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  • 公開日:2025.08.14

薬剤師は在宅ワークできる?在宅勤務可能な仕事や求人の状況を解説

薬剤師は在宅ワークできる?在宅勤務可能な仕事や求人の状況を解説

「薬剤師でも在宅ワークはできるのだろうか?」
「フルリモートで働ける求人はあるの?」

在宅勤務に関心を持ちつつも、現実的に実現できるのか疑問に感じている方もいるかもしれません。子育てや介護との両立、副業や柔軟な働き方を求める中で、自宅で働く選択肢に関心を持つこともあるでしょう。

結論としては、薬剤師の在宅ワークは一部で実現可能ですが、求人はまだ限られており、誰にでもすぐに選べる働き方ではありません。ただし、特定のスキルや経験を活かせば、在宅で活躍できる仕事も存在します。

本記事では、薬剤師が在宅で取り組める具体的な仕事や求人の傾向、メリット・デメリット、必要なスキルなどを詳しく解説します。在宅での働き方を模索している方は、ぜひ参考にしてみてください。

在宅ワークの求人は限られるのが実情

薬剤師の在宅ワークは近年注目を集めていますが、フルリモートが可能な求人は非常に限られているのが実情です。

一部では、週1~2日程度の在宅ワークが可能な「ハイブリッド型」の求人もありますが、以下のような条件が付いていることが多いです。

  • 同職種での経験者に限る
  • 年収が比較的低い業務(単純なデータ入力、資料作成など)
  • 特定の診療科や業務領域に関する実務経験が必須
  • 全体の業務のうち一部のみが在宅対応可(作業は在宅、打ち合わせや訪問は出社や外出対応など)

最近増えているオンライン服薬指導についても、薬剤師は自宅ではなく、原則として調剤薬局に出勤し、そこからオンラインで服薬指導をするというスタイルが主流です。

また、いわゆる「リモートワーク」と言っても、企業によっては指定のオフィスに出勤し、他拠点とのやり取りや一部の作業のみをリモートで行う「サテライトオフィス勤務」を指していて、自宅を就業場所とする働き方とは異なる場合もあります。求人を探す際には、これらの言葉の違いを意識するとよいでしょう。

テレワークの用語の定義

薬剤師が自宅で働ける求人はありますが、条件付き・限定的であることが多く、誰もがすぐに実現できるわけではないという点は理解しておく必要があります。

薬剤師の資格を活かして家でできる仕事

薬剤師が在宅ワークをしている姿

薬剤師の在宅ワークの選択肢はまだ限られているとお伝えしましたが、一定のスキルや経験があれば、在宅で取り組める業務もいくつか存在します。

ここでは、薬剤師が在宅で行うことのできる具体的な仕事についてご紹介します。「あると良いスキル・経験」も記載していますので、参考にしてください。

医薬品に関するコールセンター

製薬会社や医療機器メーカーの問い合わせ窓口(DI)として、電話やチャット、メールを通じて医療従事者や一般の方へ情報を提供します。

たとえば、医療用医薬品のメーカーの窓口であれば医療従事者から、OTC医薬品のメーカーであれば一般消費者からの服用方法や副作用などに対する問い合わせに対応します。

企業に所属すること(派遣社員を含む)が一般的で、在宅勤務を可能としている企業もあります。

あると良いスキル・経験 ・電話応対が円滑に行えるコミュニケーション力
・タイピング、メール、システム入力の基本スキル

安全性情報担当(PV)

ファーマコビジランスとも呼ばれ、医薬品の安全性情報を収集、分析し、必要に応じて規制当局や医療関係者に報告します。基本的には企業に所属して働くことが多く、正社員で在宅勤務が可能な企業もあります。

製造販売後調査(PMS)との違い

PVと似た仕事にPMSがあります。PMSは発売した医薬品の有効性や安全性を追跡調査する仕事で、PVと同様に在宅勤務が可能な場合もあります。

あると良いスキル・経験 ・英語力、論理的思考力
・入力・報告書作成、ツール操作
(Excel、電子データ収集システムなど)

データマネジメント(DM)

治験などで集められたデータの入力や管理、修正などを行う仕事です。Excelや専用ツールを使った作業が中心で、在宅勤務が可能な求人もあります。ただし、完全在宅で働けるケースは、現状では非常に稀です。特に未経験でスタートする場合には、出社がメインとなる可能性が高いです。

あると良いスキル・経験 ・薬剤名などの基礎知識
・Excelなどの基本操作

臨床開発モニター(CRA)

