- 公開日:2026.07.23
【事例あり】20代薬剤師の転職は「早すぎ」?同世代の実情と後悔しないためのポイント

「まだ薬剤師になったばかりなのに、もう転職を考えるなんて早すぎる?」
「調剤経験が浅いうちに職場を変えるのはリスクになるかな...」
日々の忙しさや職場の人間関係の悩みを、1人で抱え込んでいませんか?周りが頑張っているように見えると、「つらいから転職したい」と思うこと自体が甘えのように思えてしまうこともあるでしょう。
しかし、実際には多くの20代薬剤師の方が同じように悩み、転職という次のステップへと動き出しています。20代での転職は、新しい環境に馴染みやすく、ポテンシャルを期待してもらえるという強みがあります。その一方で、事前に押さえておくべき注意点もあります。
今回は、ファルマスタッフの独自データや事例をもとに、20代薬剤師のリアルな転職事情と、後悔しないための具体的な進め方を解説します。
- 20代薬剤師の転職は早すぎる?データから見る最新事情
- 20代薬剤師の転職理由トップ5
- 後悔しないために!20代薬剤師の転職にありがちな3つの注意点
- 採用担当者の視点!20代薬剤師に期待する3つのポイント
- 【事例紹介】理想の職場に出会えた20代の転職成功事例
- 20代薬剤師が後悔しない転職を叶えるために
20代薬剤師の転職は早すぎる?データから見る最新事情

薬剤師の転職支援を行うファルマスタッフへ、2025年度に転職相談を申し込んだ薬剤師の約2割が20代という結果でした。これは他年代と比較しても決して少なくなく、20代のうちから今後のキャリアを見据え、転職に向けて動いている薬剤師が一定数いることが分かります。
20代登録者の約7割が「正社員」での転職を希望
ファルマスタッフへ転職相談を申し込んだ20代薬剤師のうち、約7割が「正社員」としての転職を希望しています。これは、多くの20代薬剤師が中長期的なキャリアを見据え、自分に合う職場で長く働きたいと考えていることが伺えます。
【採用現場のリアル】20代薬剤師の転職に対する印象
薬剤師の採用現場を数多く見てきたファルマスタッフの転職コンサルタントによると、20代薬剤師の全体的な転職難易度は他年代に比べて低めではあるものの、薬局や病院側の事情により異なるようです。
大阪支店コンサルタント
20代薬剤師の場合、全体的には転職の難易度は低めな印象があります。
ただし、薬局・病院側がどのような状態で、何を求めているかによって変わってきます。
例えば、研修制度や人員体制が整っている環境であれば、現場での育成が可能なため難易度はあまり高くありませんが、そうでない場合は、即戦力を求める募集が多いため難易度は高くなります。
また、近しい話では、これまでの経歴と薬局・病院が求める層のマッチング度合いでも変わってきます。
「管理薬剤師・幹部候補」を募集している薬局・病院の場合:知識の基盤があることを求められる傾向にあるため、研修や資格取得制度が整った職場で自発的に学んだ経験が好印象になることがあります。
即戦力を求められる薬局・病院の場合:実務経験がより求められるため、例えば中小規模の薬局で、多くの処方箋枚数をこなしてきた経験が好印象になることがあります。
採用側が求める人物像を事前に把握し、ご自身の経験と結びつけて伝えることが重要となります。
九州支店コンサルタント
地方の場合、20代の薬剤師の方は売り手市場な印象です。
大阪と同様、即戦力を求められる現場では難易度が高い傾向はあるものの、多くの場合は長期的な活躍への期待やポテンシャル、柔軟性を評価されやすいため、総じて難易度は低いと思います。
ただし「短期離職が続いている」「コミュニケーションの取り方に懸念がある」など、他の面で不安な部分がある場合、年齢問わず難易度は高くなります。
その他、キャリアチェンジ(例:調剤薬局から企業、病院からドラッグストアなど)を目的とした転職の場合は求められるスキルや働き方が変わるため、通常の転職に比べると難易度が高くなる傾向があります。
20代薬剤師の転職理由トップ5

