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2020.04.03

プロデューサー・野田悠介氏に聞く『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』の魅力

プロデューサー・野田悠介氏に聞く『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』の魅力

フジテレビ系で放送を予定しているドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』は、日本の連続ドラマ史上初めて病院薬剤師が主人公となります。

「アンサング(Unsung)」は、「称賛されない、知られざる」という意味です。「アンサング・シンデレラ」とは、知られざる医療界の立役者を指しています。

原作は『月刊コミックゼノン』で連載中の『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』(荒井ママレ/医療原案:富野浩充)。2018年5月の連載スタート以来、これまでスポットが当たりにくかった薬剤師の仕事をリアルに描写し、医療従事者からも絶賛されています。

なぜ、薬剤師が主人公のドラマを制作しようと思ったのか? これまで多くの医療ドラマに携わった本作のプロデューサーでもある野田悠介さんに制作のきっかけや見どころをお聞きしました。

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「病院薬剤師は医者や看護師だけでないもう一人の相談相手」

西野七瀬と石原さとみのイメージ

まずは原作を知ったきっかけを教えてください。

僕は入社1年目に『コード・ブルー』の作品に関わって以来、『グッド・ドクター』や『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』など医療ドラマに携わる機会が多く、医療関係の知り合いや友人が増えました。

そういった方々から『アンサングシンデレラ』を薦められたのがきっかけです。これまで医療ドラマでは、薬剤師がいるシチュエーションはほとんどなくて、原作を読んで、『こんなに近くに薬剤師さんがいたんだ』と気づきました。

それまでの薬剤師のイメージはどうでしたか?

薬局でカウンター越しに薬を渡される印象が一番強かったです。そのカウンターの裏側には、調剤室があって陰ながらも色々と支えてもらえていることはまったく知りませんでした。服薬指導や薬を変えて改善できることがあったり、薬剤師が患者さんにすごく近い距離にいることを知れたのが一番大きかったです。

例えば、自分が入院したときに、これまで相談相手としての選択肢が医者と看護師だけだったのが、薬に関しては薬剤師に相談したら解決します。「相談相手が一人増えることで心の支えになる」、それが原作を読ませていただいたときに心を打たれた部分です。

薬のプロである薬剤師の存在の大きさに気づけたということですね。

原作にもあるエピソードですが、薬を飲んで苦いと思っている子どもに対する解決方法など、薬剤師が薬のプロフェッショナルとして普段どう過ごしているのか、という今まで知られていない部分が魅力的だと思っています。そういう知られざる世界を描きたいという思いが一番でした。

病院薬剤師を知るために当直まで経験してリアリティを追求

西野七瀬と石原さとみのイメージ

ドラマ化にあたってどのようなリサーチをされましたか?

今回は監修してくださっている千葉の北総病院の薬剤師の方々にまず会わせていただきました。お話を聞いたり、現場を見学させていただいたり、一緒に当直をさせてもらったり(笑)。北総病院だけではなくて、日医(日本医科大学付属病院)本院の薬剤部や東大の高山和郎先生など専門家の方をご紹介いただき、お話を聞かせていただきました。

当直までされたんですね! そのような経験はドラマにも生かされていますか?

面白かったのは、薬剤師の方々の飲み会ですね。皆さんそれぞれバラバラの話をされるんですよ。個性があってバラバラなんですけど、患者さんのことになると、一点に向かう結束力があるんです。ドラマ化にあたって、チームをどのようにつくろうか、と考えたときに、個性があって曲者揃いだけど、ある一点になると協力し合うとか、普段は互いに認めていない振りをしつつも認め合っているようなベタベタしない信頼関係を表現したいなと思っています。あとは、実際のネタを提供していただいて、面白そうだなと思ったものは使用させていただいていますね。

そのようなリサーチを通じて、病院薬剤師はどのような職業だと感じましたか?

