- 公開日:2026.02.05
【一覧】低用量ピルは何種類ある?それぞれの特徴を薬剤師向けに解説

低用量ピルは避妊効果だけでなく、月経困難症や月経前症候群の改善を図るなど女性の健康をサポートする重要な医薬品です。
現在、日本国内では複数の種類の低用量ピルが承認されており、含有するホルモン成分やその配合量によって特徴や効果が異なります。
処方する医師だけでなく、薬剤師も各薬剤の特性を十分に理解し、患者さまに適切な服薬指導を行うことが求められます。
この記事では、低用量ピルの種類や主な製品の特徴、服薬指導のポイントを解説します。
- 低用量ピルとは
- 低用量ピル一覧:国内で処方される主な製品
- 低用量ピルの副作用について
- 低用量ピルの服薬指導ポイント
- 【患者さま別】低用量ピルの選択方法の解説
- 低用量ピルを正しく理解し患者さまに適正使用を促そう
低用量ピルとは

低用量ピルは、女性の健康管理や避妊の選択肢として世界中で広く使用されています。
避妊だけでなく、月経困難症や月経前症候群の改善などの効果も期待できる医薬品です。
低用量ピルの基礎知識
低用量ピルは、体内のホルモンバランスに影響を与えます。
主に卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)の合成物質を含み、脳下垂体からの性腺刺激ホルモンの分泌を抑制することで排卵を止める働きがあります。
また、子宮内膜の性状を変化させることで受精卵の着床を阻害し、さらに子宮頸管粘液の性状を変化させて精子の子宮内への通過を妨げるなど、複数の作用で避妊効果を発揮します。
低用量ピルの効果・効能
低用量ピルは避妊を目的とした自費診療や、月経困難症や子宮内膜症に伴う疼痛など、疾患の治療を目的とした保険診療で用いられています。
副効用として、ニキビや多毛症などの男性ホルモン過剰による症状の改善や、子宮体癌・卵巣癌・大腸癌リスクの低下などがわかっています。
低用量ピル一覧:国内で処方される主な製品

日本国内では複数の低用量ピル製剤が承認されており、それぞれ特徴があります。薬剤師として各薬剤の特性を理解しておくことが求められます。
マーベロン
マーベロンは一相性の低用量ピルです。
一相性とは、1シート内の全ての実薬に同じ量のホルモンが配合されているタイプを指します。
有効成分であるデソゲストレルは第3世代のプロゲスチンに分類され、アンドロゲン作用が比較的弱いため、ニキビなどの皮膚症状が気になる患者さまに選ばれることがあります。
また、マーベロンには21錠タイプと28錠タイプの2種類があります。
21錠タイプは、21日間連続して服用した後に7日間の休薬期間を設けます。
一方、28錠タイプは21日間有効成分の入ったピルを服用した後、続けて7日間は成分の入っていない緑色のプラセボ錠(偽薬)を服用します。
どちらも28日周期で服用しますが、21錠タイプは7日間の休薬期間を設けるのに対し、28錠タイプは毎日服用し続けることで飲み忘れを防ぎやすくなっています。
トリキュラー
トリキュラーは三相性の低用量ピルです。
マーベロンと同様に、21錠タイプと28錠タイプの2種類があり、28錠タイプは21日間有効成分の入ったピルを服用した後に7日間は成分の入っていない白色(大)のプラセボ錠を服用します。
服用期間中にホルモン量が3段階に変化するため、より自然な月経周期に近づけることを目指しています。錠剤の色も赤褐色、白色、淡黄褐色の3種類に分かれているため、服用順序がわかりやすいのが特徴です。
また、トリキュラーは、第2世代プロゲスチンであるレボノルゲストレルを含有しており、血栓症のリスクが第3世代プロゲスチン配合製剤と比較して低いとされる一方、アンドロゲン作用があるため、ニキビなどの男性ホルモン関連の副作用に注意が必要です。
ヤーズ配合錠
ヤーズ配合錠は、第4世代のプロゲスチンであるドロスピレノンを配合した28錠タイプの低用量ピルです。
1シートには24錠の実薬(淡赤色)と4錠のプラセボ錠(白色)が含まれており、毎日同じ時間に1錠ずつ、パッケージの矢印に従って服用します。24日間の実薬服用後、4日間のプラセボ錠を服用し、その間に月経が起こります。