新薬開発における治験が、治験実施計画書や関連法規に沿って適切に行われているかを確認する仕事です。在宅で文書作成やデータ管理などを行えるケースもありますが、その場合も週1〜2日は出社となる傾向にあります。

あると良いスキル・経験 ・治験コーディネーターの経験
・英語力(TOEIC700点以上が目安)

治験コーディネーター(CRC)との違い

臨床開発モニターが製薬会社側の立場から治験を管理するのに対し、医療機関側の立場から治験計画の説明やスケジュール調整などを行い、被験者をサポートするのが治験コーディネーターです。コロナ禍以降、一部ではリモートワークが行われているようですが、基本的には施設への訪問が必要となります。

あると良いスキル・経験 ・薬剤名などの基礎知識
・コミュニケーション力
・スケジュール管理能力

メディカルライター

医療に関する専門的な記事や資料を執筆する仕事です。メディカルライターの中でも区分があり、以下のような括りで呼称が分けられるケースがあります。なお、必須の資格などは明文化されていないことも多いですが、以下のような人材が求められる傾向にあります。

呼称 仕事内容 求められる人
メディカルライター ・医薬品・治験・製薬文書や医学論文の執筆や翻訳 ・医学・薬学知識があり、文章で伝える力を持つ人
・治験・医薬品開発に関心があり、英語文献も読める人
医療ライター ・一般向けに健康・病気・治療などを分かりやすく執筆(雑誌・Web記事など) ・専門知識を分かりやすく表現できるヘルスリテラシーの高い人
CMC薬事ライター ・医薬品の承認申請に必要な文書の作成
・治験関連文書の作成
・薬学的知識と薬事規制を理解した申請文書作成ができる人
・英語力がある(TOEIC700点以上など)、調査力が高い人

※CMC:「Chemistry, Manufacturing and Control」の略で、医薬品の開発に関わる一連のプロセス(原薬研究、製剤研究、品質保証、品質管理など)を指します。

メディカルライターやCMC薬事ライターは、フリーランスではなく企業に所属することが多いため、出社が必要となることもあります。一方、医療ライターはフリーランスとして自宅で働く方も多い傾向にあります。ただしその場合、報酬は単発で発生するケースが多く、収入面では安定性に欠ける懸念があります。

医薬翻訳・校正

治験、薬事申請に関する資料、英語の文献などを日本語に翻訳したり、逆に日本語から英語に翻訳したりする仕事です。企業に所属して翻訳業務を請け負う場合と、フリーランスとして個人で仕事を受ける場合があります。

医薬翻訳や校正を行うためには、薬剤師の資格だけでなく、翻訳者としてのスキルを示すために以下のような資格を持っていると有利に働く可能性があります。

資格名称 内容
JTA公認翻訳専門職資格 【日本翻訳協会の認定資格】
翻訳の専門家としての能力を総合的に審査
治験実務英語検定 【日本CRO協会の認定試験】
製薬・医療業界における翻訳に特化した資格
日本医学英語検定試験(医英検) 【日本医学英語教育学会が実施する試験】
医学・医療の実践的な英語運用能力を総合的に評価
TOEIC 【国際的なビジネスシーンや日常生活での英語力を測るテスト】
750点以上など高得点を求められるケースが多い

まずは上記のような資格取得に向けて勉強をして、「自分にできそうかどうか」を判断してみるのもおすすめです。

オンライン学習講師

薬学生向けの国家試験対策のオンライン講座や、薬剤師向けのeラーニングの講師として働く方法です。ZoomやYouTubeなどを使った授業形式が多く、生徒とマンツーマンまたはグループ講師として学習をサポートします。

国家試験には最新の情報も関わることから、常に新しい情報をリサーチする力が求められるほか、学習計画の作成や生徒のフォローアップの時間も必要となることがあります。eラーニング講師の場合も、スライド作成などの準備に割く時間も考慮する必要があります。

雇用形態は企業によって異なりますが、フリーランスとして仕事を受けられる場合もあります。

あると良いスキル・経験 ・指導経験
・PowerPoint・Excelなどの基本操作

オンライン服薬指導

2022年9月30日の薬機法施行規則の改正により、「薬局外からのオンライン服薬指導」が認められるようになりました。これにより、薬剤師が自宅などからオンラインで患者さまとやり取りすることも制度としては可能になっています。

