転職ノウハウ
  • 公開日:2026.02.12

病院薬剤師と薬局薬剤師の違いは?向いている人や転職時の注意点を解説

病院薬剤師と薬局薬剤師の違いは?向いている人や転職時の注意点を解説

病院薬剤師と薬局薬剤師は、薬の専門家として患者さまを支えるという根幹は共通していますが、働く環境や求められる役割などが異なります。

病院では高度で専門的な薬物療法に深く関わり、チーム医療の一員として治療を支える一方、薬局では地域に根差し、患者さまの生活に寄り添いながら継続的な服薬支援を行うことが求められる傾向にあります。

本記事では、病院薬剤師と薬局薬剤師の違いを、役割・対応する患者さま・働き方・年収・キャリアパスといった観点から整理し、それぞれに向いている人の特徴や、転職時の注意点などを解説します。自分に合ったキャリアを考えるための判断材料として、ぜひ参考にしてください。

病院薬剤師と薬局薬剤師の基本的な違い

病院薬剤師と薬局薬剤師が並んでいる写真

病院薬剤師と薬局薬剤師は、薬の専門家として患者さまを支えるという根幹は共通していますが、働く環境や業務内容、求められる役割、対応する患者さま、必要なスキルなどが異なります。

ここでは、病院薬剤師と薬局薬剤師の基本的な違いを整理し、自分に合った働き方を考えるためのポイントを解説します。

役割の違い

病院薬剤師と薬局薬剤師の役割の違いは、「深さ(専門性)と広さ(包括性)」、「治療と生活」の2軸から捉えると理解しやすくなります。

病院薬剤師 薬局薬剤師
役割の方向性 深さ(専門性)の追求 広さ(包括性)の追求
介入の重点 「治療」に深く介入 「生活」に深く介入

病院薬剤師

高度かつ専門的な薬物療法を担う「スペシャリスト」としての役割を担うことが多いです。がん、感染症、集中治療、周産期など、特定の診療科や疾患領域に深く関与し、医師と対等なレベルで薬物療法の議論に加わることが期待されます。処方提案にとどまらず、薬剤の調製、投与速度や投与ルートの管理、投与後の生体反応のモニタリングまで、薬物が患者さまの体内に入るプロセスの「管理責任者」としての役割を担います。特に誤薬が許されない注射薬や輸液の管理は、病院薬剤師の大切な業務です。

薬局薬剤師

多様な疾患・背景を持つ患者さまに対応する「ジェネラリスト」としての役割が求められる傾向にあります。処方箋の応需先は、近隣のクリニックから大学病院まで多岐にわたり、幅広い診療科の知識が期待されます。服薬アドヒアランスの維持・向上のために、残薬整理や一包化、お薬カレンダーの導入など、患者さまの生活背景を汲み取った上でのアプローチが重要となり、「生活支援者」としての役割も担います。

最近は、「病院薬剤師」と「薬局薬剤師」の枠組みを越えて、双方が柔軟な役割を担うことも増えています。例えば、病院薬剤師と薬局薬剤師が連携して、患者さまの情報を共有する「薬薬連携」が進んでいたり、薬局薬剤師による専門的な抗がん剤の服薬管理が「特定薬剤管理指導加算2」として評価されていたり、施設間の垣根を越えて、切れ目のない薬物治療を実現することが期待されています。(転職コンサルタントS)

業務内容の違い

病院と薬局、環境は違いながらも、基本的に、処方監査から調剤、服薬指導といった一連の調剤業務は共通しています。ただ、どのような視点で患者さまを支えるかという、薬剤師の能力の発揮の仕方には、それぞれの現場ならではの違いがあります。

病院薬剤師

病院薬剤師の特徴の一つは、「チーム医療の一員」として治療に深く関与する点にあります。多職種チームに参画し、回診やカンファレンスを通じて薬学的な視点で関わります。

他職種チームでの薬剤師の業務の例

感染対策チーム(ICT):院内感染の防止のために、抗菌薬の使用状況の確認や適正使用のための提案などを行う。

栄養サポートチーム(NST): 栄養管理が必要な患者さまに対して、静脈・経腸栄養療法の処方提案や、栄養製剤の選択、高カロリー輸液の調製などを行う。

その他の業務として、がん化学療法のレジメンの管理や無菌調製、曝露対策などを担うこともあります。また、薬物血中濃度をもとに医師と連携して投与量を調整する「治療薬物モニタリング(TDM)」など、検査設備や病棟機能、医師との距離の近さを活かした業務を担います。

