- 公開日:2025.12.25
【派遣薬剤師の働き方】デメリットや対策方法、派遣会社はどう選ぶ?

「高時給」「好きな時間・曜日で働ける」など、派遣薬剤師の働き方について興味はありつつも、「実際はどうなの?」「自分に合うのかな」「契約面や将来が不安...」と、不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
本記事では、派遣薬剤師の正社員・パートとの違いから「なぜ高時給なのか」や、実際に感じやすいデメリットとその対策、派遣の働き方に関する法制度まで、コンサルタント目線で解説していきます。
実際に派遣薬剤師として働く方のモデルケースや、派遣会社の見極めポイントも踏まえながら、派遣という選択を"良し悪し"で片づけず、あなたの生活や将来像、大切にしたい条件を見つめ直し、今後のキャリアを考えるヒントとしてお使いください。
- 派遣薬剤師とは?正社員・パートの働き方との違いを比較
- なぜ派遣薬剤師は高時給?
- 【業種別】派遣薬剤師の募集背景や働き方の比較
- 派遣薬剤師のデメリットは?
- 派遣会社はどう選ぶ?見極めポイントを解説
- 高時給で柔軟な働き方が目指せる!派遣薬剤師のメリット4選
- 【成功事例】派遣薬剤師として転職したモデルケースをご紹介
- 派遣薬剤師に向いている人・向いていない人
- 派遣薬剤師のメリット・デメリットを知り、自分に合う働き方を見つけることが大切
派遣薬剤師とは?正社員・パートの働き方との違いを比較

派遣薬剤師とは、派遣会社と雇用契約を結び、薬局や病院などの派遣先で働く薬剤師のことです。勤務時間や勤務地を柔軟に選べるため、育児や家庭との両立、短期間でのスキルアップなど、自分のライフスタイルに合わせた働き方がしやすい点が特徴です。
派遣の働き方と、正社員・パートの働き方との違いは主に以下のとおりです。
| 雇用形態 | 雇用主 | 契約期間 | 平均給与※ | ボーナス・退職金の有無 |
|---|---|---|---|---|
| 正社員 | 勤務先の薬局・病院など(直接雇用) | 無期契約 | 年収590万円 | ボーナス・退職金あり(勤務先規定による) |
| パート | 勤務先の薬局・病院など(直接雇用) | 無期契約が一般的(ただし会社による) | 時給2,285円(扶養内パート含む) | ボーナス・退職金なし(ケースによる) |
| 派遣薬剤師 | 派遣会社が雇用主 | 有期契約がほとんど(一部例外あり) | 時給3,277円 | ボーナス・退職金なし(派遣会社による) |
※2025年7月31日時点のファルマスタッフ掲載求人をもとに、上限時給の平均値を算出
派遣薬剤師と正社員・パートの働き方には、以下の3つに明確な違いがあります。
- 雇用主
- 契約期間
- 待遇(ボーナス・退職金)
雇用主
正社員やパート薬剤師は、働く薬局や病院と直接雇用契約を結びます。一方、派遣薬剤師の雇用契約の相手は勤務先ではなく"派遣会社"です。そのため、社会保険や福利厚生の内容、給与の支払い元も派遣会社になります。勤務場所は派遣先の薬局や医療機関ですが、雇用に関する手続きやサポートは派遣会社が担う点が大きな特徴です。
契約期間
派遣薬剤師の働き方は、基本的に「有期契約」が前提です。初回は1ヶ月程度の短期間で契約し、その後は2〜3ヶ月ごとに更新するケースが一般的です。更新の有無は、派遣薬剤師の希望だけでなく派遣先の状況にも左右されるため、次の契約期間や働き方については、派遣会社の担当コンサルタントと相談するとよいでしょう。
待遇(ボーナス・退職金)
派遣薬剤師の場合、ボーナスや退職金が支給されないことが多いです。その代わりに時間給が高く設定されている傾向があり、年間の総収入で見ると正社員と大きく差が出ないケースも少なくありません。
短期間で効率よく収入を得たい方や、柔軟に働きたい方にとっては、魅力的な選択肢と言えます。
なぜ派遣薬剤師は高時給?

