転職ノウハウ
  • 公開日:2026.05.20

【2026年度】調剤報酬改定をわかりやすく!薬局薬剤師の働き方・年収への影響は?

【2026年度】調剤報酬改定をわかりやすく!薬局薬剤師の働き方・年収への影響は?

2026年度の調剤報酬改定(診療報酬改定)では、薬剤師の賃上げや、対人業務へのさらなる評価、医療モール内・門前薬局に対する厳しい立地依存減算など、さまざまな見直しが行われます。

「自分の年収はどう変わるのか」「勤務先が減算対象になるのではないか」など、現場の薬剤師にとって気になる点も多いのではないでしょうか。

本記事では、賃上げに向けた評価見直しや、減算対象となる薬局の基準、かかりつけ薬剤師・在宅業務の評価の見直しなどの改定のポイントや、現場の薬剤師の働き方やキャリア、年収への影響についてわかりやすく解説します。

2026年度(令和8年度)調剤報酬改定の全体像

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調剤報酬の改定内容は多岐にわたりますが、今回の改定のポイントはどこにあるのでしょうか?
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今回の改定では、国が掲げる『患者のための薬局ビジョン』を実現するために評価が見直された点が大きなポイントです。

細かな点数変更に目が行きがちですが、「国がどの方向に薬局の役割や機能を導こうとしているか」を押さえることで、今後求められる働き方やキャリアも見えてきますよ!

2026年度調剤報酬改定の主な内容

2026年度(令和8年度)6月1日に施行される調剤報酬改定では、物価高騰や人件費の上昇・医薬品の供給不安といった課題への対応に加え、『患者のための薬局ビジョン』の実現を加速させるために、薬局に対する評価方法が見直されます。

厚生労働省が公表している改定概要資料や告示・通知等に基づき、今回の改定で見直された主な内容を整理します。

2026年度(令和8年度)調剤報酬改定の改定内容の一覧表

主な改定内容は以下の通りです。各項目の詳細と、薬剤師の年収・働き方への影響は、後半で詳しく解説します。

【賃金・物価上昇の対応】

  • 賃上げ・物価高騰に対応する「調剤ベースアップ評価料(4点)」「調剤物価対応料(1点)」を新設

【調剤基本料・調剤管理料の見直し】

  • 面分業促進のため、「調剤基本料1、3ハ」の評価引き上げ
  • 処方箋集中率の計算方法を見直し、医療モール内の新規開設薬局の評価引き下げ
  • 都市部で新規開設時、既に多数の薬局がある地域、または医療モール内に立地する場合は15点の減算(門前薬局等立地依存減算)
  • 内服薬の調剤に係る調剤管理料を、長期処方(28日分以上)とそれ以外(27日分以下)の2区分に見直し

【かかりつけ薬剤師の評価見直し】

  • 「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」の廃止
  • 代わりに、実施した指導等に基づく評価の新設・見直し(「かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)」「かかりつけ薬剤師訪問加算(230点)」の新設)

【地域の医薬品提供体制の評価見直し】

  • 後発医薬品調剤体制加算は撤廃され、後発品の使用割合は、「地域支援・医薬品供給対応体制加算」の基礎要件へ再編

【在宅医療の評価見直し】

  • 「在宅薬学総合体制加算」の要件が見直され、個人在宅への評価を大幅に引き上げ
  • 医師と薬剤師による患家への同時訪問を評価する「訪問薬剤管理医師同時指導料」の新設

【その他、対人業務の見直し】

  • 残薬調整や、服用薬の一元管理・処方変更への評価の新設

【医療DX・情報連携】

  • 「医療DX推進体制整備加算」を廃止し、「電子的調剤情報連携体制整備加算」として一本化、電子処方箋システムによる重複投薬等のチェック体制評価を新設

2026年度調剤報酬改定の背景

今回の調剤報酬改定の背景には、国が進めてきた医療提供体制の大きな転換があります。

厚生労働省は『地域包括ケアシステム』の構築を打ち出し、2025年を目途に、医療・住まい・介護・生活支援・介護予防が一体となった体制の実現を目指してきました。

この仕組みは、重度の介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられる社会の実現を目的としており、薬局には単なる薬の受け渡しの場ではなく、患者さまの生活を支える「地域の医療拠点」としての役割が求められています。