しかし、自宅でオンライン服薬指導を行う働き方が一般的かというと、現時点ではかなり限られたケースにとどまっています。日本薬剤師会も、自宅からの対応については、あくまで一時的・特別な事情がある場合を想定しています。

たとえば、

  • 家族の体調不良などで薬局への出勤が難しいとき
  • コロナに感染、または濃厚接触の可能性があり、自宅待機が必要なとき

といった場面での利用が想定されており、「常に自宅で勤務する」という働き方は、まだ一般的ではないと考えられています。

なお、調剤業務と服薬指導を別々の企業が担っており、服薬指導のみを行う企業で働く場合は、常に自宅で対応できることがあります。ただし、こうした働き方は現時点では非常に珍しいです。また自宅で対応できることから、土日や祝日、早朝や夜間などにも勤務が発生しやすい点にも注意が必要です。

このように、「オンライン服薬指導」は在宅ワークとして全く選択肢がないわけではありませんが、今のところは限定的な働き方であり、実施できる環境もごく限られたものとなっています。

あると良いスキル・経験 ・豊富な服薬指導の経験
・電子処方箋・電子薬歴の使用経験

【働き方面】家で働くメリット・デメリット

パソコンとヘッドセットで在宅ワークをするイメージ写真

在宅ワークに挑戦する際には、あらかじめ知っておきたいメリット・デメリットがあります。以下のメリット・デメリットを踏まえた上で、在宅ワークで自分に合った働き方を実現できるのか、考えてみるとよいでしょう。

在宅ワークのメリット

自分の裁量を持って働ける

在宅ワークでは、業務の進め方やスケジュール管理に一定の裁量が持てる傾向にあります。そのため、計画的に物事を進めることが得意な方や、自律的に業務を遂行できる方にとっては、やりがいを感じやすい環境といえるでしょう。

集中できる環境で働ける

薬剤師の在宅ワークは、完全在宅というよりも「一部の業務のみ在宅対応が可能」といったスタイルが中心です。このような部分的な在宅ワークであっても、対面対応や突発的な呼び出し、電話応対などの時間が現場勤務より少なくなるため、自分のペースで業務に集中しやすいというメリットがあります。

また、照明や温度、椅子や机など、自分にとって快適な作業環境を整えられるため、集中力が維持しやすく、業務効率の向上にもつながります。職場環境に左右されず、落ち着いた空間で作業できることは、在宅ワークの大きなメリットといえます。

調剤薬局や病院勤務とは異なる専門職としてキャリアの幅が広がる

在宅ワークは、薬剤師資格を活かしながらも、調剤業務や服薬指導とは違ったスキルが求められることが多く、これらのスキルを向上できることが期待できます。

たとえば、医薬翻訳やメディカルライターといった職種では、薬学的な知識に加えて、文章力や英語力が求められ、医療関連文書や論文の作成・編集のスキルを身に付けることができます。

また、PMSやPVのような職種では、医薬品に関する情報の収集・評価・報告を行うなど、医療現場で得た知識をより俯瞰的・分析的に活かすことが求められます。

こうした業務経験は、将来的により幅広い分野でのキャリアアップにつながる可能性もあります。

在宅ワークのデメリット

医療従事者としてのやりがいが実感しにくい

患者さまとの直接的なやりとりは、臨床現場で感じるやりがいの一つという方もいるでしょう。服薬指導中の何気ない会話や、体調が改善した患者さまの笑顔など、人と接することで得られる充実感は、在宅勤務では得られにくくなります。また、同僚や上司とも、メールやチャット、オンライン会議でのコミュニケーションが中心となるため、モチベーションを維持しづらいと感じる方もいます。

このような人との関わりを重視する方にとっては、在宅勤務でやりがいを感じにくい場合もあるため、自分の価値観を見つめ直すことも大切です。

調剤や服薬指導などの実務経験を積みにくい

在宅ワークでは臨床現場での経験を積めない仕事が多いため、対人業務に必要なコミュニケーション能力や臨機応変な対応力などは養われにくくなる可能性があります。

特に今後、再び対人業務に復帰したいと考えている方にとっては、在宅ワーク期間中の「実務経験のブランク」がネックになる場合があるため注意が必要です。

【特性・性格面】在宅ワークをおすすめできる人・できない人

男性の薬剤師と女性の薬剤師の写真

在宅ワークをおすすめできる人かどうかは、スキルや経験だけでなく、性格や仕事への取り組み姿勢も重要となります。

在宅ワークをおすすめできる人

実際の求人状況も踏まえながら、在宅ワークという働き方が比較的おすすめできる方の特徴をご紹介します。

スキルや経験がある人

多くの在宅ワークの求人では、「出社せずに一定の業務を任せられるだけのスキル・知識を有していること」が前提条件となっています。特に在宅ワークが可能な求人は、業務内容が専門的であることが多く、実臨床の知識や医療現場での経験が豊富な方が高く評価される傾向にあります。