派遣薬剤師は、パート薬剤師と比べて高時給な点が特徴です。背景として、以下のような事情が挙げられます。
- 即戦力を求める医療機関が多い
- 早急に人手不足を解消したい
以下、理由と時期ごとの需要傾向を解説します。
即戦力を求める医療機関が多い
派遣薬剤師は、入職直後から現場対応ができる即戦力であることが前提です。新人教育や研修に割ける時間や人員が限られる職場では、すぐに調剤や服薬指導を担える人材を必要としています。
そのため、現場にスムーズに溶け込み、即時対応できるスキルや経験を持つ人材ほど価値が高く、それに伴って時給相場も高くなるケースが一般的です。
早急に人手不足を解消したい
急な欠員や繁忙期による増員など、短期間で人手を確保しなければならない状況では、通常より条件を引き上げて募集する必要があるため、高時給の求人が増加する傾向にあります。
特に冬場(11月〜3月)は風邪やインフルエンザの流行により薬局の業務が繁忙となり、派遣需要が増加します。この時期は選択肢も多くなる反面、繁忙な職場に入ることも多くなります。
また、新年度早々(4〜5月)は、一見すると新卒薬剤師の入社によって充足する時期に見えます。しかし、実際には新卒薬剤師の研修期間が約2〜3ヶ月必要となるため、即戦力として現場に立てる人材は不足しがちです。
このように、冬場から新年度早々の時期は派遣薬剤師へのニーズが高いため、冬場からの就業を1〜2回延長して5月頃まで勤務が続くケースも多く見られます。研修対応に人材や時間が割かれるため、派遣薬剤師に丁寧な指導を行う余裕がなく、即戦力として独立して動ける人材が求められる傾向にあります。
【業種別】派遣薬剤師の募集背景や働き方の比較

派遣先の業種によって、募集の背景や求められる働き方には違いがあります。ここでは、各業種ごとの募集背景や一般的な働き方、担当する業務の特徴を整理してご紹介します。
調剤薬局
調剤薬局では、繁忙期の増員や退職者の後任確保、産休・育休の代替などが主な募集背景です。
勤務形態は週40時間のフルタイムが主流ですが、週1回の短時間派遣なども増えつつあります。業務内容は投薬、特に服薬指導の比重が高く、患者さまへの対応力や調剤・説明などにおける正確性と丁寧さが求められます。
病院
病院派遣は基本的に禁止されていますが、産休・育休・介護休業の代替など、条件を満たした場合のみ勤務が可能です。一方で、一定期間派遣として勤務したのち、双方が合意すれば直接雇用へ切り替えられる「紹介予定派遣」が利用できるケースもあります。ただし、その場合の派遣期間は最長6ヶ月と定められています。
業務内容は主に調剤業務で、院内の医療チームの一員として正確に薬を調製・管理する能力が求められます。勤務形態は週40時間のフルタイムが基本で、当直や夜勤業務はほとんどありません。派遣期間が限定的なことが多いため、短期間で即戦力として活躍できるスキルが重視されます。
ドラッグストア
調剤薬局と同様に繁忙期の増員や退職者の後任確保、産休・育休代替などが募集背景です。
勤務形態はフルタイムが多く、投薬・服薬指導を中心に1人勤務のシフトも発生する可能性が高いことが特徴です。
そのため、こうした勤務体制を了承できるか・自立して業務をこなせるスキルの有無がポイントとなります。店舗によって業務環境は異なるため、事前に条件や勤務体制の確認をしておくことが大切です。
派遣薬剤師のデメリットは?