厚生労働省は『患者のための薬局ビジョン』で薬局の再編方針も示しており、これまで主流であった特定の医療機関の処方箋に依存する門前薬局モデルからの脱却を進めてきました。今後は立地に関係なく、患者さまから選ばれる「かかりつけ機能」を持つことが重要とされ、2035年までにはすべての薬局をかかりつけ薬局へと移行させる構想が示されています。

薬局の具体的な役割として、服薬情報の一元的・継続的な把握に加えて、24時間対応や在宅対応、医療機関との連携が求められています。

患者のための薬局ビジョンの内容をまとめた図版
患者のための薬局ビジョン 概要|厚生労働省より引用

一方で、ビジョン策定から約10年が経過した現在でも、処方箋集中率が85%以上の薬局は多く、立地依存から脱却できていないのが実態です。

今回の改定では、『患者のための薬局ビジョン』の内容が現場でどの程度実現されているかが厳しく問われ、加算や減算により評価の二極化が進みました。

患者のための薬局ビジョン策定後、目標設定の目途が立っていない状況を図式化
令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省保険局医療課より引用

調剤報酬改定(診療報酬改定)により薬剤師の年収はどう変わる?

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今回の改定で薬剤師の年収は上がるのでしょうか?
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賃上げのための「調剤ベースアップ評価料」が新設されたため、基本給などのアップが期待されます。ただし、算定の対象者が限定されている点は注意が必要です。

今回の診療報酬改定は、医療従事者の処遇改善に向けて、診療報酬全体で+3.09%(2年度平均)の引き上げが行われ、そのうち+1.70%が賃上げ分として充てられています。

制度として賃上げを後押しする仕組みが導入されましたが、すべての薬剤師の年収が一律で上がるとは限りません。今回の改定が年収にどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。

薬局薬剤師への影響

薬局における賃上げ・物価高騰への対応として、新たに以下の点数が新設されました。

【賃上げ・物価対応としての新設項目】

  • 調剤ベースアップ評価料(4点:処方箋受付1回ごと)
  • 調剤物価対応料(1点:3カ月に1回)
患者のための薬局ビジョン策定後、目標設定の目途が立っていない状況を図式化
令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省保険局医療課より引用

「調剤ベースアップ評価料」は、保険薬局の薬剤師の賃上げを目的として新設され、算定による増収分は薬局の利益ではなく、

  • 基本給の引き上げ
  • それに伴う賞与
  • 時間外手当

などの増加分に充てることがルールとして定められています。

対象者は、40歳未満の薬局の勤務薬剤師(および事務職員)で、管理薬剤師やエリアマネージャーなどは対象外となっている点に注意が必要です。

【調剤ベースアップ評価料の対象に含まれない職員】

  • 事業主、使用者、開設者
  • 管理者(いわゆる管理薬剤師)
  • 40歳以上の薬剤師
  • 業務委託により勤務する者
  • 当該保険薬局に直接従事していない管理的業務に専従する者(本部職員、エリアマネージャー等)

賃上げの目標は、令和8年度(2026年度)に+3.2%、令和9年度(2027年度)にさらに+3.2%の実現とされています。たとえば、現在の年収が500万円の場合、令和8年度に516万円、令和9年度に532.5万円へのベースアップを目指すということになります。

ベースアップ評価料を算定するか、算定対象外の職員の賃上げをどうするかは、薬局により判断が分かれることが推測されます。

また、ボーナスなどの変動部分は、各企業・店舗が今回の改定にどれだけ対応できているかによって差が生じる可能性があります。

今回の改定に対応した方針が経営層から現場までしっかりと浸透し、評価される地域医療への移行や対人業務の取り組みなどが実践できている企業では、改定によって収益を伸ばしやすく年収アップにもつながる可能性が高いでしょう。

