キャリア&スキルアップ
  • 公開日:2020.11.24

薬剤師として大学病院に勤めたい!その魅力ややりがい、転職活動のポイントを解説

薬剤師として大学病院に勤めたい!その魅力ややりがい、転職活動のポイントを解説

薬剤師界の花形とも言われる大学病院勤務の薬剤師。大学病院では、最新医療の研究や教育機関としての役割も担うため、自身のスキルアップを目指して転職を考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、大学病院の薬剤師といっても、幅広い仕事があり、所属部署によって業務内容は大きく異なります。

そこで今回は, 病院薬剤師として大学病院への転職を目指している方に向けて、大学病院で働く薬剤師の仕事内容、メリットや気になる年収、さらに転職活動のポイントについてご紹介します。

病院・クリニック求人も多数ご用意♪希望の職場が見つかるかも 病院薬剤師の求人特集

大学病院における薬剤師の仕事内容とは?

大学病院における薬剤師の仕事内容とは?

大学病院の薬剤師の仕事は、それぞれの部署ごとに役割があります。例えば、入職1年で様々な部署を一通り経験し、そののち、適正や本人の希望などを考慮して配属先を決めるところもあるようです。病院によっても違いはありますが、大学病院の仕事内容にはどのような業務があるのかを詳しくみていきましょう。

調剤

調剤業務は病院薬剤師の業務の大半を占める重要な仕事です。大学病院の処方箋には大きく分けて「院内処方」と「院外処方」の2つがありますが、病院薬剤師はどちらにも関わっています。

院内処方:処方箋に基づく調剤を院内で行う
院外処方:処方箋を発行し、院内では調剤は行わない

院外処方を発行しない病院であれば、外来患者の院内処方箋の調剤を病院薬剤師が行います。また、病院では通常の内服薬や外用薬などの調剤だけでなく、院内で使用する注射剤や無菌製剤、化学療法の混注などを扱う機会も多くあります。調剤薬局と比べて扱う薬剤の種類が多くなるため、専門知識や専門的な技術が求められます

さらに、薬剤部では外来の院外処方に対する調剤薬局薬剤師からの問い合わせに応じることもあります。このように、薬剤師は院外・院内処方を問わず、病院が扱うすべての医薬品や処方に対して関与するのです。

医薬品管理

大学病院内には薬務部門など医薬品の品質管理や安定供給を行う部門が設置されています。院内での採用医薬品は数千種類にもおよぶことがあり、採用品目の管理、附属施設間での採用品目の統一などは病院の薬剤費抑制のためにも大切な業務です。新規採用品目を決定する場合には、院内で行われる会議に用いる資料作成や情報収集などを行うこともあります。

さらに、薬局では在庫管理も非常に大事な業務です。病院薬剤師は院内の薬品の在庫管理を行い、発注や払い出し、帳簿管理、使用期限の管理や確認なども行います。

院内製剤

市販されている薬剤では効果が得られないことや、形状を変更しなければ患者さまに使用できない場合もあるため、院内のニーズに応じて薬剤を調製する部門があります。薬剤師は科学的な妥当性だけではなく、倫理的な観点も考慮しながら院内製剤の調製を行っているのです。臨床の知識に加えて、幅広い薬学的な知見も集結させる必要がある高度な業務といえるでしょう。

DI業務

医薬品情報室は、DI室(Drug Information)と呼ばれる医薬品の情報を扱う部門のことです。大学病院にはDI室が設置されていて、専門の薬剤師が配属されます。医薬品の適正使用のため、日々更新される情報を収集し、正しく評価して、現場への情報伝達を行います。医師から文献情報などを求められた際に、特定の医薬品の適応外使用や臨床実績などを調べることも。また、病院にもよりますが、院内で発生した副作用情報を収集して厚生労働省へと報告する場合もあります。

▼参考記事はコチラ>薬剤師の仕事の一つ「DI業務」とは?