派遣薬剤師として働く場合、契約期間が定められているため、長期的な教育や昇進機会は限られる傾向にあります。
- キャリアアップ・スキルアップが難しい
- 福利厚生が充実していないことがある
- 次の職場がすぐに決まらない可能性がある
- 職場が変わるたびにルールを覚える必要がある
- 契約期間が短い
ここでは、各デメリットが起こり得る背景や、事前にできる対策について解説します。
キャリアアップ・スキルアップが難しい
派遣薬剤師として働く場合、契約期間が定められているため、長期的な教育や昇進機会は限られる傾向にあります。
こうしたデメリットを補うためには、「条件」だけでなく「目的意識」をもって派遣先を検討することが大切です。
- 今どのようなスキルを伸ばしたいのか
- どのような現場で経験を積みたいのか
- 将来どのようなキャリアを築きたいのか
これらを明確にしたうえで派遣先を選ぶことで、自身の成長に結びつけることができます。
スキル面の不安を感じる場合は、研修制度や資格支援制度が整っている派遣会社を選ぶのが有効です。在宅医療やOTC販売など、分野別の研修を提供している会社も増えており、派遣でも学び続けられる環境が整いつつあります。
派遣薬剤師は即戦力として求められる反面、短期間で多様な経験を積めるチャンスでもあります。学び方次第でキャリアの幅を広げられる働き方と言えるでしょう。
福利厚生が充実していないことがある
派遣薬剤師は派遣会社と雇用契約を結ぶため、福利厚生は勤務先ではなく派遣会社の制度を利用します。派遣会社ごとに福利厚生の内容や充実度は大きく異なるため、派遣登録のタイミングでしっかり確認しておくことが重要です。
特に、以下のポイントは派遣薬剤師の働き方に直結するため、事前にチェックしておくと安心です。
- 社会保険の加入条件
- 有給休暇の発生時期
- 各種手当・制度の有無
- 給与の支払い回数・支払日
事前に制度内容をしっかり確認し、不明点は担当コンサルタントに質問しておくことで、働き始めてからのミスマッチを防ぐことにつながります。
次の職場がすぐに決まらない可能性がある
派遣薬剤師は契約期間が定められており、契約終了後に次の職場がすぐに決まらないケースがあります。特に、地方エリアでの勤務や高時給・短時間勤務など条件を絞る場合は、求人が限られてしまうため空白期間が生じ、収入やキャリアの不安につながる点は、派遣薬剤師のデメリットのひとつです。
ただし、このデメリットは以下のような対策で軽減できる場合があります。
- 契約満了の1〜2ヶ月前に次の案件紹介を依頼する
- 複数の派遣会社に登録しておく(求人・条件の幅を広げる)
- 勤務地・勤務時間・時給などを柔軟に設定する
求人は時期によっても増減があり、特に5月〜10月は閑散期とされるため、この時期に契約更新を迎える場合は早めに担当コンサルタントと情報を共有し、次の職場を見据えた計画を立てるとよいでしょう。
職場が変わるたびにルールを覚える必要がある
派遣薬剤師は短期間で勤務先が変わるため、新しい環境やルールを覚える必要があります。ただし、職場ごとにルールは異なりますが、薬剤師として行う業務の本質は変わりません。派遣先では投薬業務を中心に求められることが多く、まずは「薬歴入力ルール」を把握することが最初のステップです。
派遣先では即戦力としての活躍が期待されるため、まずは以下を把握しておくと安心です。
- 薬歴入力ルール
- 薬品棚の配置状況
- 調剤フロー
- 職場の主要メンバーとの連携方法
また、勤務開始前に派遣会社の担当コンサルタントに、職場のルールや初日の流れを確認しておくとスムーズです。可能であれば事前に軽く挨拶訪問を行い、現場の雰囲気を把握しておくことも効果的です。環境が変わるたびに得られる新しい経験を前向きに捉えることで、柔軟な対応力が自然と身につくでしょう。
契約期間が短い
派遣薬剤師は1〜3ヶ月単位で契約を結ぶことが多く、契約更新のたびに次の勤務先を検討する必要があります。このサイクルの早さは、長期的な安定を重視する人にとっては、「この職場でどのくらい働けるのか」といった不安要素になりやすいでしょう。
勤務先の状況によっては契約が早めに終了するケースもあり、先の見通しを立てにくい点がデメリットといえます。
ただし、契約期間はあらかじめ明示されているため、計画的に動くことでリスクを最小限に抑えることが可能です。
契約終了の不安を極力少なくするためには、以下のポイントに留意しましょう。
- 契約更新のタイミングを自分で把握しておく
- 複数の派遣会社に登録して選択肢を確保しておく
- 契約更新を見据えてスキルアップや実績づくりを意識する
有期契約は一見不安定に見えますが、見方を変えれば「柔軟に職場を選びながら働ける」という派遣ならではの利点にもつながると言えます。
【法制度について】派遣法の3年ルールによる制限
派遣薬剤師として働くうえで必ず押さえておきたい制度のひとつに、労働者派遣法で定められた「3年ルール」があります。これは、同一事業所や同一組織で働ける期間は原則3年までとする制度で、派遣労働者の雇用安定やキャリア形成を目的としています。
3年ルールには「事業所単位」と「個人単位」の2種類があり、以下のように定められています。
- 事業所単位:同一の事業所(例:同じ調剤薬局の1店舗)で派遣を受け入れられる期間は最長3年
- 個人単位:1人の派遣労働者が同じ派遣先・同じ組織で働ける期間は最長3年
ただし、派遣先が派遣先事業所の過半数労働組合等から意見を聴いたうえで、3年を限度として派遣可能期間を延長される場合があります。
また、以下のような条件に該当する場合、期間制限の対象外となります。
- 派遣元との無期雇用契約の派遣労働者
- 60歳以上の派遣労働者
- 一定の期間で完結する有期プロジェクト業務
- 日数限定業務(1ヶ月の就労日数が通常労働者の半分以下かつ月10日以下)
- 産前産後休業・育児休業・介護休業取得者の代替業務
派遣先での就業が3年に到達する見込みが出た場合、派遣元は「雇用安定措置」を講ずる必要があります。雇用安定措置には「直接雇用の依頼」「同じ派遣先企業の別店舗への異動の検討」「新たな派遣先の確保」などがあります。派遣で働く場合は、こうした制度を理解したうえで、将来の働き方を見据えたキャリア計画を立てておくことが大切です。
派遣会社はどう選ぶ?見極めポイントを解説