ファルマスタッフの独自調査によると、20代薬剤師の転職理由として特に多かったのは、「転居」「給与への不満」「通勤時間への不満」「残業の多さ」「職場の人間関係」でした。
20代の薬剤師は結婚や同居などのライフステージの変化に加え、労働環境や処遇への不満をきっかけに転職を決意する傾向が強いことが伺えます。
1位:転居に伴う転職
20代薬剤師の転職理由の1位は、「転居に伴う転職」です。背景には、同棲やパートナーの転勤、結婚など、ライフステージの変化に伴うケースが多いようです。特に20代後半になると、今後のライフイベントを見据え「できるだけ通勤距離を短くしたい」「実家に近いエリアに移りたい」といった、生活基盤の変更に合わせた選択をするケースも増えると考えられます。
2位:給与への不満
「日々の業務量や責任の重さに対して、給与が見合っていない」という不満も、20代薬剤師に多い転職理由です。昇給が思うように見込めないことへの不安や、奨学金の返済が負担になっているという背景も考えられます。自身のスキルや貢献度に見合う評価をしてくれる職場を求め、転職をするという方も少なくありません。
3位:通勤時間への不満
「開局時間に合わせた早朝出勤」や「店舗の異動」により当初の想定よりも通勤に時間がかかるようになり、体力的・精神的に継続が難しくなったケースもあるようです。
また、20代は仕事だけでなく、趣味や自己研鑽など、ワークライフバランスを整えたい、自分の時間を確保するために通勤時間を短縮したいという思いが、転職のきっかけになることもあるようです。
4位:残業の多さ
「人手不足によって残業が常態化している」「門前クリニックの診察が長引き、終業時間が遅くなる」など、残業を理由に転職を決断する20代薬剤師もいます。残業による心身の負担が積み重なることで、「より心身にゆとりを持って、働き続ける環境へ移りたい」と転職を検討するという方もいます。
「残業なし(ほぼなし)」の求人をみる
5位:職場の人間関係
薬剤師の仕事はチーム医療の一環であり、店舗内での連携、医師やケアマネージャーなどの他職種とのコミュニケーションが頻繁に行われます。特に少人数の薬局ではスタッフ同士の関わりも深くなりがちなため、上司や同僚と相性が合わない場合に悩みを抱える20代の方も少なくありません。
「ミスが許されないプレッシャー」や「時間的な焦り」がある中で、現場のコミュニケーションが不足していると職場に居づらさを感じ、転職につながることもあります。
薬剤師の転職理由ランキングTOP5!職場選びのコツ~退職理由の伝え方まで徹底解説
【現場のリアル】実際の転職相談で多かった転職理由は?
転職コンサルタントが実際に対応してきた中で聞かれた転職理由を確認してみると、エリアや業種による特徴の違いも見えてきました。
九州支店コンサルタント
私の担当エリアの場合、昨年度の20代薬剤師の方の転職理由で最も多かったのは「給与への不満」でした。他には「労働環境・待遇への不満」「キャリア・スキルアップ」の理由も多かったです。
「給与への不満」の背景としては、エリアの特性上、新卒入職時に急性期病院へ就職される方が多く、就職後に薬局やドラッグストアの給与事情を知り、ご自身の給与が他業種と比較すると低いと感じて転職を希望される方が多いことが挙げられます。
また「労働環境・待遇への不満」では、夜勤や休日対応、残業、業務過多、会社の将来性への不安や異動への不満が多く見受けられました。「キャリア・スキルアップ」については、例えば「管理薬剤師になり年収を上げたいがポジションの空きがない」「病院だけでなく薬局経験を積みたい」「資格取得可能な病院に行きたい」など、前向きな意欲に対して現職では叶えることが難しいことでの転職希望が多くありました。
大阪支店コンサルタント
私の担当エリアの中では、病院と薬局で20代の転職理由が異なる傾向がみられました。病院の場合、最も多い理由は「給与への不満」です。病院の働き方から、基本的にはワークライフバランスは整っており満足してはいるものの、年収と業務の多さが見合っていないという理由で転職を希望される方が多い印象です。病院勤務の方が給与への不満で転職を希望される場合、「ワークライフバランスは維持した状態で年収は上げたい」というご相談をよくいただきます。
一方で薬局の場合は「労働環境・待遇への不満」と「人間関係」が多い傾向がありました。「労働環境・待遇への不満」は、業務量の多さや、なかなか人が定着しないことにより1人あたりの負荷が上がることで生じている印象です。「人間関係」は多くの場合、管理薬剤師や薬局長と相性が合わない、という背景ですね。
後悔しないために!20代薬剤師の転職にありがちな3つの注意点

