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2021.09.08

【薬剤師向け】「エブリスディ(リスジプラム)」とは?脊髄性筋萎縮症に対する承認を得た新薬を解説

【薬剤師向け】「エブリスディ(リスジプラム)」とは?脊髄性筋萎縮症に対する承認を得た新薬を解説

エブリスディ®ドライシロップ60mg」(一般名:リスジプラム)は、脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する治療薬として、2021年6月に国内で承認されました。脊髄性筋萎縮症(SMA)は指定難病として知られる疾患。本剤は在宅での治療が可能な初の経口薬として乳児から成人にわたり有効性を示しており、新たな治療の選択肢として注目を集めています。

この記事では、脊髄性筋萎縮症症(SMA)やエブリスディの概要、今後の動向について、詳しくみていきます。

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脊髄性筋萎縮症(SMA)とは

脊髄性筋萎縮症(SMA)とは

脊髄性筋萎縮症(Spinal Muscular Atrophy: SMA)とは、脊髄の前角にある運動神経細胞の病変によって起こる、神経原性の筋萎縮症をあらわしています。筋萎縮性側索硬化症(ALS)と同じく運動ニューロン病の範疇に入り、指定難病の1つに指定される病気です。

原因は、運動神経細胞生存(Survival Motor Neuron:SMN)タンパクの欠損につながる5番染色体の変異です。運動ニューロンの正常な機能の維持にはSMNタンパクが必要ですが、これは通常SMN1遺伝子から作られています。SMA患者では、SMN1遺伝子の機能不全により、重複遺伝子であるSMN2遺伝子からSMNタンパクが作られます。しかし、SMN2遺伝子のみでは十分な量・機能性のSMNタンパクが作られず、SMAの症状があらわれるのです。

おもな症状は体幹や手足の近位部優位の筋力低下や筋萎縮で、一般には知的な異常は伴いません。運動症状の程度は個人差がありますが、小児期に発症するⅠ型(重症型)、Ⅱ型(中間型)、Ⅲ型(軽症型)および、成人期以降に発症するⅣ型に分類されています。乳幼児では致死的な遺伝性疾患で、罹患率は10万人あたり1〜2人です。

病型にもよりますが、以前までの治療は、筋力症状に対するリハビリテーションや呼吸合併症に対する呼吸管理、栄養学的合併症に対する咀嚼および嚥下の補助、経管栄養などの対症療法がおもな治療でした。しかし、近年新しい治療薬が登場し、病型や症例によっては劇的な改善を認める例も増えています。

エブリスディ(リスジプラム)とは?

エブリスディ(リスジプラム)とは?

エブリスディは、脊髄性筋萎縮症(SMA)に対して在宅での治療が可能な初の経口薬として注目を集めている薬剤です。ここではエブリスディの概要や臨床研究について詳しく見ていきましょう。

エブリスディ(リスジプラム)について

エブリスディ®ドライシロップ60mg」(一般名:リスジプラム)は、スイスのロシュ社によって開発された、脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する初の経口治療薬です。国内では中外製薬株式会社が2021年6月に承認を取得し、8月に薬価収載されました。収載時の薬価は、1瓶あたり974,463.70円です。

有効成分リスジプラムは、SMN2 mRNAの選択的スプライシングを特異的に修飾することで、機能性SMNタンパクの産生量を増加させる働きがあります。SMA患者ではSMNタンパク量が不足しているため、中枢神経系及び全身のSMNタンパクレベルが上昇し、症状が改善されると考えられています。

現在発売されている他のSMAに対する治療薬は、米・バイオジェンのアンチセンス核酸医薬「スピンラザ」(一般名:ヌシネルセンナトリウム)が2017年7月に、スイス・ノバルティスの遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」(一般名:オナセムノゲン アベパルボベク)が2020年3月に承認されました。

臨床研究

エブリスディは、乳児期発症型および遅発型脊髄性筋萎縮症(SMA)患者を対象にした、2件の臨床試験の結果に基づいて承認が行われました。

症候性のI型SMAの乳児を対象に実施されたFIREFISH試験では、生後2ヶ月以上7ヶ月以下のI型SMA患者41例において、主要評価項目である12ヶ月時点で支えなしで5秒以上座位を保持できた乳児の割合は29.3%(12/41例)でした。この結果は事前に規定した5%の達成基準を優位に上回っています。また、生存率の改善や経口の栄養摂取能力の向上、人工呼吸器の永続的な使用の必要性減少も継続して示されました。

Ⅱ型およびⅢ型SMAの小児および若年成人を対象に実施されたSUNFISH試験では、2歳以上25歳以下のⅡ型及びⅢ型SMA患者180例において、投与開始12ヶ月時点のMFM-32(Motor Function Measure 32)の合計スコアによる運動機能評価を行いました。ベースラインからの平均変化量は、本剤群(120例)では1.36であったのに対して、プラセボ群(60例)では-0.19であり、本剤群ではプラセボ群と比較して、統計学的に有意な運動機能の改善がみられています。

エブリスディ(リスジプラム)の効果や副作用、用法用量は?

 エブリスディ(リスジプラム)の効果や副作用、用法用量は?

ここでは、効能および効果、用法用量、副作用について、確認していきます。

効能または効果

脊髄性筋萎縮症(SMA)

用法用量

通常、生後2ヶ月以上2歳未満の患者にはリスジプラムとして、0.2mg/kgを1日1回食後に経口投与する。

通常、2歳以上の患者にはリスジプラムとして、体重20kg未満では0.25mg/kgを、体重20kg以上では5mgを1日1回食後に経口投与する。

副作用

添付文書によると、発疹(3%以上)、皮膚変色、上気道感染(3%未満)、下痢、口腔内潰瘍形成(頻度不明)などの副作用が報告されています。

エブリスディについて、今後の動向は?

 エブリスディについて、今後の動向は?

エブリスディは、脊髄性筋萎縮症(SMA)では初の経口薬として、米国では2020年8月に、欧州では2021年3月に承認が取得されました。米国で販売を行うロシュ社の発表によると、米国では発売から8ヶ月で15%のシェアを獲得しています。日本国内では中外製薬株式会社が2021年6月に承認を取得し、8月に薬価収載されました

従来の治療薬は髄腔内投与や点滴静注によって用いられるため、頻回の通院が必要となる場合がありましたが、経口投与が可能な本剤は在宅での治療が可能となり、患者のQOL向上が期待されています。日本においても米国と同様に、エブリスディが重要な治療選択肢の1つとなるでしょう。

日々更新される情報を取り入れ、知識のアップデートを

この記事で、脊髄性筋萎縮症(SMA)やエブリスディの概要、今後の動向について、詳しく確認できたのではないでしょうか。SMAの根本治療は未だに確立していませんが、治療薬の登場により、劇的な改善を認める症例も増えてきました。経口投与可能なエブリスディが臨床使用可能となり、患者さまにとって重要な治療選択肢が増えることが期待されています。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2021/09/08

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