転職ノウハウ
  • 公開日:2026.09.24

調剤薬局の薬剤師って何をするの?病院・ドラッグストアとの違いも解説

調剤薬局の薬剤師って何をするの?病院・ドラッグストアとの違いも解説

令和6年の厚生労働省の発表によると、薬剤師全体の約6割が調剤薬局で勤務しています

数値データからは、調剤薬局は薬剤師の主な勤務先だと分かります。一方で、実際に働いた経験がない薬剤師の方は、「具体的には何をしているの?」「どんな働き方になるの?」と、疑問に思う部分も多いのではないでしょうか。

本記事では、調剤薬局における具体的な仕事内容から、気になる働き方や年収事情について詳しく解説します。

「病院」や「ドラッグストア」といった他業種との違いについても比較していますので、転職や今後のキャリアプランを考えている方はぜひ参考にしてみてください。

調剤薬局の種類と役割

調剤薬局で接客をする薬剤師の男性

調剤薬局と一口に言っても、立地やターゲットとする患者層によってその役割や働き方は異なります。

「どのようなスキルを磨きたいか」「どのような働き方をしたいか」といった今後のキャリアプランを考える上で、まずは代表的な調剤薬局の種類とそれぞれの特徴を整理しておきましょう。

種類 概要
病院門前薬局 病院・クリニックの門前にある薬局。専門医療機関連携薬局の認定を受けている場合は、より高度で専門的な薬学知識が求められる。
敷地内薬局(病院敷地内薬局) 医療機関の敷地内に設置されている薬局。特定科目に特化した高度で専門的な処方箋に対応するケースが多い。
マンツーマン薬局 特定の病院・クリニックと連携して処方箋を受け付ける薬局。かかりつけ薬局としての役割が求められる傾向あり。
医療モール型薬局 医療モールと呼ばれる複数の医療機関が入ったビル内などに併設されている薬局。複数の診療科の処方箋を扱う場面が多い。
面応需型薬局 特定の病院やクリニックの門前にあるわけではなく、さまざまな医療機関からの処方箋を広く受け付ける薬局。
調剤併設型ドラッグストア ドラッグストアに併設された調剤薬局。調剤業務に加え、OTC医薬品や日用品の販売対応があることも多い。
在宅・施設調剤専門薬局 患者さまのご自宅や介護施設を訪問し、調剤・服薬指導・薬剤管理などをおこなう薬局。車での訪問が基本となるため、運転免許の保有が前提になることが多い。

病院門前薬局では、特定の疾患に対する深い専門知識が求められます。一方、面応需型薬局では、幅広い処方箋に対応する柔軟性が求められます。このように、働く環境によって求められるスキルはさまざまです。

調剤薬局における薬剤師の仕事内容

調剤薬局で薬を取る薬剤師の女性

調剤薬局における薬剤師の業務は、処方箋に基づく薬の調製から、患者さまの生活に寄り添う相談まで多岐にわたります。ここでは代表的な6つの仕事内容について解説します。

調剤・監査業務

処方箋に基づき、錠剤やカプセル剤の取りそろえ、漢方薬(エキス製剤)の調合、軟膏の調製、水剤の計量などを行います。また、患者さまが服用しやすいように、処方箋に従って薬を一包化する作業もあります。近年では、専用の機械を導入している薬局も増えています。

また、薬局によっては調剤事務スタッフがデータ入力を行っている間に、薬剤師が処方箋の内容に問題がないか(医師の記名や印鑑、住所の記載漏れがないかなど)を確認し、業務を分担しながら進める場合もあります。

一次監査は、監査機を使用したり、調剤事務スタッフが機械に通したりする場合もあります。その後、薬剤師が最終監査として、薬の種類や数量、用法・用量、併用薬との飲み合わせに問題がないかを確認します。さらに、患者さまの希望に沿った処方内容になっているかもチェックします。

服薬指導

患者さまへの症状の聞き取りや薬の効能、正しい飲み方の指導などを行います。

その際、他院からの重複投薬がないか、市販薬との飲み合わせに問題がないかも併せて確認します

患者さまとの会話を通じて、副作用の兆候など気になる症状がないかをヒアリングします。

また、薬のことだけでなく、運動や食事などの生活指導を行うことも大切な業務です。

窓口だけでなく、時には電話での問い合わせや相談に応じることもあり、症状によっては医療機関への受診を促す役割も担っています。

薬歴管理

患者さまへの服薬指導の内容やその日のやりとりをはじめ、基本情報、疾患、アレルギー、副作用歴、これまでの服薬状況などを「薬歴(薬剤服用歴)」として入力・管理します。

