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  • 公開日:2019.05.10
  • 更新日:2021-11-26

薬剤師にダブルライセンスは必要?次に目指したい資格7選を紹介【薬剤師の資格入門】

薬剤師にダブルライセンスは必要?次に目指したい資格7選を紹介【薬剤師の資格入門】

薬剤師の資格を取得すれば薬事にかかわるほとんどの仕事をすることが認められていますが、来たる薬剤師飽和時代においては、薬剤師免許の価値をさらに高める資格も取得する必要があると考えられています。

この記事では、「薬剤師がプラスαの資格を持つと良い理由」や「薬剤師におすすめの専門性を磨ける資格」についてご紹介していきます。

薬剤師はより専門性を求められる時代に

薬剤師はより専門性を求められる時代に

これまで薬剤師の仕事は外来調剤が主であり、医師の処方内容の確認や服薬指導、薬歴管理を行うことが業務の中心でした。

しかし、人口の3割近くを65歳以上が占める超高齢社会において、社会保障制度および財政を維持していくために、医療や介護などの福祉サービスのあり方は変わろうとしています。

薬局や薬剤師においても、健康サポート機能や地域包括ケアシステムなどの在宅医療、さらには多職種連携への積極的な介入なども期待されている状況です。

さらに、2016年の診療報酬改定では、「かかりつけ薬剤師指導料」および「かかりつけ薬剤師包括管理料」の算定要件として、「認定薬剤師」の資格を有していることが求められるようになりました。ほかの医療関係者はもとより、国民から信頼される医療・保健衛生の担い手として、これまで以上に専門的な資格やスキルをもった薬剤師が必要とされています。

ダブルライセンスの取得で活躍の場が広がる

ダブルライセンスの取得で活躍の場が広がる

薬剤師の人数が増加傾向にあることも、押さえておかなくてはなりません。2003年以降の新設薬学部の増加によって薬学部の定員が大幅に増え、2016年には、届け出をした薬剤師の人数が調査開始以来はじめて30万人を超え話題となりました。今後も、毎年1万人を超える薬剤師が現場に出てくることや、定年の見直しなど雇用期間の延長によって、薬剤師の人数は増加し続けることが予想されています

また、2004年に薬学部が6年生課程に変更されたことも注目です。法改正により、これまでの基礎薬学が中心のカリキュラムに、医療薬学が含まれるようになりました。

これらの背景から、高度な知識や技術をもった薬剤師は今後さらに増えていきます。だからこそ、活躍の場を広げるためにも、資格の取得は積極的に行うべきなのです。

専門性を磨く資格7選!メリットや取得条件も紹介

専門性を磨く資格7選!メリットや取得条件も紹介

※各資格の取得方法は掲載日時点の情報です。

1.認定薬剤師

認定薬剤師は、「認定薬剤師制度」による一定の研修や実技を通して定められた単位を取得し、最新の知識や技術を有していると認められた薬剤師のことです。資格の取得によって専門的な知識を身につけられるだけでなく、薬剤師としてふさわしい資質を維持し、薬物治療の専門家として医療チームのなかで存在感を発揮することが期待されています

厚生労働省のガイドラインや日本薬剤師会の手引きにおいても、管理薬剤師の要件として認定薬剤師の取得が推奨されています。また、かかりつけ薬剤師指導料の要件にもなっており、様々な場面で資格が活かせるでしょう。

認定薬剤師には多くの種類があり、数多くの団体が認定を行っています。資格によって研修内容や認定期間は様々で、目的や資格を活かせる職場も難易度も異なります。たとえば、「在宅療養支援認定薬剤師」や「高齢者薬物治療認定薬剤師」などは、超高齢社会において高齢者への高度な薬物治療に活かせると期待されています。

2.専門薬剤師

専門薬剤師は、特定の専門分野において、薬物療法などに関する十分な知識と技術を有していると認められた薬剤師のことです。多くの場合は認定薬剤師を取得した後、一定期間にわたり専門分野の薬物療法に従事して経験や実績を積み、研修や講習で知識と技能を高めた後に、試験に合格することで専門薬剤師として認定されます。

(例)感染制御認定薬剤師→感染制御専門薬剤師、HIV感染症薬物療法認定薬剤師→HIV感染症専門薬剤師 など

専門薬剤師は多くの種類があり、日本病院薬剤師会が認定する「がん専門薬剤師」や「感染制御専門薬剤師」は、チーム医療が注目されるなかで存在感が高まっています

3.認定実務実習指導薬剤師

認定実務実習指導薬剤師は、公益社団法人日本薬剤師研修センター(JPEC)によって認定される資格です。薬学生が医療現場で実務実習を行う際に指導にあたることのできる薬剤師の養成を目的としています。勤務先に薬学部の実習生を受け入れられるようになるだけでなく、指導スキルの向上にも役立つでしょう。