病院薬剤師への影響

病院薬剤師についても、診療報酬改定でベースアップ評価料の拡充が示されており、基本給や賞与、夜勤手当などの引き上げが期待されています。

また、病棟業務に対する評価が拡充されるなどの改定もあり、経験者など即戦力となる人材の給与の改善も期待できます。

調剤基本料・調剤管理料の見直し

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点数や施設基準が変更されるようですが、何が変わるのでしょうか?
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門前薬局など「立地に依存する薬局」への評価が引き下げられ、特定の医療機関に依存せず、広く地域から処方箋を受け付けている「面分業」を実践する薬局への評価が引き上げられる方向に改定されています。

調剤基本料の改定内容は以下の通りです。評価基準が厳格化され、処方箋の集中率に関する見直しや門前薬局への減算などがポイントとなっています。

調剤基本料の改定内容をまとめた一覧表

令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省保険局医療課より作成

「調剤基本料1、3ハ」の評価引き上げ

面分業の推進を目的に、調剤基本料1および3ハの点数が以下のように引き上げられました。

  • 調剤基本料1 45点→47点
  • 調剤基本料3ハ 35点→37点

国の方針として、特定の医療機関の門前に立地する形態から、地域に根ざした「かかりつけ薬局」としての機能を持ち、広く処方箋を受け付ける「面分業」への移行を目指しています。

特定の医療機関への処方箋集中率が85%以下であるなど、実際に面分業を実践している「調剤基本料1」および「調剤基本料3ハ」の評価(点数)が引き上げられました。

処方箋集中率「85%」が基準に

「調剤基本料2、3イ」の施設基準が以下の通りに変更され、処方箋集中率の基準が「95%超」から「85%超」へと引き下げられました。

この改定により、より多くの薬局が低い基本料区分の対象になりやすくなりました。

  • 調剤基本料2
    月1,800回超の薬局の処方箋集中率の基準を、95%超から85%超へ引き下げ
  • 調剤基本料3イ
    月3.5万回超〜40万回以下のグループ薬局の基準を、95%超から85%超へ引き下げ

処方箋集中率の計算方法の見直し

これまで別々の医療機関として計算されていた、医療モールや医療ビレッジ内の複数の医療機関を「1つの医療機関」としてまとめて、処方箋集中率を計算することになりました。また、施設入居の患者さまの処方箋は集中率の計算から除かれました。

これにより、従来よりも集中率が高く算出されやすくなり、これまでよりも低い基本料区分へ移行する薬局が増える可能性があります。

主な変更点は下記の通りです。

  • 医療モール・医療ビレッジ内の複数の医療機関を「1つの医療機関」として扱う
    1つの建物内や同一敷地内に複数の医療機関がある場合、それらの医療機関からの処方箋受付回数をすべて合算して「1つの特定の医療機関」からの受付回数とみなして集中率を計算する
  • 施設の処方箋を計算から除外
    介護老人福祉施設や有料老人ホームなどの施設に入居している患者の処方箋は、処方箋の集中率の計算から除く

門前薬局等立地依存減算(新設)

「門前薬局等立地依存減算」は、新規開設する薬局に対して、既に薬局が多数存在する場合や、医療モール内に立地する場合に、特定の医療機関からの処方箋集中率が高いと、15点の減算がされる制度です。

下記の①と②のいずれかに該当すると減算されます。

  • ①次のイ~ハまでのいずれにも該当する保険薬局であること
    イ.都市部(東京都23区と政令指定都市)に所在し、かつ500m以内に他の薬局があること
    ロ.特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が85%を超えること
    ハ.次のいずれかに該当すること
    1.保険医療機関(200床以上)の100m以内に所在し、当該区域内・敷地内に他の薬局が2以上所在
    2.当該薬局の周囲50m区域内に他の薬局が2以上所在
    3.当該薬局の周囲50m区域内に所在する他の薬局が上記2に該当すること
  • ②次のイおよびロに該当する保険薬局であること
    イ.特定の医療機関に係る処方箋による調剤の割合が85%を超えること
    ロ.保険医療機関と同一の敷地内又は建物内に所在すること