薬局薬剤師

主に生活者としての患者さまを支える役割を担います。服薬状況や生活リズム、在宅環境などを踏まえ、日常生活の中で適切に服薬できるようサポートします。複数の医療機関を受診する患者さまに対しては、重複投与や相互作用を防ぐためにチェック機能としての役割を果たすことも重要となります。

対応する患者さまの違い

病院薬剤師と薬局薬剤師では、対応する患者さまの「重症度・緊急度」と、関わりの「時間軸(期間・頻度)」に違いがあります。

病院薬剤師

急性期病院では、病状が不安定で急激に変化する急性期の患者さまを主に対応します。手術直後、重症感染症、意識障害、化学療法導入期など、バイタルサインや検査値が刻々と変動する状況では、薬学的介入が直接生命予後に影響を及ぼす場面も少なくなく、迅速かつ正確な判断が求められます。

一方で、患者さまと関わる期間は「入院から退院まで」に限定され、数日から数ヶ月と比較的短期間となる傾向があります。

また、意思疎通が難しい患者さまや、新生児集中治療室や集中治療室などの患者さまとも、薬学的な視点から関わることもあります。

薬局薬剤師

高血圧や糖尿病、脂質異常症といった慢性疾患を抱えながら社会生活を送る患者さまと関わる機会が多くなります。病状は比較的安定していて、治療の目的は「治癒」よりも、「状態を維持・増悪予防」に重きを置くことも多い傾向にあります。

かかりつけ薬剤師として関わる場合、患者さまとの関係は数年から数十年に及び、ライフステージや家族構成の変化を見守りながら長期的に支援します。また、処方箋を持たない地域住民の健康相談や、通院が難しい患者さま・ターミナル期の患者さまへの在宅での対応など、生活の場に深く入り込む関わりが求められます。

病院薬剤師と薬局薬剤師の年収の違い

病院薬剤師と薬局薬剤師の年収の違い

病院薬剤師と薬局薬剤師の平均年収を比較すると、以下の通り、薬局薬剤師の方が病院薬剤師よりも約60万円ほど高い水準にあります。なぜこのような差が生まれるのか、それぞれの年収相場と背景にある構造的な理由を解説します。

職種 平均年収
薬局薬剤師(調剤薬局) 593 万円
病院薬剤師(病院・クリニック) 532万円

※2025年12月時点のファルマスタッフ掲載求人をもとに、上限年収の平均値を算出しています。

病院薬剤師の年収相場

病院薬剤師の年収は、他の業種と比較すると低い水準になりやすい傾向にあります。その理由として、病院は診療報酬や公費を主な財源とする公的側面の強い組織であり、人件費に充てられる原資が限られやすいことが挙げられます。

ただし、病院での臨床現場での経験が将来の市場価値を高めることにつながる可能性もあるため、長期的な視点で年収を捉えることも大切です。

薬局薬剤師の年収相場

薬局薬剤師の年収は、病院薬剤師と比べると相対的に高い傾向があります。その背景には、薬局が民間企業として収益性も重視した運営を行っている点があります。

一方で、企業規模や地域、人員体制による年収の差も大きく、年収が高い職場は業務負担や求められる役割が多い場合もあります。転職先を検討する際は、年収だけでなく、業務負荷や自身の働き方とのバランスも考慮することが大切です。

病院薬剤師と薬局薬剤師の働き方の違い

病院薬剤師と薬局薬剤師の働き方の違いを考える人

病院薬剤師と薬局薬剤師の違いは、業務内容や年収だけでなく、日々の働き方にも表れます。勤務時間帯や残業の発生のしやすさ、夜勤の有無、休日の取りやすさなどは、長く働き続けるうえで重要な要素です。特に将来的なライフステージの変化を見据える場合、「どのような時間軸で働き、どのような生活を送りたいか」は職場選びの大きな判断材料となるでしょう。

ここでは病院と薬局それぞれの働き方の特徴を解説します。

病院薬剤師の働き方

病院薬剤師の働き方は、勤務する病院の機能によって異なります。

急性期型病院

入院患者さまの治療を24時間体制で支える必要があるため、月に1〜3回程度の夜勤が発生することが多くなります。夜勤がある一方で、日勤帯は17時半前後など比較的早くに業務が終了することもあり、メリハリのある勤務体系と感じる方もいます。