治験

病院薬剤師特有の業務として、治験関連の仕事があります。とくに大学病院は研究を兼ねた医療機関であるため、一般病院と比べて治験が盛んに行われています。

新薬などの臨床試験を行う場合には、「臨床試験実施の基準に関する省令(Good Clinical Practice;GCP)」を遵守しなければなりません。薬剤師にはGCPにより医療機関にて治験を実施するチームの一員として治験薬の管理、治験責任医師・治験担当医師などの業務支援や治験実施計画書(プロトコル)に則って治験が行われているかを確認する義務があります。治験に関わる薬剤師は治験コーディネーター(Clinical Research Coordinator;CRC)として、治験の柱となる調整役を担っているのです。

薬剤師として大学病院に勤めるメリット

薬剤師として大学病院に勤めるメリット

病院薬剤師の職場には、大学病院や一般病院、診療所・クリニックなど豊富な選択肢があります。では、薬剤師として大学病院で働くメリットには何があるのでしょうか?

様々な知見をもつ異業種とのチーム医療を経験できる

大学病院には、薬剤師だけでも病棟薬剤師、DI担当の薬剤師、CRCなどの職種があります。さらには薬剤師のほかにも最先端の医療に携わる医師、看護師、理学療法士、臨床検査技師などのスタッフが在籍し、それぞれの専門分野で活躍しています。調剤薬局や小規模な病院では経験できない、チーム医療に携わることが病院薬剤師の仕事の醍醐味と言えるでしょう。また、薬剤師はチーム医療のなかで医薬品の専門家としての機能を発揮することが求められ、薬剤の使用においてほかの職種にアドバイスや提案を行う場合もあります。適切な薬物治療を行うためには、薬剤師による治療計画への参加、安全性のモニタリングなどが不可欠です。

各分野のスペシャリストから仕事を学べる環境がある

大学病院には、医師や看護師、また薬剤師についても各分野のスペシャリストが揃っています。そのため、がん専門の医師や感染症専門の医師など、それぞれの分野の専門家である教授から業務を通して知識を学び深めることができるのです。また、緩和ケアのプロである看護師からは、患者さまへの心理面の配慮など薬剤師としても必要なスキルを学ぶ機会も多いでしょう。

▼参考記事はコチラ
『がん専門薬剤師』とは?がん治療のスペシャリストになる方法などを徹底解説【薬剤師の資格入門】
『感染制御認定薬剤師』とは?概要や資格取得方法を解説【薬剤師の資格入門】

高度な知識が必要となる大学病院では、病院のニーズに応じてがん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師などの認定資格を取得する人も増えています。専門性の高い先輩薬剤師が身近にいることは、プロフェッショナルを目指す薬剤師にとって、良い刺激となることでしょう。

様々な臨床経験を積める

様々な疾患に対応する大学病院では、多くの臨床経験を積むことができます。とくに大学病院の場合は、がんの化学療法に用いる抗がん剤、緩和ケア用の麻酔剤など、調剤薬局と比べて扱う薬剤の種類が豊富です。また、重篤度の高い患者さまに対しては、入院患者の血中濃度管理や服薬状況のチェック、副作用のモニタリングなど、薬剤師としての職能を発揮する機会が多くあるでしょう。

自分の得意分野を活かした配属先で経験を積める

大学病院で勤務する薬剤師数は、多いところで100名を超えるところも。人数が多いだけに、それぞれが得意分野を活かし、専門的な知識を持って働くことが求められます。たとえば、がん専門薬剤師を取得して、がん治療のプロフェッショナルを目指したい方にとっては、大学病院はやりがいのある環境が整っています。得意分野を活かしたい、経験を積んで専門性を高めたいなどの意欲がある方に適した職場といえるでしょう。

大学病院勤務の薬剤師の年収は?

