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2021.10.04

「介護老人保健施設(老健)で働く薬剤師」の仕事って?【薬剤師のお仕事ガイド】

「介護老人保健施設(老健)で働く薬剤師」の仕事って?【薬剤師のお仕事ガイド】

日本は65歳以上の高齢者が21%を超えている超高齢社会です。2020年には高齢者の割合が28.7%にまで上がり、2065年には約2.6人に1人が高齢者になるといわれています。高齢者が増えるとともに、介護に関わる薬剤師の需要も増しているのです。

しかし「介護に薬剤師がどのように関わるの?」「仕事内容がわからない」と思っている方も多いでしょう。そこで今回は、介護老人保健施設に関わる薬剤師の仕事について詳しくご紹介します

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介護老人保健施設とは?

介護老人保健施設とは?

介護老人保健施設は「老健」とも呼ばれ、おもに入所者のリハビリをメインに行っている施設です。要介護1以上の認定を受けた方のうち、入院の必要がなく病状が安定しており、リハビリが必要と判断された方が入所します

いわゆる老人ホームとは違い、長期間にわたって生活をする場所ではありません。要介護者が自宅に復帰できるよう介護や援助をする目的のため、入所期間は一般的に3~6ヶ月ほどです。週2回以上のリハビリや、入浴・食事の介助、食事管理なども行われます。

施設内には医師が常駐しているほか、看護師や薬剤師、作業療法士、理学療法士など様々な医療従事者が働いている点も特徴です。病院と同じように、多職種間のコミュニケーションを図りながら薬剤師として業務にあたります。

介護老人保健施設での薬剤師の配置基準

介護老人保健施設での薬剤師の配置基準

老健には、入所者300人につき1人の薬剤師を配置するというルールがあります。しかし、入所者が300人を超える施設は多くありません。

厚生労働省が公表している「平成29年 介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、入所者が100~109人の介護老人保健施設が36.7%で最多、次いで80~89人が14.0%、50~59人が7.8%でした。300人以上の施設の割合は公表されていませんが、150人以上の施設は5.4%です。

数字にも表れている通り、現状は薬剤師の配置基準を満たす施設は少なく、実際に薬剤師が常駐しているところもあまりない状況です。しかし、高齢者が多く入所している以上、薬の管理は必要不可欠といえます。そのため施設側が近隣の調剤薬局やドラッグストアなどに委託して、薬剤師が指導を行っているケースも少なくありません

薬の在庫を揃えたり薬剤師を常駐させたりするには一定の費用が必要ですが、委託することで施設の運営負担を減らしながら薬剤師の介入が可能になるのです。

介護老人保健施設での薬剤師の役割とは?

介護老人保健施設での薬剤師の役割とは?

介護老人保健施設に関わる薬剤師には、ほかの職種と連携し、医療機関で提供されたサービスを継続させる役割が求められます

メインとなる調剤業務や服薬指導、医薬品管理はもちろんのこと、とくに現状では、施設内の感染対策も薬剤師の重要な業務となっています。そのほか、管理栄養士と連携し入所者の栄養管理を行うなど、薬物治療ではない日常的な場面のサポートも介護保険老人施設ならではといえるでしょう。また、施設によっては入所者判定会議への参加など、組織運営に関連する業務に携わる場合もあります。

施設には薬剤師が潤沢にそろっているわけではなく、常駐の場合は自分1人という場合も少なくありません。そのため多種多様な業務を任されることも多く、ほかの職場ではなかなかできない経験を積めるのも介護保険老人施設の特徴です。

介護老人保健施設に向いている薬剤師

介護老人保健施設に向いている薬剤師

介護老人保健施設にはどのような薬剤師が向いているのでしょうか。調剤薬局やドラッグストアとは異なる経験が得られます。

チーム医療の経験を積みたい方

多職種と連携しながら働きたいと考えている方に、介護老人保健施設はぴったりの職場です。施設にもよりますが、介護老人保健施設には次のようなスタッフが在籍しています。

  • 医師
  • 看護師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 介護支援専門員
  • 社会福祉士
  • 介護福祉士
  • 管理栄養士
  • 歯科衛生士

  • 薬剤師は入所者に体調の変化があった際、「薬が合わないのかも」「副作用が出ているのかな?」と薬学的な視点が働きますが、多職種連携によって様々な視点から入所者を見ることが可能になります。また、異なる専門知識をもったスタッフとのやりとりによって、より深い視点から物事を考えられるスキルも身につけられるでしょう

    薬局やドラッグストアではほかの医療従事者とやりとりをする機会が少ないため、連携を取っている実感を得るのは難しいものです。介護老人保健施設であれば、チームの一員として働きながら様々な知識を吸収できます。

    在宅医療などへの関わりを見据え、高齢者への薬物治療を学びたい方

    高齢者の人口比率は、今後さらに増していくことが確実です。このような状況のなか、高齢者への適切な薬物治療は薬剤師にとって切っても切り離せない大きな課題となっています。また、薬剤師が地域包括ケアシステムを担う⼀員として専⾨性を発揮することがますます求められており、在宅医療への関わりも期待されています

    在宅医療への関わりを見据え、「高齢者のQOLを上げられるような薬剤師になりたい」「高齢者の健康を守る手助けをしたい」と考えている方には、介護老人保健施設での経験は大きな財産になるでしょう。

    具体的には、高齢者との関わりによって以下のようなスキルを身につけられると、今後さらに活躍できる薬剤師となれるでしょう。

  • 腎機能や肝機能に応じて用法用量を調整する
  • 視力や聴力に障害がある方にも服薬指導ができる
  • 手を動かしづらい方でも服薬しやすいように工夫できる
  • 服薬忘れを防止できるような対策を考えられる
  • ただし、これらのスキルが必要となるのは高齢者だけではありません。継続的に高齢者と関わることで、結果的により多くの患者さまへ適切な薬物治療が提供できるようになります。

    高齢者との継続的な関わりがスキルアップにつながる

    介護老人保健施設とは、3~6ヶ月程度を目安にリハビリが必要と判断された方が入所する施設です。施設に常駐して働く場合もありますが、近隣の薬局やドラッグストアが委託を受けているケースが多いことは覚えておきましょう。

    多職種と連携しながら入所者を薬学的観点でサポートしていく役割が求められます。調剤や服薬指導、医薬品管理のほか、栄養管理などの薬物療法以外のサポートも必要になるでしょう。また、施設運営や組織運営に携わる場合もあります。

    今後、日本の高齢化はさらに加速していきます。そのなかで高齢者への適切な薬物治療は、薬剤師にとって必須のスキルとなるでしょう。さらなるレベルアップのため、継続的な高齢者との関わりやチーム医療の経験を積んでおくことが重要です。

    ファルマラボ編集部

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    記事掲載日: 2021/10/04

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