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2019.08.20

【薬剤師向け】めまい薬「メリスロン」とは?期待が集まる認知症への効果などを解説

【薬剤師向け】めまい薬「メリスロン」とは?期待が集まる認知症への効果などを解説

メニエール病などに伴う眩暈(めまい)症状の改善に用いられる、「メリスロン」。2019年1月に発表された、東京大学・北海道大学・京都大学などのチームの研究報告によると、メリスロンには記憶力を向上させる可能性があると報告されています。

もちろん、あくまで研究の段階であるため、現時点で実臨床には用いられません。しかし、記憶回復のメカニズムが解明されれば、アルツハイマー病など認知症に用いられる治療薬の開発が期待できるのです。

そこでこの記事では、【メリスロンの概要や効果・副作用】について解説します。

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「メリスロン」とは?その概要や研究成果について

メリスロンとは

「メリスロン」について

「メリスロン(一般名:ベタヒスチンメシル酸塩)」は、メニエール病などに伴う眩暈を治療する薬として世界中で幅広く用いられています。1969年1月に販売された薬で、内耳や脳内の血液の流れを改善する効果を持ち、めまい症状を改善するのに一役買っていると知られています。

▼添付文書はコチラ>添付文書「メリスロン」

メリスロンを用いた研究

2019年1月、東京大学や北海道大学、京都大学などによって組まれたチームが、メリスロンに記憶を回復させる効果があることを研究による実証。認知症の治療薬に応用できる可能性があると発表しました。

今回の研究は、20代中心の健康な男女計38名に128枚の写真を見せ、約1週間後に覚えているかを調べるものでした。メリスロンを服用した場合と服用しなかった場合で、それぞれの正解率を比較した結果、服用した人たちは忘れていた写真を思い出すケースが増え、正解率は最大で2倍近く上昇することが判明したのです。忘れた写真が多かった人ほど効果があり、見たのかどうか判別が難しい写真の正解率が高まる傾向であったとも報告されています。

▼参考記事はコチラ>忘れた記憶を復活させる薬を発見(東京大学)

メリスロンの効果・効能は?治療薬としての有用性について

メリスロンの副作用

メリスロンの効果・効能は、メニエール病などに伴うめまい症状を改善するものと報告されています。総計875例で実施された二重盲検試験を含む臨床試験では、「メニエール病」「メニエール症候群」等に伴うめまい・めまい感に対して有用性が認められているのです。

そんなメリスロンは、脳内の情報伝達物質・ヒスタミンの放出を促す働きがあることも知られています。上記で記載した研究では、メリスロンを服用した人たちは、ヒスタミンが活性化したことで、写真を思い出したのではないかと考えられています。ヒスタミンにより記憶を担う神経細胞が活性化し、忘れた記憶の回復に繋がったのではないでしょうか

今回の研究だけでは、メリスロンの服用によって記憶力が向上するとは一概には言い切れません。しかし、認知症の研究において有用な報告であったと考えられているようです。なお、現時点ではメリスロンは認知症には適応していません。あくまでメニエール病などに伴うめまい症状を改善する薬であることを忘れないでください

メリスロンの副作用は?投与に注意すべき患者さまは?

メリスロンの副作用には、悪心・嘔吐や発疹などが報告されています。市販後臨床調査によると、総症例2,254例中26例(1.15%)の副作用が報告されています。

また、投与に適さない患者さまもいらっしゃいます。メリスロンはヒスタミン類似作用を有するため、消化性潰瘍の既往歴のある患者さま活動性の消化性潰瘍のある患者さま気管支喘息や褐色細胞腫を抱えるある患者さまも、慎重に投与すべきであると考えられています。そのほかに、生理機能が低下している高齢者、安全性の確立していない妊婦・産婦・授乳婦や小児においても注意が必要です。

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今回の研究成果は大きな前進に。今後の研究に期待が

厚生労働省の発表によると、認知症の患者数は年々増加傾向にあるようです。2012年時点で約462万人であった患者数は、団塊の世代が75歳以上となる2025年には700万人前後に達する見通しとなっています。認知症治療薬の研究は進められていますが、期待した成果が得られているものは決して多くありません。

そうした中で、今回の研究成果は大きな前進と言えるでしょう。記憶が回復する仕組みを解明し、これまでの認知症の研究成果と組み合わせれば、アルツハイマー病などに効果が見込める新たな治療法の開発につながる。そんな期待が寄せられています。

薬剤師は認知症の患者さまとその家族に、薬学的視点をふまえて適切に助言することが求められています。以下の記事では、認知症の患者さまに対する接し方と服薬コミュニケーションについて詳しく解説しているので、ぜひ確認してみてください。

▼記事はコチラ>認知症患者に対する接し方と服薬コミュニケーション<在宅医療にかかわる薬剤師必見>
記事掲載日: 2019/08/20

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