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  • 公開日:2019.07.24

『スポーツファーマシスト』の役割とは?スポーツ界を盛り上げるために薬剤師ができること【薬剤師の資格入門】

『スポーツファーマシスト』の役割とは?スポーツ界を盛り上げるために薬剤師ができること【薬剤師の資格入門】

2019年と2020年、日本国内で世界的規模の国際スポーツ大会が開催される予定です。試合観戦やボランティアなど、様々な形で大会に関わることできますが、薬剤師ならではの関わり方に注目してはいかがでしょうか?

それが、スポーツ医学やアンチ・ドーピングを専門にする『スポーツファーマシスト』。公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)によって認定される資格制度です。今回の記事では、【スポーツファーマシストの役割や資格の取得方法など】をご紹介。タイムリーな話題に乗り遅れないよう、要チェックです。

『スポーツファーマシスト』とは?

危険薬物のイメージ

『スポーツファーマシスト』とは、最新のアンチ・ドーピングに関する知識を持った薬剤師です。2009年、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)により、「公認スポーツファーマシスト認定制度」が発足しました。以降、日本薬剤師会の協力も受けながら、様々な角度からアンチ・ドーピング活動に取り組んでいることが知られています。

公正さを重んじるスポーツ競技の世界において、ドーピングは重大なルール違反。選手生命に影響を及ぼすこともある危険な行為です。問題となるのは、身体能力や集中力の向上を目的とした意図的なドーピングだけではありません。禁止成分が含まれていると知らずに市販薬やサプリメントを使用してしまう、「うっかりドーピング」も問題となっています。

国際的なスポーツ大会はもちろん、アマチュアのスポーツ大会においても、ドーピングの危険性はつきものです。健康や医薬品について悩むアスリートの頼れる相談相手として、薬剤師の活躍が期待されています。

アスリート対応と国民への啓蒙活動が役割

講演する薬剤師のイメージ

スポーツファーマシストが活躍できる最も大きな舞台は、世界的規模の国際スポーツ大会です。ドーピングによる選手資格やメダルの剥奪などの深刻な事態を防ぐため、担うべき役割は自然と大きくなります。また、アンチ・ドーピングへの意識の高まりに伴い、今後は小規模な大会においてもドーピング管理が行われることが考えられるでしょう。

こうしたスポーツ大会に参加するアスリートへの対応が、スポーツファーマシストの役割です。ドーピング検査医薬品に関する相談や情報提供、どうしても薬を使用しなければならないときの治療使用特例(TUE)の対応などが求められています。

そのほか、地域や学校教育の現場にて、医薬品の適正使用について話をしたり、アンチ・ドーピングに関する情報提供をしたりすることも重要な役割です。講演会やカウンセリングなどを通して、国民に対して啓蒙活動を行うことが"真の役割"と言えるでしょう。

つまり、スポーツ協会や学校団体などのほか、地域のスポーツセンターなどにおいてもスポーツファーマシストは大いに活躍できるのです。また、アンチ・ドーピング活動だけでなく、健康管理や栄養管理など様々な面で力を発揮していくことも期待されています。

『スポーツファーマシスト』の取得方法

eラーニングのイメージ

スポーツファーマシストになるには、基礎講習会と実務講習の2つを受講し、知識到達度確認試験に合格する必要があります。対象者は、「基礎講習会の受講時点で薬剤師の資格を有する者(年齢不問)」。つまり、薬剤師国家試験に合格したばかりでも、薬剤師免許の申請さえ間に合えば資格が取得できるのです。

資格取得に向けた、講習の受講〆切は4月~5月頃。すべての講習を終えて試験を受けるのに約1年かかり、翌年4月1日に認定されます。具体的なスケジュールや講習・試験の内容については、下記でご紹介します。

▼4~5月:受講者募集受付

毎年4月下旬より、公認スポーツファーマシストのホームページにて募集の受付が始まります。申し込みの際、6~7月頃に行われる基礎講習会を東京会場と大阪会場のどちらで受けるかを選択します。その後、期日までに受講料を振り込めば申し込み終了です。

募集の受付は、毎年4月~5月のみで、タイミングを逃すと翌年になってしまうので注意が必要です。毎年3月に募集告知があるので、ホームページを確認するようにしましょう。

▼6~7月:基礎講習会への参加

東京会場・大阪会場のいずれかにて、基礎講習会を受講します。1日を通して行われ、スポーツファーマシストの概念や役割、ドーピングの問い合わせに対する対応、使用できるツールなどの説明を受けます

▼11月~12月:実務講習への参加受付

登録したメールアドレスに、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)からメールが送られてきます。参加受付は短時間で済ませることができますが、期限を過ぎてしまうと実務講習や知識到達度確認試験が受けられなくなってしまうので注意が必要です

▼12月~翌年1月:実務講習、知識到達度確認試験、認定申請

実務講習の参加受付を済ませている方に、受講の案内メールが届きます。実務講習はインターネットを用いたe-ラーニング形式で行います。同様に、知識到達度確認試験もインターネットで行うので、自宅など落ち着ける場所で臨めるでしょう

試験合格後、指定の口座に認定料を振り込めば認定申請は完了です。

▼翌年4月1日:認定

4月1日、『スポーツファーマシスト』として認定された旨のメールが届きます。

資格取得後、認定者用ログイン画面で勤め先の薬局などが登録できるようになります。これに対応すれば、日本アンチ・ドーピング機構ホームページにある、「スポーツファーマシストを探す」機能で検索結果に表示されるようになります。

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4年毎の資格更新で最新情報を入手しよう

資格の有効期限は4年間。以降は、4年毎の更新が必要です。資格維持のためには、毎年e-ラーニングによる実務講習を受講した上で、4年目にe-ラーニングにて基礎講習と実務講習を受講。その後、知識到達度確認試験に合格する必要があります。

手続きや講習の受講は、すべてインターネット上で出来るので、取得時のように会場に足を運ぶ必要はありません。講習の内容は基本的に取得時と同じですが、新薬の情報などがアップデートされるので、内容をしっかりと確認するようにしましょう

スポーツファーマシストとして地域を盛り上げよう

今回は、【スポーツファーマシストの役割や資格の取得方法など】をご紹介しました。

薬剤師が活躍するのは薬局や病院だけにとどまらず、地域全体へと広がりを見せています。

その一つが、世界的規模の国際スポーツ大会であり、『スポーツファーマシスト』を取得することで、アスリートをサポートできるチャンスを掴めるかもしれません。

また、アンチ・ドーピング活動により、地域の皆さまの健康増進を促すことも社会貢献です。ぜひ、スポーツファーマシストの取得を検討してはいかがでしょうか。

ファルマラボ編集部

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記事掲載日: 2019/07/24

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