけが処方・調剤可能とされていました。新しい流通管理体制では、登録された医師が同薬を処方する前にあらかじめ、患者さまのイニシャル、性別、生年月日、第三者から得た症状に関する情報などを登録することが義務付けられました。

登録調剤責任者は、これらの情報に疑義がないかを確認したうえで、調剤を行うことが求められています。また、2019年11月30日以前にコンサータ®錠を服用していた患者さまについては、2020年1月1日以降はすべて患者登録の確認および調剤内容登録が必須となります。

対象となる薬剤

新たなADHD適正流通管理システムの対象となる薬剤として、コンサータ®錠(18mg、27mg、36mg)およびビバンセ®カプセル(20mg、30mg)の2種類があります。これらの薬剤は、注意欠陥・多動症(ADHD)の診断や治療に精通した医師によって適切な患者に対して処方されるとともに、薬物依存を含むリスク等について十分に管理できる医療機関および薬局においてのみ、取り扱われることとされています。

▼参考記事はコチラ
コンサータ錠 改訂のお知らせ

「ADHD適正流通管理システム」登録の方法

ここでは、コンサータ®錠およびビバンセ®カプセルにおけるADHD適正流通管理システムの登録方法について、解説していきます。

1 調剤責任者登録基準の確認

コンサータ®錠およびビバンセ®カプセルを調剤可能な調剤責任者(薬剤師)は、以下の(1)~(3)の基準を満たす薬剤師です。また、調剤する薬局の登録も必要となります。

(1)登録システム上のEラーニングを受講し、受講後のテストによりその内容を理解したことが確認された薬剤師
(2)登録システムの登録取り消しの履歴がない薬剤師
(3)登録調剤責任者リストへの掲載および登録調剤責任者として公表されることを承諾し、制約・同意事項に合意の上、登録申請事項確認書兼同意書(調剤責任者・薬局用)に署名した薬剤師

2 ADHD適正流通管理システム新規申請

ADHD適正流通管理システム(登録必須)にアクセスして、新規申請の申し込みを行います。申請時に、薬剤師・所属施設情報の入力やEラーニングの受講、必要書類(申請薬剤師および施設責任者による署名済みの登録申請事項確認書兼同意書(調剤責任者・薬局用))の提出が必要となります。

3 「登録調剤責任者」として登録

登録システム事務局が登録内容、Eラーニングの受講、必要書類の提出を確認後、審査を通過した薬剤師が登録調剤責任者として登録されます。同時に、登録調剤責任者が調剤を行う薬局も登録されます。

また、審査が完了して実際に調剤が可能になるまでには、数日程度の期間が必要となります。処方箋の有効期限である4日以内に間に合わないケースも想定されるため、注意が必要です。

登録が完了したら?薬剤師が調剤するときの流れ

薬剤師イメージ

前項の要件を満たしたうえで、「登録調剤責任者」として登録が完了することにより、薬剤師のコンサータ®錠およびビバンセ®カプセルの調剤が可能となります。ここでは、実際の調剤時の流れについて解説していきます。

1 処方箋・患者カード・身分証明書の確認

コンサータ®錠およびビバンセ®カプセルの処方箋が持ち込まれた場合には、はじめに処方箋・患者カード・身分証明書を通して本人確認を行います。身分証明書としては、患者本人の保険証、運転免許証、マイナンバーカード、住民基本台帳カード、パスポート等が利用可能です。

2 調剤時確認事項(6つ)

本人確認の実施後は、登録システムを用いて、下記の調剤時確認事項6点の確認を行います。

(1)処方箋が真正のものであること
(2)その処方箋による調剤がなされていないこと
(3)処方箋、患者カード、身分証明書の3点を患者が持参していること
(4)処方医師および処方箋発行医療機関が登録システムに登録されていること
(5)患者カードに記載されているID番号より得られた登録システム上の患者情報と身分証明書の患者情報を照合した結果、処方箋を交付された人物と患者カードの情報に矛盾がないこと
(6)患者カードに記載されているID番号より得られた登録システム上の患者情報および処方内容を確認した結果、患者が重複投与ではないこと、かつ不適正使用の可能性がないこと

確認事項のいずれかが確認できない場合は、原則調剤を行わず、登録システム事務局に報告します。

3 調剤内容を登録

上記の調剤時確認事項6点をすべて確認し、問題がなければ調剤内容を登録システムに登録します。

4 調剤・薬剤交付

上記の①~③を満たした上で、コンサータ®錠およびビバンセ®カプセルの調剤を行います。患者に服薬方法や注意すべき副作用を伝えるなど、適切な服薬指導を行ったうえで、薬剤を交付します。

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薬剤師として薬の適切な流通・使用を守ろう

いかがでしたでしょうか?この記事では、ADHD適正流通管理システムの変更によって変わった点や、変更に至った背景、新しい登録方法はどのようなものかなどの情報をまとめて解説していきました。

コンサータ®錠およびビバンセ®カプセルは、不適正な使用による依存や乱用のリスク、不適切な流通が懸念されていることから、登録システムを用いた流通管理が求められています。薬の適切な流通・使用を守るためにも、薬剤師としてきちんと流れを理解しておくようにしましょう。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2020/11/16

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