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  • 公開日:2016.07.12

本当にわかってる?薬歴が持つ意味と適切な管理方法

薬剤師の服薬指導に欠かすことのできない薬歴の役割について、しっかり理解できていますか?薬歴とは何か、どんな意味があるか、適切な薬歴管理方法について改めて見てみましょう。

患者さま一人ひとりに出すお薬ヒストリーが薬歴

薬歴とは、服用している薬の種類・量・日数などが書かれたものです。 アレルギー・副作用・体質・嗜癖など、患者さま個人の情報も記載します。

薬物治療を続けて行くうえで知っておきたい全ての情報を一元管理する役割があり、漏れなくきちんと記録することで事故防止に役立ちます。 近年では、医療現場の電子化の流れを受けて、電子媒体でも保存されるようになってきています。 必要な情報をその都度検索して、処方内容が適切かどうか判断できる、重要なツールです。

利便化が進んでいるとは言え、薬剤師には日々の薬歴を正しくきちんと記入し、管理する心掛けが不可欠です。 情報が漏れると重大な過失につながることもふまえて、適切な処理を意識しましょう。

必要なときに必要な情報が見つかる書き方

薬歴について「どんな内容をどこまで書けばいいか」と議論されることがあります。

この質問に対しては「必要になる可能性があるものを全て記載する」というのが一般的で、100%正しい答えがあるわけではありません。 具体的な判断基準は、薬局やドラッグストアによっても変わってきます。

とは言え、あまりにも詳細に長く書くのが望ましいわけではありません。 後で見たときに、目的の情報がどこに書いてあるのかわからないようでは、利便性に劣るためです。

重要な記載を見落とさないよう、記載順序も工夫します。 書くことだけを目的にしていると、上手に活用できません。 「書く」薬歴から「使う」薬歴へと頭を切り替えると、より良い書き方が見えてきます。

次に担当する薬剤師が見やすいように、共通のフォーマットを作成するなどの配慮も必要です。 自分一人がわかるような書き方は、思いやりが足りません。

何年経っても使いやすい管理の工夫

厚生労働省が推奨する保管期間3年ですが、何年経っても使える管理体制が理想です。 電子媒体を利用した保管など、使いやすい管理システムを整備しましょう。

全員が正しく利用できるように、データ活用についての教育も必要です。 ペーパーベースで保管する場合、氏名の五十音順・生年月日順・病院ID順などで並べます。 必要なときにさっと情報が見つかるように、整理方法を検討しましょう。

きちんと情報を記入できるよう、投薬後に処理時間をとる配慮も必要です。 業務に追われるばかりに、一人ひとりへの対応がおろそかになるようでは、正しい管理体制とは言えません。

保管スペースの問題でどうしても破棄しなくてはいけないときには、適切な処理業者を探します。 薬歴は患者さまの個人情報の塊なので、プライバシーに配慮して廃棄する配慮が必要です。 責任者が廃棄の現場に立ち会うなど、念には念を入れたステップをふみましょう。

薬歴は患者本位のケアに不可欠なもの

数十年前までの薬局では、薬歴は隙間時間に書くものとされていました。 処方せん通りに薬を出すことが薬剤師の役割と考えられていた時代ゆえ、薬歴はただ「記録を残すためだけのもの」として捉えられていました。

一方、医療業界の変化が進む現在、患者さまにより満足してもらうための患者本位の薬局作りが考えられるようになる中で、薬歴は「ケアの満足度をあげるために重要なツールである」と捉えられるようになってきました。

一部の昔ながらの薬局では、混み合う時間帯に記録をするのはおかしいとの風潮も残っています。 キャリアが長い薬剤師ほど昔ながらのやり方にとらわれがちですが、根本の意識を変えない限りなかなか上手くは進みません。 より良いケアを実践するために不可欠なツールが「薬歴」と考えると、扱いが変わってくるはずです。

薬歴の書き方・管理方法を考える大前提として、薬局全体に患者本位の姿勢を徹底させる必要があります。 お薬の専門家として、一人ひとりがより健康的に生きるお手伝いをするのが薬剤師です。 社会的な立場と役割を意識して、日々の仕事にあたってください。

まとめ〜本当にわかってる?薬歴が持つ意味と適切な管理方法

1.患者さま一人ひとりに出すお薬ヒストリーが薬歴
薬歴とは、服用している薬の種類・量・日数などが書かれたものです。 薬物治療を続けていくうえで知っておきたい全ての情報を一元管理する役割があり、漏れなくきちんと記録することで事故防止に役立ちます。
2.必要なときに必要な情報が見つかる書き方
薬歴の記入範囲を決める際には「ケアに必要になるかどうか」を基準にします。 使う場面を想定しながらルール作りをすると、上手な活用ができるはずです。 次に担当する薬剤師が見やすいよう、共通のフォーマットを作ってみるのもよいでしょう。
3.何年経っても使いやすい管理の工夫
厚生労働省の示す保管期間は3年ですが、何年たっても使える管理が理想です。 電子媒体を利用するなどしながら、保管方法を決めましょう。 ペーパーベースで残すなら、並べ方にも工夫をしてみましょう。
4.薬歴は患者本位のケアに不可欠なもの
昔ながらの薬局には、混み合う時間帯に記録をするのはおかしいとの風潮も残っています。 職場全体で薬歴管理の必要性を再確認する機会も必要でしょう。 患者本位のケアを見直すと、おのずとあり方が変わってきます。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2016/07/12

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