たとえば、病院でDI業務の経験がある方であれば、多様な疾患・医薬品に関する知識や、情報を収集・整理する力を、医薬品情報データベースの作成やメディカルライティングなどの業務に活かせる可能性があります。

また、英語力も大きな武器となります。TOEIC700点以上や、英語の論文・資料を読み解くスキルがある方は、医薬翻訳やメディカルライターなど、より専門性の高い職種に就くチャンスが広がります。

このように、「薬剤師+α」のスキルを持っていると、在宅ワークが実現しやすくなります

コミュニケーション能力が高い人

在宅ワークでは、対面での何気ない会話や空気感が伝わらない分、意図を正確に伝え、誤解なくやり取りするスキルが求められます。

たとえば、メールやチャットでは、曖昧な表現や言葉足らずが業務のミスやトラブルにつながります。そのため、状況を端的かつ丁寧に説明し、相手に必要な情報を過不足なく伝えられる能力が求められます。また、対面でのコミュニケーションの機会が限られていることから、相手の意図を汲み取り、的確に受け止める「聞く力」、論点を簡潔にまとめて伝える「話す力」も重要になります。

自ら学び続ける意欲がある人

在宅ワークでは、周りに気軽に質問や相談ができる同僚や上司がいない環境で仕事をするため、業務に必要な知識やスキルを自ら積極的に学び続ける姿勢が求められます。また、在宅ワークを効率的に進めるために、新しいシステムやツールを導入する企業もあり、こうした変化に柔軟に適応し、前向きに学び続ける意欲も重要となります。

在宅ワークをおすすめできない人

以下のような方には、在宅ワークはおすすめできない可能性があります。一度今の状況や自分に合った働き方を見直してみるとよいでしょう。

スキル/知識/実務経験に自信がない人

在宅ワークは薬剤師にとってまだ希少な働き方であり、通常の業務に加えて「薬剤師+α」のスキルや知識、実務経験が求められるケースが多い傾向にあります。そのため、特定分野の専門知識やスキルに自信がない場合は、選べる仕事が限られ、年収も低くなる可能性があります。

人との関わりがモチベーションになる人

調剤薬局などで勤務している場合、顔なじみの患者さまがいたり、ちょっとした世間話から人間関係を構築したりと、人とのコミュニケーションが在宅ワークと比べると多い傾向にあります。

在宅ワークは基本的に一人で仕事をする上に、他の人とのやり取りも業務に関わる内容に限定されることが多くなります。そのため、コミュニケーションを通じてやりがいやモチベーションを感じる人は、孤独感があったり、人の役に立っている実感が得にくいと感じたりするかもしれません。

収入やキャリアに安定を求める人

薬剤師が在宅ワークをする場合、企業に所属し一部リモートで働くのが一般的です。しかし、完全在宅・フルリモートで働きたい場合は、現状ではフリーランスとして業務委託を受けることが多くなります。その場合、仕事が単発になったり、最初は報酬が低い案件から始まったりすることも多いため、安定した収入やキャリアを重視する人には向かない可能性があります。

【スキル面】在宅ワークをするために必要なスキルとは

在宅ワークのためのスキルアップをイメージした写真

薬剤師として在宅ワークを行うためには、臨床現場とは異なるスキルを求められることが多いです。ここでは、在宅での業務で特に重視されるスキルについて解説します。

基本的なPCスキル

在宅ワークでは、PCスキルが重視される傾向にあります。WordやExcelなどの基本的なソフトウェアの操作はもちろん、チャットツールやメール、オンライン会議システムの使用も日常的に求められることが多いです。データの入力・整理、文書作成、情報検索などが主な業務となることも多く、これらに支障のないレベルのPCスキルを身に付けていることが重要です。

コミュニケーション能力

在宅ワークでは、対面での何気ないやり取りができないため、メールやチャット、電話、Web会議などを使った非対面でのコミュニケーションが中心となります。業務の進捗や確認事項を相手に正確に伝えられないと、誤解や手戻りが発生しやすくなり、信頼関係にも影響が出てしまいます。そのため、相手に分かりやすく、正確かつ簡潔に伝える力が重要です。