図式化すると以下の通りです。

患者のための薬局ビジョンの内容をまとめた図版

現時点の主な対象は新規開設薬局ですが、今後の改定では既存薬局にも対象が拡大される可能性があるとされており、引き続き動向を注視する必要があります。

調剤管理料の改定

調剤管理料については、従来の細かな処方日数区分が見直され、「28日分以上」(長期処方)と「27日分以下」の2区分に集約されました。

これは、薬剤師が対物業務ではなく対人業務により多くの時間を割けるようにし、患者さまの来院・来局頻度を下げて医療費の抑制にもつなげたい意図があると考えられます。

たとえば、14日分処方の場合、改定前の28点から改定後は10点に下がります。薬剤師には、医師や患者さまに対して28日分以上の処方への変更を提案するなどのアクションが期待されるかもしれません。

調剤管理料の改定内容
令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省保険局医療課より引用

かかりつけ薬剤師の評価見直し

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かかりつけ薬剤師の制度も見直されたそうですが、どのような変更内容でしょうか?
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「同意の取得」だけでなく「実際の行動」が評価される仕組みに変わりました!

今回の見直しでは、これまで一部で見られた「同意を取得すること」自体が目的化している運用から脱却し、かかりつけ薬剤師としてどのような対応を行ったかという「実績」に基づいて評価する考え方になりました。

「フォローアップ加算」と「訪問加算」が新設されるなど、患者さまの生活に踏み込んだ継続的な関与が、これまで以上に重要な評価対象となっています。

かかりつけ薬剤師の評価の見直し

かかりつけ薬剤師の評価は、下記の通り見直されました。

  • 「かかりつけ薬剤師指導料(76点)」「かかりつけ薬剤師包括管理料(291点)」の廃止
  • かかりつけ薬剤師の服薬指導の評価は、「服薬管理指導料」の枠組みの中に組み込み

「かかりつけ薬剤師指導料」が廃止され、「服薬管理指導料」に組み込まれました。また、その点数は「かかりつけ薬剤師」と「それ以外の薬剤師」での差がなくなっています。

かかりつけ薬剤師の施設基準も以下の通り改定されました。

【かかりつけ薬剤師の施設基準の主な変更点】

  • 勤務時間
    【改定前】週32時間以上
    【改定後】週31時間以上
    (育児・介護休業等による時短勤務の場合は、週24時間以上かつ週4日以上)
  • 自局での在籍期間
    【改定前】継続して1年以上
    【改定後】継続して6カ月以上
    (産休・育休・介護休業からの復職時は、休業前の在籍期間を合算可能)
  • 薬剤師の在籍期間(定着率)に関する要件(新設)
    【改定前】規定なし
    【改定後】「常勤薬剤師の平均在籍期間が1年以上」または「管理薬剤師の継続在籍期間が3年以上」
かかりつけ薬剤師に対する評価の見直し内容をまとめた図
令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省保険局医療課より引用

かかりつけ薬剤師の同意取得方法の変更

かかりつけ薬剤師の同意の取得について、以下の新しい方法が規定されました。

  • 患者の持つ手帳に所定事項および薬剤師の氏名の近傍に「かかりつけ」の文字を記入する
  • これらが記載されたページのコピー等を当該保険薬局において保管する
  • 患者の薬剤服用歴等にその旨を記載する

従来は別途「同意書」の取得・保管が必要とされていましたが、今回の改定により、お薬手帳に直接「かかりつけ」と記入し、そのコピーを保管するという運用に変更されています。