端的に言うと、"本当に傍で支えている人"という印象が強かったです。例えば、医者はがん患者がいた場合、腫瘍を治す、小さくすることをメインに考えると思うんです。でも、薬剤師は、"人を見る仕事"。患者を診ながら、副作用や症状の緩和を考えて薬を選んでいきます。調剤室も見学しましたが、誰も止まらずに常に手を動かしているんです。壁を一枚隔てて、こんなに忙しく動き回っているのは知られていません。見えないところで患者さんを支えている尊い仕事だなと感じました。

「誇り高く尊い薬のプロフェッショナルを描きたい」

石原さとみのイメージ

病院薬剤師の方々は、自分の職業についてどのように向き合っているように感じられましたか?

やはり薬のプロフェッショナルだということです。医者の方々も『薬剤師はこれだけ薬の知識を持っているんだ』と仰っていて、薬の知識に関しては、右にでるものはいないと思います。加えて言うならば、その中でも専門分野がわかれていて、突き詰めるほどに自分の知識が豊かになって、患者さんへの介入の仕方が変わっていきます。ですので、知的好奇心が強い方が多いんじゃないかと感じています。

主人公の葵みどりもそのような面がありますね。

「薬を渡すには、まず味を知らないと説明できない」というエピソードはまさにその現れだと思います。

数々の医療ドラマを手がけてきた野田さんですが、薬剤師を主人公にするにあたって、とくに難しかった点を教えてください。

医療ドラマでは、患者の容体が急変してスーパードクターないしは、チームで命を救うというシーンがよくあります。本作ではそういうオペシーンがない分、薬剤師が薬という視点でどう患者を救うか、悩んでいる患者をときほぐすのか。みどりがどういう言葉で伝えるとドラマの見どころとして面白くなるか、という点は毎回考えています。ダメかもしれないけど救えたというドラマチックなシーンを、薬剤師ドラマならではの表現をする点が、難しくもあり、面白いところですね。

原作のみどりは2年目の薬剤師ですが、ドラマでは8年目です。この設定の変更はどのような理由からでしょうか?

先ほどの答えともつながるのですが、ドラマとして薬剤師として患者さんと向き合うときに、みどりだからこそ言えるセリフやキャラクターはどういうものがいいか、と考えました。リアリティを追求しながらも、ひと通りの経験を得たからこそ言える言葉があるんじゃないかと考えて、8年目の設定にしました。

では、最後に「ファルマスタッフ」の読者にメッセージをお願いします。

原作もそうですが、知られざる仕事でもある病院薬剤師の方々が"薬のプロフェッショナル"であることや、その大変さを視聴者の皆さんに伝えられると思っています。そのうえで薬剤師の方々にも、ドラマを通して薬剤師がすごく誇り高くて、尊い仕事であることを再認識していただけるとうれしいです。

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まとめ

野田さん自身がドラマ化にあたって行ったリサーチで、実際に当直まで経験したというのは非常に驚きました。その経験からドラマを通じて伝えたいメッセージとして、インタビュー中に野田さんから幾度となく発せられたのが「知られざる仕事」という言葉です。まさに「アンサング・シンデレラ」のテーマを実体験で感じられたのでしょう。

毎日忙しく仕事に向き合っていると、自身の仕事の価値には案外気づきにくいものです。日本ドラマ史上初めてとなる病院薬剤師が主人公となる『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』は、病院薬剤師という職業を改めて見直すよいきっかけになるでしょう。

『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』

フジテレビ系で放送予定(※初回放送日は現状未定となっております)

『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』オフィシャルサイトはこちら

CAST

葵みどり...石原さとみ
相原くるみ...西野七瀬
小野塚 綾...清原 翔
刈谷奈緒子...桜井ユキ
羽倉龍之介...井之脇 海
工藤虹子...金澤美穂
販田聡子...真矢ミキ
辰川秀三...迫田孝也
七尾 拓...池田鉄洋
荒神寛治...でんでん
瀬野章吾...田中 圭
ほか

STAFF

原作...『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』 荒井ママレ/医療原案:富野浩充(『月刊コミックゼノン』連載/コアミックス)
脚本...黒岩 勉
主題歌...DREAMS COME TRUE『YES AND NO』
音楽...信澤宣明
プロデュース...野田悠介
演出...田中 亮、相沢秀幸
制作著作...フジテレビ第一制作室


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記事掲載日: 2020/04/03

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