薬剤師が複数名配置されていることが多いため、「一人薬剤師」になる不安が少なく、有給休暇なども協力して取得しやすい点は、長く働く上で重要となります。

ただし、大学病院など規模の大きな医療機関では、入院患者さまに加えて外来患者さまの院内処方にも対応するため、業務範囲が広く、残業や土日勤務などが発生しやすい傾向があります。

療養型病院

患者さまの病状が比較的安定しているため、突発的な業務が少なく、残業がほとんど発生しない職場も多く見られます。調剤業務はルーティン化されやすく、患者さまと直接接する機会は限られますが、勤務時間は薬局より短めで日曜日が休みの職場も多い傾向にあります。

薬局薬剤師の働き方

薬局薬剤師の働き方は、立地や門前の医療機関の有無、その診療時間などによって左右されやすい特徴があります。

門前の医療機関が夜遅くまで診療している場合、薬局もそれに合わせて営業するため、21時前後までの勤務や残業が発生するケースも珍しくありません。特に、在宅医療を積極的に行っている薬局では、訪問対応や緊急時の呼び出しが発生することもあり、結果的に残業が多くなる傾向があります。病院と比べると夜勤はないものの、日々の残業時間が積み重なりやすい点が薬局勤務の特徴といえます。

一方で、開局時間が長い薬局では、早番・中番・遅番といったシフト制を導入し、特定の薬剤師に負担が集中しないよう工夫している職場もあります

休日については、日曜日が休みの薬局も多く、生活リズムを整えやすいと感じる方も少なくありません。

病院薬剤師と薬局薬剤師のメリット・デメリット

病院薬剤師のメリット

病院薬剤師の魅力は、充実した教育環境の中で、臨床能力を高めやすい点にあります。多種多様な症例に触れられるだけでなく、院内勉強会や学会参加への支援体制が整っていることが多く、大学病院などでは未承認薬の治験や先進医療といった最先端の医学・薬学知識に常にアクセスできるのも大きな特徴です。

こうした環境下で、医師や看護師と共に治療方針の決定に関わる「チーム医療」の一員として活躍できる充足感は、病院ならではのものです。自身の提案によって検査値が改善したり、副作用を未然に回避できたりと、薬学的介入が患者さまの回復に直結するプロセスを目の当たりにできることもあるため、薬剤師としての臨床的達成感を強く得られるフィールドと言えるでしょう。

また、病院薬剤師の魅力は、病院の機能によっても異なります。

【急性期病院】

急性期病院の魅力は、高度な医療環境の中で専門性を高められる点です。抗がん剤などの注射剤の調製を行う機会も多く、がん領域や感染症などの資格取得や、学会発表にも挑戦しやすい環境です。また、興味のある分野の専門医が身近にいるため、日常的なディスカッションを通じて医療知識を深めやすくなるでしょう。

【療養型病院】

療養型病院の魅力は、「自身のペースで、長くキャリアを継続できる」という点にあります。 患者さまの容態は基本的に安定しているため、落ち着いて業務に向き合うことができ、終業時間が17時などと比較的早く、残業もほとんどないことから体力的な負担が少ないと感じる方も多いです。意思疎通が難しい患者さまへの投薬管理やケアを通じて、観察力や対人スキルが磨かれる点も特徴と言えます。

病院薬剤師のデメリット

  • 給与水準が低めになりやすい
  • 夜勤により生活リズムが乱れやすい
  • 業務時間外の委員会・研究活動などがある場合、ワークライフバランスの確保が難しい
  • 閉鎖的な医療現場での人間関係

抱えやすい悩みとしては、時間的・身体的な負担を感じやすい点が挙げられます。 特に年収面では、前述の通り構造的な要因から薬局薬剤師と比較して低めの水準になりやすく、「業務量や責任の重さに対して、給与が見合っていない」と感じやすいケースもあります。

薬局薬剤師のメリット

薬局薬剤師の魅力は、患者さまの生活に近い場所で医療を支えられる点にあります。慢性疾患を抱えながら生活する患者さまと長期的に関わり、生活背景を踏まえた服薬支援を行うことで、地域医療に継続的に携わることができます。

また、病院と比べて働き方の自由度が高く、収入面や生活リズムを重視したキャリア設計がしやすい点も魅力でしょう。初任給から安定した収入を得られる職場も多く、奨学金の返済やライフステージの変化にも柔軟に対応しやすい働き方と言えます。

薬局薬剤師のデメリット

  • 対人業務によるストレスを感じる場合がある
  • 数値目標やノルマが課される場合がある
  • 得られる臨床情報が限定され判断に迷うことがある
  • 業務がルーティン化しやすい
  • 人間関係が固定化しやすい

