かかりつけ薬剤師業務が新設

平成28 年度の調剤報酬改定で、かかりつけ薬剤師の業務が新設されることになりました。 要件が厳しいので、算定するためにはそれ相応の体制が必要になります。 なので、薬局ごとの方針により点数を「取りに行く薬局」と諦めて「まったく取らない薬局」とで二極化するかもしれません。

ただし、まったくかかりつけ薬局業務をやらなかった場合は実施実績のなかった年の翌年から調剤基本料が1/2 になるので、「かかりつけ薬剤師」は今後も業界で否応なしに注目されていくでしょう。

かかりつけ業務ができない薬局は大幅減算

調剤基本料は処方せん受付1回につき算定する、薬局の最も基礎とする点数ですが、今回は調剤基本料が6種類に細分化され、「かかりつけ業務」をしていない場合の基本料の減算が設定されました。ここからもわかるように、今後の保険薬局は「かかりつけ薬局の基本的な機能」に係る業務をより評価されるようになると考えられます。

区分 要件 旧点数 新点数
調剤基本料1 妥結率50%超、基本料2〜5に該当しない場合 41 41
調剤基本料2 妥結率50%超、受付回数と集中率 25 25
調剤基本料3 妥結率50%超、グループの受付回数、または集中率 新設 20
調剤基本料4 基本料1の妥結率50%以下の場合 31 31
調剤基本料5 基本料2の妥結率50%以下の場合 19 19
特別調剤基本料 調剤基本料1〜5の届出をしない場合 新設 15
基本料の減算 かかりつけ業務をしていない場合 新設 50%減算
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厚生労働省は薬局における
対人業務の評価に舵きり

「健康サポート機能を有する薬局は、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的機能を備える必要があり、かかりつけ薬剤師のいる薬局でなければならない。」と言われており、薬剤師の機能は従来の薬中心の業務から患者さま中心の業務にシフトしていくと予測されています。

かかりつけ薬剤師・薬局が持つべき3つの機能

地域包括ケアシステムの一翼を担い、薬に関して、いつでも気軽に相談できるかかりつけ薬剤師がいることが重要です。 かかりつけ薬剤師が役割を発揮できるよう、所属する薬局にはかかりつけ薬局たる組織体として、業務管理(勤務体制、薬剤師の育成、関係機関との連携体制)を徹底、構造設備等(相談スペースの確保等)を確保します。

  • 服薬情報の一元的・継続的把握
    主治医との連携、患者さまへのインタビューやお薬手帳の内容の把握等を通じて、患者さまがかかっている全ての医療機関や服用薬を一元的・継続的に把握し、薬学的管理・指導を実施。 患者さまに複数のお薬手帳 が発行されている場合は、お薬手帳の一冊化・集約化を実施。
  • 24時間対応・在宅対応
    開局時間外でも、薬の副作用や飲み間違い、服用のタイミング等に関し随時電話相談を実施。 夜間・休日も、在宅患者の症状悪化時などの場合には、調剤を実施。 地域包括ケアの一環として、残薬管理等のため、在宅対応にも積極的に関与。
  • 医療機関との連携
    医師の処方内容をチェックし、必要に応じ処方医に対して疑義照会や処方提案を実施。 調剤後も患者さまの状態を把握し、処方医へのフィードバックや残薬管理・服薬指導を行う。 医薬品等の相談や健康相談に対応し、医療機関に受診勧奨する他、地域の関係機関と連携。

かかりつけ薬剤師指導料とは

地域包括ケアスステムの中に位置づく「かかりつけ薬剤師」には、地域に根付いた業務体制と一定のキャリアが要求され、業務内容も患者さま一人ひとりに対するかかりつけ業務になります。

新設
かかりつけ薬剤師指導料 70 点(1回につき)
かかりつけ薬剤師包括指導料 270 点(1回につき)

患者が選択したかかりつけ薬剤師が、処方医と連携して患者の服用状況を一元的・継続的に把握した上で患者に対し服薬指導を行う業務を薬学管理料として評価する。

[ 施設基準]かかりつけ薬剤師の概要 (※)

  • 薬剤師として3 年以上の薬局勤務経験があり、同一の保険薬局に週32 時間以上勤務しているとともに、当該保険薬局に半年以上在籍していること。
  • 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。
  • 医療に係る地域活動の取組に参画していること

