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2022.11.22

【薬剤師向け】レスキュードーズとは?概要や使用の注意点など解説!

【薬剤師向け】レスキュードーズとは?概要や使用の注意点など解説!

がん疼痛の治療では、疼痛の日内変動などに対応するために、「レスキュードーズ」と呼ばれる鎮痛薬の臨時追加投与が行われます。薬物療法が高度化するなかで、緩和ケアにおける薬剤師の役割はますます大きくなっており、レスキュードーズについて正しい知識を身につけておくことが求められています。

この記事では、レスキュードーズの概要や使い方、注意点、薬剤師ができることについて解説していきます。

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レスキュードーズとは?

レスキュードーズ(rescue dose:臨時追加投与)とは、がん治療などにおいて、鎮痛薬で痛みがコントロールできない場合に、速放性の鎮痛薬を臨時で追加投与することです。がん疼痛のなかでも、「持続痛の有無や程度、鎮痛薬治療の有無にかかわらず発生する、一過性の痛みの増強」と定義される突出痛に対して用いることが多く、定時使用している鎮痛薬の効果を補うために追加投与が行われます。

痛みのパターンとレスキュードーズの使い方

痛みのパターンとレスキュードーズの使い方

がん疼痛における2種類の痛みのパターンと、レスキュードーズの使い方について解説していきます。

痛みのパターンとは

がん疼痛のパターンは、持続痛と突出痛の2つに分けることができます。持続痛は、「『24時間のうち12時間以上経験される平均的な痛み』として、患者さまによって表現される痛み」と定義されています。一方で突出痛は、「持続痛の有無や程度、鎮痛薬使用の有無にかかわらず発生する一過性の痛みの増強」と定義されており、がん患者さまの約60~70%にみられます。

レスキュードーズの使い方

がん疼痛は、前述のとおり持続痛と突出痛の2種類に分けられますが、それぞれの場合におけるレスキュードーズの使い方についてみていきましょう。

持続痛に用いる場合

がん疼痛の治療では多くの場合、定時鎮痛薬としてオピオイドなどの徐放性製剤が使用されます。しかし、治療を開始した段階では、定時鎮痛薬の適切な用量が定まらないこともあり、鎮痛効果が不十分なケースに備えて定時鎮痛薬と同じ成分の速放性製剤をレスキュードーズとして準備します。レスキュードーズの服用回数が増えてきた場合には、定時鎮痛薬の用量が少ない可能性があるため、鎮痛薬の増量(タイトレーション)を検討することが必要です。

突出痛に用いる場合

鎮痛薬により疼痛コントロールが得られていた患者さまで、鎮痛薬の効果不足や痛みの増強による突出痛があらわれた場合に、レスキュードーズが使用されます。原則として定時鎮痛薬と同じ成分のものが用いられ、1回量は1日量の6分の1~10分の1の量を目安に、鎮痛効果と副作用のバランスを評価しながら、患者さまの状態に応じて調節されます。突出痛には、①予測できる突出痛、②予測できない突出痛、③定時鎮痛薬の切れ目の痛みが知られており、それぞれの特徴に応じた対処を行うことが重要と考えられています。

レスキュードーズの注意点

レスキュードーズの注意点

レスキュードーズを用いる場合の注意点について、解説していきます。

患者さまごとに適切な薬剤を選択する

オピオイドを選択するときは、患者さまの体質や痛みの状況に応じて、適切な薬剤や剤型を選択することが重要です。たとえば、腎機能が低下している患者さまではモルヒネを避けることや、内服に負担がある患者さまでは経口剤を避けることが求められます。

こまめに投与量の再検討を行う

がん疼痛の治療では、患者さまの痛みの状況に応じて、鎮痛薬の処方設計を行わなくてはなりません。痛みの増強によりレスキュードーズの服用回数が増えた場合には、定時鎮痛薬の増量を検討したり、レスキュードーズを翌日からの投与量に反映させたりする必要があるでしょう。

副作用の発現に注意する

オピオイドは副作用が必発するため、副作用対策が重要です。たとえば、オピオイドによる便秘は頻度が高く、耐性も形成されにくいため、緩下剤の使用や摘便など、状況に合わせた対策を行います。そのほかにも、吐き気や眠気、せん妄、呼吸抑制、口渇、排尿障害など、さまざまな副作用に注意が必要です。

レスキュードーズの使用において薬剤師ができること

レスキュードーズの使用において薬剤師ができること

では、レスキュードーズの使用において薬剤師はどのようなことができるのでしょうか。

患者さまに寄り添った服薬指導

がんと診断されると、身体的な苦痛だけでなく、不安・恐れなどの精神的な苦痛のほか、仕事への不安・医療負担の増加などを背景とした社会的な苦痛を伴うことも少なくありません。痛みを取り除くためのレスキュードーズの使用や副作用対策だけでなく、患者さまやその家族に寄り添った服薬指導を心がけ、必要に応じて精神的なケアを行いましょう。

疼痛治療に使用される薬剤の知識を深める

がん疼痛の治療に用いられる薬剤は多岐にわたります。NSAIDsやオピオイドなどの鎮痛薬だけでなく、副作用対策に用いられる便秘薬や制吐剤など、薬剤の知識を深めることが求められています。効果や副作用を適切に評価するためのコミュニケーション能力を養うことも重要です。

認定薬剤師取得によるスキルアップ

緩和療法における薬剤師の役割は、これまで以上に大きなものになりつつあります。チームのなかで役立つための知識を身につける一つの方法として、「緩和薬物療法認定薬剤師」や「がん専門薬剤師」などの資格取得により、専門性を高めることが可能です。これらの資格については、以下の記事で詳しく解説しています。

薬剤師として、患者さまのためにできることを考えよう

この記事では、レスキュードーズの概要や使い方、注意点、薬剤師ができることについて解説していきました。

レスキュードーズは、主に定時疼痛薬の効果不足によってあらわれる突出痛に対して用いられていますが、痛みの程度は患者さまごとに異なるため、適切な薬剤の選択が必要です。鎮痛薬やその副作用に対処するための薬剤について、知識を身につけるようにしましょう

また、五大疾病の一つであるがんが患者さまに与える苦痛は、痛みなどの身体的なものだけではありません。患者さまやその家族に寄り添った服薬指導を心がけ、不安に対する精神的なケアも適切に行いましょう

青島 周一さんの写真

    監修者:青島 周一(あおしま・しゅういち)さん

2004 年城西大学薬学部卒業。保険薬局勤務を経て2012 年より医療法人社団徳仁会中野病院(栃木県栃木市)勤務。(特定非営利活動法人アヘッドマップ)共同代表。

主な著書に『OTC医薬品 どんなふうに販売したらイイですか?(金芳堂)』『医学論文を読んで活用するための10講義(中外医学社)』『薬の現象学: 存在・認識・情動・生活をめぐる薬学との接点(丸善出版)』

記事掲載日: 2022/11/22

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