服薬指導に活かす医薬品情報

リスパダール錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

適応症は「統合失調症」のみですが、それ以外にも、抑うつ状態や躁状態、幻覚など認知症の周辺症状を含むいろいろな精神症状に応用されることがあります。


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作用機序は?

A

第二世代の抗精神病薬のうち、セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA:Serotonin-Dopamine Antagonist)に分類され、ドパミンD2受容体の拮抗作用とそれより強いセロトニン5-HT2A受容体の拮抗作用で、攻撃性・認知症状・感情症状等の陽性・陰性症状の双方に効果を示します


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服用中の注意事項

A

治療初期にアドレナリンα1受容体遮断作用に伴う起立性低血圧に注意が必要です。また、ヒスタミンH1受容体遮断作用もあり肥満や体重増加のリスクがありますが、他の第二世代の抗精神病薬であるオランザピン、クエチアピン、クロザピンと比較すると低いとされています。


Q

他の抗精神病薬との比較

A

近年のメタアナリシスにおいて、陽性症状に対してはハロペリドールと同等以上の改善が期待でき、安定期にもハロペリドールと比べて再発予防の効果が高いとされています。また、糖尿病や前述のように体重増加のリスクは他の第二世代の抗精神病薬に比べて低いですが、血中プロラクチン値の上昇をきたすリスクが高いため女性化乳房、勃起不全、月経異常、乳汁分泌などの発現に注意する必要があります。一方で、第一世代よりは少ないものの、他の第二世代の抗精神病薬に比べて特に高用量(6mg/日以上)で錐体外路症状が発現 しやすくなっているため、維持用量として2~6mgが推奨されています。



高プロラクチン血症について

高プロラクチン血症とは、下垂体前葉で生合成されるホルモンであるプロラクチンが、脳内ドパ ミン神経路のひとつである漏斗-下垂体路が遮断されることで血中プロラクチン濃度の正常上限を超えた状態を呼びます。

臨床的には女性では月経不順・無月経・乳汁分泌・性欲低下などで、男性では射精障害・勃起障害・女性化乳房・性欲低下などの症状が起こります。これらは、若年の患者さまのアドヒアランスを低下させる大きな要因となります。さらに長期間に渡る高プロラクチン血症は心血管障害や骨粗鬆症、乳がんの発症リスクを高めるという報告もなされています。

薬剤性高プロラクチン血症の治療は原因薬剤の減量・中止・他剤へ変更することです。しかしながら、それが精神症状の悪化につながることもあり変更が困難な例もあるようです。このような場合には、テルグリドやブロモクリプチン、芍薬甘草湯で改善されるとの報告もあります。


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代謝に関わる薬物相互作用

A

リスペリドンの代謝に関しては、主にCYP2D6、一部CYP3A4が関与しています。

うつ病を伴う統合失調症の患者さまに対してリスペリドンはSSRIと併用されますが、CYP2D6の阻害作用を有するパロキセチンは、リスペリドンとは併用注意となっています。

実際、リスペリドンの血漿中濃度に及ぼす20mg/日のパロキセチンの影響を4週間検討したところ、パロキセチンはリスペリドン濃度を著しく上昇させ、またパロキセチン量を40mg/日まで漸増した別の報告では、陰性症状は有意に改善されたものの全体評価・陽性・抑うつ症状に変化はなく、一方で、薬原性錐体外路症状は著明に高くなったとされています。

また、CYP3A4の誘導剤であるカルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン、フェノバルビタールは、血漿中濃度を低下させるため併用注意となっています。Extensive Metabolizerに比べてリスペリドンの代謝をCYP3A4に依存するCYP2D6のPoor Metabolizerにおいて、4週間カルバマゼピンと併用したことにより幻聴・被害妄想・軽度の興奮状態が発現し、症状が悪化したとの報告があります。


掲載日: 2024/02/15
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