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  • 公開日:2021.02.03

『日病薬病院薬学認定薬剤師』とは?内容や資格取得方法について徹底解説【薬剤師の資格入門】

『日病薬病院薬学認定薬剤師』とは?内容や資格取得方法について徹底解説【薬剤師の資格入門】

病院薬剤師が主人公となるドラマがテレビで放映されたことなども影響し、病院薬剤師が注目を集める機会が増えました。薬剤師資格があれば病院薬剤師になることは可能ですが、最近は認定薬剤師の資格が求められることも多くなっています。

今回紹介する「日病薬病院薬学認定薬剤師」は、病院薬剤師ならば知っておきたい資格のひとつ。一体どんな資格なのか、その目的や取得する方法を紹介します。病院薬剤師を目指している方、病院薬剤師に転職を考えている方は、スキルアップの参考にしてみてください。

「日病薬病院薬学認定薬剤師」とは?

「日病薬病院薬学認定薬剤師」とは、一般社団法人日本病院薬剤師会(日病薬)の日病薬病院薬学認定薬剤師制度により認定された薬剤師のことです。従来の「生涯研修認定制度」に代わって設けられ、新しい生涯研修として2015年から認定がはじまりました。病院や介護施設、診療所などで活躍できる実践力が認証された薬剤師であり、病院薬剤師として一定以上の実力があることを示す資格です。

多様化する医療への対応力を身につけることで、「臨床現場のチーム医療で薬物療法を主体的に参画できる薬剤師を育成する」という目的で、この認定制度が設置されました。

▽参考記事はコチラ
日病薬病院薬学認定薬剤師制度について 認証取得までの経緯
日病薬病院薬学認定薬剤師制度について

「日病薬病院薬学認定薬剤師」の役割

日病薬病院薬学認定薬剤師の役割

では、「日病薬病院薬学認定薬剤師」にはどのような役割と能力が求められるのでしょうか。仕事内容ややりがいについても解説していきます。

「日病薬病院薬学認定薬剤師」の役割と求められる能力

仕事は多岐にわたり、基本的には病院内の薬剤に関することすべてに関わっています。調剤や院内製剤の調製、患者さまやスタッフとのコミュニケーション、薬物療法のモニタリング、病棟業務、注射薬の混合など、様々な場所で活躍しています。

とくに「医師と対等に話すことができる能力」「薬物療法の計画にアドバイスを行うことができる知識」「心理的な配慮が必要な患者さまに対するアプローチ」など、高度なスキルを求められることが特徴です。

「日病薬病院薬学認定薬剤師」を取得するメリットとやりがい

「日病薬病院薬学認定薬剤師」の資格を所有することは、一定の厳しい研修を経て、知識と経験を兼ね備えている証になります。臨床現場のチーム医療にも積極的に参加できるようになり、医師や看護師からも厚い信頼を得られるようになるでしょう。

また、治療への貢献度が高くなることで、患者さまに与える影響も大きくなります。病院によっては若手の教育を任せてもらえるなど、一人前の病院薬剤師として存在が認められることも大きなやりがいとなるでしょう。

「日病薬病院薬学認定薬剤師」が活躍できる場所

日病薬病院薬学認定薬剤師の役割

では、「日病薬病院薬学認定薬剤師」の資格を取ることで、どのような職場で活躍できるようになるのでしょうか。また、転職において有利になるかどうかも解説します。これから資格取得を考えている方は、参考にしてみてください。

調剤や監査など通常の薬剤師業務

病院薬剤師の仕事である調剤業務、監査、服薬指導、病棟業務などを行う際に、厳しい研修により身につけた知識を直接役立てることができます

たとえば、院内製剤を製造する場合に、ガイドラインを参考として品質の保証された薬剤を適切に提供できるようになります。そのほか、リスクマネジメントや安全性の管理などにおいても、「日病薬病院薬学認定薬剤師」としての知識を活用できるでしょう。

また、最新の医薬品情報を入手して、適切に治療に活かせる知識とスキルを身につけられます。チーム医療の一員として大きな役割を果たせるでしょう。

教育研修

質の高い医療人養成を目指した実務実習を支援することで、医療の高度化などに貢献するのも「日病薬病院薬学認定薬剤師」の研修目標のひとつです。

どんなに優秀な人材であっても、現場での経験と教育はスキルアップに不可欠です。正しい知識を習得した「日病薬病院薬学認定薬剤師」が教育に参加することによって、次世代の優秀な人材の育成につながり、最終的には医療レベルの向上も目指すことができます