従来の低用量ピルより実薬服用期間が長く(24日)、休薬期間が短い(4日)ことが特徴です。
この休薬期間の短縮により、休薬期間中の卵胞発育抑制を維持し、休薬によるホルモン変動を少なくすることで、下腹部痛や頭痛などのホルモン消退時の症状を軽減することが期待されています。
ルナベル配合錠
ルナベル配合錠LD、ルナベル配合錠ULDの2種類があり、それぞれエストロゲン量が異なります。第1世代プロゲスチンであるノルエチステロンを含有し、月経困難症に対する効果が高いことが特徴です。
21日間毎日服用し、その後は7日間の休薬期間を設けます。ルナベル配合錠はプラセボ錠がないため、自分で休薬期間の管理をする必要があります。
アリッサ配合錠
アリッサ配合錠は2024年12月に日本で販売された新しい低用量ピルです。
1シートは実薬(ピンク色)24錠とプラセボ錠(白色~微黄白色)4錠の合計28錠で構成されています。
この薬の特徴は、天然型エストロゲンのエステトロール(E4)と第4世代プロゲスチンのドロスピレノンを配合している点で、国内では初めての組み合わせです。
エステトロールは従来の低用量ピルに含まれるエチニルエストラジオール(EE)と比べて、血管内皮細胞や肝臓への影響が少ないため、血栓症リスクを低減させる可能性があります。
また、腟や子宮内膜、骨、血管系、脳にはエストロゲンとして作用しますが、乳房組織にはほとんど影響を及ぼさないとされています。
OCとLEPの違い
低用量ピルは、投与目的と処方区分によって、低用量OC(Oral contraceptive、経口避妊薬)とLEP(Low dose estrogen-progestin、低用量エストロゲン・プロゲスチン)に区別されます。
まず、避妊を目的とした自費診療で用いられる薬剤を低用量OCといいます。低用量OCとLEPは実質的には同一の薬剤なので、低用量OCも副効用として月経困難症などの症状を緩和します。
対して、月経困難症や子宮内膜症に伴う疼痛など疾患の治療を目的として保険診療で用いる薬剤をLEPといいます。
一覧表
なるほど、最初の薬剤の表を「スクロール可能な表(横スクロール・縦スクロール対応)」にしたいということですね。 下のように div class="scroll" を使えば、提示された見本と同じスタイルで再現できます。 xml| 薬剤名 | 配合成分 | プロゲスチン世代 | タイプ | 分類 | 効果・効能 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| マーベロン®21/マーベロン®28 | デソゲストレル 0.15mg + エチニルエストラジオール 0.03mg | 第3世代 | 一相性 | OC | 避妊 | アンドロゲン作用が弱いためニキビが気になる患者さまに適している |
| トリキュラー®錠21/トリキュラー®錠28 | EE 30-40μg + レボノルゲストレル 50-125μg | 第2世代 | 三相性 | OC | 避妊 | 3色の錠剤で服用順序が分かりやすい |
| ヤーズ®配合錠 | EE 20μg + ドロスピレノン 3mg | 第4世代 | 一相性 | LEP | 月経困難症 | 実薬期間が長く休薬期間が短い |
| ルナベル®配合錠LD/ルナベル®配合錠ULD | LD: EE 35μg + ノルエチステロン 1mg ULD: EE 20μg + ノルエチステロン 1mg |
第1世代 | 一相性 | LEP | 月経困難症、生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整 | 製剤にプラセボ薬が含まれていないため、用法の自己管理が必要 |
| アリッサ®配合錠 | エステトロール(E4) 15mg + ドロスピレノン 3mg | 第4世代 | 一相性 | LEP | 月経困難症 | エステトロールは、エチニルエストラジオールと比べて、血栓症リスクの低減が期待できる |
