業界動向
  • 公開日:2021.01.13

「オンライン服薬指導支援ツール」を比較!選ぶ際のポイントとは?

「オンライン服薬指導支援ツール」を比較!選ぶ際のポイントとは?

2020年9月1日より改正薬機法が施行され、オンライン服薬指導の本運用がはじまりました。今後オンラインでの対応は急速に広がっていくと予想されていますが、現時点ではまだまだ発展段階にあり、多くの薬局や医療機関が体制の整備に取り組んでいるところです。そうしたなかで、よりスムーズなサービスの提供を目指した「オンライン服薬指導支援ツール」も注目を集めています。

この記事では、現在利用可能な「オンライン服薬指導の支援ツール」について、いくつか例をあげながらくわしく解説していきます。

今後増えていくオンライン服薬指導

「オンライン服薬指導」とは、テレビ電話などの情報通信手段を用いて、薬剤師による服薬指導をオンラインで実施する仕組みのことをあらわしています。医療資源の乏しい地域に住む方や、様々な理由で医療機関を受診するのが困難な方に対して、良質な医療を提供するための取り組みとして、大きな期待が寄せられています。

2020年9月1日より本運用がはじまったオンライン服薬指導ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、同4月10日より時限的・特例的な措置(0410対応)として、オンライン服薬指導が一部解禁されていました。患者さまの利便性や治療継続率の向上に加え、来局時における感染拡大防止など、オンライン服薬指導には様々なメリットが期待されており、導入する企業も増えています。

また、2020年9月16日より発足した菅義偉首相による新しい政権下において示された「調剤薬局における薬剤師の常駐廃止」。規制の撤廃が認められれば、オンラインによって自宅から服薬指導が実施できるようになる可能性も示唆されており、オンライン服薬指導はますます需要が高まると考えられています。

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救世主!「オンライン服薬指導支援ツール」とは?

救世主!「オンライン服薬指導支援ツール」とは?く

オンライン服薬指導では、パソコンやタブレット端末を利用し、テレビ通話やビデオチャットで患者さまに服薬指導を行うことが求められています。スマートフォンなどに搭載されたテレビ通話機能を利用することも可能ですが、効率よく服薬指導を行うためには、現在利用している電子カルテや薬歴システムと連携できる「オンライン服薬指導支援ツール」を利用するのがよいでしょう。

現在では、複数の企業から「オンライン服薬指導支援ツール」がリリースされており、導入をすすめる薬局や医療機関も増えています。基本となるテレビ通話機能に加えて、オンライン診療や処方箋のネット受付、キャッシュレス決済、おくすり手帳など、様々な機能が利用できるシステムも登場しています。

「オンライン服薬指導支援ツール」比較!

服薬指導支援ツール比較!く

ここでは、2020年11月時点リリースされている5つの服薬指導支援ツールをご紹介します。それぞれのツールの特徴やメリット・デメリットについて、詳しくみていきましょう。

Pharms(ファームス)

<機能一覧>

  • オンライン服薬指導
  • 処方箋ネット受付
  • キャッシュレス決済
  • オンライン問診
  • 店舗管理機能
  • スタッフ管理
  • 受付管理機能
  • 他社システム連動
  • 薬剤の配送 など
  • 「Pharms(ファームス)」は、よりよい医療・介護の実現を目指す企業である株式会社メドレーによって提供される服薬指導支援ツールです。開発が発表された2020年4月以降、8月末までに約1,800店舗の事前申し込みがあり、導入企業には日本調剤株式会社やクオール株式会社などの大手調剤薬局も含まれています。

    オンライン服薬指導に加えて処方箋ネット受付、キャッシュレス決済、店舗管理、スタッフ管理などの様々な機能をワンストップで利用できることが特徴です。さらに同社の提供するオンライン診療システム「CLINICS」と連動することにより、オンライン診療とオンライン服薬指導を一気通貫で利用できることもポイントのひとつです。

    ▼くわしくはコチラ>
    「調剤薬局窓口システム Pharms(ファームス)」

    kakari(カカリ)

    <機能一覧>

  • オンライン服薬指導
  • チャット機能
  • 処方箋ネット受付
  • 服薬フォロー支援機能
  • 電子お薬手帳機能
  • 非対面決済機能
  • 薬局の一斉お知らせ送信機能
  • トレーシングレポート作成機能 など
  • 「kakari(カカリ)」は、医療×ITのサービスを展開する企業・メドピア株式会社によって提供される服薬指導支援ツールです。「かかりつけ薬局化」を意識したサービスであることから薬局検索機能を有しておらず、5桁の薬局専用コードを入力することで、自薬局専用のアプリとしてすすめられる設計になっています。