かかりつけ薬剤師フォローアップ加算/訪問加算の新設

かかりつけ薬剤師の評価に関して、以下が新設され、来局していない期間の継続的な服薬指導や、自宅訪問による残薬対策が新たに評価されるようになりました。

  • かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点:3カ月に1回)
    患者さまが来局していない期間に、電話やアプリなどを活用して服薬状況や残薬状況などを継続的に確認し、必要な指導などを行う取り組みを評価
  • かかりつけ薬剤師訪問加算(230点:6カ月に1回)
    患者さまやそのご家族などの求めに応じて、自宅訪問して、服薬管理や残薬状況の確認などを行い、その結果を医療機関へ情報提供したケースを評価

これらの新設により、来局を待つだけでなく、薬剤師自らが患者さまに働きかけて価値を提供するモデルへの転換が求められていると考えられます。

地域の医薬品提供体制の評価見直し

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今回の改定で「後発品加算」が廃止されたのは本当でしょうか?
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「後発品加算」は「地域支援体制加算」に統合されることになりました。これまで、どちらかのみを算定していた薬局は、加算取得が困難になることが予想されます。

「地域支援体制加算」と「後発医薬品調剤体制加算」の統合

今回の見直しの大きなポイントは、これまで別々に評価されていた「後発医薬品の使用促進」と「地域支援体制」が一体化された点です。

従来は、地域支援体制加算を取得できない薬局でも、後発医薬品調剤体制加算は算定できるケースも多く見られましたが、改定後はそうした「部分的な評価」が難しくなっています。

たとえば、後発医薬品割合(85%以上)を満たしていても、医薬品の分譲実績や医療用医薬品1200品目の備蓄など、「医薬品の安定供給体制の要件」を満たさなければ、算定ができなくなります。

そのため、加算維持のために体制整備を急ぐ薬局が増えることが想定されます。

後発医薬品調剤体制加算の見直し内容をまとめた図
令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省保険局医療課より引用

在宅医療の評価見直し

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在宅業務って移動時間もかかるし...施設をまとめて回るほうが効率も収益もいいですよね?
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今回の改定では、個人宅をしっかり回る薬局が評価される流れに変わってきています。

今回の改定では、在宅医療における薬剤師の役割がより重視され、とくに「在宅薬学総合体制加算」において個人在宅への評価が大きく引き上げられました。

「在宅薬学総合体制加算」の見直し

「在宅薬学総合体制加算」は主に以下が見直され、とくに個人在宅への対応実績が100点と手厚く評価されるようになりました。

  • 在宅薬学総合体制加算1
    15点→30点に引き上げ
  • 在宅薬学総合体制加算2
    これまでの50点から、患者の居住形態によって以下の2つに区分
    イ 単一建物診療患者(または居住者)が1人の場合 100点
    ロ イ以外の場合 50点

また、「在宅薬学総合体制加算2」の施設基準が見直され、従来の無菌製剤処理設備などの設備要件から、医療用麻薬の訪問指導、無菌製剤処理加算の算定、小児在宅患者への指導など、専門性の高い実績のうち「いずれか1つ」を有することなどが求められるようになりました。

在宅薬学総合体制加算についてまとめた図
令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省保険局医療課より引用

「複数名による訪問薬剤管理の評価」の新設

薬剤師の在宅訪問による薬剤管理指導を促進するために、以下の評価が新設されました。

  • 「訪問薬剤管理医師同時指導料」(150点)
    在宅医療のポリファーマシー対策、残薬対策を推進する観点から、医師と薬剤師による患家への同時訪問に対する評価
  • 「複数名薬剤管理指導訪問料」(300点)
    行動面での運動興奮等がみられる状態にある患者に対して、保険薬局の保険薬剤師が、患者さまや家族等に同意を得て、薬剤管理指導のために他の者(薬剤師以外の者も含む)と同時に複数名で患者宅に訪問する場合の評価