また、医師や看護師、エンジニアなど、薬剤師以外の職種との連携を求められることもあり、相手に応じた柔軟な対応や言葉選びが必要になります。こうした「非対面での円滑なやり取り」ができるかどうかが、選考上の評価ポイントになることもあります。

英語力

薬剤師の在宅ワークにおいて英語力は必須ではありませんが、求人が少ない中で「応募できる求人の幅を広げる」ために重要なスキルです。特に、メディカルライティングや医薬翻訳、製薬企業の文書作成業務など、在宅可能な一部の仕事では、TOEIC700点以上や、英語の読解力・要約力が求められることがあります。

応募条件に満たない場合はそもそも選考対象外となるケースもあり、「英語ができること」でようやく土俵に立てる職種があるというのが実情です。

実臨床の知識・経験、医薬品情報の知識

在宅で対応できる薬剤師向けの求人の多くは、専門性の高い職種に限られており、決して間口が広いわけではありません。そのような中で、病院や調剤薬局での豊富な実臨床の経験や医薬品情報の知識が、医薬品情報の整理や文書作成などの業務で重要視されることがあります。

たとえば、DI業務の経験がある方は、情報収集・評価・整理といったプロセスに慣れているとみなされ、一定の即戦力として扱われることがあります。

在宅ワークを叶えるために

薬剤師と転職コンサルタントが話している写真

現状では在宅ワークの求人数は少ない状況のため、希望に合った働き方を実現するには、事前の準備や情報収集が欠かせません。

そこで重要となるのが、在宅勤務に対応できる実力を身に付けることや、最新の求人情報にアクセスするための手段です。以下では、在宅ワークを目指す上で意識しておきたいことをご紹介します。

実務経験を積むなどスキルを磨く

在宅ワークが可能な求人はごく少数であり、競争率が高いことを理解しておく必要があります。そうした中でチャンスを掴むためには、「この人なら任せられる」と思ってもらえるような特筆できるスキルや強みを身に付けておくことが重要です。

たとえば、TOEIC700~800点以上などの英語力、文書作成能力、DI業務の経験などは、在宅可能な業務との親和性が高く、採用側から評価されやすいポイントです。

また、在宅勤務では、周囲にすぐに相談しづらいため、自分で判断しながら業務を進める力が求められます。まずは調剤薬局や病院などの現場で実務経験を積み、処方鑑査・服薬指導・トラブル対応といった経験を通して判断力・応用力を養うのもよいでしょう。

「いつかは在宅で働きたい」と考えている場合は、目の前の業務に丁寧に向き合うことが、将来の選択肢を広げる近道になるかもしれません。現場での経験+αのスキル習得を意識してみましょう。

ワーク・ライフ・バランスを重視して求人を探す

在宅ワークを実現したい場合は、希望条件をワーク・ライフ・バランス重視にして、他の条件の優先順位を下げて、求人を探す方法もあります。

現在、在宅勤務が可能な求人には、「高いスキルが求められる」か「薬剤師資格を活かしにくく、年収が300〜400万円程度にとどまる」という2つのパターンが多いのが現状です。

たとえば「まずは家庭や自分の時間を優先したい」「育児や介護と両立したい」と考えている方は、年収やキャリアアップよりも、柔軟な働き方を重視して求人を選ぶという考え方も選択肢の一つです。実際、リモートワークが可能な一部の事務的業務や、単発のデータ入力業務などは、専門性を活かしづらいものの、時間的な自由度は比較的高い傾向にあります。

このように「今は生活との両立を重視し、将来的には仕事に力を入れる」という中長期的な視点を持つことも、在宅ワークを実現するための一歩となります。

すぐに情報を得られるように転職コンサルタントを活用する

薬剤師の在宅ワークは、求人数が少なく、人気も高い傾向にあります。そのため、日々求人情報を収集し、できる限り早く応募することが重要となります。しかし、仕事や家庭などで忙しい中、常に求人情報をチェックし続けるのは、現実的に難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。

そこで、薬剤師の転職をサポートする「転職コンサルタント」を活用する方法があります。転職コンサルタントは、スキルや希望に合った求人を選んで提案してくれるだけでなく、在宅勤務が可能な求人の有無や、企業側が求めるスキル・人物像、実際の働き方など、個人ではなかなか得られないリアルな情報も提供してくれます。

