ファルマスタッフ薬学生
  • 公開日:2021.06.23

薬学部のCBT対策とは?試験の目的や勉強法、合格率を押さえよう

薬学部のCBT対策とは?試験の目的や勉強法、合格率を押さえよう

薬学部の4年生になると、実務実習を行うための知識が備わっているかを確認するために、「CBT」「OSCE」という2つの試験が行われます。それぞれの合格率は高いといわれていますが、この試験に合格しなければ5年生に進級することができなくなってしまうため油断は禁物。日程や問題傾向などをきちんと把握して早めに準備を進めましょう。

この記事では、薬学共通試験「CBT」について、具体的な内容や合格基準など詳しく解説していきます。

「CBT」と「OSCE」に合格しないと5年生に進級できない

講義中の薬学生

薬学共用試験である「CBT」と「OSCE」。基本的にどちらの試験も4年生の12月1日から1月31日のうち各大学が設定した日程で行われ、「CBT」については7月から9月に体験受験を行うことも可能です。

2つの試験に合格できなければ、5年生に進級することも実務実習に進むこともできません。各試験の内容を把握し、早めの対策を立てましょう。ここでは、「CBT」と「OSCE」の内容の違いについて具体的に解説していきましょう。

「CBT」と「OSCE」の違い

●「CBT」とは

CBT(Computer-Based Testing)とは、薬学生が実務実習を行うことができる薬学的知識を備えているかを確認するため、コンピューターを使用し理解度を評価する試験です。それぞれの大学のスケジュールに合わせ試験日を設定し、受験生はPCで選択式の問題に解答していきます。

出題される問題は、受験生ごとに異なっていますが、ランダムで出題される合計310題の難易度は変わらない仕組みになっています。それぞれの問題レベルは各分野で取り扱われる重要なキーワード、項目についての基本的な知識を問うレベルで、1問の回答時間がおよそ1分以内になるよう、形式の揃った短い内容でまとめられています。

●「OSCE」とは

OSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験)とは、薬学生が実務実習を行うにあたり、直接患者さまに接する対応能力が一定の基準に達しているかを評価するためのテストです。具体的な内容については、下記の領域において実践対応や模擬患者を設定したシミュレーションテストなどを行い、それを審査します。

領域 試験の方法
1.患者・来局者応対 模擬患者が参画するシミュレーションテスト
2.薬剤の調製 実地試験
3.調剤鑑査 実地試験
4.無菌操作の実践 実地試験
5.情報の提供 模擬患者が参画するシミュレーションテスト

実施する内容は大学によって異なり、同じ大学の受験生には同じ課題を出題大学ごとに違った課題で実施するため、モニター制度を導入し、公平性、透明性を保っています。大学は事前に実施計画書を提出し、担当するモニター員が審査。各大学とモニター員は試験終了後に薬学共用試験センターに実施報告書を提出するといった運用方法をとっています。

「CBT」の合格率

薬学共用試験センターの合格率発表によると、「CBT」と「OSCE」の合格率はおよそ97~99%。実技の「OSCE」より「CBT」の方がやや合格率は低い傾向にあります。しっかり勉強をしていれば問題ありませんが、手を抜いていると予想しない結果になることも。しっかりとした計画を立てて進めていきましょう。また、万が一不合格の場合は下記の内容で追試験・再試験が用意されています。やむを得ない事情で受験できなかった、合格点に達しなかったという場合は各大学の担当者に連絡し今後の対応を進めましょう。

●追試験
CBT 本試験とOSCE 本試験の、いずれかもしくは両方を、病気等のやむを得ない事由で受験できなかった場合、追試験の対象者となります。追試験の日程は再試験と同じです。追試験の追・再試験は実施しません。

●再試験
本試験の成績が合格基準に達しない場合、再試験を受験しなければなりません。再試験は本試験と同じ年度内に1回だけ実施します。「CBT」の再試験はすべてのゾーンを再度受験しなければなりません。OSCEの再試験は本試験で基準に達していない課題のみを対象とし、当該領域の課題項目の中から本試験とは異なる課題が出題されます。
薬学共用試験センター 追・再試験について

「CBT」の出題範囲と合格基準

大学1年生から4年生で学んだすべてのことが出題範囲となる「CBT」。ここでは合格基準や問題形式などについて具体的に解説していきます。

「CBT」の出題範囲・形式と問題数

「CBT」の各ゾーンの出題内容は、薬学教育モデル「コア・カリキュラム」に則した項目で分類され、下記の通り合計310問が各学生に出題されます。

CBTの出題範囲

出題形式は多肢選択式で、各ゾーン2時間の制限時間内で解答していきます。

薬学部4年生のCBT対策・勉強法

難易度は高くないといわれていても、CBT試験は不安なもの。「CBT試験で留年したくない!」と考える学生の方は多いと思います。 そんな方のために、ここではCBT試験対策として、効率のよい勉強法をご紹介していきます。

ゾーン1、2は早めに対策しよう

CBT試験は3つの分野に分かれており、ゾーン1(物理、化学、生物系)、ゾーン2(薬理、薬剤、情報系)、ゾーン3(健康と環境、薬学と社会、実務など)のぞれぞれの分野から合計310問出題されます。

そのうちゾーン1、2は、大学1、2年生で習う基礎的な科目の範囲なので、4年生になって振り返ると内容を忘れてしまっていることが多く、他のゾーンと比較して平均点が低い傾向にあります。復習するためにも早めに着手するのがポイント。ゾーン3に関しては、常識的な問題や、実務事前学習で実践しながら学べるので比較的高得点が取りやすい印象です。ゾーン1、2を優先しゾーン3は夏以降に復習するのも一つの方法です。

体験受験してみよう

薬学共用試験センターでは、受験生が「CBT」を体験するため4年次の7月から9月に体験受験を行っています。本試験と全く同じ環境で試験を行うため本試験のシミュレーションにもなりますし、体験受験で出題される問題の多くは、CBT本試験でも出題されることが多いので、自分がどの程度解答できるかの指標にもなります。

試験の雰囲気や感覚をつかむためにもぜひ利用してみましょう。

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まとめ

基礎的な問題が多く、不合格するということはあまりありませんが、「CBT」は4年次の大切な試験です。自信がない人は早めに対策をたて過去の復習を進めていきましょう。

CBT試験に合格すれば次年度には実務実習が控えています。さらに、国試対策や卒業研究など忙しい毎日が続きますが、一歩一歩確実に進み、医療人として社会に貢献できる夢を叶えてくださいね。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2021/06/23