転職するときに離職票は必要になる？

薬剤師の転職事情

薬剤師の転職で離職票を提出する必要はあるのでしょうか？転職を検討している薬剤師のための「離職票の基礎知識」をお伝えします。

■離職票は必須の書類ではありません

離職票は転職の際に必須となる書類ではありませんが、ごく一部の会社では提出を求められるケースがあります。何度か転職をしている薬剤師なら、提出を求められた会社とそうでない会社があったかもしれません。中には「一度も提出を求められた経験はない」という方もいるでしょう。

会社ごとに転職時の手続きに違いがあると戸惑ってしまいますが、人事や総務の考え方次第で変わってきます。どうして提出する必要があるのか、どんな目的で使うのかなど、理由や使用用途を正しく理解することが大切です。

■離職票は失業保険を受け取るために必要となります

そもそも離職票とは「失業手当を受けるための書類」で、退職日から10日前後経過した頃に交付されます。離職票には2種類あり、それぞれ以下のような役割があります。

＜離職票-1＞：失業手当を振り込む金融機関を指定するものです。

＜離職票-2＞：会社が提出している退職理由と直近6ヶ月間の給与が書かれているものです。失業手当の支給額と期間を明確にするために必要となります。

失業手当の支給を念頭に置く書類なので、会社を辞めてすぐ転職が決まっている場合には、発行しなくても問題はありません。ただし、冒頭で説明したように、転職先に提出を求められることがありますのでもらっておくと安心です。

また、万が一、転職後すぐに辞めてしまった場合は、前職の離職票をあわせてハローワークに提出し、失業保険の支給を受けることとなります。その際に手元にないと、このタイミングで連絡する必要があるので、面倒なやりとりを避けるためにも退職時に受け取ることをオススメします。

■離職票を転職企業へ提出する義務はありません

転職先から離職票の提出を求められることがありますが、法的手続きに必須というわけではありません。ハローワークに提出してしまったなど、書類が既に無い場合は、代用書類で対応できないか確認してみましょう。そもそも、提出義務がないことを企業もわかっているので、ある程度までは柔軟に対応してくれるはずです。

転職先の企業が離職票を欲しがる理由として、雇用保険被保険者番号や年金番号など、入社に必要な情報を確認するためなどの理由が考えられます。この理由であれば他の書類で代用する方法で対処できます。実務的にも雇用保険被保険者証を使うのが一般的なので、離職票の確認はいりません。

ごくまれに薬剤師が確かに退職しているかを確かめるため、離職票の提出を求めるケースがありますが、この場合もハローワークに出したことを伝えれば大丈夫です。

■離職票が届かない場合は連絡しましょう

すぐに転職が決まらず失業手当を受けたい薬剤師にとって、ある程度待っても離職票が届かないと不安ですよね。早く手続きをしないと失業保険支給条件が変わってくるリスクもあるので、2週間過ぎても離職票が届かない場合には念のため退職した職場へ確認をしましょう。

催促したものの状況が変わらない薬剤師は、ハローワークで離職票が届かないことを説明しましょう。状況を踏まえた上で、ハローワークから退職した職場へ催促をしてくれると手続きがスムーズに進むことが多いです。それでも送ってもらえないようなら、ハローワークが主導権をとり、交渉することになります。

公的機関が前面に立つことになると、企業として無視し続けることは難しくなります。小規模な薬局や病院では総務の処理が遅れることがあり、退職者の事務処理が滞るリスクがあります。離職票のような重要書類の発行が遅れることは稀ですが、念のため頭に入れておきましょう。