新しく薬をお渡しする際、これらの情報を事前に確認することで、薬の飲み合わせによる効果の増減や副作用のリスクを防ぎ、安全で適切な医薬品の提供につなげます。

また、薬歴は調剤薬局が健康保険組合などへ「調剤報酬請求」を行う際の根拠となるため、日々の記録が必要な業務です。

在宅業務

介護施設や患者さまのご自宅に直接伺い、お薬カレンダーへの薬のセットや服薬状況の確認を行います。

訪問を通して患者さまの普段の生活の様子を把握できるのが、この業務の特徴です。

訪問後は報告書を作成し、ケアマネジャーや担当医へ状況を共有します。

また、必要に応じて医師や看護師、施設の介護スタッフなどに同行し、連携しながらサポートにあたります。

医薬品の管理・販売

薬局に届いた医薬品の検品を行い、内容を確認して決められた場所に収納します。

また、業務時間中も在庫状況に目を配り、減っている薬品がないかを確認して補充することもあります。

適切な在庫管理を行うことで、業務が円滑に進むよう環境を整えることも重要な業務です。

健康相談

医薬品やサプリメントに関する疑問をはじめ、生活習慣や栄養、食生活のアドバイス、さらには介護に関する相談にも応じます。

患者さまを継続的にサポートする「かかりつけ薬剤師」としての役割を発揮する場面でもあります。

現場のリアルがわかる!調剤薬局の「あるある・豆知識」

トリビアの画像

ここでは、転職後のギャップをできるだけ少なくするために、調剤薬局の日常をご紹介します。患者さまからの温かい言葉といった「やりがい」から、いざという時に慌てないための「クレーム対応の心得」まで、現場の空気感が伝わるエピソードをお届けします。

患者さまが調剤薬局の薬剤師にされて嬉しかったこと

ファルマスタッフが2019年に実施した、調剤薬局を利用する患者さま50名へのアンケートでは、約7割の方が薬剤師の対応に「好印象を抱いたことがある」と回答しました。

「アレルギーに気づいて処方変更を提案してくれた」「体調が悪い時に席まで薬を持ってきてくれた」など、専門知識に基づくフォローからちょっとした気遣いまで、多くの感謝の声が寄せられています。

患者さまとの距離が近く、こうした温かい感謝の言葉を直接受け取れることは、調剤薬局で働く魅力であり、日々のやりがいにつながる方も多いです。

以下の記事では、「他にもこんな嬉しいエピソードがあった」という患者さまの声をまとめてご紹介しています。

調剤薬局のクレーム例

調剤薬局には子どもから高齢者まで、急性疾患などで体調が優れない患者さまが来局されるため、些細なことでクレームが発生することもあります。

「以前より薬代が高くなった」「薬を出すだけなのに管理料を取らないで」「待ち時間が長い」など、薬局の仕組みや調剤報酬への理解不足から生じるケースです。

しかし、適切に対処できればクレームが信頼に変わることもあります

調剤薬局へ転職する前に把握しておきたいクレーム事例と具体的な対応のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

病院に行かず薬だけ欲しいと言われたら?

現場で意外と多いのが、「処方箋はないけれど薬だけ出してほしい」というご要望です。

原則として処方箋なしでの調剤はできませんが、「決まりごと」としてお断りしてしまうと、患者さまの不満につながってしまうケースもあります。

大切なのは、患者さまの事情にまずは耳を傾け、寄り添いながら適切な案内につなげることです。

いざという時に慌てず対応できるよう、具体的な対応方法については以下の記事で解説しています。

大手薬局と中小薬局の違いは?

どちらが良いかを測る天秤の図

薬局の規模によって、評価制度や働き方の特徴は異なります。

以下、それぞれの違いをまとめましたので、ご自身の希望に合う環境を見つけるための参考にしてみてください。

大手 中小
年収

・給与やボーナスが安定しやすい

・評価制度が明確で、着実に年収が上がる仕組みがある

・経営者の方針や個人の貢献度次第では、大手よりも高年収になることもある

休日

・会社としての基準が明確で、年間休日は多めの傾向

・近隣店舗からのヘルプ(応援)体制があり、有給休暇が取得しやすい

・一律の基準がないケースも多いが、個人の事情に合わせて柔軟にシフト調整や有給取得ができる場合がある

昇給・昇格

・年功序列や資格取得に応じて昇給するケースが多い

・エリアマネージャーや教育担当、本社勤務などキャリアパスが豊富

・個人の頑張りや成果が評価・反映されやすい

・経営の根幹に携わる役職に就けることもある

教育制度

・体系的な研修制度が整っていることが多い

・体系的な研修よりも、現場で実践的な経験を積むケースが多い

【豆知識】調剤薬局を「開業したい」薬剤師の方へ

「いつかは自分の調剤薬局を持ちたい!」と、将来の開業を目標にしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

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病院・ドラッグストアとの違いは?