抱えやすい悩みとしては、対人対応の比重が大きくなりやすい点にあります。接客業に近い業務をすることが負担に感じる方もいます。

また、病院のようにカルテや検査値を確認できない環境では、判断の根拠に不安を感じる場面も出てくることがあります。門前薬局では業務が単調になりやすく、成長実感を得にくいと感じる方もいるため、「どの薬局で働くか」がやりがいの感じやすさを左右する傾向にあります。

病院薬剤師と薬局薬剤師のキャリアパスの違い

キャリアパスのイメージ図

病院薬剤師と薬局薬剤師のキャリアパスは職場によって異なりますが、一般的には以下の通りです。

・病院:一般薬剤師→主任薬剤師→薬剤科長→副薬剤部長→薬剤部長

・薬局:一般薬剤師→管理薬剤師→エリアマネージャー→ブロック長→本部長

ここからは、それぞれに特徴的なキャリアパスに注目して詳しく解説します。

病院薬剤師に特有のキャリアパス

病院薬剤師のキャリアパスは、臨床現場での専門性の追求から研究職まで、多岐にわたります。

特に近年、キャリアの初期段階として注目されているのが、大学病院や大規模急性期病院を中心に導入が進んでいる「薬剤師レジデント制度」です。これは新卒後の2〜3年間、研修生として調剤や病棟、DI業務などをローテーションするものであり、ジェネラリストとしての基礎を固める期間となります。修了後は引き続き正規職員としての勤務や、他病院への即戦力として就職するルートもあります。

また、実務経験を重ねた後に、「認定・専門薬剤師」を取得してスキルアップを目指す方も増えています。臨床症例が豊富な病院環境は、資格取得に必要な実務経験を積みやすく、学会発表や論文執筆、症例報告を行う上でも強みとなります。資格を取得することで、病院内での昇進や手当支給による年収アップだけでなく、転職市場での評価にもつながることがあります。

さらに、大学病院などでは臨床業務と並行して研究活動を行い、博士号取得や教授・准教授といったアカデミックなポストを目指す道もあります。学会での発表や論文投稿が、キャリアアップにつながります。

薬局薬剤師に特有のキャリアパス

薬局薬剤師のキャリアパスは、大きく分けて「現場で患者さまと向き合い続ける道」と「マネジメント・経営に進む道」があります。

実務経験を重ねる中で、管理薬剤師へのキャリアアップを目指す方は多く、店舗運営やスタッフ管理、売上・在庫管理など、マネジメント業務が加わっていきます。経営ノウハウを身につけて独立開業を目指す選択肢もあり、臨床+経営という病院にはあまりないキャリア展開が可能です。

大手の薬局では、本部の教育部門や人事部、システム部、店舗開発といった道に進むケースもあります。また、在宅医療やかかりつけ薬剤師としてのスキルを強化することで、スペシャリストを目指すキャリアもあります。

病院薬剤師と薬局薬剤師に向いている人の特徴

女性薬剤師の写真

病院薬剤師と薬局薬剤師は、求められる役割や働き方などが異なるため、「どちらが向いているか」は年収などの条件だけで判断するのは難しいものです。重要なのは、自分がどのように医療に関わりたいのか、どんな環境で力を発揮できるのかという視点です。ここでは、それぞれの職種に向いている人の特徴を具体的に整理します。

病院薬剤師に向いている人

病院薬剤師に向いているとされるのは、専門性を高めたい、明確な目標を持って成長したいと考える向上心の高い方です。

がん、感染症、集中治療など特定領域に深く関わる機会が多く、「この分野を極めたい」「臨床力を磨きたい」といった強い動機を持つ方にとってやりがいのある環境と言えます。日々変化する患者さまの状態に向き合い、治療の意思決定に薬学的視点から関与するため、知識のアップデートや自己研鑽を前向きに続けられる姿勢が求められます。

また、チーム医療に興味がある方も病院薬剤師向きといえます。医師や看護師、栄養士など多職種と連携しながら治療方針を検討する場面が多く、薬剤師としての専門性を発揮しつつ、他職種と協働することにやりがいを感じられる方も活躍しています。

薬局薬剤師に向いている人

薬局薬剤師に向いているとされるのは、患者さまと信頼関係を築きながら長期的に支援したいと考えている方です。慢性疾患を抱えながら生活する患者さまが多く、服薬指導や生活背景の把握を通じて、数年から数十年にわたる関係性を築いていくこともあります。「治療」だけでなく「生活」に寄り添う姿勢を大切にしたい方におすすめの環境です。

