服薬指導に活かす医薬品情報

メイラックス錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

適応は、神経症・心身症(胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、過敏性腸症候群、自律神経失調症)における不安・緊張・抑うつ・睡眠障害です。睡眠前の緊張をほぐして眠りやすくするために睡眠薬代わりに用いられることもあります。


Q

飲み合わせは?

A

シメチジンが肝での代謝(酸化)を抑制するためメイラックスの血中濃度を上昇させます。

四環系抗うつ薬との併用では、メイラックスを急に減量・中断するとけいれん発作が起こる可能性があります。


Q

離脱症状について

A

継続が8ヶ月を超えると発現率が増えてきます。強い不眠、てんかんや意識障害、知覚過敏、焦燥感など症状は人によって様々で、程度・時期・期間も個人差があります。薬のせいではなく、断薬・減薬したという心理的な要因もあり鑑別が困難です。身体依存か精神依存かは明らかにされていません。


Q

服薬をためらう患者さまへの対応

A

ためらう原因が、「危ない薬だ」「クセになるらしい」などと他人から聞いたという場合には、薬に対する不安や心配を払拭することに努めます。リスク・ベネフィットを考慮してその患者さまに処方された治療レベルにおいて、心配は無用であることを伝えます。もし実際に「薬のせいかも」と思う不都合を経験しているのであれば、まずはそのことを医師に相談するようアドバイスします。いずれにせよ、勝手に自己判断して危ない治療にならぬように、理解・納得した上で治療を行っていただくようにします。



ベンゾジアゼピン系薬剤(睡眠薬・抗不安薬)

ω1または2受容体への選択性や半減期の違いにより、不安やけいれん、不眠などに適する薬剤が処方されます。BZP薬剤は低用量から高用量に向けて、抗不安、抗けいれん、筋弛緩、鎮静催眠、健忘作用の順に発現します。多剤併用は、投与総量が増加するので、筋弛緩、過鎮静、健忘など副作用が生じやすくなります。高用量では呼吸抑制の心配があります。バルビツール酸系との併用では作用増強により過鎮静の恐れがあります。


睡眠薬の処方率が年々増加していて、それに伴い常用量依存、乱用、長期漫然投与や過量投与、多剤併用が社会問題化してきており、昨年8月にアシュトンマニュアルの日本語版(BZP離脱の手順書)がネットで公開されたり、平成24年度の診療報酬改定では、睡眠薬または抗不安薬を3剤以上投与した場合に精神科継続外来・支援指導料が減額されるなどの対応がとられています。今年6月には厚労省の研究班と日本睡眠学会が作成した「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」が公表されました。


常用量依存(常用量服用でも休薬時に離脱症状がでる)は高力価、高用量、長期服用が関係しています(なお、半減期の短いものは離脱症状が発現しやすいと考えられていますが、症状が重いといった事実はないようです)。


耐性については、作用時間の短いものほど早期に現れます。また催眠・鎮静作用、協調運動抑制作用などは投与期間に依存して生じますが、抗不安作用や記憶障害(健忘)に対する耐性は生じないとされています。


せん妄は不眠が促進因子となりますが、BZP薬剤はせん妄を誘発してしまいます(高齢者に起こりやすいとされています)。せん妄に対する不眠には非定型抗精神薬か抗うつ剤が適し、無効の場合に睡眠薬の併用が検討されます。


掲載日: 2024/01/11
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