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  • 公開日:2018.11.02

「将来性のある薬剤師」になるためには?雇用飽和状態、AIの時代に生き残るヒント【2018年版】

「将来性のある薬剤師」になるためには?雇用飽和状態、AIの時代に生き残るヒント【2018年版】

これまで長らく「薬剤師不足」の時代が続いてきましたが、薬学部定員の増加や国民医療費の抑制を背景に、「薬剤師が飽和する」ことが懸念されるようになりました。また、AIの医療現場への投入も噂され、薬剤師の雇用減少につながるという意見もあります。

薬剤師の需要が無くなることはありませんが、薬剤師資格取得者の増加によって「生き残る薬剤師」と「そうではない薬剤師」の差は明確に分かれるでしょう

この記事では、【薬剤師の現状や将来性、生き残るために身につけるべきスキル】をご紹介します。

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いまや薬剤師は飽和状態。地方はまだ可能性アリ

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2002年に厚生労働省の薬剤師問題検討会がとりまとめた報告書によると、2037年には36万人の薬剤師に対し、需要は23万人にとどまることから、13万人の余剰が出ると推測されています。また、厚生労働省の統計(平成28年(2016) 医師・歯科医師・薬剤師調査の概況)によると、2002年には229,744名であった薬剤師は、2016年には301,323名まで増加。予測は現実のものとなりつつあるようです。

現在では薬剤師は毎年1万人近く増加しており、さらに老後の生活に対する不安から「働けるうちは働きたい」と考え、定年後も仕事を続ける薬剤師も増えています。今後もしばらくはこの増加傾向が続くと言えるでしょう。

飽和状態にあると言われる薬剤師ですが、地域偏在があることも特徴の一つです。都心部では過剰となっている一方で、地方では人手不足が続いており、高条件で求人を出している薬局もみられます。医療需要を考慮して、働くエリアを検討することも重要です。

生き残るために、薬剤師に必要な資格やスキルは?

これからも長期的に薬剤師として働いていくためには、今のうちに必要なスキルや経験を身につけておかなくてはなりません。時代の流れを先読みして、飽和状態にあっても求められる薬剤師を目指しましょう。

薬剤師として専門的な知識を持つことはもちろん、その他に身につけていくスキルとして、患者さまの健康状態や服用する医薬品を一元的に管理する「かかりつけ薬剤師のスキル」、セルフメディケーションのために「一般用医薬品を適切に販売するスキル」、管理薬剤師やエリアマネージャーとしてスタッフや医薬品を管理する「管理者のスキル」、訪日外国人に対して円滑に指導を行うための「外国語のスキル」など、さまざまな選択肢があります。

中でも重要視されているのは、「在宅医療のスキル」です。高齢化社会がすすむことによって、国民医療費は膨らみ続けています。国は保険制度を維持するために医療費の抑制を行っていますが、その中でも主軸となっている政策が、在宅医療の推進です。薬局の中だけにとどまるのではなく、患者さまの自宅や施設で活躍できる薬剤師を目指しましょう。

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AI(人工知能)は薬剤師の仕事を奪うのか?

AIを駆使しタブレットを操作する薬剤師のイメージ

近年では、AI(人工知能)が目覚ましい発展をみせています。囲碁や将棋でプロ棋士を打ち破ったことが話題になった一方で、物流や接客業などの産業分野でも活用の余地が見出されています。これらのテクノロジーによって、薬剤師の仕事はどうなるのでしょうか?

医療現場においても、診療行為や治療の補助、遠隔診療、調剤、服薬指導に対し、AIの技術が続々と投入されると考えられています。厚生労働省による「患者のための薬局ビジョン」においても、ICT(情報通信技術)を活用した服薬情報の一元的・継続的把握が求められており、近い未来にこれらの技術が導入されるようになるでしょう。

AIに仕事を奪われるのではないかと不安に思う薬剤師は多いものです。ですが、医療現場におけるAIの役割はあくまで補助的なものであり、「機械ができることは機械が、人は人しかできないことを」という役割分担が求められているのです。

「相手の話に共感する」「悩みを聞き、不安を取り除く」ということは、人にしかできません。薬剤師の仕事がこれまでどおり調剤だけにとどまるのであれば、いつの日かAIに仕事を奪われることがあるかもしれませんが、患者さまと信頼関係を築いて職能を発揮することができれば、その心配は無用と言えるでしょう。

「コミュニケーション力」がない薬剤師は危ない?!

薬剤師としての経験が長く、さまざまな領域や役職を経験していることは、それだけでも魅力の一つ。薬剤師にとって、医薬品の知識や調剤の技術は、非常に重要となってきます。

しかし、ここまでご説明したとおり、薬剤師の現状は在宅医療やかかりつけ薬剤師、AIの技術投入の流れにあり、さまざまなスキルを習得することが求められています。これまでのように調剤しかできない薬剤師は、今後も生き残っていくために早急に手を打たなくてはなりません。

中でも、「コミュニケーション力」を有していることが、生き残るカギの一つとなります。患者さまと深い信頼関係を築き、求めることに応えられる薬剤師を目指していきましょう。

地域医療においても、医師や看護師、ケアマネジャーなどの多職種と連携することが求められ、医療従事者間のコミュニケーションも、以前にも増して重要になりつつあります。外来調剤においても、残薬調整や服用薬剤調整支援のために医師に連絡を取ることも多く、医師との関係性が良好であることが重要です。日ごろからコミュニケーションをしっかりと取り、顔の見える関係を構築しましょう。

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今は「ドラックストア」が狙い目!将来的には?

ここ最近では、薬剤師の職場の中でもドラッグストアの人気が高く、狙い目になっています。

セルフメディケーションの注目によって一般用(OTC ※1)医薬品の需要が高まっており、薬剤師の役割も変わりつつあります。処方せんにもとづいて調剤を行うだけでなく、接客力や販売力を身につけられるドラッグストアで働きたいという薬剤師が増えたのです。また、M&A(企業が合併したり買収されたりすること)や新規出店によって、慢性的に人手が不足しているため、給与や福利厚生が良いことも特徴です。

しかし、将来的にはドラッグストアも飽和に向かうと言われています。すでに、新卒人気の高まりから、未経験の中途の採用が減っている大手ドラッグストアチェーンも。年齢によっては採用が難しいケースも多いので、興味があれば早めに転職を検討することがおすすめです。

※1 OTC医薬品......薬局やドラッグストアなどで処方せんが無くても買える薬。「要指導医薬品」、「一般用医薬品」のこと。

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知識+コミュニケーションスキルで、求められる薬剤師に

これからの時代、薬剤師免許を持っているだけでは不十分であり、あくまでスタートラインに立ったにすぎません。どのような薬剤師になりたいかという明確なビジョンを持ち、そのために必要なスキルを身につけていきましょう。

自分ひとりでキャリアプランを描くのが難しければ、転職のプロであるコンサルタントに相談することもおすすめです。これまでの経験の振り返りから、あなたの強みやスキルを再確認し、本当に希望していることは何かを見つける手助けをしてもらえます。まずは気軽に相談してみましょう。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2018/11/02

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