マーベロン®21/マーベロン®28 添付文書 2025年10月改訂(第4版)
トリキュラー®錠21/トリキュラー®錠28 添付文書 2020年6月改訂(第1版)
ヤーズ®配合錠 添付文書 2020年6月改訂(第1版)
ルナベル®配合錠LD/ルナベル®配合錠ULD 添付文書 2022年3月改訂(第3版、効能変更、用法変更)
アリッサ®配合錠 添付文書 2025年12月改訂(第3版)
低用量経口避妊薬一覧表|日本産婦人科医会
低用量ピルの副作用について
低用量ピルを服用する際には、副作用についても理解しておく必要があります。一般的な副作用として、吐き気、頭痛、乳房の張りや軽度の不正出血などがあります。
ガイドライン上では、不正出血について、服用を続けることで多くは自然に消失していくため、3周期(3シート)ほど継続することが推奨されています。
また、まれに血栓症などの重篤な副作用が起こることもあるため、足の痛みや腫れ、強い頭痛、胸痛、呼吸困難などの症状が現れたら、すぐに服用を中止して救急医療機関を受診することを促しましょう。
OC・LEPガイドライン 2020年度版|日本産婦人科学会
低用量ピルの服薬指導ポイント

患者さまが低用量ピルを安全かつ効果的に使用するためには、適切な服薬指導が不可欠です。
薬剤師として押さえておくべき指導ポイントを確認しましょう。
正しい服用方法を説明する
患者さまに薬剤に応じた正しい飲み方を説明します。
たとえば、21錠タイプの場合は21日間連続服用後に7日間の休薬期間を設け、28錠タイプの場合は休薬せず28日間連続で服用するという違いを明確に伝えましょう。
初回は月経周期1日目から開始するのが一般的ですが、低用量OCの場合は5日目までに開始すれば追加の避妊法は不要と指導できます。
一方、6日目以降の開始では、服用開始から7日間は他の避妊法の併用を患者さまに案内する必要があります。
なお、患者さまから開始日や避妊効果に関する質問があった場合は、ガイドラインの根拠を示しつつ、個別の状況や服薬歴も確認したうえで説明しましょう。
飲み忘れ時の対処法を説明する
飲み忘れは正しい効果が得られない可能性があるため、適切な対処法の指導が重要です。
OCでは、前日分の飲み忘れに翌日までに気づいた場合は、直ちに飲み忘れた錠剤を1錠服用し、その日の錠剤も通常の服用時刻に服用するよう指導します(その日は2錠服用となります)。
2日以上連続して飲み忘れがあった場合には、服用を中止し、次の月経を待って新しいシートで再開すること、また、その周期は妊娠の可能性が高くなるため、他の避妊法を併用する必要があることを説明しましょう。
対してLEPでは、前日の飲み忘れに気づいた場合、直ちに前日分の錠剤を1錠服用し、当日の錠剤も通常の服薬時刻に服用するよう指導します。
2日以上服薬を忘れた場合でも、気づいた時点で前日分の1錠を服用し、当日の錠剤も通常どおり服用、その後は当初のスケジュールに従って継続しますが、症状コントロールの低下や不正出血の可能性があるため、不安感が強い場合や症状悪化時には医師への相談を促しましょう。
いずれの場合も、各添付文書や関連ガイドラインを確認しつつ個別に判断することが重要です。
また、服薬アドヒアランス向上のため、スマートフォンのアラーム機能や服薬管理アプリ、ピルケースなどの活用を提案し、毎日同じ時間帯に服用する習慣づけを支援すると良いでしょう。
併用注意の薬を説明する
低用量ピルは他の薬剤との相互作用に注意が必要です。
とくに、抗てんかん薬(カルバマゼピン、フェニトインなど)、抗結核薬(リファンピシンなど)、HIV治療薬(エファビレンツ、リトナビルなど)、セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort)含有食品などは、低用量ピルの効果を減弱させる可能性があります。
また、低用量ピルは他剤の薬理作用にも影響を及ぼす可能性があります。
たとえば、抗てんかん薬のラモトリギンを服用している場合、低用量ピルを服用することでラモトリギンの血中濃度を半減させ効果が減弱する可能性があります。