「派遣薬剤師のデメリット」は、どの派遣会社を選ぶかによって大きく変わります。
派遣会社選びは「働き方の自由度」だけでなく「安心して働ける環境」をつくるための大切なステップです。
ここでは、派遣薬剤師が安心して働ける会社を見つけるための見極めポイントを詳しく解説します。
福利厚生が充実している
社会保険や有給休暇、健康診断、産休・育休制度など、基本的な福利厚生が整っているかを事前に確認しましょう。
派遣会社によっては、独自の手当や資格取得支援、提携施設の割引サービスなどを提供している場合もあります。
例えば、ファルマスタッフでは以下のような制度を整備しています。
| 制度名 | 概要 |
|---|---|
| 社会保険 | 週の所定労働時間が20時間以上かつ契約期間が所定期間を超える場合に加入 |
| 雇用保険 | 「週20時間以上勤務」かつ「31日以上の就業見込み」がある場合に加入 |
| 労災保険 | 派遣期間中の業務上・または通勤途中の災害による負傷等について無条件で適用 |
| 薬剤師賠償責任保険 | 調剤過誤など万一のトラブルに備えた保険、契約期間の長短に関わらず会社負担で加入 |
| 有給休暇制度 | 継続して6ヶ月以上就業した場合、法定通り有給休暇を付与 (※ただし、未契約期間が1ヶ月を超えた場合は権利消滅) |
| 定期健康診断 | 年1回、一定条件を満たした場合に無料で法定健康診断を実施(※対象者へ案内を送付) |
| 提携施設優待 | 健康保険・厚生年金加入者は東京薬業健康保険組合提携の施設を優待利用可能 |
| スポーツクラブ優待 | セントラルスポーツ、スポーツルネッサンス、コナミスポーツクラブを法人料金で利用可能 |
派遣会社によって福利厚生は異なるため、公式サイトや登録時の面談で制度内容を確認し、安心して働けるための制度が整っているかどうかを見極めましょう。
福利厚生について|ファルマスタッフ
求人数や種類が多い
求人数が多いほど、勤務地・勤務時間・業務内容などの選択肢も広がります。また、調剤薬局、病院、ドラッグストアなど、様々な業種の求人があると今後のキャリアプランに合った仕事を探しやすくなるでしょう。
教育サポートが充実している
新しい派遣先に入る際の研修制度や業務マニュアルの提供、e-Learningや資格取得支援など、学べる環境が整っていると安心です。未経験分野やブランクがある場合でも、派遣会社の教育体制がしっかりしていれば現場での対応力を高めることができます。
例えば、ファルマスタッフでは以下のようなサポート体制を整えています。
| 制度名 | 概要 |
|---|---|
| 教育研修制度 | ・はじめて派遣就業される方や、新しい勤務先に移る方を対象に、入職時導入研修(約15分)を実施。 ・法定に基づき、年1回・週所定労働時間に応じて2〜8時間のキャリア支援研修を実施。 |
| スキルアップ講座 | ・毎月の給与明細に、症例・薬剤の最新情報やよくある質問をわかりやすくまとめた資料を同封。 ・日々の業務で役立つ内容を厳選し、実務にすぐ活かせる学びを提供。 |
| ファーマシーセミナー | ・就業中の派遣スタッフの方には、日本薬局学会主催「ファーマシーセミナー」の参加費を補助(実質無料)。 ・全国主要都市で毎月開催。 ・新薬・最新治療法などの講習を受講可能で、認定薬剤師単位の取得対象。 |
| JPラーニング | 生涯教育プログラムとして、医薬品・疾患の実務知識から保険制度まで、ドリル演習型のe-Learningを提供。 |
教育体制について|ファルマスタッフ
このような制度の有無を確認しておくことで、スムーズに新しい環境へ馴染み、長期的なスキルアップにもつながる可能性が高まるでしょう。
担当コンサルタントとの相性
派遣薬剤師として快適に働くためには、派遣会社の担当コンサルタントとの相性も非常に重要です。
担当コンサルタントは求人紹介だけでなく、勤務中のトラブル対応・条件交渉・キャリア相談などを担うため、信頼できるかどうかが働きやすさを左右します。
担当コンサルタントとの相性を確認する際は、以下のポイントをチェックするとよいでしょう。
- 希望や不安を正直に伝えたときに丁寧に対応してくれるか
- レスポンスが早いか、相談しやすい雰囲気があるか
- 提案内容が現実的で、自分の意向を踏まえているか
相性の良い担当コンサルタントと組むことで、希望に沿った求人に出会いやすくなり、安心して業務に集中できるようになります。
高時給で柔軟な働き方が目指せる!派遣薬剤師のメリット4選

