服薬指導に活かす医薬品情報

リベルサス錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

食事療法、運動療法を行ったうえで効果が不十分だった『2型糖尿病』の治療に対して効能・効果を有します。

Q

用法・用量、製品特徴は?

A

通常、成人に開始する際は1日1回3mgから開始し、4週間服用後1日1回7mgに増量します。状態に応じて適宜増減しますが、4週間服用しても効果不十分のときは、1日1回14mgまで増量可能です。14mgを服用の際は、吸収の観点から7mgを2錠服用するという服用方法は避けなければいけません。

服用の際は、120mL以下の水で空腹時(最適は起床時)に服用するよう指導します。これは胃に他の内容物があると、リベルサスの吸収が低下するという特徴があるためです。服用後に飲み物を飲んだり、食事をしたり、他のお薬を服用することも避けていただき、少なくとも30分は間隔をあけるよう指導しましょう。また、リベルサスは主に胃から吸収されるという特徴があるため、胃の摘出術を受けた患者への投与は有効性が減弱する可能性があります。

リベルサスは光に分解されやすく、吸湿性も有する特徴があるため、一包化には適さない薬剤です。ピルケースなどでの保管は推奨せずに、服用直前にヒートから出すよう指導しましょう。ちなみにGLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の併用は臨床試験が行われていませんので、保険適応が認められていません。

Q

作用機序は?

A

GLP-1(glucagon-like peptide-1:グルカゴン様ペプチド-1)はインクレチンの一種で、食事摂取により小腸下部から分泌され、膵臓からのインスリン分泌を促進するホルモンです。本剤は、膵β 細胞膜上のGLP-1 受容体に結合し、グルコースの代謝により生じたATPからcAMPの産生を促進させることによって、グルコース濃度依存的にインスリンを分泌させます。さらに、血糖値が高い時はグルカゴン分泌を抑制します。

Q

禁忌と併用注意は?

A

糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者には禁忌です。レボチロキシンとの併用は、レボチロキシンのAUCを33%増大させるというデータがあります。また、他の糖尿病治療薬との併用は低血糖症状を誘発する可能性があるので、注意が必要です。

セマグルチドの経口薬開発
リベルサス以前、GLP-1 受容体作動薬は全て注射薬でした。それは
①服薬後消化管のペプチド分解酵素(ペプシン等)によって分解されてしまう
②ペプチド医薬品の分子量は大きく、消化管上皮から吸収されにくく、生体利用率が低い
ことが理由に挙げられます。そこでリベルサスには吸収促進剤SNACを含有させました。SNACには、「錠剤内と錠剤周囲の胃液pHを中性にし、胃液による分解から保護」「胃粘膜細胞からの吸収を促進させる」という特性があり、錠剤でも効果を発揮します。

Q

注意すべき副作用は?

A

GLP-1 受容体作動薬製剤が有する胃内容物排出抑制作用により、胃腸障害(便秘・下痢・胃の不快感など)が起こることがあります。嘔吐を伴う激しい腹痛などが持続する場合は、重大な副作用である急性膵炎の可能性もあるため、直ちに投与を中止し受診するよう予め指導します。また、単剤では低血糖症状を起こしにくいですが、他の糖尿病用薬との併用時、特にSU剤やインスリン製剤との併用時には低血糖症の発現に注意が必要です。

Q

基本的な注意事項は?

A

半減期が長い薬剤なので、中止後も効果が持続します。動物実験で胎児毒性があったので妊婦には使用できません。授乳婦への投与も有益な場合のみ使用を検討することになります。

掲載日: 2022/11/24
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