病院の外観写真

調剤薬局と病院・ドラッグストアでは、求められる役割はもちろん、年収相場やワークライフバランスも異なります。

ここでは各業種の違いを比較し、それぞれの特徴を解説します。

種類 調剤薬局 病院 ドラッグストア
仕事内容 調剤・監査・服薬指導・薬歴管理・在宅業務 調剤・監査・服薬指導・薬歴管理・混注・治験・病棟業務 調剤・監査・服薬指導・薬歴管理・OTC医薬品販売・在宅業務
働き方

・門前医療機関に応じた休日設定が多い。

・都心部では週休2日制が多いが、地域によっては午前勤務×2日を含めた週6日勤務のケースも少なくない。

・病院により勤務時間が異なる。

・大規模病院の場合、夜勤・当直があるケースも多い。

・曜日問わず営業していることが多い。

・1日8時間×週40時間シフト制のことが多い。

特徴

・調剤報酬改定を受け、対人業務や在宅医療への参画が求められる傾向にある。

・給与水準は他業種と比べ平均的。

・チーム医療の経験を積み、専門知識を学べる。

・診療報酬や公費を主な財源とすることが多く給与水準が他業種に比べ低い。

・小売業としての側面を求められることも多い。

・日用品販売など複数の収益源があるため給与水準が高い。

病院

年収・働き方

病院薬剤師の平均年収は532万円です。

診療報酬などを財源とする構造であることから、他業種と比べると給与水準はやや低めの傾向があります。

勤務時間や夜勤当直の有無は、「急性期型」か「療養型」かによっても変わります。

  • 急性期病院:シフト制が基本であり、月に1〜3回程度の夜勤・当直が発生するケースが多い。夜勤がある一方で、日勤帯は17時半前後など比較的早くに業務が終了することもある。
  • 療養型の病院:突発的な業務が少なく、残業なし・日曜休みといった規則的な働き方になる職場も少なくない。勤務時間は薬局より短めになる傾向がある。

仕事内容

一般的な調剤や服薬指導、薬歴管理に加え、注射薬の混注(無菌調製)や治験業務などを担います

患者さまの検査数値や症状をもとに薬の投与量を検討するなど、より臨床に関わる機会が多いことが特徴です。

また医師や看護師らと連携する「チーム医療」への参加が求められます。

NST(栄養サポートチーム)やICT(感染制御チーム)などで活躍し、より高度な臨床経験や専門知識を深められるのが魅力と言えます。

人間関係

急性期から慢性期まで、入院患者さまの治療を多職種で支える「チーム医療」が基本となります。医師や看護師など、さまざまな医療従事者と日々直接コミュニケーションを取り、連携する環境です。

業務内容や働き方の違いはもちろん、「どんな人が病院薬剤師に向いているのか」「転職活動を進める上で気をつけるべきポイント」など、さらに踏み込んだ比較と転職のコツは以下の記事で詳しく解説しています。

ドラッグストア

年収・働き方

ドラッグストアの平均年収は623万円と、他業種と比較して高くなる傾向にあります。

日用品販売など複数の収益源による経営の安定性や、変則的な勤務条件に対応できる人材を確保するために基本給が高めに設定されているという背景があります。

夜勤は基本的にありませんが、土日祝日の営業や店舗の営業時間(21時〜22時など)に合わせて、「早番・中番・遅番」のシフト制で働くケースが大半です。
エリア内での応援体制が整っている企業が多く、休日は比較的取得しやすい環境です。

仕事内容

調剤併設店では、一般的な調剤・服薬指導などに加え、OTC医薬品の販売、在宅業務を行います

近年は就業環境の改善が進んでおり、レジ打ちや品出しといった薬剤師業務以外の負担は減少傾向にあります。

様々な医療機関からの処方箋を受け付けるため、OTC医薬品を含めた「幅広い薬学知識」が求められます。

受診前の初期段階から健康相談に乗るなど、セルフメディケーション領域までカバーできるのが魅力と言えるでしょう。

人間関係

登録販売者や調剤事務スタッフなど、多様な職種の方と一緒に店舗を運営します。

店舗によっては「一人薬剤師」になる場合もあり、自分のペースで業務を進めやすいケースもあります。

病院やドラッグストアの働き方と比較してみて、「やっぱり自分には調剤薬局の環境が合っているかも」「まずは調剤薬局の実際の条件を見てみたい」と感じた方は、ぜひ現在の求人情報をチェックしてみてください。

調剤薬局への転職で後悔しない職場選びをするために

微笑んでいる薬剤師の男女

本記事では、調剤薬局の具体的な仕事内容や現場の実態、他業種との違いについて解説しました。一口に調剤薬局と言っても、立地や規模によって働き方や求められる役割は異なります。

大切なのは、目先の条件だけで判断せず、「どのような働き方をしたいか」を見据えて転職先を決めることです。そのためには、各業種や薬局ごとの特徴を理解し、求人票だけでは見えない職場の実態を客観的な視点で判断することが重要です。

ぜひ本記事を参考に、理想の働き方を叶える職場を見つけてください。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2026/09/24

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