改定内容から考える!今後の薬剤師の働き方やキャリア

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今回の改定を受けて、今後薬剤師に求められるのはどのようなことでしょうか?
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単に調剤業務をこなすだけでなく、評価が拡充されたかかりつけ薬剤師や在宅医療への対応など、自ら収益に貢献できる意識や行動が求められるようになると考えられます。

今後の薬剤師に求められる役割

対人業務のスキル

今回の改定では「対人業務」の評価が拡充されており、今後は国が掲げる「対物業務から対人業務へ」という流れをより一層汲む必要があるでしょう。

たとえば、調剤管理料では長期処方が評価されるようになりました。今後は、眼科などの短期処方になりやすい科目の対応だけではなく、内科の慢性疾患患者さまの服薬のフォローアップや、医師への処方提案もできる薬剤師のニーズが高まると考えられます。

幅広い科目への対応

処方箋集中率の評価が厳しくなり、患者さまの一元管理が進む中で、単に目の前の処方箋をこなすだけではなく、患者さまが抱える他の慢性疾患や、過去の受診履歴など、幅広い情報への介入が求められています。

こうした丁寧な介入を積み重ねることが、特定医療機関への依存(集中率)を下げ、かかりつけ薬剤師としての信頼獲得へもつながっていくでしょう。

そのためにも、今後は特定の診療科に偏らず、幅広い疾患に対応できる能力が必要とされると考えられます。

在宅医療への介入

在宅医療においては、施設在宅よりも個人在宅の方が高く評価されることとなりました。個人在宅では患者さまやご家族との直接的なコミュニケーションが中心となるため、残薬の確認や服薬支援など、より能動的な関与が必要です。

一方で、「在宅業務は負担が大きい」と感じる方もいるかもしれません。その場合、ドライバーが常駐していたり、2名体制で在宅業務を行っていたりと、負担軽減に取り組む薬局で経験を積むことも選択肢に入れてみることがおすすめです。

調剤報酬改定後のキャリア検討のポイント

今後も必要とされる薬剤師として働き続けるために、まずは「勤務先がどのような加算を取得できているのか(あるいはできていないのか)」を把握することがおすすめです。今回の調剤報酬改定で評価される薬局は、国の方針にも沿った経営が行われていると考えられ、今後も必要とされる経験を積みやすい環境にあると言えるでしょう。

転職先を選ぶ上でも、調剤報酬改定の流れを汲んでおくことが大切です。

たとえば、制度変更の影響を受けやすい門前薬局や医療モール型の薬局よりも、面処方を中心に地域に根ざした機能を持つ薬局は、比較的安定した経営を期待できます。

ただし、大手企業の場合は、門前薬局や医療モール型の薬局に注力していたとしても、資金力を背景に教育やDXへの投資が進んでいるケースも少なくありません。したがって、何を重視するかを明確にしたうえで選択することが求められます。

今後は、立地や雰囲気、提示される年収だけでなく、「その薬局の将来性」まで見据えた選択がより一層重要となると考えられます。

また、今回の改定では病院薬剤師の処遇改善も進められました。これまで給与面を理由に病院への転職を諦めていた方にとっても、選択肢を広げる機会となるでしょう。

改定内容から働き方を考えよう

調剤薬局で働く女性薬剤師の写真

今回の2026年度(令和8年度)調剤報酬改定は、単なる点数の見直しではなく、「どのような薬局・薬剤師が今後求められるのか」という方向性を明確に示した改定と言えます。

今回の改定をきっかけに、ご自身の働き方や職場環境を見直し、在宅業務やかかりつけ薬剤師など需要が高まる業務にどれだけ関われているかを確認することが大切です。変化に対応し、患者さまに価値を提供できる薬剤師であることが、これからの時代において選ばれ続けるためのポイントと言えるでしょう。

調剤報酬改定を受けてキャリアに不安を感じる場合や、転職を検討している場合は、ファルマスタッフで相談を受け付けておりますのでぜひお気軽にご利用ください。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2026/05/20

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