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  • 公開日:2025.02.27

薬剤師の服薬指導のスキルアップ術!スキルや知識を身につける方法を解説

薬剤師の服薬指導のスキルアップ術!スキルや知識を身につける方法を解説

服薬指導は、患者さまの服薬アドヒアランスを高め、薬物治療の安全性と有効性を確保するために重要な業務です。しかし、患者さま一人ひとりに適した服薬指導を行うのは簡単ではありません。

本記事では、服薬指導のスキルアップを目指している方に向けて、より良い服薬指導に必要なスキルや知識、具体的なスキルアップ方法を紹介します。

より良い服薬指導に必要なスキルや知識とは?

より良い服薬指導に必要なスキルや知識とは

服薬指導において、薬学的知見に基づいて、患者さま一人ひとりに適切な情報を提供するためには、以下のスキルや知識が求められます。

コミュニケーション能力

服薬指導では、患者さま一人ひとりの状況に合わせて必要な情報を伝えることが重要です。そのためには、患者さまの話にしっかりと耳を傾け、抱えている問題やニーズを把握するコミュニケーション能力が欠かせません。

患者さまが安心して理解できるよう、言葉遣いも大切です。専門用語は避け、患者さまに合わせた分かりやすい言葉で説明することで、服薬への不安の軽減につながります。たとえば「食前」は「食事の30分前」のように具体的に説明することで、患者さまの理解を深めることができます。

薬学的知識

服薬指導で患者さまの薬物治療の安全性と有効性を高めるためには、医薬品の効能・効果や副作用、相互作用といった薬学的知識が必要となります。さらに、患者さまからの質問にも的確に回答できるよう、最新の情報も踏まえた幅広い知識を身につけておくことが重要です。

相手の状況や行動の想像力

患者さまの症状や背景、理解力などに合わせて情報を提供するためには、患者さまが何を求めているのか、どのような生活スタイルかなどを想像する力が重要です。

たとえば、会社員の患者さまが昼休みに処方箋を持参し、仕事帰りに薬を取りに来ると言った場合、夜遅くなる可能性を想像し、薬局の閉局時間を伝えておくことで、スムーズな薬の受け渡しにつながります。

▼参考資料はコチラ
村尾孝子 編:患者さん対応のプロをめざす! 「選ばれる薬剤師」の接遇・マナー.同文舘出版,2017
日経ドラッグインフォメーション 編、日本調剤株式会社 編集協力:現場で役立つ 薬局業務ガイドブック.日経BP,2021

服薬指導のスキルアップ方法

服薬指導のスキルアップ方法とは?

服薬指導のスキルアップのためには、日々上手く指導できた点や改善点などを振り返りながら、経験を積むことが大切です。日々の業務に加えて、服薬指導に必要なスキルや知識を身につける方法として、以下も挙げられます。

同僚や先輩薬剤師から学ぶ

周囲で患者さまから信頼されている同僚や先輩の服薬指導を観察し、良い点を積極的に取り入れてみましょう。

また、服薬指導で工夫している点や、悩みなどを同僚と共有し合うようにすると、スキルアップのヒントが見つかるかもしれません。

ビジネス書を読む

ビジネス書には、良好な人間関係を築く方法や信頼関係を構築するための接客方法など、ビジネスで必要な知識やノウハウが書かれています。薬剤師も地域社会や組織の一員として、患者さまと向き合うという点で、基本的な考え方が共通する部分が多くあります。ビジネス書を読むことで、服薬指導にも応用できるアイデアが見つかるかもしれません。

認定・専門薬剤師の取得を目指す

認定・専門薬剤師などの資格取得を目指すことで、服薬指導に役立つ専門性の高い薬学的知識の習得が期待できます。たとえば「感染制御専門薬剤師」の取得を目指す過程では、感染症の診断・治療や感染対策など、感染制御に関する高度な知識を学ぶことができます。

資格取得という明確な目標を持つことで、漠然と勉強するよりも日々の学習意欲を高められるかもしれません。

資格取得をサポートする制度や環境を整えている職場もありますので、資格取得を目指す場合は、就業先の教育制度を確認してみるのもよいかもしれません。

薬歴を活用する

薬歴を服薬指導のスキルアップの機会や、コミュニケーションツールとして活用するのもよいでしょう。

薬歴を書く際に、今回の服薬指導で良かった点、改善点などを振り返ることで、次の機会や他の患者さまへの対応に役立てることができるかもしれません。

また、薬歴には薬のことだけではなく、患者さまとの対話から得られた情報も分かりやすく記録しておきましょう。たとえば、患者さまが今週末から海外旅行に行く予定だと言っていた場合、その情報を薬歴に記録しておけば、次回の服薬指導時に「旅行中の体調は大丈夫でしたか?」といった自然な会話のきっかけを作ることができます。

異動・転職する

服薬指導の幅を広げるために、働く環境を変えることも一つの選択肢です。処方箋の応需科目や患者さまの年齢層などは職場によって異なるため、異動・転職を検討してみるのもよいでしょう。たとえば、総合病院の門前薬局では、多様な診療科の処方箋を応需している傾向にあるため、幅広い症例を経験できます。調剤併設型ドラッグストアでは、医療用医薬品とOTC医薬品の両方を扱うことで、服薬指導の幅を広げられるでしょう。

薬物治療の安全性と有効性を確保するといった服薬指導の目的は変わらなくとも、職場によって服薬指導への姿勢や、患者さまとの接し方などの方針が異なることがあります。今よりも服薬指導のスキルを高めていきたいと感じる場合は、新たな環境でより自分に合った患者さまへの寄り添い方を追求してみるのもよいでしょう。

▼参考資料はコチラ
村尾孝子 編:患者さん対応のプロをめざす! 「選ばれる薬剤師」の接遇・マナー.同文舘出版,2017
日経ドラッグインフォメーション 編、日本調剤株式会社 編集協力:現場で役立つ 薬局業務ガイドブック.日経BP,2021
流石学、長谷川周重 著:薬剤師の新しいキャリアデザイン戦略 "自分らしい人生を歩むために!" 33歳までに読む本.ロギカ書房,2022
鹿嶋直純 著:薬効分類別 服薬指導のエッセンス 改訂第4版 ~薬剤師のための患者さんへの接し方と服薬指導~.東京図書出版,2021
感染制御 専門薬剤師・認定薬剤師|日本病院薬剤師会

患者さまに信頼される服薬指導を行うために

本記事では、服薬指導に必要なスキルや知識、具体的なスキルアップ方法を紹介しました。

患者さまに信頼される服薬指導を行うためには、患者さまが必要としていることを的確に捉え、薬学的知識に基づいて適切な情報を提供することが重要です。

そのためのスキルや知識を身につけるために、本記事で紹介したスキルアップ方法をぜひ参考にしてください。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2025/02/27

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