服薬指導に活かす医薬品情報

オルケディア錠

Q

何のお薬?処方目的は?

A

1)維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
2)副甲状腺癌、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症
の2種類の適応を持ちます。

Q

用法・用量は?

A

1)通常1 mg、場合に応じて2 mg 1日1回で開始します。以後、1日1回1~8 mgの間で適宜用量を調整し、12 mgまで増量可能です。増量する場合は1mgずつ、2週間の間隔をあける必要があります。
2)通常2mg 1日1回、場合に応じて1回2mgを1日2回で開始します。以後、投与量は1回6mgまで、投与回数は1日4回までの範囲で適宜用量を調節します。増量する場合には2週間間隔をあける必要があります。

Q

相互作用は?

A

本剤はカルシウム受容体に作動し、副甲状腺ホルモン濃度を低下させるため、ビスホスホネート製剤など、血中カルシウム濃度を下げる薬との併用には注意が必要です。一部相互作用を起こす薬はありますが、代謝に関わる相互作用の懸念は殆どありません。

Q

注意すべき副作用は?

A

副甲状腺ホルモン抑制作用を介した低カルシウム血症が起こりえるため、QT延長、気分不良、血圧低下、しびれなどの兆候に注意が必要です。
低カルシウム血症を回避するため、投与開始時は血中カルシウムが8.4mg/dlを超えることを確認する必要があります。また、服用中にこの値を下回った場合には減量・休薬などの対応が必要となってきます。検査値がわかる場合には必ず確認したい項目です。 

Q

シナカルセト(レグパラ)との違いは?

A

シナカルセトの持つ問題点を改良する目的で本剤が開発、販売されました。薬価は後で販売された本剤のほうが少し低く設定されているため、一部負担金が増えるケースは稀だと思われます。

○薬物間相互作用の軽減
シナカルセトは強いCYP2D6への阻害作用を持ち、併用薬剤に注意が必要ですが、本剤は強いCYP阻害作用を示さず、併用注意の薬剤が少ないです。

○消化器副作用の軽減
シナカルセトは悪心・嘔吐・胃部不快感、腹部膨満感などの副作用が多く、用量依存的に起こりやすいため、副作用が原因で十分な効果を得るための増量が出来ないことが問題点として挙げられていました。本剤では消化器系副作用の発現率が軽減されています。吸収速度を速め、バイオアベイラビリティを高めることで低用量化しているため、消化管に発現している受容体への影響が減少し、軽減されたのではないかと推測されます。

○シナカルセトから変更する際の注意点
切り替えの際、明確な用量規定はありませんが、投与量の上限・下限を考慮すると、シナカルセト12.5~25mgに対して本剤1mgが用いられる計算になります。但し、それまでのシナカルセトの投与量にかかわらず、本剤の開始用量は1~2mgであることに注意が必要です。

●総評として、シナカルセトと比較して消化器系副作用が軽減し、相互作用の懸念が低下し、薬価も安価になるケースが殆どで、切り替えるメリットの高い薬剤です。

掲載日: 2021/07/15
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