    オンライン服薬指導に必要なビデオ通話機能や決済機能ももちろん搭載されていますが、電子おくすり手帳や服薬フォロー支援の機能にも定評があります。かかりつけ機能の促進に役立つ、お知らせ一斉送信やトレーシングレポート作成支援、ジェネリックサジェスト等の機能を有していることもポイントです。

    ▼くわしくはコチラ>
    「kakari/提供機能」

    Musubi(ムスビ)

    <機能一覧>

  • オンライン服薬指導
  • 店舗の状況把握機能
  • 患者情報連携機能
  • 薬歴下書き作成機能
  • トレーシングレポート作成機能
  • 在宅計画書・報告書作成機能
  • 処方箋チェック機能 など
  • 「Musubi(ムスビ)」は、「医療と患者さんをつなぐカケハシ」「医療と明るい未来をつなぐカケハシ」を目指した企業である「株式会社カケハシ」によって提供される服薬指導支援ツールです。高性能のクラウド型電子薬歴の機能を中心に、店舗の状況把握や働き方改革の機能なども充実しています

    クラウド型電子薬歴の機能により、服薬指導と薬歴作成が同時に作業できることで効率化を図り、患者に合わせた丁寧な服薬指導と健康アドバイスを実現できるのも特徴です。

    ▼くわしくはコチラ>
    「Musubi薬局体験アシスタント」

    日本調剤 オンライン薬局サービス

    <機能一覧>

  • オンライン服薬指導予約(24時間対応)
  • オンライン服薬指導
  • 自社開発の調剤システムと情報連携 など
  • 「日本調剤 オンライン薬局サービス」は、全国47都道府県で調剤薬局を展開する日本調剤株式会社によって提供される、服薬指導支援ツールです。グループの自社開発であり、既存の調剤システムとの情報連携が可能です。

    そのほかにも予約管理画面からワンクリックでビデオ通話が開始できるなど、わかりやすく操作が簡便であることも特徴のひとつです。

    ▼くわしくはコチラ>
    「日本調剤 オンライン薬局サービス」

    オンライン診療・オンライン服薬指導アプリOEM

    <機能一覧>

  • 日時予約
  • オンライン診療/オンライン服薬指導
  • 決済機能
  • 薬・処方箋の配送
  • 「オンライン診療・オンライン服薬指導アプリOEM」は、ヘルステック(医療×IT)を通じて医療の質の向上に貢献することを目指す企業・株式会社レセデンドットコムによって提供される服薬指導支援ツールです。

    調剤薬局チェーンなどを展開している企業では、専用アプリの導入を考える場合もあるでしょう。しかし、オンライン診療やオンライン服薬指導のアプリを開発するためには、クラウド技術やビデオチャット技術などが必要とです。すべてを自社開発するよりも安価で導入できることや、機能の取捨選択などのカスタマイズができることもメリットでしょう。

    ▼くわしくはコチラ>
    「オンライン診療・オンライン服薬指導アプリOEM」

    「オンライン服薬指導支援ツール」の必要性と導入のポイント!

    服薬指導支援ツールの必要性と導入のポイント

    様々な期待が寄せられているオンライン服薬指導ですが、現時点ではまだ多くの課題が残されているのが現状です。対面と同水準の品質を確保することが求められるのはもちろん、電子処方箋の受付から服薬指導、患者自己負担分の回収、医薬品の発送、電子お薬手帳との連携など多くの業務が負荷になることにも注意しなければなりません。これらの業務を効率的に行うためには、ワンストップで出来る服薬指導支援ツールの導入が必要となるでしょう。

    服薬指導支援ツールは、患者さまと薬剤師をつなぐ大切なコミュニケーションツールのため、それぞれの薬局や医療機関のニーズに適したシステムを選択することが重要です。たとえば、幅広い世代の患者さまが来局する場合、すべての世代おいてアクセスしやすいものが求められます。機能の豊富さや運用コストも重要ですが、患者さまとのコミュニケーションに重点をおいた服薬指導が行えるかがツールを選定する際のポイントとなるでしょう。

    薬局に欠かせない役割を果たす「オンライン服薬指導支援ツール」

    近年、医療分野においても、「IT化」がキーワードとなり、関連する法律やガイドラインの整備がすすめられています。新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、薬局や医療機関内における二次感染防止の手段として、オンライン服薬指導は注目を集めています。

    オンライン服薬指導を効率的に実施するためには、「オンライン服薬指導支援ツール」の利用が不可欠ですが、システムを提供している企業は数多くあります。それぞれの医療機関や薬局ごとのニーズを把握して、適したサービスを選択するようにしましょう。

    ファルマラボ編集部

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    記事掲載日: 2021/01/13

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