また、叶えたい希望に応じて、幅広い選択肢を一緒に考えてくれるのも、転職コンサルタントを活用する強みです。

「まずは在宅ワークが可能な選択肢があるかを知りたい」「今の生活と両立できる働き方を模索したい」という段階でも、無料で相談できるので、気軽に転職コンサルタントを活用してみることをおすすめします。

在宅ワークができる企業に転職した事例

実際に一部在宅ワークが可能な企業に転職した方の事例を紹介します。

医薬品情報データベースの作成業務に転職したケースで、採用に至った背景には、以下のような点が評価されたことが挙げられます。

  • 実臨床での経験が豊富であり、多くの疾患や薬剤の知識がある
  • 医師や看護師との連携経験があるため、医療現場の実態やニーズを理解している
  • DI業務を通じて、医薬品情報の収集・評価・整理に慣れており、即戦力として期待できる
  • 電子カルテやレセプトソフトなどの医療システムに精通しており、現場視点でのフィードバックが可能

このように、単に薬剤師としての資格があるだけではなく、実務経験に裏付けられた判断力や専門性、現場感覚が備わっていることが採用の決め手となっています。

薬剤師の資格を活かして在宅ワークを叶える場合、何を武器にして採用側から信頼されるかが重要といえるでしょう。

在宅ワークだけではない!ワーク・ライフ・バランスを叶える選択肢

ワーク・ライフ・バランスを叶えて笑顔の薬剤師

「子育てや介護との両立」「自分の時間を大切にしたい」といった、ライフスタイルに合った働き方を実現したいという思いから、在宅ワークを希望する方もいるでしょう。その場合は、在宅ワークするという選択肢だけでなく、他の働き方でワーク・ライフ・バランスを叶えられる職場を検討してみるのもおすすめです。

勤務時間が短い職場

家庭やプライベートとの両立を重視したい場合、勤務時間が限定された職場はおすすめの選択肢です。たとえば「9:00~17:00」「10:00~16:00」などの時間帯で働ける職場であれば、朝夕の育児や家事とのバランスも取りやすくなります。

特に、保育園や学校への送り迎えが必要な子育て中の方にとって、フルタイム勤務よりも心身の負担が軽減されるメリットがあります。時短勤務でも業務の質が評価されれば、将来的なキャリアの継続やステップアップも可能となるでしょう。

福利厚生が充実している職場

在宅ワークが難しい場合でも、福利厚生が整っている職場であれば、ワーク・ライフ・バランスを整えて働ける可能性があります。たとえば、育児休業や介護休暇、時短勤務制度、看護休暇などの制度が定められており、実際に利用しやすい環境が整っている会社は、仕事と家庭の両立を積極的に支援しているといえます。

また、制度があるだけでなく、上司や職場全体がその制度の利用に前向きかどうかという「風土」も重要です。ライフステージに応じて働き方を柔軟に変えられる環境は、長く安心して働くための大きな魅力となります。

休みが取りやすい職場

勤務時間や場所に関わらず、「休みの取りやすさ」もワーク・ライフ・バランスに直結する重要な要素です。急な発熱や学校行事など、特に育児中は予定外の休みが発生しやすいため、シフトの融通が利く職場や、スタッフ間で助け合う文化が根づいている職場は安心して働けます。

「子育て中のスタッフが多い」「上司が子育てに理解がある」といった環境では、心理的な負担も少なく、日々の業務にも前向きに取り組めます。制度面だけでなく、実際の運用に柔軟性があるかどうかは、求人選びの際にぜひ確認しておきたいポイントです。

在宅ワークを叶えるには情報収集とスキルアップが鍵!

指を指す薬剤師

薬剤師の在宅ワークは、制度や技術の進展とともに少しずつ環境が整備されてきています。しかし現時点では、求人はまだ限られており、誰もがすぐに選べる働き方とはいえません。

一方で、特定のスキルや経験があれば、在宅ワークを行えるチャンスは存在します。

将来、自宅で柔軟に働く働き方を目指すのであれば、今のうちから現場で着実に経験を積み、必要なスキルを磨くことが重要です。そして、限られたチャンスを逃さないためには、最新の求人情報や適性のある職種をいち早く把握する仕組みを持つことも一つの方法です。

その一歩として、まずは転職コンサルタントに相談してみてはいかがでしょうか。薬剤師転職のプロの目線で、あなたのスキルや希望に合った働き方を一緒に探してくれる心強いパートナーとなるはずです。

キャリアプランの相談も無料で行っていますので、ぜひお気軽にコンサルタント面談をご予約ください。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2025/08/14

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