かかりつけ薬剤師の業務とは

「かかりつけ薬剤師指導料」と「薬剤服用歴管理指導料」の違いはなんといっても患者さまの「同意書」ではないでしょうか。投薬時の服薬指導について、かかりつけ薬剤師指導では処方医と連携してマンツーマンで患者さまの薬学管理を一元的かつ継続的に実施していきます。 病院の薬剤師の業務が病棟に拡大していくように、保険薬局も「調剤と投薬」に加え、これまで以上に「対人業務」が求められてきたと言えるでしょう。

[算定要件]概要

  1. 患者の同意の上、かかりつけ薬剤師として服薬指導等の業務を実施した場合に算定。
  2. 患者の同意は、当該患者の署名付きの同意書を作成(1患者に対して、1 薬剤師のみ)。マンツーマンで同意書が必要です。
  3. 当該指導料は、患者の同意を得た後の次の来局時以降に算定可能。
  4. 当該指導料を算定する保険薬剤師は、以下の要件を満たしている旨を地方厚生局長等に届け出ていること。参照(※)
  5. 他の保険薬局及び保険医療機関で、患者が選択したかかりつけ薬剤師の情報を確認できるよう、手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称を記載。
  6. 患者に対する服薬指導等の業務はかかりつけ薬剤師が行うことを原則。かかりつけ薬剤師以外が服薬指導等を行った場合は当該指導料を算定できない。
  7. かかりつけ薬剤師は、担当患者に対して、以下の業務を行っていること。
    • 薬剤服用歴管理指導料に係る業務を実施した上で患者の理解に応じた適切な服薬指導等を行う。
    • 患者が服用中の薬剤等について、患者を含めた関係者が一元的、継続的に確認できるよう、患者の意向を確認した上で手帳を用いて当該指導等の内容を記載する。
    • 患者が受診している全ての保険医療機関の情報を把握し、服用している処方薬をはじめ、要指導医薬品及び一般用医薬品並びに健康食品等について全て把握し、その内容を薬剤服用歴に記載する。 また、当該患者に対して、保険医療機関を受診する場合や他の保険薬局で調剤を受ける場合には、かかりつけ薬剤師を有している旨を明示するよう説明する。
    • 患者から24 時間相談に応じる体制をとり、開局時間外の連絡先を伝える、勤務表を作成して患者に渡すこと(やむを得ない場合は別の薬剤師対応可)
    • 患者が他の薬局で調剤を受けた場合は、その服用薬等の情報を入手し、薬剤服用歴の記録に記載する。
    • 調剤後も患者の服薬状況の把握、指導等、その内容を薬剤を処方した保険医に情報提供し、必要に応じて処方提案すること。 服薬状況の把握の方法は、患者の容態や希望に応じて、定期的に連絡できるようにすること。また、服薬期間中に服用中の薬剤に係る重要な情報を知ったときは、患者又はその家族等に対し当該情報を提供し、患者への指導等の内容及び情報提供した内容については薬剤服用歴の記録に記載すること。
    • 患者に対して、服用中の薬剤等を保険薬局に持参する動機付けのために薬剤等を入れる袋(いわゆるブラウンバッグ)を必要に応じて配布し、その取組の意義等を説明する。
  8. 薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料又は在宅患者訪問薬剤管理指導料と同時に算定できない。
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かかりつけ薬剤師意識調査アンケート

2016年の調剤報酬改定で新設された「かかりつけ薬剤師」。 算定要件から、今後の薬剤師の在り方について議論が交わされています。 皆さまは、このかかりつけ薬剤師についてどのようにお考えでしょうか? 今回は、ファルマスタッフ登録会員の薬剤師を対象に、「かかりつけ薬剤師」に関する意識調査アンケートを実施し、現場の声を聞いてみました。
(回答期間:2016年6月29日〜7月31日 回答数:295名)

「かかりつけ薬剤師」になりたいですか?

できれば、「なりたくない」?