病院経営マネジメント

業務の適正化および薬剤師の職能拡大のために、経営的視野を含めたマネジメント力を養成することも「日病薬病院薬学認定薬剤師」の目標に含まれています。たとえば、コスト管理という面から見ても、大きな幅を占める薬剤費を適切にコントロールできる人材育成は、健全な病院経営には欠かせません。

基本的なマネジメント能力はもちろん、一定の研修を受けた「日病薬病院薬学認定薬剤師」が経営に加わることで、病院全体の発展のために効果的な経営戦略を立てられるようになります。

転職においても有利になる

「日病薬病院薬学認定薬剤師」の資格を取得していると、一定以上の知識を持った薬剤師であることを示す証にもなります。そのため、病院薬剤師として転職する際にも、即戦力として期待される可能性が高いです。希望する部署がある場合や、何らかの役職に付きたい場合にも、資格があると優遇されやすいでしょう。

さらに、年収や待遇面の改善についても交渉する材料となり、病院によっては認定を受けていることで手当が付くケースもあるようです。収入アップを目指したい場合や、高度な先進医療に携わりたいなどの理由で転職する場合にも、「日病薬病院薬学認定薬剤師」を取得しておくとよいでしょう。

「日病薬病院薬学認定薬剤師」になるためには?

「日病薬病院薬学認定薬剤師」を目指すとなれば、資格の取得方法や取得に必要な条件などが気になるところ。申請方法や合格率、更新方法などについても確認していきましょう。

資格の取得方法と条件

まずは条件として、日本病院薬剤師会正会員又は特別会員(保険薬局勤務・大学教員等の薬剤師)であることがあげられます。さらに、医療倫理や法令遵守、ファーマシューティカルケアなど5つのカテゴリから成る研修過程を修了しなければなりません。カリキュラム単位の必要単位数を取得するとともに、3年間で50単位以上(1年間で少なくとも10単位以上)を取得することも求められます。最終的には認定試験に合格すると、晴れて「日病薬病院薬学認定薬剤師」としての認定を受けられます。

申請方法

日本病院薬剤師会のオンライン申請システムに情報を入力して送信し、ダウンロードした認定申請書類一式と研修記録を合わせて提出することで申請できます。書類審査に合格すると認定試験を受けることが可能です。

なお、認定において必要となる費用は以下の通りです。

認定期間:6年
受験費用:2,000円(税別)
認定料:3,000円(税別)
更新料:3,000円(税別)

引用:「日病薬病院薬学認定薬剤師制度規程細則」より

合格率

認定試験は1年に1回、Web上で行われます。合格率については2018年度は98.4%であり、比較的合格率は高いと言えるでしょう。しかし、確実に合格するためにはしっかりと更新研修を受けて、理解を深めておくことが大切です。

更新方法

「日病薬病院薬学認定薬剤師」は6年で更新が必要です。初回認定と同じくWeb上での試験を受けて合格することで更新が可能となります。また、試験に受かるだけではなく、日病薬病院薬学認定薬剤師制度研修カリキュラムを100単位以上取得すること、以下の3つの条件をクリアすることも求められます。

・日病薬病院薬学認定薬剤師制度研修カリキュラムで定められた単位数を取得
・薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修プロバイダーが付与する単位は通算20単位まで使用できる
・毎年度(4月1日から翌年3月31日まで)最低10単位取得している

「日病薬病院薬学認定薬剤師制度規程細則」より

資格取得が自らの自信とスキルを示す"証"となる

医学の発展と病気の多様化により、病院薬剤師に期待される職能は年々増えています。そのなかで、自身に一定のスキルと技術をもつ薬剤師であることを示すひとつの方法として「日病薬病院薬学認定薬剤師」の認定制度があります。

「日病薬病院薬学認定薬剤師」の取得を目指すことで、病院薬剤師としてのレベルアップにもつながっていくはず。病院薬剤師としてさらなるキャリアを築いていきたい方は、ぜひ資格取得を目指してスキルと価値を高めていきましょう。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2021/02/03

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