20代の転職には多くのチャンスがありますが、準備不足のまま進めるとミスマッチを招いてしまうこともあります。以下の3つのポイントを押さえて活動を進めましょう。
- 早期離職の不安を与えてしまう
- スキルのギャップが生じてしまう
- 目先の条件で決めてしまう
早期離職の不安を与えてしまう
在籍期間が短い場合、採用側は「嫌なことがあったらまたすぐ辞めてしまうのではないか」と不安を抱くことがあります。これは、採用や教育にかけるコストや時間の損失を防ぎたいという採用側の背景があるためです。
面接では現職の不満を述べるのではなく「前向きな転職理由」へと昇華させ「どのような薬剤師になりたいか」という目標を伝えるようにしましょう。そうすることで、採用側に「長く定着してくれそうだ」という安心感を持ってもらいやすくなります。
具体的な伝え方については、後半の腰を据えて働く「長期キャリア形成への意思」で紹介しますので、ぜひそちらも参考にしてください。
スキルのギャップが生じてしまう
20代の転職市場ではポテンシャルが重視されるケースが多いものの、ご自身の「できること・できないこと」を把握できていない場合、採用側が求めるレベルとの間にギャップが生まれ、入社後にミスマッチが生じやすくなります。例えば、まだ経験の浅い業務を「できる」と伝えてしまうことで、入社後に想定以上の業務を任され、ついていけなくなるといったリスクに繋がりかねません。そのため、まずは自分の現在のスキル(できること・できないこと)を棚卸しすることが大切です。
もし現在のスキルで満たないものがある場合は、研修・教育体制が整った「自分の習熟度に合う求人」を選ぶ冷静さが必要となります。そうして自分を客観視できていれば、面接でも「自分の不足分」を認めた上で「これから貪欲に吸収して成長する」という自発的な姿勢を具体的に伝えることができます。結果として、採用側の安心感に繋がるでしょう。
目先の条件で決めてしまう
「年収アップ」や「残業なし」といった特定の条件だけで転職先を選んだ場合、入社後に「職場の雰囲気が合わなかった」「人員不足で休みが取れず、結局また早期離職になった」ということにもなりかねません。
また、「休みやすさ」や「高時給」などの目先の働きやすさだけを基準に雇用形態を選んでしまうことも、将来の選択肢を狭めるリスクを伴います。
こうした後悔を防ぐためには、求人票だけでは判断が難しい「職場の実態」を知ることに加え、今後のライフプランやキャリアプランを踏まえた視点が重要となります。数年先も納得して働き続けられる職場を選ぶためにも、転職コンサルタントに相談するなどし、多角的な情報収集を行うことが大切です。
採用担当者の視点!20代薬剤師に期待する3つのポイント

採用側がどのような視点を持って20代を見ているのかを知っておくことは、自分の強みや熱意を伝えるための大切なヒントになります。ここでは、採用側が期待している3つのポイントをご紹介します。
- 対人業務で必要な「コミュニケーション能力」
- 新しい環境に順応できる「素直さ・柔軟性・吸収力」
- 腰を据えて働く「長期キャリア形成の意思」
対人業務で必要な「コミュニケーション能力」
薬剤師に求められる役割が変化してきたことから、対物業務ではなく「対人業務への適応力」が、どの薬局・病院でも重視されています。特に面接では「聞かれたことへの回答としてズレがないか」「瞬発的に反応ができるか」が見られています。その背景には、体調を崩された患者さまに対し、的外れな回答をしたりその場で考え込んでしまったりすると、患者さまに不要な心配や不安を抱かせてしまう可能性があるためです。
職場での協調性を維持するためのコミュニケーションだけでなく、患者さまと向き合う役割に適応できるのかという観点で、今後ますますコミュニケーション能力は求められるようになるでしょう。
新しい環境に順応できる「素直さ・柔軟性・吸収力」
20代の武器の一つに、既存のやり方に固執せず、新しい職場のルールや独自のシステム、人間関係に対して柔軟に適応できる「素直さ・柔軟性」が挙げられます。前職でのやり方にこだわりすぎず「既存のルールに柔軟に対応する」という姿勢は、現場のスタッフからも受け入れられやすく、採用側にとって魅力的なポイントとなるでしょう。
さらに、近年の調剤現場におけるDX化(電子処方箋や自動調剤機器の導入など)に対して「すぐに新しいシステムを使いこなす吸収力」もアピールポイントになります。
腰を据えて働く「長期キャリア形成への意思」
採用側にとって、20代の採用には「将来の幹部候補や店舗の中核として長く活躍してほしい」という期待が込められています。
だからこそ「長期的なキャリア形成への本気度」を測るために、これまでの転職における「退職理由」は重点的に確認されます。退職理由を伝える際は、単に「業務量が多かった」とするのではなく、「薬局の対応人数」「処方箋枚数」「休日取得状況」など事実に基づく情報を伝えることが重要です。
例えば「前職では1日の処方箋枚数が〇枚に対し、薬剤師〇名体制だったため、服薬指導に時間を割くことが難しい環境でした。今後は、一人ひとりの患者さまとじっくり向き合える面対応の薬局で、地域医療に貢献したいと考えております。」など、具体的な数字を伝えた上で、転職によって何を実現したいのかを前向きに示しましょう。
あわせて、「新たな科目(専門領域)の知識を深めたい」「将来的に管理薬剤師を目指したい」といった、薬剤師としての成長意欲もアピール要素に加えます。現状への課題感と、未来への成長ビジョンをセットで伝えることで、採用側の安心感と期待に繋がるでしょう。
【事例紹介】理想の職場に出会えた20代の転職成功事例
年収アップに成功した転職事例
急性期病院から調剤薬局へ転職で年収100万円アップ