アンケートによれば、かかりつけ薬剤師に「積極的になりたい」と考えている方は約15%に留まり、「全くなりたくない」方が約40%という結果に。 どちらでもないという方を加えれば、80%以上の薬剤師がかかりつけ薬剤師に対して消極的な姿勢を示しています。 一見後ろ向きな結果にも見えますが、アンケートを分析するとそこに「なりたくない」と思う理由、そして「なりたい」と思えるようにする解決策が見えてきました。

かかりつけ薬剤師の業務の中で取り組みが難しいと思うものは何ですか。

ワークライフバランスや
プライバシーへの不安に起因

最も取り組むのが難しいと票が集まったのが、「24時間体制に応じる体制」、次いで「開局時間外の連絡先を伝え、勤務表を患者さまへ渡す」こと。ワークライフバランスが崩れること、プライバシーの確保が保証されるのかということに対して不安を感じていることが伺えます。 また、担当制については「診療することは薬剤師には出来ない行為と理解せずにやってくる患者さまもいるかもしれない。身近な相談相手として緊急時に連絡が来たとき、結局は病院の受診を促すことになり、「かかりつけ薬剤師の存在意義とは?」という疑問だけが残るのでは」という声も届き、患者さまへの責任を果たしたくとも果たせない、スキル面・薬剤師の処置の限界範囲に対するジレンマも垣間見える結果となりました。

かかりつけ薬剤師業務に取り組む上で、
薬局にはどのようなサポートをしてほしいですか?

薬局側からも「安心」のためのサポートを

薬剤師に負担がかかる分、薬局側からのサポートも不可欠になります。そんなサポートとしては、「患者さまとのトラブル対応」といった担当制への不安の解消や「ワークライフバランスの確保」「プライバシーを守る体制の整備」といった部分にニーズがあるようです。 また、上位5位以内に研修認定薬剤師に関する内容が2つ入っており、一定の金銭的負担、時間的拘束を求められる認定薬剤師を取得するにあたっての対価を求める姿勢を示すものの、取得に対しての関心の度合いは高いと伺えます。

これからの時代に求められる薬剤師になるために、
どのようなスキル(能力)を身につけていきたいですか?

薬剤師が抱える問題意識

「医師など他の医療従事者と対等に議論が出来ること」、「患者さまとのコミュニケーション能力」といずれもコミュニケーションに対する問題意識があるようで、資格取得などでは保証できない内容だけに、不安を覚えながらも必要性を自覚している薬剤師が多い様子です。 また、3位以下には調剤、薬といった薬剤師に求められる専門性についての項目が続けて入っており、基本的な調剤に関するスキルアップへの前向きな姿勢があることが伺えます。業界が変わり、薬剤師に求められることが変化する今後においても、「調剤スキル」という部分は薬剤師の価値としてゆるぎないものとの見方は普遍的であることが言えるのではないでしょうか。

これからの時代で活躍する「薬剤師」とは

調剤スキルやコミュニケーション能力などを「これからの薬剤師」に必要なものと意識し、認定薬剤師の取得支援・インセンティブを薬局経営側に求める等資格取得に精力的な姿勢が見える一方で、かかりつけ薬剤師制度の算定要件を満たすために必要な24時間体制、連絡先を教えるなど、「これまでの働き方」「安全」「プライベートとのバランス」に変化が生じる可能性がある部分に対しての不安が垣間見える結果になりました。 患者さま本位を意識し、スキルの研鑽への意欲も高い薬剤師が多い一方、自分だけではどうしようもできない点に不安を覚え、かかりつけ薬剤師に「なりたくない」という意識を持たせているのでしょう。

薬剤師が医療人としての意識を高く持ち前向きに取り組んでいくことが求められる一方、こうした制度を定着させ、地域医療を総合的に支えていくためには、薬局を運営する側が担い手となる薬剤師の働きやすさ、就業環境の保全に一層取り組み、薬剤師が活き活きと働ける環境を整えることもまた、求められているのではないでしょうか。

これからの薬剤師に必要なものとは

薬剤師は医療人として知識技術、さらに患者本位の実践的な言動という3要素のバランス感覚が必要ですが、言い換えると、専門的な知識や技術をベースに、前向きに努力する気持ちを持ち、行動することが要求されると言えます。

薬剤師は、以前は医薬品や医薬品成分の体内での動態に関する知識などや、調剤技術などを身につけることが重要課題だとされてきました。 しかし、医薬分業の確立、医療制度の改変など薬剤師を取り巻く環境の変化から、より患者さまに近い存在になり、求められる仕事の内容も変化しています。

ゆえに、今後薬剤師として業界で活躍していくためには、かかりつけ薬剤師としても機能し得るような、専門性の向上、コミュニケーション能力の改善、医療チームとの連携能力、そして何より「患者さまの目線に立つ」姿勢を身につけることが求められてくるのではないでしょうか。 そして、患者さまの価値観や期待を理解し要望に応じられるよう、常に自分のキャリア開発を自立的に行っていく姿勢が大切です。

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