認定実務実習指導薬剤師になるには、養成研修を修了したうえで所定の手続きによって申請が必要です。ただし、研修の受講資格として、病院または調剤薬局での実務経験が累計5年以上あり、受講する時点で3年以上継続して勤務している必要があります。

6年制の薬学部を卒業している場合は、実務経験が3年あれば研修を受講できますが、受講後の認定申請は5年以上の実務経験が要件となるため注意しましょう。

4.NR・サプリメントアドバイサー

サプリメントアドバイザーは、保健機能食品やサプリメントを一般消費者に対して啓発することを目的とした資格です。予防医学やセルフメディケーションが普及するなかで、専門的な立場から個人の栄養状態に合わせたアドバイスを行い、健康的な生活をサポートします

資格を取得するために、NR・サプリメントアドバイザーの場合は日本臨床栄養協会の会員となり、通信教育による受講や日本臨床栄養教会学術大会への参加をするなどして研修単位を取得したうえで、年1回実施される認定試験に合格する必要があります。

▼参考サイトはコチラ
一般社団法人日本臨床栄養協会

5.日本糖尿病療養指導士

糖尿病療養指導士とは、糖尿病治療を行っている患者さま一人ひとりの体質や罹病期間、合併症などの様々な要因を考慮した上で、個々に適したケアを提供することのできる有資格者のことです。栄養指導や糖尿病教室などを行うこともあり、薬剤師だけでなく、看護師や理学療法士といった医療関係者も取得可能です。

資格を取得するためには、所定の条件を満たした医療施設において、過去10年以内に2年以上継続して糖尿病患者の療養指導業務に従事しており、かつこの間に通算1,000時間以上糖尿病患者の療養指導を行っている必要があります

加えて、講習会の受講や糖尿病療養指導の自験例10例を有し、一般社団法人日本糖尿病療養指導士認定機構が開催する講習(eラーニング)の受講を修了したうえで、認定試験に合格しなくてはなりません。勤務している施設によっては、資格要件を満たすことが困難ですが、試験自体の難易度はそれほど高くないでしょう。

6.ケアマネージャー(介護支援専門員)

ケアマネージャーは、介護保険制度に基づいてケアマネジメントを行うための資格で、正式名称は「介護支援専門員」です。要介護者等からの相談に応じ、適切なサービスを利用できるようにケアプランを作成します。要介護認定業務や給付管理業務、要介護者本人とその家族からの相談業務も重要な役割です。

資格を取得するためには、年1回実施される試験に合格しなくてはなりません。介護福祉系資格のなかでは難関資格の一つとされており、合格率は20%程度で推移しています。

以前は薬剤師の資格があれば免除となる科目がありましたが、2015年以降はこの科目免除は廃止されています。

7.メディカルアロマセラピスト

メディカルアロマセラピストとは、病院や福祉施設などの医療関係の現場やサロンなどにおいて、アロマを使用した処置を行う有資格者のことです。一般的な医療行為では取り除くことのできない、患者さまの苦痛やストレスなどを軽減させることが期待されています

資格を取得するためには、日本アロマセラピー統合医学協会が指定するスクールにおいて、4ヶ月程度の授業を受ける必要があります。入学金および授業料として20~40万円程度が必要ですが、一部の実技を除きオンライン受講が導入されるなど、以前に比べると取得のハードルは下がりつつあります。

資格を取得して、今後も求められる薬剤師を目指そう

薬剤師が資格を取得すべき理由や、おすすめの資格について解説していきました。医療業界が変わろうとしているなかで、薬剤師にはさらなる専門的スキルが求められるようになりつつあります。

また資格取得により、ダブルライセンスで薬剤師飽和の時代を乗り切るという選択も可能になります。転職においても、資格を複数もっていることにより、自己研鑽をアピールすることができるでしょう。

この記事を参考にして、資格の取得を検討してみてください。

執筆者:ヤス(薬剤師ライター)

新卒時に製薬会社にMRとして入社し、循環器や精神科からオンコロジーまで、多領域の製品を扱う。

現在は患者さまと直に接するために調剤薬局チェーンに勤務しながら、後進の育成のために医薬品のコラムや医療論文の翻訳など、多方面で活躍中。

記事掲載日: 2019/05/10

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