そのため、服用者の薬歴を把握し、処方薬だけでなく市販薬や健康食品の使用状況も必ず確認しましょう。
処方薬だけでなく、市販薬や健康食品の使用状況も確認し、相互作用のリスクがある場合は医師に相談するよう指導することが重要です。
副作用について説明する
副作用についても丁寧に説明する必要があります。
前述のとおり、不正出血などの比較的頻度の高い副作用については、服用を継続することで多くは自然に消失していきます。3周期(3シート)ほど様子を見るようお伝えしておくと良いでしょう。
一方、血栓症の初期症状である下肢の痛み・腫れ、呼吸困難、激しい頭痛、視覚障害などの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止して救急医療機関を受診するよう指導します。
また、黄疸、重度の腹痛、胸痛などの重篤な副作用の兆候についても説明し、異常を感じた場合は迷わず相談するよう案内します。
なお、定期的な血圧測定や健康診断の重要性についても触れておくと良いでしょう。
【患者さま別】低用量ピルの選択方法の解説
患者さまの状態に合わせた低用量ピルの選択は、治療効果を高め、副作用を抑えるために重要です。
薬剤師として知識を深め、患者さまが適切な薬剤を使用できる手助けをしましょう。
はじめて服用する方への薬剤選択
はじめて低用量ピルを服用する患者さまには、副作用の発現リスクや服用管理のしやすさを考慮した薬剤選択が望ましいです。
一相性ピルは、1シート内のホルモン量が一定であるため、服薬管理が比較的容易とされており、臨床現場でも選択されることがあります(例:マーベロン)。
ただし、学会ガイドラインや添付文書において、特定の剤形や製品が初回選択として明確に推奨されているわけではありません。
副作用リスクがある方への薬剤選択
患者さまの体質や既往歴に応じた薬剤選択も重要です。
血栓症のリスク因子(35歳以上、喫煙、肥満、高血圧など)をもつ患者さまには、エストロゲンの配合量が少ない薬剤、あるいは第1・2世代のプロゲスチンを配合した薬剤が考慮されます。
ただし、35歳以上で1日15本以上の喫煙者では、低用量ピル製剤が投与禁忌に該当します。
また、ニキビや多毛症の懸念がある場合は、男性ホルモンの作用が抑えられている第3世代の薬剤が選択肢としてあげられます。副作用については個人差が大きいため、患者さまの様子を見ながら必要に応じて薬剤変更を検討することも重要です。
患者さまの生活習慣に基づく薬剤選択
患者さまの生活習慣や服薬管理能力も薬剤選択の重要な要素です。
規則正しい生活を送ることが難しい方や、服薬管理が苦手な方には、服用スケジュールが単純な28錠タイプ(ファボワール、ルナベル配合錠など)が適しています。
また、服用は毎日同じ時間に行うと習慣化しやすくなります。
吐き気などの胃腸障害が心配な場合は、服用時間を工夫するなど患者さまの状況に合わせた対応を検討しましょう。
例えば、食後や就寝前の服用を試みることも一つの方法です。
明日から実践できるOC/LEP処方|日本プライマリ・ケア連合学会
低用量ピルを正しく理解し患者さまに適正使用を促そう
低用量ピルは、配合されているホルモンの種類や量によって効果や副作用が異なります。そのため、患者さまの状態や希望に合わせて適切な薬剤選択をすることが重要です。
薬剤師は、各薬剤の特性や正しい服用方法、飲み忘れ時の対応、相互作用、副作用について丁寧に説明し、患者さまが安全かつ効果的に低用量ピルを使用できるようサポートしましょう。
監修者:青島 周一(あおしま・しゅういち)さん
2004年城西大学薬学部卒業。保険薬局勤務を経て2012年より医療法人社団徳仁会中野病院(栃木県栃木市)勤務。(特定非営利活動法人アヘッドマップ)共同代表。
主な著書に『OTC医薬品どんなふうに販売したらイイですか?(金芳堂)』『医学論文を読んで活用するための10講義(中外医学社)』『薬の現象学:存在・認識・情動・生活をめぐる薬学との接点(丸善出版)』
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