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2021.03.08

「在宅患者訪問薬剤管理指導」とは?薬剤師に期待される役割

「在宅患者訪問薬剤管理指導」とは?薬剤師に期待される役割

「在宅患者訪問薬剤管理指導」とは、通院が困難な方に対して薬剤師が患者さまのお宅を訪問して、薬剤の服薬状況や保管状況、残薬の有無などを確認し、服薬指導や服薬支援を行うことを指します。超高齢社会の到来を背景に、自宅での療養を希望する患者さまは増え続けており、在宅医療には大きな役割が期待されています。

この記事では、在宅患者訪問薬剤管理指導の概要や薬剤師の仕事内容、求められる役割について解説していきます。混同されることの多い「居宅療養管理指導」との違いについても、確認していきましょう。

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「在宅患者訪問薬剤管理指導」とは?

「在宅患者訪問薬剤管理指導」とは?

「在宅患者訪問薬剤管理指導」とは、在宅で療養を行う患者さまが疾病や負傷により通院が困難である場合において、保険医療機関の薬剤師が医師および患者さまの同意を得て患者宅を訪問し、薬剤管理指導記録に基づいた服薬指導や服薬支援、そのほかの薬学的管理指導を行うことです。

超高齢社会を迎えた日本では、入院治療、通院治療に次ぐ、第三の選択肢として在宅治療が注目されるようになりました。薬物治療の専門家である薬剤師が在宅医療に参加し、患者さまやそのご家族の負担を軽減することや、治療効果を高めることが期待されています。

「居宅療養管理指導」との違い

在宅患者訪問薬剤管理指導によく似た項目として、「居宅療養管理指導」があります。これらの2つは名称や使用する保険が異なりますが、指導内容自体は同じです。患者さまが介護保険の認定を受けている場合には介護保険が優先となり、居宅療養管理指導が適用されます

また、「在宅患者訪問薬剤管理指導」では、保険医療機関と患者宅との距離が16kmを超える場合には、保険給付の対象とならないことが規定されています。ただし、患者宅の所在地から16km以内に在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を届け出ている薬局が存在しない場合には、在宅患者訪問薬剤管理指導を行うことが可能であり、保険給付の対象となります。

居宅療養管理指導についての詳しい内容は、以下の記事を参照してください。

▼関連記事はコチラ
厚生労働省が定める「居宅療養管理指導」とは?利用法や薬剤師の役割を解説
▼参考記事はコチラ
在宅訪問薬剤管理指導ってなあに? 東京都薬剤師会

在宅患者訪問薬剤管理指導における薬剤師の仕事内容

在宅患者訪問薬剤管理指導における薬剤師の具体的な仕事内容

在宅患者訪問薬剤管理指導における薬剤師の仕事は、多岐にわたります。医薬品の供給や服薬サポートに加えて、ほかの医療従事者と連絡を取り合うこともあります。

患者宅への医薬品の供給・服薬指導

処方箋に基づいた医薬品や衛生材料を供給し、服薬指導を行うことが主な役割です。外出が困難な方でも、自宅において良質な薬物治療を受けられるようにサポートします。緊急時の調剤に対応することや、夜間や休日に医薬品や服用方法についての相談を受け付けることもあるでしょう。

服用薬剤の管理

「飲んでいる薬の数が多くて管理ができない」「服用を忘れてしまい残薬が生じてしまう」など、薬に関する問題は様々。薬物治療の専門家である薬剤師が患者宅を訪問することにより、適切な支援を行います。たとえば、一包化やお薬カレンダーを活用して、服薬コンプライアンスを改善することもあります。

チーム医療の一員として多職種連携・情報共有

在宅医療では、患者宅を訪問して得られた情報を医師や訪問看護師などの多職種に共有することも求められています。患者さまの状態変化により、入院や退院が必要となる場合もありますが、病院薬剤師と連携して情報共有を行うことも。薬学的見地からアドバイスしたり、処方変更の提案をしたりするなど、様々な角度から問題解決を目指します。

▼参考記事はコチラ
在宅医療における薬剤師業務について 厚生労働省
薬剤師による在宅訪問 大阪府薬剤師会

「在宅患者訪問薬剤管理指導料」とは

あらかじめ在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨を地方厚生局長などに届け出た保険薬局において、保険薬剤師が薬学的管理指導計画を策定し、患者宅を訪問して薬学的管理および指導を行った場合に「在宅患者訪問薬剤管理指導料」を算定することが認められています

単一建物診療患者(当該する患者さまが居住する建物に居住する者のうち、当該保険医療機関の薬剤師が訪問し薬学的管理指導を行っているもの)の人数に従い、患者さま1人につき月4回(末期の悪性腫瘍の患者および中心静脈栄養法の対象患者については週2回かつ月8回)に限り、以下の点数を算定します。

1 単一建物診療患者が1人の場合 ・・・650点
2 単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合 ・・・320点
3 1及び2以外の場合 ・・・290点

※1から3までを合わせて、薬剤師1人につき週40回に限り算定が可能

また、患者さまの状態や服用する薬剤の種類によって、麻薬管理指導加算100点、乳幼児加算(6歳未満)100点、在宅患者オンライン服薬指導料(月1回まで/薬剤師1人につき週10回まで)57点の算定も認められています。

▼参考記事はコチラ
調剤報酬点数表(令和2年4月1日施行) 日本薬剤師会

在宅患者訪問薬剤管理指導に求められる薬剤師の役割

在宅患者訪問薬剤管理指導に求められる薬剤師の役割

在宅患者訪問薬剤管理指導では、単なる医薬品の管理だけでなく、薬学的な管理が求められています。医薬品の管理とは、医師の処方通り患者さまに薬剤を服用してもらうための管理で、服用方法の指示や残薬の管理などのこと。対して薬学的な管理とは、薬物治療の効果や副作用、さらにはADL(Activities of Daily Living/日常生活動作)やQOLを薬学的な知識に基づいて評価しつつ、服用状況を管理することをあらわしています。

また、医薬品に関するサポートだけでなく、健康に関する相談に応じたり、適切な受診勧奨を行ったりなど、地域の医療の窓口として力を発揮することも薬剤師の大切な役目。定期的な訪問を通じてコミュニケーションをとり、患者さまやその家族の支えとなることも、保険薬局で働く薬剤師の役割のひとつといえるでしょう。

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地域を支える薬剤師の活躍が求められている

この記事では、在宅患者訪問薬剤管理指導の概要や薬剤師の仕事内容、求められる役割、居宅療養管理指導との違いについて解説してきました。

2025年には団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、その数は2,000万人を超えると予測されています。高齢者は複数の薬剤を併用しているケースが多く、服薬に問題を抱えている患者さまも少なくありません。

高齢者を地域で支える地域包括ケアシステムの構築が求められるなかで、薬剤師にも大きな役割が期待されています。「在宅訪問薬剤管理指導」や「居宅療養管理指導」を行っている施設も増えており、活躍の場面は広がりつつあります。

記事掲載日: 2021/03/08

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