キャリア&スキルアップ
  • 公開日:2019.04.10

今後、現場に求められる薬剤師とは?先輩5人に聞いてみた【お悩みQ-A】

今後、現場に求められる薬剤師とは?先輩5人に聞いてみた【お悩みQ-A】

「将来的に薬剤師を必要としない時代が来るかもしれない」。薬剤師になったばかりの方でも、このような話を聞いたことがあるのではないでしょうか。実際に高度なAIの普及により、処方箋の調剤や管理などが薬剤師に代わって行われるといった話も耳にします。

そうした時代の変化の中で、今後も求められる薬剤師であり続けるためには、どのようなスキルや心構えが必要なのでしょうか。

この記事では、「現場に求められる薬剤師とはどのような人材か」というテーマで、様々な経験を積んだ5人の先輩薬剤師の方にお話を伺いました。

一番大切なのは「前向きでイライラしない」こと

薬剤師は長時間にわたり薬局内で他のスタッフと一緒に仕事をするので、職場の人間関係が働きやすさに大きく影響を及ぼします。そのため、薬剤師として患者さまと接する時だけでなく、先輩薬剤師や業務に関わる人とも円滑なやり取りができることが求められます。

それでは、1人の社会人として、薬局内ではどのような立ち振る舞いを意識すべきでしょうか。先輩薬剤師に聞いてみました。

Q.一緒に働いていて気持ちが良い薬剤師とはどんな人ですか?

○仕事を選ばず、協力しながら業務ができる人。感情面では、忙しくてもイライラせず淡々と業務ができる、気分が安定している人。(調剤薬局勤務15年/30代Nさん)

○忙しい時もイライラしない人。まじめに取り組む時はきちんと取り組み、気軽に話せるような時間帯はまったりと話せる人。(ドラッグストア2年/20代Sさん)

○やりがいや生きがいをもっている人。愚痴ばかりだったり気力がなかったりすると、こちらまでマイナスな雰囲気になってしまいます。(管理薬剤師10年/30代Mさん)

○忙しくても前向きで、患者さま第一で動ける人。また、同僚や後輩がミスをしたり動きが遅かったりしても、イライラせずにお互い様の精神で協力し合える人。(調剤薬局勤務9年/30代Kさん)

一緒に働きたい薬剤師について、「忙しいときもイライラせず、気分が安定していること」や「前向きで協力し合えること」といった意見が多数を占めました。

患者さまだけでなく薬剤師同士でもお互いに思いやりを持って接し、自分自身も周りも気持ちよく働ける環境をつくっていくことが、求められる薬剤師になる第一歩です。

成長スピードが早い薬剤師とは?

パソコン作業を行う薬剤師のイメージ

続いては、薬剤師として若手のうちに身につけておきたいスキルや心構えについてお聞きしました。

Q. 若手のうちに必ず身につけておきたいスキルや心構えなどがあれば教えてください。

○社会人としての一般的なマナー

○コミュニケーションスキル

○たくさんの患者さまや、様々な科の処方を見るという経験

○自ら調べて勉強する習慣

○SNSやWEBページなど、色々なところにアンテナを張り、情報収集を行うスキル

○新薬などの新しい情報を取ってきて、周りに伝達するスキル

基本的なマナーはもちろん、様々な症状を持つ患者さまとのやり取りをするからこそ、それぞれに応じたコミュニケーション能力が必要になる場面が多いようです。また、積極的に情報や知識を得ようとする姿勢が習慣になれば、自らの成長につながるだけでなく、周りの薬剤師にも良い影響をもたらすことができますね。

これらのスキルは、一朝一夕で身につくものではありません。ねばり強く習得していきましょう。

素直で意欲的な若手薬剤師は、成長スピードが早い!

