ざ瘡様皮疹の副作用に最も注意する必要がある抗がん剤はどれでしょうか?

Q

ざ瘡様皮疹の副作用に最も注意する必要がある抗がん剤はどれでしょうか?

    タグリッソなどのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の副作用としてざ瘡様皮疹が報告されています。EGFRは皮膚にも発現しており、その阻害により皮膚乾燥、爪囲炎、掻痒感などの皮膚症状が現れやすくなります。

    この症状は、ざ瘡(ニキビ)と区別がつきにくいため、患者さまが医師に併用薬を伝えていない場合、誤診につながる恐れがあります。

    EGFR-TKIに伴うざ瘡様皮疹は、細菌感染を伴わない無菌性の炎症性皮疹であるため、基本的な治療はステロイド外用薬の塗布となります。

    また、抗炎症作用を期待して、テトラサイクリン系抗菌薬やマクロライド系抗菌薬が処方されることもあります。

    ニキビの治療にはアダパレンゲルやべピオゲルが用いられますが、ざ瘡様皮疹には原則使用しません。症状は似ているものの、治療法が異なるため注意が必要です。

    以下のEGFR-TKI関連の内服薬や抗EGFR抗体の注射薬の併用を確認した場合は、特徴的な副作用であるざ瘡様皮疹が生じていないか確認しましょう。

    特に、投与開始初期に発生しやすいため、十分ご注意ください。

    【内服薬】
    ・ゲフィチニブ(イレッサ)
    ・エルロチニブ塩酸塩(タルセバ)
    ・アファチニブマレイン酸塩(ジオトリフ)
    ・ダコミチニブ水和物(ビジンプロ)
    ・ラゼルチニブメシル酸塩水和物(ラズクルーズ)

    【注射薬】
    ・パニツムマブ(ベクティビックス)
    ・セツキシマブ(アービタックス)

    処方監査・服薬指導のPOINT

    EGFR-TKIを使用している患者さまには、ざ瘡性皮疹などの皮膚障害を予防するため、スキンケアの重要性を理解していただくことが大切です。

    例えば、皮膚の乾燥を防ぐために保湿剤を使うことや、外出時には日焼け止めを塗るよう伝えるとよいでしょう。

    また、皮膚炎で皮膚科を受診する際には、必ずお薬手帳などを持参し、併用薬を医師に伝えるよう指導してください。

    濱本 幸広(はまもと・ゆきひろ)さん
    京都薬科大学卒、薬剤師。
    調剤併設ドラッグストア、調剤薬局、派遣薬剤師など、数多くの経験をしながら処方鑑査の腕を磨く。
    2022年10月、4分類法を活用した処方鑑査の指南書『達人の処方鑑査術』を出版、好評発売中。
    ▼運営サイト
    https://kusuri-shidousen.com
    掲載日: 2025/11/27
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

    あわせて読まれている記事

    \登録無料!簡単約1分/

    ファルマラボ会員特典

    1. 薬剤師の業務に役立つ資料や動画が見放題!
    2. 会員限定セミナーへの参加
    3. 資料・セミナー・コラムなど最新リリース情報をお知らせ