急性期病院の一般薬剤師だったKさんは、1人暮らしを始めたことをきっかけに、給与アップを目指して転職を決意されました。加えて、当時の職場では月2回の夜勤が負担になっていたことと、30分ほどのサービス残業が常態化していたことから、働き方の改善も希望されていました。
結果として、日勤のみの勤務で労務管理が徹底されている地場のチェーン薬局へ転職が決定。夜勤がなく、ワークライフバランスが整ったことに加え、年収100万円アップを実現しました。
残業代支給なしから労務関連も整った薬局へ転職で年収100万円アップ

Kさんは調剤薬局で一般薬剤師として勤務していました。当時の職場は週の勤務日数も多く、時間外勤務が多いにも関わらず残業代の支給がないサービス残業が日々発生していたことから転職を決意されました。
転職活動においては、労働時間が長くなりすぎず、持っている資格をプライベートで活かせる時間を作れる薬局への転職を目指しました。
その結果、別の調剤薬局へ正社員の一般薬剤師として転職が決定。20時までの店舗ですが、週40時間のシフト制で早く帰れる日もあり、年間休日120日で年末年始休暇もあるなど、プライベートも充実しながら就業できる環境への転職が叶いました。残業代もしっかり支給されるようになり、年収100万円アップが実現しました。
ワークライフバランスが改善した転職事例
閉店による減収と遠方への異動打診をきっかけに自宅近くの大手ドラッグストアへ転職

Hさんは調剤薬局で管理薬剤師として勤務していました。しかし、店舗が閉店したことで一時的に勤務薬剤師になり収入が減少。また、結婚を控えており市内に転居したものの、片道1時間の店舗への異動を打診されているため転職を決意されました。
結果として、以前より興味のあったOTCの取り扱いがあり、福利厚生も充実している大手ドラッグストアの調剤併設店に勤務薬剤師として転職。自宅から20分圏内の店舗への配属が叶い、年収も500万円から524万円へとアップしました。
キャリアチェンジに成功した転職事例
資格取得を目指し大学病院から資格取得実績のある地場チェーン薬局へ転職

Kさんは大学病院で一般薬剤師として勤務していました。研修制度も整っていると思い、様々な経験の積める病院に入社したものの、日々の業務に追われ資格取得の勉強ができず、業務負担が増えているため転職を決意されました。
結果として、資格取得実績のある地場チェーン薬局へ一般薬剤師として転職。当直無しの日勤勤務となり、年収も400万円から440万円へとアップしました。
20代薬剤師が後悔しない転職を叶えるために

20代薬剤師の転職が「早すぎる」ということはありません。ポテンシャルがあり、新しい環境への適応力が高いこの時期だからこそ、理想のキャリアプランに合わせた柔軟な選択が可能です。
大切なのは、目先の条件だけで判断せず、5年後・10年後のなりたい姿を見据えて、客観的な視点で転職先を決めることです。そのためには、自分のスキルを棚卸しし、求人票だけでは見えない職場の実態を知ることが重要となります。
20代での決断は、これからの薬剤師人生の基盤をつくる大切な一歩です。納得のいく環境を選び、理想の働き方とキャリアアップを叶えていきましょう。
ファルマラボ編集部
「業界ニュース」「薬剤師QUIZ」 「全国の薬局紹介」 「転職成功のノウハウ」「薬剤師あるあるマンガ」「管理栄養士監修レシピ」など多様な情報を発信することで、薬剤師・薬学生を応援しております。ぜひ、定期的にチェックして、情報収集にお役立てください。
あわせて読まれている記事
\登録無料!簡単約1分/
ファルマラボ会員特典
- 薬剤師の業務に役立つ資料や動画が見放題!
- 会員限定セミナーへの参加
- 資料・セミナー・コラムなど最新リリース情報をお知らせ
