白内障手術を予定している患者さまの薬剤服用歴で注意すべき薬はどれでしょうか?

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白内障手術を予定している患者さまの薬剤服用歴で注意すべき薬はどれでしょうか?

    パリペリドン(インヴェガ)はα1アドレナリン受容体拮抗作用を持つため、白内障手術中に術中虹彩緊張低下症候群(IFIS: Intraoperative Floppy Iris Syndrome)を引き起こす可能性があると言われています。
    (※補足:パリペリドンは、非定型抗精神病薬で、統合失調症の治療に用いられます。)

    パリペリドンの添付文書には

    「α1アドレナリン拮抗作用のある薬剤を投与された患者において、白内障手術中に術中虹彩緊張低下症候群が報告されている。術中・術後に、眼合併症を生じる可能性があるので、術前に眼科医に本剤投与歴について伝えるよう指導すること。」

    インヴェガ®錠 添付文書 2024年10月改訂(第3版)|PMDAより引用

    と記載されています。

    パリペリドンの注射製剤であるゼプリオンおよびリスペリドンも同様に注意が必要です。

    術中虹彩緊張低下症候群が起こると瞳孔が散大しにくくなり、眼内レンズの挿入が困難になるなど手術の難易度が上がる恐れがあります。

    ただし、事前に眼科医が把握していれば必要な器具を準備した上で手術に臨むことができます。

    そのため、パリペリドンなどを服用中の患者さまが白内障手術を予定している場合は、眼科医に薬剤服用歴を情報提供しておくことが重要です。

    注意点として、当該薬剤を中止しても虹彩散大筋の萎縮が残るため、術前に休薬しても術中虹彩緊張低下症候群のリスクが低下すると断言することは難しいと言われています。

    また、過去に薬剤服用歴がある患者さまでも、術中虹彩緊張低下症候群のリスクがある点に要注意です。

    術中虹彩緊張低下症候群に気を付ける必要があるα1アドレナリン受容体拮抗作用を持つ薬として、以下の薬剤があります。

    【前立腺肥大症治療薬】
    ・タムスロシン(ハルナール)
    ・シロドシン(ユリーフ)
    ・ナフトピジル(フリバス)
    ・ウラピジル(エブランチル)

    【降圧薬】
    ・ドキサゾシンメシル酸塩(カルデナリン)
    ・プラゾシン塩酸塩(ミニプレス)

    【過去の薬剤服用歴として注意すべき販売中止品】
    ・ブナゾシン塩酸塩(デタントール)※販売中止
    ・テラゾシン塩酸塩(バソメット)※販売中止

    処方監査・服薬指導のPOINT

    術前投与としてニューキノロン系抗菌点眼液(ガチフロキサシン、モキシフロキサシンなど)が処方された場合、白内障手術などを予定している可能性があります。

    患者さまに白内障手術の予定があると確認できた場合は、お薬手帳やマイナ情報などで過去の薬剤服用歴を確認します。そのうえで、術中虹彩緊張低下症候群のリスクがある薬の使用歴がないか確認してください。

    現在服用中だけでなく、過去に薬剤服用歴がある患者さまも注意が必要です。

    そのため、過去に薬を服用していた場合は、「服用していた薬剤」と「服用期間」を眼科医に伝えてください。

    濱本 幸広(はまもと・ゆきひろ)さん
    京都薬科大学卒、薬剤師。
    調剤併設ドラッグストア、調剤薬局、派遣薬剤師など、数多くの経験をしながら処方鑑査の腕を磨く。
    2022年10月、4分類法を活用した処方鑑査の指南書『達人の処方鑑査術』を出版、好評発売中。
    ▼運営サイト
    https://kusuri-shidousen.com
    掲載日: 2026/05/20
    ※医薬品情報は掲載日時点の情報となります

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