お役立ち情報
  • 公開日:2010.09.28

バッタが人類を救う?多剤耐性菌への対策

薬剤師の皆さん、こんにちは!
最近ニュースでよく見かける「多剤耐性菌」の問題が深刻化しています。
多剤耐性菌とは、多くの抗生物質がきかなくなった細菌です。
からだの抵抗力が落ちているときなどには、多剤耐性菌による感染症にかかることがあり、
この場合、抗生物質がきかないため、治療が難しくなっています。

そんな抗生物質の効かない多剤耐性菌については、どのように対策をしたら良いのでしょうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
バッタが人類救う?脳組織に耐性菌死滅作用 英大学発表

ゴキブリやバッタの脳組織に強力な殺菌作用があることを、英ノッティンガム大の研究チームが
突き止め、英総合微生物学会で発表しました。
薬剤が効かない多剤耐性菌が問題になる中、チームは新たな抗生物質の候補として期待を
寄せています。

熱帯から亜熱帯に分布するワモンゴキブリと、農業被害をもたらすサバクトビバッタの組織を使い、
耐性菌のMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や病原性大腸菌への効果を調べました。
その結果、ゴキブリ、バッタとも筋肉や脂肪などに殺菌作用はなかったけれど、
脳や神経などの組織は細菌を90%以上死滅させたといいます。

9種類の抗菌性たんぱく質を発見し、多剤耐性アシネトバクターなど、抗生物質がほとんど効かない
細菌への効果も調べているとのこと。
チームは「清潔ではない所にすむ昆虫が、多様な細菌から身を守る力を持つのは当然だ」と話しています。

この発見が、新しい抗生物質の開発に実際に結びつくかは不明ですが、
チームの研究者らは「5〜10年後には臨床試験し、製品化を目指したい」と意欲を見せています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


多剤耐性菌問題に効くとして期待が高まりますが、
臨床試験の実施は5〜10年後を目指している段階ですので、
実際に現場で使用できるようになるのは、もっとずっと先のお話となりそうです。


日本の病院では、
院内感染防止マニュアルにより、多剤耐性菌に患者が感染しないよう対策を立てています。
しかし、普段の生活の中で最も危険なのは、
風邪などにかかり、以前、医師から処方され残っていた薬を飲んでしまった場合、
多剤耐性菌で症状を悪化させてしまうことだそうです



国立感染症研究所の専門医によると・・・
○膀胱炎を引き起こす細菌に多剤耐性菌が混じっていた場合、抗生物質で他の細菌が死滅すると、
 多剤耐性菌だけが増えやすい環境になる。 
○爆発的に増えた多剤耐性菌は、腎臓にまで炎症を引き起こし、そこから血液に乗って敗血症に
 なることもある。
○処方された薬を途中で飲むのを止めると、耐性菌が増える可能性がある。
  ⇒細菌やウイルスは、体内で生き延びるために変異する。抗生物質を飲むのを途中で止めたり、
    薬の量を減らすと、生き延びた細菌やウイルスが、薬に対する耐性遺伝子を獲得し、
    耐性菌として生まれ変わってしまう 
○薬の飲み方で、過去に多剤耐性菌を増やしてしまった病気としては、結核が有名。


一般の方が多剤耐性菌を防ぐには、『薬の飲み方』に注意する必要があるとのことで、
薬局に訪れる患者さんからもお問い合わせがあるかもしれませんね。

皆さんのお勤め先での対策は十分でしょうか?十分にご注意くださいね。

 

ファルマラボ編集部

「業界ニュース」「薬剤師QUIZ」 「全国の薬局紹介」 「転職成功のノウハウ」「薬剤師あるあるマンガ」「管理栄養士監修レシピ」など多様な情報を発信することで、薬剤師・薬学生を応援しております。ぜひ、定期的にチェックして、情報収集にお役立てください。

記事掲載日: 2010/09/28

あわせて読まれている記事