また、ワークライフバランスを重視したい方にも薬局は向いていると言えます。病院と比べて年間休日が多い傾向にあるため、家庭やプライベートと仕事を両立しやすい点が魅力です。

さらに、認定薬剤師などの資格に対する手当が病院より充実しているケースも多く、資格取得を目指してスキルアップしたい方にもおすすめです。

転職を考えるときのポイント・注意点

転職コンサルタントが転職時のポイントを解説している様子

病院薬剤師と薬局薬剤師は、転職時に求められる準備や注意点が大きく異なります。

病院から薬局、もしくはその逆への転職を考える方も多くいます。注意点や必要なスキルなど、双方の業種に転職する際に押さえておきたいポイントを解説します。

薬局薬剤師から病院薬剤師へ転職する際の注意点と必要な資格・スキル

薬局から病院へ転職する際にまず意識したいのは、求められる専門性と学習量の違いです。病院では薬物療法のスペシャリストとして、医師と対等なレベルで治療方針について議論する場面が多くなります。そのため、日々の業務に加えてガイドラインや最新の知見を継続的に学び続ける姿勢が必要です。「現場で覚えればよい」というスタンスではなく、主体的に知識を更新していく姿勢が求められます。

また、病院では他職種との関わりも重要となるため、薬局での在宅業務を通じたチーム医療の経験、多職種とのコミュニケーションの経験は評価されるポイントとなるでしょう。取得しておくとよい資格としては、認定薬剤師などが挙げられます。資格が直接活かされることは多くありませんが、学ぶ意欲があるという評価につながる可能性があります。

転職時には待遇面・勤務体制を確認しておくことも重要です。特に急性期病院への転職では、年収が下がる可能性が高いため、給与面の詳細を事前に把握しておくとよいでしょう。一方、療養型病院では残業が少ない反面、業務内容が限定的になり、患者さまと接する機会が少なくなる傾向もあります。自分が何にやりがいを感じてきたのかを整理したうえで選択することが大切です。

若年層であれば、給与差が比較的小さい段階で専門性を高めたいという理由から、転職先として病院を選ぶ方も多く、資格取得や症例収集、学会発表を見据えた転職として位置づけると納得感のあるキャリアにつながるでしょう。

学生時代の「実習イメージ」だけで判断せず、見学に行ってみるのがおすすめ

薬学生時代の実習経験から、「病院=当直がきつい、業務量が膨大」といったネガティブなイメージを持っている方もいるかもしれません。 しかし、中途採用の市場においては、夜勤がなく、9時~17時などの固定時間で働ける回復期・療養型・外来が多い一般病院の募集も多く、ワークライフバランスを整えながら病院薬剤師としてのキャリアを積んでいる方もいます

そして転職の際には「職場見学に行くこと」をおすすめします。 実際に見学することで、医師や看護師と円滑にコミュニケーションが取れているかや、職場の雰囲気、託児所・食堂といった福利厚生の充実度などを肌で感じることができます。「病院はハードルが高い」と思い込まず、実際に足を運んでみることで、ご自身に合った働きやすい環境が見つかるかもしれません。(転職コンサルタントS)

病院薬剤師から薬局薬剤師へ転職する際の注意点と必要な資格・スキル

病院から薬局へ転職する際は、業務の軸が「治療」から「生活支援」へと移る点を理解しておくことが重要です。

薬局では、限られた情報の中で患者さまの背景を汲み取り、生活に無理のない範囲で服薬継続できる方法などを提案する力が求められます。検査値やカルテに常にアクセスできる環境とは異なるため、ヒアリング力や観察力がより重要になります。

また、対人業務の比重が大きくなる点も注意点です。患者さま対応に加え、待ち時間に対する不満への対応など、接客的な側面も増えます。病院での業務とは違った悩みが生まれる可能性があるため、「患者さまと長く関わること」にやりがいを見出せるかどうかなど一度考えてみるのがおすすめです。

具体的に取得しておくとよい資格としては「認定薬剤師」(もしくは取得意欲)が挙げられます。転職時点で未取得でも問題ない場合も多いですが、学ぶ姿勢があるかどうかは評価されます。また、在宅医療を行う薬局では運転免許が必須となることも少なくありません。