常に新薬や新しい治療法、病気などが生まれる中で、薬剤師として成長するためにはスキルの習得だけでなく、常に学ぶ姿勢が大切になってきます。

成長スピードの早い薬剤師には、どのような共通点があるのでしょうか。

Q. 先輩薬剤師から見て、スキルの伸びが早い若手薬剤師はどのような特徴がありますか?

○気になったことはすぐに調べる、復習をきちんとするなど、好奇心旺盛であること。(管理薬剤師3年/20代Yさん)

○素直で明るく一生懸命に働くこと。また、知らないことやわからないことは、きちんと聞いたり自分で勉強するなど、うやむやにしないのも大切。(調剤薬局勤務15年/30代Nさん)

○分からないことがある時に、自分で悩まずすぐに聞けること。(ドラッグストア2年/20代Sさん)

○素直であることと、基本の習得を心がけていること。まずは基本通りやってみて、その上で自分の考えや、やり方が提案できる薬剤師は伸びが早いし、教える側も教えやすい。(管理薬剤師10年/30代Mさん)

ほとんどの先輩薬剤師が、「素直であること」「学ぶ意欲が高いこと」を挙げました。

周りからのアドバイスや日々の業務で得た学びをどんどん受け入れて吸収できる人が、薬剤師として成長できるようです。身近な先輩薬剤師の方に、どのように勉強しているのかを聞いてみるのも良いかもしれませんね。

薬剤師としてさらなるキャリアアップを目指すには?

キャリアアップのイメージ図

薬剤師のキャリアアップには、資格取得や専門分野の修得などさまざまな手段があります。

基本的なスキルや心構えは押さえた上で、将来さらなるキャリアアップをはかるためには実際にどのようなスキルを身につけるべきなのでしょうか。様々な経験を積んだ先輩薬剤師に、いま自分に必要だと思うスキルについて聞いてみました。

Q. あなた自身が、今後薬剤師として磨いていきたいスキルはどんなものですか?

○調剤薬剤師としてのスキル、在宅医療のスキル(管理薬剤師3年/20代Yさん)

○在宅医療のスキル(調剤薬局勤務15年/30代Nさん)

○薬だけでなく、疾患、食事、生活まで幅広くアドバイスできるようになりたい。ドラッグストアは病院に行くか悩む人が来店することも多いので、症候学についても学んでいきたい。(ドラッグストア2年/20代Sさん)

○生化学や分子栄養学の確かな理論に基づいた予防医学。他の民間の資格の方に薬剤師として負けてはいけない。(管理薬剤師10年/30代Mさん)

○小児向け専門分野の知識をもっとつけたい。また、コミュニケーションスキルも磨いていきたい。(調剤薬局勤務9年/30代Kさん)

基本的な調剤薬剤師としてのスキルに加え、専門的な知識やスキルがあげられました。

特に5人中2人があげた在宅医療のスキルは、超高齢化社会を迎える日本においては、これから先はとても重要になってきます。

在宅医療においては、必要に応じて処方薬の変更を医師に提案したり、患者さまの服薬状況やスケジュールを管理したりといった役割が求められます。在宅医療を選択した患者さまとご家族の不安や負担を軽減できるよう、患者さまを深く観察、理解し、適切なコミュニケーションを心がけましょう。

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認知症患者に対する接し方と服薬コミュニケーション<在宅医療にかかわる薬剤師必見>

必要とされるのは、患者さまに寄り添うことのできる薬剤師

患者に寄り添う薬剤師のイメージ画像

薬剤師を取り巻く環境がどんどん変化していく中で、スキルや知識を身につけることはもちろん重要です。ただそれのみに終始していては、他の薬剤師との差別化が難しい上に、今後AIに仕事を奪われる可能性まで出てきます。

薬剤師として活躍し続ける人とは、どのような特徴を持った人なのでしょうか。

Q. かかりつけ薬剤師としての役割やAI導入などが騒がれる中、今後求められる薬剤師とはどんな薬剤師だと思いますか?

○患者さまに寄り添うあたたかい心を持った人。調剤技術や知識を持ったAIが出る時代がやってくるからこそ、心と心の触れ合いという、人しか感じられない繋がりを大切にすることが重要になると思う。(調剤薬局勤務15年/30代Nさん)