これまで派遣薬剤師のデメリットを解説してきましたが、派遣薬剤師という働き方にはメリットもあります。この章では、派遣薬剤師として働くメリットを4つご紹介します。
- 高時給で効率よく収入が得られる
- ワーク・ライフ・バランスが実現しやすい
- 職場の人間関係に悩みにくい
- 転職なしでいろいろな経験が積める
高時給で効率よく収入が得られる
派遣薬剤師は時給が高めに設定されていることが多く、短期間でも効率よく収入を得られる点が大きな魅力です。
経験やスキルに応じて時給が設定されることも多いため、様々な現場で実務を重ねることで、より高い時給で働けるチャンスが広がっていきます。限られた時間を有効に活用したい人にとって、派遣は効率的に収入を得られる働き方と言えるでしょう。
ワーク・ライフ・バランスが実現しやすい
派遣薬剤師は勤務日数や時間を柔軟に設定できるため、家庭や趣味、資格勉強などと両立しやすい働き方といえます。
例えば、「週3日だけ」「午前中だけ」など、フルタイムだけでなく短時間勤務や時短勤務の案件もあるため、生活リズムに合わせやすく、急な残業や休日出勤の心配も少ない傾向があります。
短時間勤務でも時給は比較的高めに設定されることが多く、効率よく働きながらプライベートとのバランスを確保できる点が大きなメリットです。
職場の人間関係に悩みにくい
派遣薬剤師は契約期間が限定されているため、長期的な職場内の人間関係に悩まされにくい点もメリットです。
もちろん職場で協力して働く必要はありますが、正社員のように長期的な付き合いに縛られることが少ないため、精神的な負担が軽減されるでしょう。
転職なしでいろいろな経験が積める
派遣薬剤師は、派遣会社と雇用契約を結びながら様々な職場で経験を積める点もメリットです。異なる環境での業務を経験し、幅広い知識やスキルを身につけることができ、 将来的なキャリア選択にも役立ちます。
【成功事例】派遣薬剤師として転職したモデルケースをご紹介
ここでは「育児と仕事の両立を実現したケース」と「スキルアップを目的にキャリアチェンジを果たしたケース」の2例をご紹介します。
事例①派遣薬剤師として転職したケース:Aさん(32歳・女性)

【成功ポイント】
- 派遣ならではの柔軟な働き方によって、育児と収入の両立を実現
- 契約業務の範囲が明確で、残業が発生しにくい環境
- 定時で退勤でき、保育園のお迎えや家事の時間を確保
- 家庭と仕事のバランスが取りやすく、精神的負担が大幅に軽減
Aさんは新卒から約8年間、中規模調剤薬局チェーンで正社員として管理薬剤師を務めていました。第一子出産後、時短勤務で復帰したものの、責任や業務量は変わらず、残業や育児の両立による負担が増加。そのため、「残業ゼロ・土日祝休み・17時定時」を条件に派遣登録を行い、総合病院門前薬局で勤務を開始しました。
業務は調剤・服薬指導のみとし、時給3,200円で勤務。年収換算すると約537万円となり、正社員時代のフルタイム勤務と比べ実働時間を大幅に減らしながら、収入をほぼ維持する形で家庭との両立を実現しました。
事例②派遣薬剤師として転職したモデルケース:Bさん(43歳・男性)