ここでは、大学病院で働く薬剤師の年収について見ていきしょう。大学病院とはいっても、国公立大学の施設なのか、私立大学の施設なのかによって年収は異なります。

国家公務員給与表に基づき初任給が定められている国公立大学の場合、病院等に勤務する公務員薬剤師は医療職俸給表(二)を基準として給与が決まります。そのなかで薬剤師の初任給は月収約20万円程度とされており、賞与や各種手当を含めると年収は300万円程度です。

一方私立大学の場合は、病院によって給料水準が異なり、月収では数万円程高くなる傾向がみられ、年収にすると350万円程度。これらの情報から私立大学の方が年収は高いと考えられがちですが、そのあとの昇給率や賞与、各種手当などを踏まえると国公立の方が生涯年収で考えると高くなることも十分にありえるでしょう。

また、調剤薬局などの薬剤師の平均的な初任給と比べると、大学病院勤務の年収は低めの水準と感じる方は多いかもしれません。しかし、勤続年数で年収が上がっていくことや賞与などを考慮すると、ほかの職種と比べても生涯年収に大きな開きはありません。

大学病院で働きたい!転職活動のポイント

大学病院で働きたい!転職活動のポイント

大学病院で働きたいと思う一方で、募集の少ない大学病院への転職はなかなか難しいもの。転職するときには次のポイントを確認したうえで転職活動を行いましょう。

大学病院に狭めず転職先を考える

大学病院は基本的に新卒採用が多く、なかなか中途採用の募集がかかることはありません。そのため、中途採用枠を狙っての転職活動は、狭き門であるといえるでしょう。多くは現職の薬剤師が何らかの理由で退職し、欠員が出た場合に募集がかかるケースがほとんどです。そのため、気になっている病院があれば、こまめにチェックしておきましょう。また、運よく募集が出ても希望通りに転職できるとは限らないので、大学病院にこだわり過ぎず、広い範囲で転職先を考えることも大切です。

情報収集をマメに行う

新設する病院では大規模な募集がかかることもあるため、幅広く情報をチェックしておきましょう。また、国公立大学の附属病院の場合は地方に分院があることもあるので、視野を広げて探すと募集が見つかる可能性も高まります。 いずれにしても、大学病院の中途採用のチャンスを掴むためには、情報収集が第一です。募集が出た場合にはすぐに動けるよう準備しておき、効率よくスピーディーに情報を入手する環境を整えておきましょう。 しかし、普段の仕事を続けながら情報収集をするのはなかなか難しいもの。自分ひとりでは時間も手間もかかるため、薬剤師専門の転職コンサルタントの力を借りるのも手段のひとつです。転職コンサルタントを活用し、貴重な求人情報や臨時募集などの見逃しがちな情報を探してもらうことがおすすめ。大学病院からの少ない求人情報を効率よく入手するためにも、転職コンサルタントの活用を考えてみてはいかがでしょうか。

情報収集とスピード感のある転職活動がカギ

今回は、大学病院での薬剤師の仕事内容から、転職のポイントまでをご紹介しました。薬剤師ならば一度は憧れる大学病院の薬剤師。しかし、実際は思っている以上に業務が幅広く、専門性を求められる仕事であることが理解いただけたのではないでしょうか。

大学病院の薬剤師の中途採用の枠は、決して大きくはありません。しかし、情報を効率よくアップデートし、スピード感をもって転職活動を行うことで、憧れの大学病院で働けるチャンスを掴めるかもしれません。

ひとりで行う転職活動には、限界があります。転職に悩んだら、ぜひ転職コンサルタントを活用してみてくださいね。

<Web面談OK>ご相談だけでも大歓迎!まずはお気軽にお問い合わせください 個別お仕事相談会

ファルマラボ編集部

「業界ニュース」「薬剤師QUIZ」 「全国の薬局紹介」 「転職成功のノウハウ」「薬剤師あるあるマンガ」「管理栄養士監修レシピ」など多様な情報を発信することで、薬剤師・薬学生を応援しております。ぜひ、定期的にチェックして、情報収集にお役立てください。

記事掲載日: 2020/11/24

あわせて読まれている記事