○患者さまの感情や気持ちに寄り添うような対応が出来る薬剤師。この薬局でこの薬剤師から薬を貰いたいと思われるような人柄でないといけないと思う。(ドラッグストア2年/20代Sさん)

○影響力のある薬剤師です。目の前の人、薬局に来る人、地域の人、日本の人、世界の人、薬剤師としての知識と経験を活かして、関わる方の健康に寄与する影響力のある薬剤師が今後社会的にも求められると思います。(管理薬剤師10年/30代Mさん)

○知識が豊富で、相手に分かりやすい言葉で伝えることができ、患者さま・ドクター・同僚から信頼を得られる薬剤師。(調剤薬局勤務9年/30代Kさん)

薬剤師にとって、患者さまの気持ちに寄り添うことは基本中の基本でもありますが、だからこそ、一番おろそかにしてはいけない部分です。病気に対する不安な気持ちを少しでも解消するため、一人ひとりに合ったコミュニケーションが取れる薬剤師がこれから必要になってくるでしょう。

また、患者さまからの信頼を得るためには、土台となる知識の習得や様々な経験も必要不可欠。難しい知識も自分自身の言葉で噛み砕いて説明できると、より患者さまから信頼を得ることができるでしょう。

薬剤師としてどうあるべきか悩む方へ、先輩からメッセージ

先輩からのメッセージのイメージ画像

最後に、薬剤師としてどうあるべきか悩んでいる後輩薬剤師の方に、アドバイスとメッセージをいただきました。

Q. 薬剤師としてどうあるべきか悩んでいる後輩薬剤師に、アドバイスやメッセージをお願いいたします。

○一つの職場にこだわらず、色々な職場や役割を経験して、目標となる先輩を見つけるべき。ブランクを作らず、薬剤師としてのキャリアを積んでいくと良い。(管理薬剤師3年/20代Yさん)

○様々な種類の薬剤師に会って、話を聞く機会を持つと良いと思います。視野を広げましょう。(調剤薬局勤務15年/30代Nさん)

○ただ目の前の投薬をこなすだけの投薬マシーンにはならないで欲しい。同じ処方内容でも患者さまごとに投薬内容は変わってくるはずです。薬のプロフェッショナルとして薬についての知識があるのは当然なので、それだけに留まらないようにして欲しい。(ドラッグストア2年、20代Sさん)

○私もずっとモヤモヤしていて、将来薬剤師としてどうあるべきか思い悩んでいました。いろいろな資格もとりましたし、活動もしています。そうやってあきらめずに行動をしていれば、必ずあなたの人生を変える人と出会う事ができるので、その時がきたと思ったらおもいっきり飛び込んでみてください。(管理薬剤師10年/30代Mさん)

○薬剤師としてどうあるべきかの前に、自分が何をしたいか、を真剣に考えて行動してみてください。一箇所で勤めていると狭い世界に思えるかもしれませんが、日本には色々な薬剤師がいます。もし職場の人には相談できないような悩みがあれば、今はSNSやイベント開催も多々あるので、色々な薬剤師に会うことがおすすめ。また、自分のライフプラン、目標を明確にすることも自分と向き合えるのでおすすめです。(調剤薬局勤務9年/30代Kさん)

若手薬剤師の皆さんも、現在の環境に固執せず、ぜひ色々な人との出会いや経験を大切にしていきましょう。悩んだり立ち止まったりした時は、遠慮なく周りに相談してくださいね。

今後も求められる薬剤師でいるために、スキルと心構えの両立が重要

これからの薬剤師は、様々な知識や経験、コミュニケーション能力の高さなどがこれまで以上に求められていきます。ご自身に足りない点、これから磨いていきたい点などの参考になりましたでしょうか。

活躍の場を増やしていくためにも、ぜひスキルや心構えを参考にしてみてくださいね。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2019/04/10

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