【成功ポイント】
- 派遣での多様な現場経験を通じ、短期間でスキルと実績を積み上げたことで、キャリアの選択肢を広げ、正社員転職にも成功
- 多科目・高度処方の経験を効率的に習得
- 派遣期間中に市場価値を向上し、年収もアップ
- 経験を活かして、管理薬剤師候補として正社員転職に成功
Bさんは大学卒業後、療養型病院で約15年間勤務していました。病棟中心の業務でキャリアの停滞を感じ、多科目や外来処方のスキルを習得するため、転職を決意。いきなり正社員として転職するのは、入社後のギャップや年収を下げてしまう可能性があると考え、よりリスクの少ない「派遣薬剤師」へ転向しました。
「半年ごとに異なる職場でスキルアップ」という条件で派遣登録し、1期目は医療モールの調剤チェーン、2期目は大学病院門前薬局で勤務。時給3,500円で働き、年収換算は約672万円と前職より約70万円アップしました。
わずか1年で多科目調剤や高度外来処方のスキルを身につけ、次のキャリアにつなげています。
派遣薬剤師に向いている人・向いていない人

派遣薬剤師は、自由度が高くライフスタイルに合わせやすい働き方ですが、誰にでも最適とは限りません。
働く期間や時間を柔軟に調整したい人に向いている一方で、長期的な雇用の安定やキャリアアップを重視する人には向かない場合もあります。
ここでは、派遣薬剤師として働くのに適している人と、注意が必要な人の特徴をご紹介します。
向いている人
- 働く時間や期間を明確に区切りたい人
- 短期間で効率的に収入を得たい人
- 様々な職場環境を経験したい人
派遣薬剤師は「週3日だけ」「この時間だけ」「次の転職先が決まるまでの3ヶ月間だけ」といった形で働けるため、子育てや介護、趣味や旅行、資格取得の勉強などと両立させたい方に向いています。残業が無いことも多く、オンとオフの切り替えやすい点がメリットです。
また、一般的に正社員やパートに比べて時給が高く設定されているため、開業資金や留学費用などの目的のために短期間で集中して資金を貯めたい方にも向いています。さらに、「複数の薬局のシステムや処方内容を体験したい」「自分に合う職場の系統を探したい」という方にも適しているでしょう。
向かない人
- 長期的な雇用の安定やキャリアアップを望む人
- 新しい環境への適応がストレスになる人
- 「かかりつけ薬剤師」として患者さまと深く関わりたい人
派遣は3ヶ月・6ヶ月など契約期間が定められ、更新がなければ次の職場を探す必要があります。また、管理薬剤師やエリアマネージャーなどへの昇進や、ボーナス・退職金を重視する方にはあまり向いていません。
また、派遣先が変わるたびに、薬歴システムの操作や医薬品の配置、業務フローなどを覚え直す必要があります。頻繁な環境変化にストレスを感じやすい方には負担となるでしょう。
さらに、契約期間が限られるため、患者さまと長期的な信頼関係を築くことは難しい傾向にあります。薬局経営や店舗運営などの中核業務を任される機会も少なく、地域医療に主体的に関わりたい方には向かない面もあります。
派遣薬剤師のメリット・デメリットを知り、自分に合う働き方を見つけることが大切

派遣薬剤師には「高時給で働ける」「勤務時間や勤務地を柔軟に選べる」「多様な現場で経験を積める」などのメリットがある一方で「契約期間に制限がある」「長期的なキャリア形成が難しい」「次の職場がすぐに決まらない可能性がある」といったデメリットも存在します。
大切なのは、こうした特徴を理解したうえで、自分のライフスタイル・キャリア目標・働き方の優先順位を明確にすることです。
「今の自分に合う働き方は何か」「どんな経験を積みたいのか」を整理することで、派遣という選択肢を「キャリアを広げる手段」として活かすことができます。メリット・デメリットの両面を冷静に見極め、目的をもって働き方を選ぶことが、薬剤師として長く安心して働けるキャリア形成への第一歩となるでしょう。
ファルマラボ編集部
「業界ニュース」「薬剤師QUIZ」 「全国の薬局紹介」 「転職成功のノウハウ」「薬剤師あるあるマンガ」「管理栄養士監修レシピ」など多様な情報を発信することで、薬剤師・薬学生を応援しております。ぜひ、定期的にチェックして、情報収集にお役立てください。
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