さらに、薬局では薬剤師自身が保険点数や請求要件を理解し、レセコン入力まで求められることがあり、「保険制度」や「調剤報酬点数」の知識が必要となります。病院では必須でなかった「保険薬剤師」の登録が必要になる点も注意が必要です。

一方で、病院で培ったチーム医療の経験は、特に在宅医療の現場で高く評価される傾向にあります。医師や看護師と連携してきた経験は、地域医療においても即戦力となるため、自身の強みとして整理し、転職活動でしっかり言語化することが重要です。

他業種から病院・薬局へ転職した事例紹介

ここでは、実際に病院・薬局間で転職を経験した薬剤師の事例をもとに、転職の背景や評価されたポイント、転職後の変化を紹介します。

事例① 病院薬剤部長から薬局薬剤師へ転職したケース

病院薬剤部長から薬局薬剤師への転職前後の変化を表した図版

【成功のポイント】

  • 病院で培った多職種連携の経験や、患者さまを中心としたチーム医療への理解が評価された
  • 管理薬剤師候補での採用で、将来的に役職に就くことで前職よりも年収アップの見込みとなった
  • 「在宅業務をしたい」という要望とも合致した

病院で薬剤部長として長年勤務していた男性薬剤師(43歳)の例です。

役職や年収は高水準だった一方で、キャリアの先が見えにくくなったことや、経営面に不安を感じたことから転職を決意しました。「在宅業務に携わりたい」という希望もあり、結果として在宅医療に力を入れている薬局へ転職しました。

病院で培った多職種連携の経験や、患者さまを中心としたチーム医療への理解が評価されました。転職後に年収は一時的に下がりましたが、管理薬剤師候補として採用されたため、順調に1年後に管理薬剤師となれば手当が支給され、前職を上回る収入が見込まれています。

この事例から読み取れるのは、異業種転職の場合、役職や年収の高さが、そのまま転職後も引き継がれるとは限らないという点です。

一方で、病院で培った多職種連携やチーム医療の経験は、とくに在宅医療に力を入れている職場では高く評価される傾向があります。転職直後は一般薬剤師としてのスタートであっても、将来を見据えた採用となり、短期的な年収だけでなく、中長期的なキャリアの広がりを重視する視点を持っておくとよいでしょう。

事例② 薬局から病院へ転職した若手薬剤師のケース

薬局から病院への転職前後の変化を表した図版

【成功のポイント】

  • 腎臓病領域に関する資格取得などの明確なキャリアビジョンや向上心が評価された
  • 院内見学を行ったうえで面接に進んだことも、入職後のギャップを抑える要因となった
  • 「専門性を高めたい」という自身の要望を叶え、年収もアップ

中小薬局チェーンで勤務していた男性薬剤師(25歳)の例です。この方は、薬局で勤務する中で腎臓病の患者さまに関わる機会が増えたことをきっかけに、薬局での関与には限界があると感じるようになりました。処方監査や服薬指導だけでなく、治療の過程そのものに関わりたいという思いから、病院への転職を検討しました。

結果として、一般薬剤師として病院に転職し、年収アップも実現しました。面接では、将来的に腎臓病に関わる資格を取りたいと明確な目標があり、まじめで向上心がある人柄が評価されました。また、事前に院内見学を行い、実際の業務内容や職場の雰囲気を確認したうえで面接に進んだことが、入職後のギャップを抑えることにつながっています。

この事例からは、若手のうちから明確な専門領域への関心やキャリア目標を持っていることが、転職時の評価につながりやすいことが読み取れます。薬局で患者さまに向き合う中で課題意識を持ち、「治療そのものに関わりたい」という動機を言語化できていた点が、病院側からの評価につながりました。

また、事前の院内見学を通じて業務内容や働き方を具体的に理解したうえで転職を決めたことは、入職後のミスマッチを防ぐうえでも有効だったと考えられます。

両者の違いを理解して自分に合った働き方を考えよう

前向きにキャリアを歩む薬剤師2人のイメージ写真

病院薬剤師と薬局薬剤師の違いは、業務内容の表面的な違いだけではなく、「専門性を高めたい」「患者さまと長く向き合いたい」「生活との両立を重視したい」などどのような薬剤師を目指したい人が向いているのかなど、目指すキャリアにも表れます。

転職先を考える際は、一時的な条件だけで判断するのではなく、自分自身の価値観・ライフステージ・将来像と照らし合わせて選ぶことが重要となります。

異業種に転職する際は、不安に感じる部分が多くあると思います。不安や悩みがあればぜひファルマスタッフにご相談ください。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2026/02/12

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